WB Gamesより、2021年10月12日に発売予定(※)のプレイステーション4、プレイステーション5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store)用ソフト『Back 4 Blood(バック・フォー・ブラッド)』(『B4B』)。

※デラックス・エディション、アルティメット・エディション(※ダウンロード販売のみ)は2021年10月8日発売

 本作はValveより発売されたFPS『Left 4 Dead』シリーズ(『L4D』)を制作したスタジオ、Turtle Rock Studiosによる新作FPSで、言わば『L4D』シリーズの精神的続編。人間側である“クリーナー”たちが、いわゆるゾンビの“リドゥン”を倒しながらゴールを目指していく。

 本記事では、製品版を遊んでのプレイレビューをお届けしよう。細かなプレイ内容は先行体験プレイレビューと変わらないので、より詳しい情報を知りたい人は下記記事をチェックしてほしい。

『Back 4 Blood』レビュー。『L4D』のおもしろさは引き継ぎつつ、カードシステムが大きな魅力に。やり応えとリプレイ性はバツグン
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クリーナーVSリドゥン

 舞台となるのは、“デビルワーム”という寄生虫が世界的に蔓延した世界。デビルワームに寄生された人間は自我を失った怪物“リドゥン”へと変貌し、人々を襲い、さらに寄生先を増やしていく。つぎからつぎへと生まれていくリドゥンに、人類は滅亡の危機に立たされていた。

 そんな中、デビルワームに寄生されない人間たちもいた。彼らは“クリーナー”と呼ばれ、リドゥンに唯一対抗できる存在だ。この世界の危機に、クリーナーたちが協力し合い、リドゥン撲滅のためにさまざまな作戦に挑む。

『Back 4 Blood』レビュー。『L4D』のおもしろさは引き継ぎつつ、カードシステムが大きな魅力に。やり応えとリプレイ性はバツグン
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リドゥン(ようはゾンビ)
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特殊なリドゥン(変異体)も存在する

ゲームモードについて

 本編とも言えるキャンペーンモードは2種類存在し、ひとりで遊べるソロキャンペーンと、最大4人でオンラインプレイが可能な通常のキャンペーンモードがある。

 ソロキャンペーンはBOT(AI)が仲間となりゲームを遊ぶモードで、気軽に楽しめるのが魅力。だが本作をいちばん楽しめるのは、やはり最大4人で遊ぶ通常のキャンペーンモードだ。

 マッチングは全ハードのクロスプレイに対応しており、クロスプレイをオフにすることも可能。自分の遊びたいステージ、難易度を自由に選択できる。世界中の人たちともマッチングできるが、サーバーの都合からか、概ね日本国内のプレイヤー、またはアジア圏のプレイヤーと当たることが多かった。

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 キャンペーンは“ACT”と呼ばれる大枠の章と、各チャプター(正式名称はミッション)に分かれており、4つのACT内に、複数のチャプターが用意されており、ACT内ではチャプターを進めるたびにゲームの進行状況が引き継がれていく。

 『L4D』シリーズはだいたい4~5のチャプターに分かれた複数のキャンペーンが用意されており、だいたい1時間程度で1キャンペーンを終わらせることができた。本作のキャンペーンの区切りであるACTは、ひとつクリアーするだけでも3~4時間は掛かるくらいにとても長い。

 『L4D』的に考えると「今日は4人でこのキャンペーンのクリアーまでやろう」なんてプレイスタイルがあると思うが、『B4B』ではACTクリアーまでとなると、かなりの時間が掛かる点に要注意。チャプターの多さは後述のカードシステムが紐づいているのでわかるのだが、ちょっとプレイするまでのハードルが高いように感じる。

 とはいえ制作側もそこは分かっているようで、ACTごとにシーンの区切りがいくつか付けられている。4チャプター、3チャプター、2チャプター、4チャプターというような感じで分けられているので、「今日はここまで遊ぼう」という指標になるだろう。

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画面下がチャプターの数。いくつかつながっており、ACTとは別に区切られている。

キャンペーンは長編1本

 キャンペーンのステージは、大型の長編ストーリーを4つのACTで描くもので、そのミッションの内容はさまざま。科学的なアイテムを集めたり、誰かを助けにいったり、何かを討伐したりと、リドゥン撲滅のために奮闘するクリーナーたちの活躍が楽しめる。

 とはいえ細かい要素はとくになく、基本は迫りくるリドゥンを倒しながら先へ進めばいいのは『L4D』と同じ。大きな違いは、道中で拾い集めたお金でアイテムなどを購入できたり、落ちている武器によって性能差があること、武器にアタッチメントを取り付けて強化できるといったローグ系の要素がある点だ。

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箱を開けたりして…
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武器やアイテムを集めていく
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ショップ(ベンダー)でアイテムや弾丸などを購入可能

 そのため、細かな探索がゲーム攻略に紐づくようになっている。『L4D』でも探索はあったが、どちらかというとさっさと先へ進んだほうが攻略しやすく、タイムアタック的な側面があった。本作は急いで進むのか、それとも物資を蓄えながらじっくり進むのか、という戦略も取れるようになっている。

 『L4D』にもあったゲームディレクターは健在。これはプレイヤーの進行具合や腕前などを見てAIが判断し、ゲームの展開やアイテムの配置などを“うまいこと楽しめる”ようにしてくれる機能だ。初心者ばかりならばやさしく、上級者の集まりならば容赦なく、という感じ。

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銃は覗き込みが可能

 難易度はビギナー、ベテラン、ナイトメアの3種類。先行体験プレイ時はビギナーはかなりヌルく、退屈とまで思うほどにカンタンだった。製品版ではそこが調整されたようで、それなりの歯応えを感じられる難度となっており、最後まで楽しくプレイできた。難しいというわけではないが、“そこそこ死ぬけどクリアーはできる”くらいの難度。

 本番となるのはベテラン以降の難易度。ビギナーは味方へ誤射(フレンドリーファイア)してもダメージがないが、ベテラン以降はダメージが入るため、ワチャワチャと迫るリドゥンを倒しながらも、味方への誤射に気を付けないといけない。的確な射撃と、味方の邪魔にならない立ち位置が重要になってくるのだ。ナイトメアともなれば、綿密に計画立てて攻略していかないと、クリアーするのはかなり難しい。

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8人のクリーナー

 プレイヤーが操作するのは、8人の個性的なクリーナー。クリーナーは基本性能は全員共通だが、それぞれ異なる特徴的な能力を持ち、かつチーム全体へのボーナス効果も持っている。

 たとえば近接攻撃でスタミナが回復する、近接特化型の“ホリー”や、敵を倒すと弾薬ドロップの可能性があり、さらにチーム全体の弾薬最大量が上がる“ホフマン”など多種多様。基本的には見た目などの好みで選んでいいが、ベテラン以降の攻略については、ある程度役割を決めて立ち回る必要がある。

 知らない人とのマッチング(いわゆる野良)では息を合わせにくいところではあるが、知人どうしの4人プレイでは事前にキャラクターそれぞれの立ち回りを意識すると、グッと攻略しやすくなるだろう。

 なお、ダウンロードコンテンツでクリーナーが追加されることも発表されている。

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カードシステムがおもしろい!

 大きな特徴が、カードシステムを搭載していること。ACT開始前にデッキを編成し、ゲーム中にカードをドローし選択することで、クリーナーたちに特殊能力やステータスを付与できる。

 カードの入手はキャンペーン、または後述する対戦モード“スワームモード”をプレイするともらえる“物資ポイント”を消費する。キャンペーンでは難易度が上がるほどにポイントが手に入るほか、スワームモードは勝敗などでポイントが上下する。

 スターターデッキも用意されており、序盤のカードは普遍的な能力を付与するだけで、さほどゲームには影響しない。収集していくことで強力なカードが得られるようになる。デッキは何かしらに特化したビルドを組むことが可能で、そこがなかなかにおもしろい要素。近接特化型、銃撃特化型、回復特化型などさまざまなデッキが組める。キャラクターの能力との組み合わせも重要だ。

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 また、ステージ中でもカードを得られる場面がある。探索によって拾ったり、購入することが可能。チャプターが進めば進むほどに強力な力を得られるが、敵も強力になっていく。

 なお、ソロキャンペーンとスワームモードは、最初から全カードが開放されている。ソロキャンペーンは物資ポイントが得られない代わりに、全カードをお試しできるという感じ。スワームモードは、デッキでプレイヤーの差が生まれないようになっているわけだ。

対戦モードはミニゲーム的

 スワームモードはクリーナー4人、リドゥン4人の最大8人で対戦するモード。ラウンドごとにクリーナーサイド、リドゥンサイドで交代し、時間が経つごとにエリアが狭くなるフィールドで、リドゥンを倒しながら長い時間生存したチームが勝利となる。

 クリーナーサイドはキャンペーンとさほど変わらず、とにかく生き残ることを目指せばオーケー。リドゥンサイドは、キャンペーンにも登場する各種変異体を操作し、クリーナーを倒すことを目的に立ち回る。

 変異体それぞれに得意な攻撃があり、人間を掴める“クラッシャー”、死亡時に爆発する“エクスプローダー”など、多彩な変異体が用意されている。また、活躍などによりポイントが得られ、各変異体、または全変異体の強化が可能。リドゥンサイドがそれぞれの特性を生かして、敵チームを分断する、孤立したクリーナーを捕縛するなど、さまざまな戦術が楽しめるのが、スワームモードの魅力となっている。

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 なお、『L4D』の対戦モードはキャンペーンを舞台に、ゾンビサイドが邪魔して戦う対戦モードだった。『B4B』における対戦モードのスワームモードは本格的な対戦を楽しむというより、短時間で遊べるちょっとしたミニゲーム感が強まったように思う。

 そのため、対戦モードとしては比較的参加しやすい印象だ。『L4D』シリーズの対戦モードはステージ攻略型だったこともあり、“とにかくスピード重視で進む”、“この場所ではコレ”というような定石が多く存在し、それを知らないプレイヤーは対戦で活躍できずにチームが負ける、というところで敷居がやや高かった。

 もちろんステージ攻略型の対戦モードも『B4B』で遊んでみたいが、本作はカードシステムの存在や探索の重要性が高かったりと、対戦モードとして成り立ちにくい要素を含んでいる。それゆえに、本作はこういった対戦モードになったのだろう。

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ゾンビとワイワイ楽しもう!

 物資ポイントによるカード収集、ゲームディレクターによるゲーム展開の違い、難易度の違いによるやり応えの違いなど、『L4D』シリーズと比べると、よりくり返し遊んで楽しめるようになっている。武器スキン、キャラクターの衣装変更、エンブレムやスプレーなどの収集要素もあるほか、達成するとポイントやアイテムがもらえる実績機能もあり、やり応えはかなり高い。

 ただ、キャンペーンは大きな1本のストーリーであることから、ビギナーをクリアーしてしまったら、そこでゲーム的にやり込む必要があるのかというと、プレイヤーの気持ちによるところ。そこで満足できるほどのボリュームを誇りつつも、ステージ全体のバラエティには欠ける。そこだけは、リプレイ性が下がっているように感じた。なお、ダウンロードコンテンツでステージの追加も予定されている。

 また、日本版は海外版と一部表現が異なり、リドゥンの身体が吹き飛ばなかったりするので、爆発物の爽快感などが薄まっているが、遊んでいてとくに気になったのはそこぐらい。ゴア表現が好きな人には残念な要素ではあるが、ゲームのおもしろさは損なっていないように感じた。

 といった感じで、対戦以外は『L4D』から正当進化したようなゲーム性となっている。『L4D』はうまくプレイヤーを誘導していたが、本作にはそれがなく“どこに行けばいいのか分からない”みたいなシーンが多々あったりはするが、4人で協力し合いながらワイワイ楽しめる要素は健在だ。気になる人は、ぜひ購入してみてほしい。

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