2021年9月24日、スクウェア・エニックスより発表と同時に配信を開始した『アクトレイザー・ルネサンス』。対応ハードはNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)、プレイステーション4(PS4)、iOS、Android、PC(Steam)で、ダウンロード専売だ。

※Steam版の配信日は2021年9月25日。

 本作は1990年に旧エニックスより発売されたスーパーファミコン用ソフト『アクトレイザー』を“再生(ルネサンス)”した、いわばリメイクタイトル。グラフィックを刷新したほか、原作にはないステージや新要素などを盛り込んでいる。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 スクウェア・エニックスは、2021年9月30日から開催される“東京ゲームショウ2021”に先駆けて、メディア向けに“TGS 2021 Online体験会”を実施。その中で『アクトレイザー・ルネサンス』の試遊を行った。本記事では、1時間試遊してのプレイインプレッションをお届けしよう。なお、試遊はプレイステーション4版で行った。あわせて、試遊時に撮影したプレイ動画もお届けする。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

『アクトレイザー』とは?

 『アクトレイザー』は、主人公である神を操作し、魔王サタンを倒すために戦うアクションゲーム。大きな特徴は、アクションパートのほかに、地上の人々たちを導きながら集落の発展を目指すクリエイションモードと呼ばれるシミュレーションパートがあること。

 アクションパートはシンプルながらも骨太な難度を誇り、クリエイションパートは細かな人々の動きが特徴的かつ本作ならではのシステムとなっており、ハマる人が続出。コンポーザー・古代祐三氏による秀逸なサウンドと相まって、いまなお根強い人気を誇るタイトルだ。

 1993年にはクリエイションパートがなくなり、アクションゲームとして特化した続編『アクトレイザー2 沈黙への聖戦』も発売された。それ以降は、移植などはあるものの、シリーズとしては新作が発売されることはなかった。

『アクトレイザー』が再生!

 そんな初代『アクトレイザー』をリメイクしたのが、今回発売された『アクトレイザー・ルネサンス』だ。まず大きく変わったのが、グラフィックを含むビジュアル面。

 主人公である神は、オリジナル版では……なんと形容したらいいのかよくわからないが、まあ端的に言うと、一見は騎士のような、シンプルなデザインだった。本作では白い長髪たなびく美青年として描かれており、より神々しい見た目に変更されている(と言っても、パッと見は騎士感も否めないが)。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 また、神の召使いである天使は、オリジナル版では絵画“システィーナの聖母”にあるような典型的な天使像をおそらくモチーフにしながら、コミカルな見た目をしていた。これが本作では、性別はわからないが非常にキュートな見た目となっており、より愛らしい相棒となった印象を受ける。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 ゲームシステムなどはオリジナル版を踏襲しつつも、基本的にほぼすべての要素がアレンジされており、現代でも遊びやすい『アクトレイザー』となっている。では、その要素を細かく解説していこう。

グラフィックは当時らしさも健在

 アクションパート、クリエイションパートともに2Dグラフィックを採用している。と言ってもドット絵というわけではなく、3Dモデルを2Dに落とし込んだ、いわゆるプリレンダグラフィックとなっている。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 作り直されたグラフィックは、とても綺麗というわけではないが、当時の雰囲気を残しつつも、新しいゲームなのだなということが感じられるちょうどいい塩梅。とくにクリエイションパートは、建物や地上の人々の活動がより細かく描かれており、眺めているだけでもワチャワチャとしていて、なんだか楽しい。

 クリエイションパートの存在や、本作はスマートフォンでも発売されるということ、そして当時の雰囲気を出すために、おそらくプリレンダを採用したのだと推測。ただ、アクションパートのステージや敵はさほど気にならないが、神のグラフィックは解像度がやや低い感じがし、いくぶん最新のゲーム感が薄いように思う。そこはちょっと気になったポイント。

アクションはシンプルかつ進化

 オリジナル版のアクションパートは、ジャンプと剣による通常攻撃、あとは“しゃがみ”や魔法攻撃もあるが、かなりシンプルなものだった。

 本作でもそれらを踏襲している。だが通常攻撃は連続斬りをくり出すコンボ攻撃となり、飛び上がり斬りの対空攻撃“切り上げ”や、空中から真下に急襲する急降下攻撃“切り落とし”といった攻撃アクションが新登場。さらにはバックステップによる回避行動も可能になった。なお、しゃがみ状態は受けるダメージが減る、いわゆる防御となっている。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 オリジナル版をいま遊ぶと、操作に対して動きが硬い印象を受けるが、本作の操作感は非常にスムーズ。スピーディーに敵へ攻撃できるほか、追加アクションによりサクサクと敵を倒していける印象を受けた。魔法攻撃は、序盤なので火の玉を発射する“炎の魔法”しか体験できなかったが、こちらもシンプル。

 ステージ道中にはチェックポイントもあるほか、HP回復手段も豊富にあるし、軽快なアクションも相まり、オリジナル版より難度はかなり下げられた印象だ。もちろんゲームが進めば難度も上がると思うが、後述するクリエイションパートの要素が大きく変わっていることからも、ステージは爽快アクションでクリアーしつつ、じっくりとクリエイションパートを遊ぶというような方向性なのではないだろうかと予測。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

BGMはアレンジ&オリジナルの選択式

 時間内で体験できたのは、最初の地であるフィルモアの大地・ACT1とACT2まで。ステージに挑むときには「デレ~レレ~デレ~レレ~」と、画面が回りながら突入する演出が踏襲されており、懐かしさを感じる要素だった。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 そして『アクトレイザー』を語るうえで欠かせないのが、秀逸なBGMの存在。オリジナル版のコンポーザーを担当した古代祐三氏がBGMはすべてのアレンジを手掛けており、全楽曲が今風のオーケストラチックな豪華なものに仕上がっている。とりわけ『フィルモア』は、いまなお根強い人気を誇る名曲中の名曲だ。

 そんなふうに確かに豪華は豪華なのだが、ゲーム画面は当時の雰囲気を色濃く残していることもあり、個人的には慣れるまでかなり時間が掛かった。これは筆者の思い出補正もあると思うのだが、オリジナル版の秀逸なBGMの印象があまりにも強すぎるせいだろう。かの植松伸夫氏が『アクトレイザー』のBGMを聴き、『ファイナルファンタジーIV』の音を録り直したのはあまりにも有名なお話。もちろん本作で初めて『アクトレイザー』に触れるプレイヤーは、30年越しに楽曲のよさに驚くことだろう。

 たとえ筆者と同じように感じたプレイヤーがいたとしても、そこはご安心を。本作はスーパーファミコンの音源版BGMもオプションから選択が可能となっている。好みによって選んで遊ぶといいだろう。ちなみに、完全新規楽曲も15曲あるとのことだ。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

追加のストーリー要素

 オリジナル版にもある程度ストーリーが用意されていたが、本作ではクリエイションパートに大きくストーリーが追加されており、会話パートもより増えた。

 地上の民とのやり取りはもちろんだが、本作では新要素として“英雄”が登場するようになった。英雄は仲間であり、固有のレベルを持つ存在。今回の体験ではひとりの英雄のみに出会ったが、おそらくストーリーが進むにつれ、さまざまな英雄たちに出会えることだろう。彼らが仲間としてどう活躍するのかは後述する。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

クリエイションは基本そのまま

 クリエイションパートは地上の人々に集落を発展させる方角を示し、土地を開拓していくのはオリジナル版と同じ。雷を落とすなど天変地異を引き起こす“奇跡”を駆使し、地上の人々を助けてあげる要素もそのまま。また、天使を操作して現れた魔物を退治するのもいっしょだ。

 このように遊び心地はオリジナル版とほぼほぼ変わらないので、どんどんと集落が発展していく楽しさは健在だ。そして先述した通り、オリジナル版よりもさらに色濃く人々の生活などが描かれているため、発展していく姿を見るのがより楽しかった。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
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『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 また、開拓にはクエストも用意されていた。地上の人々の願いを叶えていくことで、さまざまな恩恵が受けられるのだ。クエストをクリアーすると、アイテムのほか、“信仰度”という値が上昇していったが、それがどんな要素に影響していくのかまでは体験できなかった。

 なお魔物の巣は、オリジナル版だと地上の人々が封印してくれていたが、本作では人々を巣まで導いたのち、新規のアクションステージが始まる仕様に。とはいえ長いステージがあるわけではなく、ちょっとした中ボスを倒す程度のパートになっている。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

新要素のRTS要素

 クリエイションパートで大きく変わったのが、リアルタイムストラテジー(RTS)要素が追加されたこと(正式な名称は“魔群の侵攻”)。一部のクエストを受注すると始めることができ、マップ画面のいたるところから魔物が出現。魔物の軍勢から神殿を守ればクリアーとなる、いわばタワーディフェンス的な要素だ。

 防衛には、建設物“工場”から出現する資材を集め、建設物“砦”などを事前に設置する必要がある。魔物たちは集落に敷かれた道を歩いて進んでくるため、砦をその道の上に置いておくのだ。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場
『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 砦はRTSパート開始前にしか設けられないが、RTSパート中でも置けるのが、敵の進行ルートを阻む“防護柵”。この設置にも、生産された防護柵を拾っておく必要がある。思わぬところに魔物が進軍したら、すかさず防護柵を設けよう。

 また、このパート中は、前述した英雄だけが自由に動くことができ、移動先の指示を出すとその地点を守ってくれる。交戦でゲージが溜まると必殺技のようなものもくり出してくれるほか、事前に砦を置けていないルートに敵が進行することもあり、自由に動ける存在としてかなり頼もしい。

 天使は残念ながら戦闘には加われないが、代わりに神の奇跡は発動可能。これはたとえば雷を落とし、一定範囲に大ダメージを与えるというようなものだ。

 これまではただ集落を発展させるだけだったクリエイションパートにこのような防衛要素が加わり、これがまた適度に難しくおもしろい。魔物と地上の人々の戦いのワチャワチャ感も、天空から見下ろしていて楽しい要素だった。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

プレイ動画をチェック!

 といった感じで『アクトレイザー・ルネサンス』は、基本的には『アクトレイザー』のおもしろさをそのままに、一部を現代的に昇華させたようなリメイク作品となっていた。

 今回1時間のみの体験だったこともあり、まだまだ把握できていない要素はあると思うので、いまから筆者自身も製品版を遊ぶのが楽しみだ。当時からのファンも、これから初めて遊ぶ人にも、オススメの1本となっているので、ぜひダウンロードを。

 最後に、ここまで記事を読んだ方は、本記事と併せて前述のプレイ動画をチェックしてみてほしい。

『アクトレイザー・ルネサンス』プレイ動画&レビュー。オリジナル版の要素はそのままに、システムやプレイフィールを今風にアレンジ。RTS要素などの新要素も登場

 各プラットフォームのストアは以下となっている。