海外ゲームスタジオのFrogwaresが2021年の発売を予定している、推理アドベンチャーゲーム『Sherlock Holmes Chapter One』。そのプレビュー版デモを遊んできたので、その内容をご紹介しよう。

 なお本作の対応プラットフォームはプレイステーション5/プレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/PCで、今回のデモは日本語対応のPC版で行った。

若きシャーロックが母の死の謎を追い、地中海の島へと向かう

 本作は、『シャーロック・ホームズ:罪と罰』や『シャーロック・ホームズ -悪魔の娘-』など、コナン・ドイルが生み出した名探偵シャーロック・ホームズを主人公とするアドベンチャーゲームを手掛けてきたFrogwaresの最新作。

 今回は“第1章”(Chapter One)という副題の通り、若きシャーロックが母の死の真相を求めて地中海の島“コルドナ”で冒険を繰り広げるという、原点を描く前日譚的な作品となっている。

Sherlock Holmes Chapter One
Sherlock Holmes Chapter One

相棒は“もうひとりのジョン”

 出会った時期と合わないため、今作ではおなじみの相棒ジョン・ワトソンは登場しない。その代わりにホームズを昔から知るという旧友の“ジョン”が冒険に同行してくれる。

Sherlock Holmes Chapter One

 ホームズとワトソンと言えば「破天荒な天才ホームズに振り回される常識人のワトソン」的な描き方が定番だが、ホームズのことを「シェリー」と呼ぶ今作のジョンはホームズに負けず劣らずのフリーダムな人物。自らホームズに謎解き勝負を持ちかけたかと思えば、神出鬼没で(※)しかもカットシーンのBGMを勝手に弾いていたりする。この奇妙な二人のやり取りは本作の個人的に好きな部分のひとつだ。

(※振り向くといつの間にか近くに移動しているなど、旧作のワトソンの出現パターンがなかなかファンキーなことになっていたことを前提にしたギャグ)

Sherlock Holmes Chapter One

冒険の舞台はオープンワールドに

 またFrogwaresの旧作では事件に関係ある場所だけが登場し、その間をマップから指定して移動するという形になっていたが、今作ではフィールドが一気にオープンワールド型に(ただしFrogwares自体はアクションアドベンチャー『The Sinking City』でオープンワールドゲームの開発経験がある)。

 今回は最序盤を扱ったデモだったため、オープンワールドであることを活かした展開や要素などは体験できなかったのだが、サイズ的には結構大きい感じ。ちなみにファストトラベル機能もあり、歩いて移動して各所の馬車を発見するとファストトラベルがアンロックされ、以降はそのエリアに一気に移動できるという形になっていた。

Sherlock Holmes Chapter One
Sherlock Holmes Chapter One

変装要素が幅広く

 オープンワールド化の影響を受けていそうな変装要素の強化についてもここで触れておきたい。

 変装は旧作にもあった要素だが、ざっと触った感じではかなりバリエーションが増えて本格的な要素になっている。コルドナは階級意識が強く、適した服装でないと入れないエリアなどがあるという。

 変装には服・帽子・メガネ・化粧の4つの要素があり、探索やミッションを通じて入手したり、街中のショップから購入することでパーツを増やしていく。

Sherlock Holmes Chapter One
着替えは外出先で可能。いちいち拠点に戻ったりしなくていい。右側に変装の属性メーターがあるのも注目。これはパーツごとに変動する。
Sherlock Holmes Chapter One
街中のショップでは服の購入だけでなくレンタルも可能。

捜査&推理要素は安定のFrogwares式

 さて肝心の事件捜査と推理パートは、シリーズを通じて築き上げてきたシステムを土台にしつつ、そこからパワーアップさせたという印象。

 犯人告発までの流れは、まずは聞き込みや探索を通じて手掛かりを増やしていき、情報が集まってきたら手掛かりを組み合わせて仮説を導き出し、さらにそれを“記憶の宮殿”(マインドパレス)で組み合わせることで、事件の全体像を描き出す……というもの。

Sherlock Holmes Chapter One
卓越した観察眼で情報を見つけ出していく、人物のプロファイリングや現場検証パートも引き続き登場。
Sherlock Holmes Chapter One
手掛かりと手掛かりを組み合わせてよりもっともらしい事実を導き出し、さらにそれを組み合わせることで事件の全体像に迫っていく。しかし推理は推理にすぎないので、解釈を選ばなければいけない場合も。

 そしてシリーズ近作のように、正義の裁きを警察の手に委ねるだけでなく、情けをかけて見逃すといった選択も可能(その後が街中の新聞売りから買える新聞で語られたりもする)。また間違った人間を告発してもゲームはそのまま進行する。

現場の再現イメージや盗み聞きといった要素も

 とまぁ捜査の基本は『シャーロック・ホームズ:罪と罰』や『シャーロック・ホームズ -悪魔の娘-』と変わらないのだが、情報収集の部分で新たな仕組みがいくつか入っている。視覚的に凝っていたりしてこれが結構楽しい。

  • 気になる証拠・トピックのピン留め
    • より詳しく知りたい証拠やトピックを指定して手帳内にピン留めすることで、それについて周囲の人に聞いたり“集中”(後述)を使えるようになる
    • 例:ヒールが取れたメイド用の靴を発見したので、その情報をピン留めして他のメイドに何か知っていないか聞く
    • 間違ったトピックをピン留めしていると“集中”で出てきて欲しい情報が出てこなかったりするので、セレクトがかなり重要
  • 必要な情報にフォーカスする“集中”
    • 主にピン留めした情報に関連することをフォーカスし、再現イメージなどを導き出す
    • 例:母の墓にさっきまで誰かがいたらしい痕跡をピン留めし、足跡をクローズアップしたり、自転車のわだちから移動した軌跡をイメージする
  • 盗み聞き
    • 噂話で挙がるトピックから関連がありそうなものを抜き出し、成功すると新たな情報が得られる
    • サイドミッションに発展することもあるとか
    • 例:メイドの噂話から事件関係者の素性に繋がりそうな情報だけを抜き出す
  • 現場の再現
    • ホームズが瞑想に入り、それまでに集めた手掛かりや証言を総合し、実際にどういう状況が起こっていたのか再現する
    • ジョンを操作して、各スポットにいた人や状況を入れ替えて正解に導く
Sherlock Holmes Chapter One
「中庭にヒールが取れた靴を引きずった誰かがいたらしい」という情報をピン留めして、痕跡を辿っていく。
Sherlock Holmes Chapter One
メイドの噂話から情報収集。盗み聞きシーン自体は過去にもあったが、作りが変わっている。
Sherlock Holmes Chapter One
現場再現シーン。この配置でいいんだっけ?
Sherlock Holmes Chapter One
ちなみに毎回ある化学分析は今回こんな感じ。

今回まだ明かされたなかった要素も

 というわけで本作、まだそのさわりの部分を体験したに過ぎないが、遊んだ限りでは定評のあるシリーズを着実に発展させている模様。

 なお今回明かされなかった要素には、戦闘要素や(これも集中を使って弱点を狙い、たじろいだ隙に逮捕するといったことができるらしい)、ハブとして機能するホームズ邸(装飾カスタマイズも可能)、そしてコルドナでのトレジャーハントや収集系のサイドアクティビティといったものがあり、全部チェックするとプレイ時間で40時間に匹敵するボリュームがあるという。

 軽妙な皮肉を飛ばし合うシナリオや、遊んだ範囲の捜査&推理パートは結構いい感じだったので、ぜひオープンワールドならではのゲームプレイの部分もきっちり仕上げて欲しいところだ。

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Sherlock Holmes Chapter One