マイクロソフトが、Xbox Series X世代の新型ゲーム機についてスペックや一部仕様などの情報を公開した。その中で、Xbox Oneとの互換性に関連して“スマートデリバリー”と呼ばれる機能を発表。この機能に対応したソフトは、Xbox Oneで購入していれば改めて購入することなくXbox Series X版を入手して遊べるという。

Xbox Series Xのグラフィック性能は12TFLOPS。120FPS動作やレイトレにも対応

 まずは改めて公開されたマシンスペックについて触れておこう。以前から触れられてきた機能についても、詳細や具体例などが含まれている。

  • AMDによるZen 2アーキテクチャとRDNA 2アーキテクチャによる独自設計のプロセッサーを採用。
    • 処理能力はXbox Oneの4倍、グラフィック性能は“Xbox One Xの約2倍、Xbox Oneの約8倍”にあたる12テラフロップスの性能。
    • 編注:Zen 2アーキテクチャはAMDのPC用プロセッサーであるRyzen 3000/Threadripper 3000シリーズで採用。RDNA 2アーキテクチャは2020年登場予定とされている。
  • ヴァリアブル・レート・シェーディング(VRS)と呼ばれる機能により、マシン性能を効率的に使った描画が可能
    • 画面上の全ピクセルに対して均等に処理を行っていくのではなく、特定のゲームキャラや重要なオブジェクトまわりのエフェクトなどを優先して処理することで、安定したフレームレートと高い解像度を維持できる
  • レイトレーシング対応
    • ゲームシーン内の光線の伝播を物理的にシミュレートして写真的な陰影や反射の描写を可能にするDirectXのレイトレーシング機能に対応可能。
  • ストレージには大容量なデータも高速にローディング可能なSSDを採用
  • 複数のゲームをローディングし直さなくても途中から再開できるクイックレジューム機能を搭載
  • ワイヤレス接続のコントローラーの入力遅延を低減させるダイナミック・レイテンシー・インプット(DLI)機能を搭載
  • HDMI 2.1対応
    • オート・ローレイテンシー・モード(ALLM)により、Xbox OneやXbox Series Xが接続されたディスプレイでもっとも表示遅延が少ないモードを自動的に選択する
    • ヴァリアブル・リフレッシュレート(VRR)により、ディスプレイのリフレッシュレートとゲームのフレームレートを同期させ、ティアリング(処理が追いつかない事により描画がずれる現象)などを防ぐ
  • 120fps対応
    • 通常の60fps(秒間60フレームの描画)動作に加えて、ハイペースなアクションゲームの場合など、開発者が対応したい場合は120fps動作も可能

“スマートデリバリー”機能に『サイバーパンク2077』がいち早く対応表明

 ゲームハードの切り替わり時期に地味に困るのが、互換性と「現世代機で買うか、次世代機まで待つか」といった問題だ。まず互換性については、Xbox Series X世代ではXbox One世代のゲームに対応し、より安定したフレームレートや短いロード時間で楽しめるという。

 またこれには、Xbox 360や初代Xboxのゲームの中でXbox Oneでの互換に対応しているものも含まれるとしており、タイトルによっては初代XboxからXbox Series X世代まで4世代に対応することになる。

 ここに関連して出てくるのが、冒頭で触れたスマートデリバリー機能。この機能の対応タイトルは「まずXbox One版を買って遊んでから、Xbox Series Xを買った際にそのままXbox Series X版を入手して遊ぶ」という事が可能になる。

 『Halo Infinite』をはじめとする自社のXbox Game Studiosの全エクスクルーシブタイトルが対応予定で、サードパーティーのパブリッシャーやデベロッパーは選択的に採用可能。アクションRPG『サイバーパンク2077』の発売を今年9月に予定しているCD Projekt Redがいち早く対応表明を行っている。

 マイクロソフトは世代間で分断されないPCゲームライクな展開をこれまでにも行ってきており、実際はこの機能もXbox 360とXbox Oneに両対応したソフトでもすでに実質的に実現していることではあるが、ハード発売前からこういったオプションが提供されるのはありがたいところ。

 なお海外メディアのPolygonがマイクロソフトに問い合わせたところによると、スマートデリバリーはパッケージ版にも適用可能とされている。