大人気RPG『ペルソナ5』の“その後”を描く、完全新作のアクションRPG『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』(以下、『P5S』)。当記事では、ひと足先に本作をエンディングまで遊ばせていただいた編集者による、ネタバレなしのプレイレビューをお届けする。

アクション“PRG”を謳うワケ

 ペルソナ使いの皆さま、こんにちは。『ペルソナ5』ではフタバ推しのファミ通編集者、川島KGです。最初に申し上げておくと、自分はこれまで、いわゆる無双系のアクションゲームを遊んだことがほとんどなかった。大学時代、サークルの先輩が『真・三國無双』シリーズをめちゃくちゃ遊んでいるのを見て、「アタマ空っぽにして敵をなぎ倒しまくるのが気持ちよさそうだなぁ」とは思いつつ、重厚な物語を楽しみたい派だった自分はもっぱらRPGばかり摂取していたのだ。

 そのころから『ペルソナ』シリーズは好きだったので、それが今回、ほかならぬω-Forceとの共同開発で“ペルソナ無双”(最初はそう思っていたので敢えてこう呼ぶ)が生まれてしまうとあっては、自分もついにこのジャンルに挑む日が来たか……という期待と、RPG派のプレイヤーが遊ぶと果たしてどう感じるだろうか……という冷静な視点が入り混じったような心地がした。きっと、そういう往年のシリーズファンも少なくないだろう。

 しかし、実際に遊び始めると、『ペルソナ5』(以下、『P5』)さながらのボリュームとクオリティーで描かれていくイベントシーンの連続に、まず面食らう。キャラクターや街などの3Dグラフィックはコーエーテクモゲームスのゲームエンジンで作られているようなので、今回ならではの目新しさはあるが、怪盗団メンバーの細かな仕草や言い回し、掛け合いのテンポとおもしろさ、表情とボイスの豊かさなどなどが、『P5』のそれと遜色なし! っていうか、もうこれRPGでよくない? 無双ゲーかと思ったら序盤からイベントやムービーがわんさかですよ! ……あ、だからアクション“RPG”を謳っているのか。

『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』ネタバレなしレビュー。思っていたよりもずっと『ペルソナ5』だった! エンディングまで遊んだ編集者が語る_01
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『P5』のエンディングで帰郷した主人公が、夏休みを利用して久しぶりに仲間と再会。俺のほうこそ会いたかったぞぉ双葉ぁあああーーーっ!!(心の声)
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本作で新登場するAI少女、ソフィア。今回挑む“ジェイル”と呼ばれる新たな異世界で出会い、現実世界では主人公のスマホに居候する。この子もまた可愛くてな……!
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怪盗団に目をつける公安警察官、長谷川善吉もイイ味出してます。ソフィアと同様、出会った当初の印象は、物語を進める中で変わっていくはず。
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ちなみに本作の収録台本がこちら。こんなにある!

 イベントシーンのほか、街並の再現も『P5』に負けず劣らずの力の入りよう。北は札幌、南は沖縄まで、日本各地で起きている新たな事件への関与を疑われた怪盗団は、その謎を追うべく旅に出るのだが、『P5』でも歩いた四軒茶屋や渋谷に加え、旅で訪れる各地の雰囲気もバッチリ再現。

 『P5』でも東京近郊のいろんなところに出掛けたが、『P5S』も行く先々で仲間との会話やリクエスト(いわゆるクエスト的なもの)が楽しめたり、ご当地ならではの限定アイテムや掘り出し物を見つけられたりする。ご当地にお住まいのペルソナ使いなら「怪盗団が自分の地元にいるぅ~!」と心が躍るであろうし、いわゆる聖地巡礼をしたくなる系のファンは今回もそれを実行するつもりなら、まさに日本を縦断することになるので、かなり大変そうだ(笑)。

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物語の進行に応じて、各地のあちこちで仲間と話せる。そうした中で、メンバーの思いに触れられたり、新たなリクエストの発生に繋がったりもする。
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お祭りといえば浴衣! 砂浜といえば水着! 眼福ゆえにスクショが捗る。

 そんな各地が異世界と化す“ジェイル”での探索も、『P5』とはまた違った高低差のある地形やオブジェクト、ユニークなギミックなどが多彩で、それらをバトルで有効活用できるのが楽しい。強敵相手に苦戦することがあっても、ボタンひとつで実行できる“ファントムムーヴ”(一瞬で物陰に隠れたり、高低差のある場所にも素早く移動するといった華麗なアクション)で翻弄しながら攻撃すれば、意外とスムーズに倒せたりする。まさしく怪盗という感じのスタイリッシュな立ち回り!

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オブジェクトを利用して攻撃したり、奇襲を仕掛けたり。(筆者のように)無双系のアクションゲームを遊んだことがなくても、すぐに慣れて爽快感を味わえるはずだ。

 ペルソナの付け替え(主人公限定)やスキルの発動、1 MORE、総攻撃といった、『ペルソナ』シリーズでおなじみのテクニックも、本作のアクションバトルにテンポよく組み込まれており、ファンが違和感を覚えるようなことはないだろう。むしろ、RPG作品にも組み込める長所があればぜひ逆輸入してほしいと思えるくらいの遊びやすさだ。

 また、敵の弱点と耐性(使用スキルを選ぶ画面ですぐにわかる)を把握しながら戦うことが超重要だったり、むやみにスキルを使いまくるとすぐさまSP不足に陥ったりするところまで、『P5』らしさをしっかり再現(笑)。スキルをガンガン使いたい人は、SPを回復するアイテムや料理、SPの最大値を引き上げるなどの効果がある“BAND”(絆の力とも言うべき本作の独自システム)も駆使するといい。

 なお、ジェイル内では十字キーで瞬時に操作キャラクターの変更(バトンタッチ)ができるので、主人公以外のメンバーを操作して探索やバトルができるのも初体験で嬉しい。フタバ推しの自分としては、後方支援特化タイプの彼女を守りながら戦う“ハッキングバトル”で手加減できるはずもなく、襲いくる敵どもにスキルをガンガンお見舞いしてやった。そういうことをしているからSPがすぐ尽きるのだ。

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物語の進行や敵撃破などで得られるポイントを自由に割り振り、さまざまな恩恵を得られる“BAND”システム。
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各キャラクターを操作して使えば使うほど、強力なアクションが続々と解禁されていく“マスターアーツ”。
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主人公以外の怪盗団メンバーを操作すると、いつもは「自分=主人公」であるジョーカーを客観的に見ながら共闘できる。本作ならではの新鮮なプレイ感覚!

 ……というわけで、『P5』の正統なる“その後”を描く作品として、思っていた以上にしっかりと『P5』らしさを保ちつつ、無双系ならではの新たな演出と爽快感がてんこ盛りの本作。ペルソナファンなら遊ばずにおくのは勿体ないので、ぜひ日本各地を巡る旅へと臨んでみてほしい。

 個人的な感想をもうひとつ言わせていただくと、仲間の誰かひとりを誘って、ふたりきりの時間を過ごせるイベントがあったのもグッジョブでしたねぇ。『P5』で“特別な関係”になった相手がいるなら、迷わず誘ってあげよう!(そういう相手が複数いるなら大いに迷え!)

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