Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)版の『実況パワフルプロ野球』(2019年6月27日発売)とプレイステーション Vitaやプレイステーション4で発売中の『実況パワフルプロ野球2018』との大きな違いは、4人までの協力・対戦プレイや“トレジャー”、“ホームランアタック”という独自のモードだ。今回は、本作の目玉となる、多人数プレイと新しい育成モードであるトレジャーのレビューをお届けする。

Switch版『パワプロ』レビュー。思わず声が出る多人数プレイと新モード“トレジャー”を体験! _08
Switch版『パワプロ』レビュー。思わず声が出る多人数プレイと新モード“トレジャー”を体験! _01
飛距離でスコアを競う新モード“ホームランアタック”同モード内の“ホームランバトル”では、相手のジャマもできる。
おなじみ、サクセスやマイライフのモードも。サクセスは、『パワプロ9』のパワフル高校とあかつき大附属のシナリオのリメイクとなる。

シリーズ初の(ちゃんとした)多人数協力プレイ

 これまでのシリーズ作品では、複数人プレイといえば、1対1の対戦や、守備も打撃も交互に操作するタイプの協力プレイだった。しかし、本作の多人数プレイでは、対戦はもちろん、守備や打撃を分担し、協力して遊ぶことも可能。『パワプロ』と言えば、ひとりプレイや1体1での対戦というイメージがあるが、本作の多人数協力プレイでは、ひと味もふた味も違った感覚が味わえる!

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担当者が語る:多人数プレイはカオスっぷりが楽しい!

 というわけで、まずはこれまでの『パワプロ』とは大きく違う多人数協力プレイを体験。打撃は1プレイヤーから、順番に担当。守備は、各守備位置をどのプレイヤーが担当するのか、任意で決められます。1プレイヤーが内野全部、2プレイヤーが外野全部というように、キッチリ分けることもできますが、あえてバラバラに担当したほうが「俺、どこ守ってるんだっけ?」という感じになっておもしろいです。

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協力プレイの場合、できるだけ守備位置がぐちゃくちゃになるように分担すると楽しい。

 実際に打球が飛んできたら、いちばん近い人のコントローラが振動してわかるようになっていますが、3人、4人で守備位置を分けてプレイしていると、なかなかカオスな状況となり、ほかのプレイヤーの担当の守備位置に飛んだときも、思わず操作していたり……。さらに、球種とコースがキャッチャー担当、投げるのがピッチャー担当というようにバッテリー間の操作も分担できます。もちろんコレも分割操作がオススメ。ひとりでプレイするときは何気なくできるプレイでも、協力プレイでは勝手が違って、思い通りにはいかないことが多いんですよね。これがおもしろい!

 じつのところ、プレイする前までは、声を出して楽しそうにプレイしている本作のPVを観て、「そこまで盛り上がるかあ?」と半信半疑でしたが、いざ実際にやってみると、出ちゃいました、声。編集部のメンバー(全員男性)でプレイしていたので、けっしてPVのように爽やかではなく、悲鳴あり歓声あり、そして罵倒あり……という感じでしたが(笑)。

 で、この多人数プレイですが、対戦モードだけでなく、すべてのモードで遊べます。サクセスやマイライフ、ペナントなどは試合中の操作だけですが、本作オリジナルのトレジャーやホームランアタックでは、複数人プレイならではの要素も追加あったり。中でも、個人的に協力プレイがおもしろいと感じたのはトレジャーですね。モード自体の内容は下で詳しく紹介しますが、「ここで打てば!」など、みんなの期待を背負う場面での緊張感が楽しい! どのモードでも同じような状況は訪れますが、トレジャーの場合は、アイテム入手に直結してくるので、より周囲からのプレッシャーがキツくなる。期待に応えればヒーローになれるけど、失敗すれば罵倒(ここは参加メンバー次第ですが)もやむなしという、ほかのモードよりも本気の協力プレイが味わえると思います(笑)。

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トレジャーでは、協力プレイ時に専用のミッションが発生することも。アイテムが懸かっているので、否応なしに盛り上がります。

試合でコツコツ選手育成を行う新モード“トレジャー”

 スイッチ版オリジナルのモードのひとつ“トレジャー”は、試合で選手を育成するというもの。イベント込みの育成となるサクセスとは違い、ひたすら試合&強化していく感じ。試合後に、“トレジャーボール”というボール型の宝箱を開け、能力を伸ばす石や装備などのアイテムを入手し、それらを使って各選手の能力をアップさせていく。くり返しが前提となるモードになるので、まずはプレイのサイクルをご説明。

1:まずは大会に参加!

 大会のグレードは、シルバーカップ、ゴールドカップ、ドリームカップの3種類。下位グレードで優勝すると、ひとつ上位のグレードの大会に挑戦可能になる。上位グレードの大会のほうが質のいいアイテムが手に入る可能性は高いが、当然対戦相手も強くなる。試合に負けた場合は、ノーマルのトレジャーボール(白)が1個しか手に入らないので、ある程度下位グレードでチーム力を上げてから、上位グレードの大会に挑むのがオススメ。

2:試合をプレイ

 試合は、ピンチとチャンスを操作するタイプで、ほかのモードのダイジェスト設定とほぼ同じ。だいたい1試合が5分未満で終了する。試合に勝てば、勝利に対する報酬とミッションの達成報酬の数だけトレジャーボールがもらえる。なお、試合全部を操作するわけではないため、プレイヤーの操作以外の部分での失点も起こりうる。自分のチームと比べて、ランクやポイントがかなり高いチームに挑む場合は、そういった失点の危険もより大きくなる。

3:試合後のお楽しみ

 試合後は、手に入れたトレジャーボールをオープン。持っているカギのぶんだけ、トレジャーボールを開けられる。ちなみに、開けなかったトレジャーボールは諦めるしかないが、カギはつぎの試合に持ち越すことも可能だ。基本的に、金や銀などのいい色のトレジャーボールほど、いいアイテムが入っている可能性が高い。ただし、確率は低いものの、白いトレジャーボールからいいアイテムが出る場合もあるので、淡い期待は持ち続けよう。

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シルバーカップは3試合、ゴールドカップは4試合、ドリームカップは5試合勝てば優勝。

4:選手を強化

 手に入れたアイテムで選手を強化。石での能力アップは、選手によって回数の上限が決まっており、使用した石はなくなってしまうので、とくに質がいい石を手に入れた場合は、どの選手に与えるのか、よく考えて使用したい。装備に関しては、付け換えが可能なので、どんどん持たせておき、よりいいものが手に入ったら交換していくといい。選手の強化が済んだら、つぎの試合がある場合は2へ。優勝の場合は1へ。

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試合中に発生するミッションを達成できれば、報酬として追加のトレジャーボールが得られる。

担当者が語る:RPGにも似たトレジャーでの育成のおもしろさ

 とくにイベントはなく、試合を重ねるタイプのサクセスのよう。試合をこなして宝箱を開けていくシンプルな作り。だけど、宝箱を開けるときのワクワク感はかなりのもので、クセになるんですよね。まあ、最初からスゴい効果のアイテムを手に入れるのはかなり難しいので、一足飛びに強い選手を作れるという感じではなく、まずは試合をくり返して、地道にチーム力を上げていく感じですね。

 ただ、試合をして強化するサイクル自体は短時間で終わるので、少しの時間でもキリのいいところまで進められるというのは大きな魅力。まあ、1プレイはサクサクでも、くり返しくり返しで気がついたら数時間……という危険はありますけど(笑)。

 たとえて言うなら、RPGでダンジョンから帰ってきて、宝物を鑑定して、これまでソード+1だったのにソード+2を発見した、みたいな。自分のレベル(チーム力)を上げつつ、いいアイテムを集めてちまちま強くなっていく。ハック&スラッシュのRPGのような楽しさがあります。

 サクセスやマイライフなどでも、クリアー報酬などでトレジャーのアイテムがもらえたりするので、ほかの育成モードを中心に遊ぶという人でも、ぜひじわじわ育てる楽しさを味わって欲しいです!

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能力アップに使うアイテム(石)は、選手ごとに使用できる回数の上限が決まっている。
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アイテムのランクや効果は、トレジャーボールを開けてみないとわからない。

まとめ:スイッチ版『パワプロ』の守備範囲はゴールドグラブ級! 

 多人数協力プレイも新モードのトレジャーも、これまでのシリーズにはなかった味付けで、新しい魅力が詰まっています。多人数でもひとりでも、初心者でも経験者でも、サクサク派でもじっくり派でもオーケー。スイッチ版『パワプロ』は、あらゆるケースに対応できる、守備範囲の広いタイトルでした。

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