2019年3月14日に日本生命浜松町クレアタワー内の浜松町コンベンションホール・メインホールAにて、“妖怪ウォッチ戦略発表会”が開催された。レベルファイブ代表取締役社長/CEO日野晃博社長から、2019年以降の『妖怪ウォッチ』シリーズの3つの大きな展開についてのプレゼンテーションが行われた。バンダイの川口勝社長も登壇してのスペシャルトークコーナーも設けられ、新たなクロスメディア展開の展望が語られることに。

『妖怪ウォッチ』新展開! 年末映画は新学園モノ、新アニメはケータが主人公の原点回帰。新ブランド“妖怪ウォッチJam”など3要素に迫る“妖怪ウォッチ戦略発表会”リポート_06

アニメに新展開! ケータやジバニャン、ウィスパーにコマさんたちが帰ってくる

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“!”の部分には、さまざまな驚きを詰め込んでいるというテーマが込められている。

 国民的な大ヒットを記録した『妖怪ウォッチ』シリーズの人気について、日野氏は最近は定番になって若干落ち着いていると語った。

 その理由として、これまではレベルファイブが発売するゲームソフトと、アニメ、玩具、そして映画と連動するクロスメディア展開で大きなムーブメントを毎年起こしてきたが、2018年はゲームのプラットフォームがニンテンドー3DSからNintendo Switchへと移行したことで、ゲーム制作に時間がかかってしまい、同時期にリリースできなかったことが、さらなるムーブメントを起こせていない状況を生んでいると分析。

 だが、いよいよ2019年には『妖怪ウォッチ』シリーズの最新作がNintendo Switch用ソフトとして大きな進化を遂げて発売を迎えるため、そこに合わせて、社を挙げての大規模なクロスメディア連動を予定しているという。この展開について、今回の戦略発表会では3つの要素にスポットを当てて紹介されていった。

 まずひとつ目の新展開は、クロスメディアの大きな柱のひとつでもあるアニメについて。現在放送中の『妖怪ウォッチ シャドウサイド』の物語が大団円を迎えた後、新たに2019年4月9日より、『妖怪ウォッチ!』として生まれ変わった内容のアニメ展開がテレビ東京系列で放送開始される。

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 未来を舞台に、ナツメやトウマ、アキノリたちの活躍を描く『妖怪ウォッチ シャドウサイド』から一転、2019年新シリーズとなる『妖怪ウォッチ!』。会場では、その最新映像が世界最速で公開された。

 残念ながら映像はお伝えできないが、その内容は、以前の主人公だったケータや、おなじみジバニャンにウィスパー、コマさんといった人気妖怪たちによるバラエティー色の強いコメディータッチの物語になっていた。ふつうの毎日にうんざりするケータの前に、久しぶりに帰ってきたジバニャンとウィスパーが、「1年間の修行の成果を見せるニャン!」と気合を入れつつもしょうもない(いい意味で)脱力系のギャグをかますといった、いかにも『妖怪ウォッチ』的な展開が見て取れるもので、今回はアニメの第1シーズンのように、30分の中にいろいろなコーナーや物語をオムニバスで描く内容になり、そのすべてが新しいが用意されているという。

 日野社長からは「ギリギリアウトな内容です」と紹介されたのは、ヅラのおっさんたちの物語、“おっさんヅラ部”や、“Doctor-F”、“ニャーキング・デッド”に“日本全国コマみ探しの旅”といった、どこかで見たようなパロディーに命を懸ける『妖怪ウォッチ』らしい新コーナーの数々。このほかにも、アイドル好きのジバニャンによるアイドルコーナーや、“妖怪三国志”の新コーナーなどもあるようだ。

 また、注目は映像の中で新たに重要アイテムとして、“妖怪ウォッチエルダ”と“妖怪アーク”が登場していた点。詳細は不明だが、カギのような形状の妖怪アークを妖怪ウォッチエルダに挿して回すことで、“ワンチャンサイド”と呼ばれる妖怪の新たな一面を引き出せる……といった雰囲気の要素もあるようだ。アニメと玩具の連動も期待がかかるところ。

ゲーム最新作!『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』

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 ふたつ目の新展開として公開されたのは、ゲーム本編のナンバリング最新作の最新情報。これまで発表されていたゲームタイトルとロゴデザインを一新し、『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』として新たなサブタイトルを冠したものが、最新映像とともにお披露目された。日野氏は、Nintendo Switch用のソフトとして開発された本作は、全編が3Dになり、これまでのシリーズ作品から大幅にパワーアップを遂げた作品になっていると自信の程をにじませた。

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 “ぼくらは同じ空を見上げている”という、シリーズ過去作とは一線を画すサブタイトルについて日野氏は、初めてフル3Dになった表現によって、これまでは描かれなかった“空”の表現が可能となったことを示したと話した。ゲーム中で見上げることができるようになった空の表現がプレイヤーに空間と世界を感じさせ、まるでアニメで見た世界に入り込んだかのような感覚が得られる作品に仕上がっているという。この体験は、異なるメディアで同じ世界観を体験することで世界に深く没入するクロスメディア展開に欠かせない要素だけに、期待がかかる。ちなみに本作は、アニメで紹介された妖怪ウォッチエルダや妖怪アークの玩具とも完全連動するという。

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 また、本作は現代を舞台とした“ケータの世界”、未来を舞台とした“ナツメの世界”、過去が舞台となる“シンの世界”、そしてシリーズを通じて登場してきた妖怪の世界“妖魔界”という4つの世界で冒険がくり広げられる。ぼくらは同じ空を見上げている、というサブタイトルには、“時空を超えてともに冒険しているともだち”、というテーマも込められているそうだ。

 ちなみに、今回のサブタイトルをつけるにあたって日野氏は、かつてレベルファイブが開発を担当した『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』にも同じくサブタイトルに“空”という名が冠されたことを挙げ、当時初めてシリーズ作品を3Dで表現して、『ドラゴンクエスト』シリーズの世界で空を自由に見上げられる作品制作に関わったことを思い出したと語った。

 並々ならぬ思いを込めて開発されている『妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている』は、Nintendo Switchで2019年6月6日に発売される予定だ。

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妖怪の旗印のもとなんでもアリの新ブランド始動! 年末にはさっそく学園ものの映画が公開!?

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 そして、最後に発表された3つ目の新展開は、まさに驚愕の内容に。定番化したシリーズに、新しい展開とチャレンジを生み出すべく、“妖怪ウォッチJam(ジャム)”という新ブランドが立ち上げられた。

 日野氏からは、妖怪ウォッチJamを、型にとらわれずになんでもおもしろいことをしていくためのコードネームと位置付け、“妖怪”をテーマとしてミステリーやサスペンスなどの世界を描くといったように、子どもだけでなく、大人もお兄さんもお姉さんもが楽しめる作品を自由な発想で目指し、妖怪エンターテイメントを制作していくと話した。

 この妖怪ウォッチJamの第一弾は、毎年恒例で放映されている『妖怪ウォッチ』シリーズの映画として、2019年末に『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか?』を発表!

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 公開された入学式の自撮りのようなビジュアルには、どこかジバニャンに似た主人公や、コマさんに似た友だち、メラメライオンやふぶき姫のような同級生と思しき人物が描かれている。

 日野氏によると、妖怪っぽい見た目の彼らは、ひとつの街かと思うほどに巨大なエリート校に通う人間たちで、玉ねぎのような少年は、いろいろな問題をたまたま解決していく少年なのだという。本作は学園ものだが、少年少女が怨霊(ビジュアルの背景にいる大きな赤い猫のような存在)と合体することで、“妖怪ヒーロー”になって戦うのだとか! 

 さらに、タイムスリップあり、巨大ロボットありといった驚愕の新機軸ドタバタ冒険活劇になるという、一見しただけでは全貌はまるで計り知れない新作映画となるようだ。※余談だが、ビジュアルは公開できないが、彼らの担任の先生は、どう見ても人間には見えない、ウィスパーを引き延ばして服を着せたような人物だった。

 また、プレゼンテーションの中では、ジバニャン似の主人公の少年は、シリーズの重要アイテムである妖怪ウォッチではなく、謎めく“YSPウォッチ”なるアイテムを身に着けることも明かされた。

バンダイ川口社長と日野社長スペシャルトーク! 新展開が生む“予感”とは

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バンダイの川口勝社長。

 発表会の最後には、『妖怪ウォッチ』シリーズのクロスメディア展開の大きな柱を担ってきた、老舗玩具メーカーであるバンダイの代表取締役社長、川口勝氏が登壇。日野社長とともに、新展開への展望を語らうスペシャルトークコーナーが設けられた。

 川口氏は、『妖怪ウォッチ』のライセンシー展開で協力してきたバンダイは、こうした新展開でも中心となって盛り上げられるように挑むと熱弁。あらためて今回の発表を目にして、『妖怪ウォッチ』の世界観が、男女ともに魅力を伝えられる幅広いポテンシャルを持っていると再確認できたと話した。

 一方の日野氏は、レベルファイブが挑戦して、たくさん新しいものを生み出したいという気持ちをバンダイさんは受け止めてくださり、『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか?(仮)』でも、新機軸のYSPウォッチにも、バンダイさんのアイデアが数多く込められており、驚きを増幅するものになっていると絶賛。

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 川口氏は、6年目に入るほどに継続したシリーズの魅力は、新しさへの挑戦にあると話す。シリーズ作品は継続すると定番の内容をくり返しがちだが、『妖怪ウォッチ』は新しいことへ恐れずにチャレンジを続けながら、継続してきている点こそが強さのカギなのではないかと感じ、こうした新しさを求める姿勢を、玩具制作の面でもともに挑戦していきたいと語った。具体的には、集めることがアツく楽しいコレクションアイテムの展開に注力したいと感じているという。

 日野氏は、シリーズを続けてきたが、始めから子ども向けとして制作してきたわけではなく、つねにファミリーで楽しめる幅広い魅力を追求してきたことを、あらためて『妖怪ウォッチ』シリーズを見つめ直して感じたと語った。

 これを聞いた川口氏は、これまで玩具の最重要ターゲットは子どもたちだと位置づけてきたものだが、むしろオールレンジに向けた、家族で楽しめるものをターゲットにすべきなのだと「話を聞いて、いま思いました」と新たな気づきがあったことを話すと、会場には驚きの声も。

 日野氏も、2019年から2020年にかけては、未発表のシリーズの新展開を数多く仕込んでおり、その“来る”気配は超逆転を生む予感があるので、早く見せたいとうずうずしていると話した。川口氏も、それら未公開の展開の充実からも、シリーズの大ムーブメントが“来る”気配を感じていると会場に語りかけ、「この新しい挑戦が生む流れに乗り遅れないようにしましょう」とトークを結んだ。

 コンプライアンスなどを始め、息苦しく型にはまった現代社会において、一大ムーブメントを巻き起こした『妖怪ウォッチ』は、遙か昔から時代の変化に柔軟に合わせて伝わってきた“妖怪”という存在が象徴するかのように、型にとらわれないところこそ大きな魅力のひとつなのかもしれない。今回発表された、アニメやゲームの新たなクロスメディアと並走して挑戦する新ブランド“妖怪ウォッチJam”の展開が、そんなシリーズの魅力をさらに広げてくれるものになるような予感に満ちた発表会となった。

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