2018年10月4日に発売された、プレイステーション VR専用ソフト『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』(アストロ ボット レスキューミッション)。3Dアクションに新たな遊びをもたらす本作のプレイレビューをお届け。

『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』プレイレビュー――VRならではのアクション“見る”がもたらす、王道ジャンプアクションの新たな形_01
『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』プレイレビュー――VRならではのアクション“見る”がもたらす、王道ジャンプアクションの新たな形_07

 オッサンゲーマーな人たちは、子どものころテレビゲームで遊ぶとき、画面の端にあ
るモノや、女性キャラクターのスカートの中を見るため、テレビ画面を横から見たり、
下から見た経験はないだろうか? ボクはある。とくに下から! でも、どんな角度
でテレビを見ても、見える画面は変わらなかった。

 しかし、いまプレイヤーが自身が身体を動かして“見上げる”、“見下ろす”、“のぞき込む”ことが、そのままステージ攻略に役立つ時代に。プレイステーション VR専用タイトル『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』は、そんなプレイヤーの動きをゲーム性にまで昇華させた、現代ならではのアクションゲームだ。

 VRのアクションゲームと聞くと、操作が難しい、3D酔いが……と思う人もいるかもしれない。しかし、『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』は違う。本作は、定番のステージクリアー型3Dジャンプアクションの新たな遊びを追求していったら、自然とVRに行き着くのか! ……と感じるくらい、操作がカンタンかつ直感的だ。プレイした手触り感は、良質の3Dの箱庭アクションを遊んだときと変わらない。ただ、ひとつだけ大きく違うのが、探索を行うちびロボ“ASTRO”の後ろに寄り添うプレイヤーの存在だ。

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『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』プレイレビュー――VRならではのアクション“見る”がもたらす、王道ジャンプアクションの新たな形_10
ジャンプ時のホバリングで足から発射されるレーザーは、敵を攻撃するだけでなく、着地地点を把握する役割も兼ねている。3Dアクションを遊びやすくする工夫がいたるところに。

ジャンプ、攻撃に次ぐ第3のアクション“見る”

 本作では、ASTROとプレイヤーのふたりひと組でステージを探索。ASTROがジャンプや攻撃を行いつつゴールを目指し、プレイヤー自身が彼のサポートを行う形だ。ステージを縦横無尽に駆けまわるASTROが、行き止まりや怪しい場所などを見つけたときが、プレイヤーの出番。実際にその場で身体を動かして、ステージを横から眺めたり、下から見上げたり、振り返ったり、立ち上がったりすることで、先に進める手がかりを見つける。ステージの裏側や隠してあるモノをのぞき込むドキドキ、発見により広がる世界のワクワク感といったら! 
 もちろん、視点変更による“謎解き”は、いままでの3Dアクションにもあった。しかし、多くはカメラを手動で動かすため、微調整に時間を取られたり、オートの場合も自分の予期せぬ方向に動いて、最悪3D酔いすることも。本作はVRだからこそ、見たい場所に頭と身体を動かすだけで、視点が目的の場所に一切のぶれなくフォーカスできる。操作するのではなく、実際に“見る”感覚だ。この“見る”が、ジャンプ、攻撃に次ぐ第3のアクションとして、探索に本作独自のおもしろさをもたらしている。

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俯瞰視点で操作するASTROは360度自由に動かせるが、一人称視点であるプレイヤー自身の移動は直進のみ。直進しかできないからこそ、3D酔いせずに遊べる。

 各ステージには、“謎解き”要素以外にも、行方不明になったちびロボットの“BOT”たちや、隠しコイン、隠しステージを開放するカメレオンなど、さまざまなモノが潜んでいる。これを探すのも本作の醍醐味のひとつ。“BOT”は1ステージに8体ずついるようだが、いまのところ自分が見つけたのは、各ステージ7体が最高記録。工事現場や洞窟、海底、トロッコ場など、いろいろなステージをクリアーしたが、どうやら各ステージでつねに1体以上を見落としていることになる。コンプリートを目指すやり込みも手応えありそうだ。

 プレイヤーが行うサポートアクションも、視点移動だけでなく、ポンプから水を出したり、ロープを出したり、ときに実際に頭を振って頭突きで障害物を壊したりと多彩。たんぽぽに息を吹きかけて綿毛を飛ばす謎解きアクションでは、VRの臨場感と可能性を目の当たりにして、思わず見とれてしまった。また、敵によっては、ASTROではなくプレイヤーを直接狙ってくるモノも。頭を動かすことで交わせるけど、失敗すると、VRヘッドセットにインクが付いたり、モニターにヒビが入ったりと、VRならではの演出が探索を盛り上げてくれる。

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かわい過ぎるBOTたちの動きと、SF的カッコよさが探索を後押し

 ここまでアクションゲームとしてのおもしろさを挙げてきたが、じつは本作の魅力として忘れてはいけないのが、ASTROやBOTたちのかわいい動きと、ゲームに登場する各種ギミックのSF感だ。DUALSHOCK 4を空間に“ガチャン”とはめて起動させる仕掛けは、効果音と振動を含めて、男性なら間違いなくワクワクするだろう。そしてデフォルメされているが、メカっぽいASTROとBOTたち。彼らは、VRヘッドセットに張り付いたり、トロッコのペダルを一生懸命動かしたり、ときには日光浴をしていたりと、ゲーム本編に直接関係ないところでも、いろいろなリアクションを見せてくれる。小さい彼らの一挙手一投足は本当にかわいくて、見ていて本当に飽きない。ステージクリアー時のノリノリなダンスを含め、遊んでいて癒やされます。

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ステージで見つけたBOTたちは空中を飛びながら、デュアルショックに吸い込まれてい
く。集めたBOTとは拠点である宇宙船で遊ぶこともできる。

 本作は、プレイステーション VRをすでに持っている人はもちろん、まだ持ってない人にも触ってほしい1本だ。そして、多くの人にステージを下からのぞき込んでほしい。そこには、あなたがまだ知らないドキドキがきっと隠されているから。

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タイトル概要
作品名:ASTRO BOT:RESCUE MISSION
ジャンル:アクション(VRプラットフォーマー)
対応機種:プレイステーション4、プレイステーション Pro ※プレイステーション VR必須
対応コントローラー:DUALSHOCK4
発売日:2018年10月4日
価格:4900円[税抜]
プレイ人数:1人
CERO:全年齢対象
開発元:SIE ワールドワイド・スタジオJAPAN Studio
発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント