ベセスダ・ソフトワークスが海外でプレイステーション4/Xbox One/PCで発売予定のオープンワールドFPS『Rage 2』(日本での発売の詳細は今後発表予定)。本作のE3デモを同社ブースのメディア用スペースで体験してきたので、プレイリポートをインタビューと合わせてお届けしよう。

 本作は2011年に発売されたFPS『Rage』の続編。前作の30年後の世界で、引き続き隕石落下により荒廃した世界での戦いを描く。

 E3デモでは、トレイラーにも出てきている“エデン・スペースポート”なる施設が舞台。開発元Avalanche Studiosの強みを活かしたビークル(乗り物)アクションも特徴のひとつではあるが、今回は同所での戦闘をメインにフィーチャーした内容となっていた。

『Rage 2』自分も敵も「ヒャッハー!」と撃ちまくるパンキッシュオープンワールドFPSのE3デモをプレイ。インタビュー付きでリポート【E3 2018】_02

 さて、『Rage』の戦闘は基本的にFPSスタイルだが、いろいろとギミックがあるのが特徴。各種の銃やグレネード以外に、殺人ブーメラン“ウィングスティック”などのガジェットが登場し、アブねぇパンク野郎たちの一群を敵に回した時に役立ってくれる。

 また今回は、“ナノトライト”と呼ばれるパワーを使った特殊能力も注目。E3デモでは以下の4種類の能力を使うことができた。
ダッシュ(Lスティックで方向入力+LBタップ): 短距離を高速で移動する技。間合いを詰める時や回避に使える。
シャッター(LBホールド+X): エネルギーを叩きつけて眼前の敵を吹っ飛ばす。
スラム(LBホールド+A): 飛び上がって急降下パウンド攻撃を行い、衝撃波で周囲のものを飛ばす。
オーバードライブ(LB+RB): エネルギーを爆発させ、ダメージや回復能力を向上させる。

 アート面などでもパンキッシュなスタイルの本作、戦闘もハイテンションなものとなっており、ギミックを活用するタイプのFPS/TPSが好きな人なら、これらの武器や能力を駆使して「ヒャッハー!」と気持ちよく撃ちまくれる内容。

 刹那的な危ない遊びに興じているモヒカン野郎にショットガンをカマし、慌てて駆けつけてきた一団にスラムを発動してふっ飛ばしつつ、マシンガンでお掃除。寄ってくる奴はシャッターで張り飛ばし、遠くのヤローをウィングスティックで刈り取り、ヤバくなってきたらオーバードライブで目に入った標的に片っ端から弾を叩き込み続ける……といった塩梅だ(ちなみに体力はコマンドを入れて注射器をぶっ刺す任意回復)。

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 個人的には大好物なタイプなのですっかり楽しんだのだが、まだこれは『Rage 2』の表層にすぎない。オープンワールドの荒野はどんな具合になっているのか、そして乗り物にはどんなものがあるのか、前作で不評だったエンディングは今回大丈夫なのか?

 そこで本作のゲームディレクターを務める、開発元Avalanche StudiosのMagnus Nedfors氏に会場で話を聞いた。

Magnus Nedfors(マグナス・ネッドフォース)

『ジャストコーズ』や『マッドマックス』などを手掛けたAvlanche Studiosで本作のゲームディレクターを務める。

――まずは本作の主人公ウォーカーと、前作から登場する組織“オーソリティ”の関係を教えてください。
Nedfors オープニングでウォーカーは“ヴァインランド”という小さな集落を出ることになるんだ。というのは、オーソリティの襲撃により彼の居場所であったヴァインランドは破壊され、いくらかの人々が拉致され、そして残りの人々が殺され、めちゃくちゃになってしまった。
 だからウォーカーはオープンワールドに飛び出て、かつてレジスタンスとしてオーソリティと戦った人々を探すことになるんだ。彼らと協力することで、復讐の機会を得られるのではないかという希望を胸にね。
――今日のデモ前のプレゼンビデオでは、“ウェットランド”という場所が紹介されていました。ヴァインランドとの関係は?
Nedfors ヴァインランドはウォーカーが育った小さな村で、高い壁があって比較的安全を保っていた場所だ。ウェットランドはより大きなエリアで、植生なんかも異なる。“ウェット”という名の通り、湿地帯なんかもあって水も流れている。ジャングルと東南アジアとルイジアナの湿地帯が合体したような地帯さ。

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――先日公開されたトレイラーでは、装甲強化された車とかトラックが映っていました。そしてそれらに乗ることができると。今日のプレゼンではサンドバギーとかチョッパーヘリを見かけました。他にビークル(乗り物)のタイプはありますか? ボートとか?
Nedfors うむ、このゲームには何種類かのビークルがあって、ほとんどはクルマだけども、まぁ空を飛ぶものもあるし、ボートもあるよ。この世界に海はないけども、さっき言ったような湿地帯はあるからね。いずれも世紀末仕様だが、クルマも小さなものからコンボイみたいなものまである。幅は広いよ。

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――id Softwareは本作にどれぐらい関わっているんでしょうか? フィフティ・フィフティの共同開発みたいなものなのか、それともアドバイザーと開発チームのような関係なんでしょうか?
Nedfors ゲームの実際の開発作業そのものは、ストックホルムのAvalanche Studiosで100%行っている。でもid Softwareはちゃんとディープに関わっていて、彼らの知識と経験を提供してくれているんだ。
 実際、開発初日からお互いにどういう方向性でやっていくかやり取りしてたぐらいさ。id SoftwareはFPSが得意だし、技術的なことなんかも彼らのエンジニアと議論したり助言してもらっている。
――ゲームではどちらのエンジンを使っているんですか?
Nedfors ウチのAPEX Engineを使っているよ。ウチで内製して15年になるもんで、慣れてるからね。
――プロジェクトはどう始まったんですか? 「こんなの作れますよ」だったのか、「こんなの作ってみない?」だったのか。
Nedfors ベセスダ・ソフトワークスと昔から連絡は取ってたんだ。我々は独立したスタジオで彼らはパブリッシャーだから、なにか一緒に仕事をできる機会はないかってね。そんな経緯もあった上で、最初は向こうから提案がやってきた。「ちょっとプロジェクトがあるんだけども、一緒にやれるプロジェクト探してなかったっけ?」ってなもんで、ウチとしてもやれそうだったから「ぜひ」という感じだった。
 それで『Rage 2』のアイデアを考えて提案する機会を得たんだけども、「もしやるとすればどんな感じにやりたい?」という感じに、最初から大きな自由を与えてくれた。id Softwareにもアイデアはあって、自分たちにもやりたいことがあった。それが結婚したような形で土台ができていったんだ。

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――Avalancheは今3つも大きそうなプロジェクトを抱えているわけですが(『Rage 2』、『ジャストコーズ4』、『Generation Zero』)、いったいどうやってそんな仕事を回せているんですか?
Nedfors ああ、確かに3つあるね(苦笑)。『Rage 2』以外のプロジェクトについてここでは詳しく話せないけども、ストックホルムだけじゃなくてニューヨークにもスタジオがあるから、それでスピードアップできる部分はある(※編注:時差の活用で)。

 ストックホルムでは『The Hunter: Call Of The Wild』なんて小さいチームで小さいゲームを作ったりもしていて、それはいい経験にもなっている。でまぁ、量は多いんだけども……ゲームを作るってのはどっちみち大変な仕事量になるもんだしね(ため息)。スタジオとして焦らずゆっくりと成長させてきたからなんとかなってる所もある。

――アートスタイルはかなり変わった部分です。最初のゲームは茶系の荒れた感じでしたが、今回は明るくて、カラフルで、なんというか、パーティーパンクな感じがしますよね。
Nedfors 最初のゲームは確かに茶系で、それはそれで好きだったんだけど、自分たちは何か違うことをやりたかったんだ。カラフルにするにあたってはいろいろ理由があったんだけど、最初のインスピレーションはポスト核戦争モノのコミックからだった。1980年代とか90年代のベルギーやフランスのコミックで、たくさんの色が使われていたんだよね。
 それと、前作から作中時間的にも30年の時間が経っているから、“ポスト核戦争”というより“ポスト・ポスト核戦争”なスタイルはどうかということになったんだ。生命がちょっと増えたりしてるなら、カラーやテーマも変わってきていいはずだ。(※編注:実際は『Rage』シリーズの世界が荒廃したのは隕石落下が主な理由)

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――前作をプレイする必要はありますか?
Nedfors 個人的には遊ぶのをオススメしたいけど、それはいいゲームだからさ(ニヤリ)。
 で、遊ばないとこのゲームを楽しめないかと言えば、答えはノーだ。世界は繋がっていて、前作に登場したキャラクターもいくらか存在する。でも新しいストーリーだし、オープニングはこのウォーカーの話のオープニングとしてちゃんと始まる。
 スタイル的にも違う所があって、ウォーカーはボイスがあって喋るんだ。彼は自分の思いや知っていることを自分の言葉で表現していくので、それを通じてプレイが進むに連れて世界を知っていけるようになっている。

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――今回はマシなエンディングを期待していいですか?
Nedfors イエス。というか前作にはエンディングなんかなかったからな。冗談はさておき、本作のメインストーリーにはちゃんとしたエンディングがある。いま「メインストーリーには」と言ったのは、よく自分が「このゲームにもエンディングがない」って冗談を言うような構造になってるからなのさ。
 つまり、メインストーリーが終わった後もオープンワールドを旅することができる。やり残したこともあるだろうしね。コンテンツ追加も計画にあるから、メインストーリーが終わった後もそれなりに長く遊んでいけるものになるだろうと考えている。
――『フォールアウト』シリーズのように?
Nedfors うーん、実際はまだどうやってコンテンツを提供していくかは決めかねているんだよね。ただ小さなアップデートとかDLCとかの両方で新ストーリーや新ミッションをやっていくような感じじゃないかな。
――新しいガジェットについていくつか話して貰っても?
Nedfors 新ガジェットはあるんだけども、まだちょっと話せない部分なんだ。でもご覧の通りウィングスティックをまず見せたわけだから……。まぁいろいろあるし、アップグレードすればもっと楽しいことができる。
――ウィングスティックはカーブで投げられたりして楽しいですね。それで、今日は結構ウィングスティックが手に入りましたが、ガジェットのためと思われる素材アイテムがマップにいろいろ落ちていました。本作でのクラフティング要素はどんな感じですか?
Nedfors 前作とほぼ同じさ。素材を集めて、作りたいものを戦闘の合間に作る。そのためのレシピ的なものもある。ただ完成品を手に入れることもあるし、ストアで買うこともできるけどね。
――今日見た以外のナノトライトの能力は何か話せますか?
Nedfors うーん、それも難しいけど、もっとあると期待していてくれれば。
――エデン・スペースポートのデモでは“エコポッド”と呼ばれるものがキーになっていましたが、あれは一体なんですか?
Nedfors 前作のエンディングで、スイッチを押したらArkが浮かび上がってきたよね。それで冷凍冬眠状態にあった人々が地上に帰ってきたのが示された。エコポッドはあれと同じようなもので、環境を元に戻すために地球外に用意されていたシステムだ。
 あれが落ちてくると地表を削って水を出してろ過して周囲の地表を豊かにする。ヴァインランドも実はエコポッドのおかげでできたものだったりするんだ。ウォーカーはある経緯でスペースポートからエコポッドを起動することになる。

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――グラップリングフックはありますか? Avalancheはグラップリングフックで有名ですよね?(『ジャストコーズ』のこと)
Nedfors ははは、このゲームにはないよ(笑)。他のおもちゃを用意してあるからそれで遊んでくれ!
――世界はどれぐらい大きいですか?
Nedfors 具体的な数字を言うことはできないけども、ひとつ言えるのは、我々は単なる広さよりもそこで体験できるコンテンツの密度を気にする。ただだだっ広くてもしょうがないからね。その体験の点では“大きな世界”と言えるんじゃないかな。
――トレイラーに出てきたデカいミュータント“ミュータント・クラッシャー”のような怪物を他にも期待していいですか?
Nedfors いいと思う。クラッシャーとかそれ以外のデカいのにもいくつかバリエーションがある。ちゃんと装備と能力をマスターして、空間をうまく利用して戦わなきゃいけないヤツらだ。

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――戦闘とかドライブ以外に、何か楽しめるアクティビティはありますか? レースとか。
Nedfors レースは前作と同じようにある。自分が好きな、アリーナ形式で戦うクレイジーなショー、ミュータント・バッシュ・TVも帰ってくる。それ以外に、世界を探索をしていれば大きなイベントに遭遇することもあるだろう。
――あなたにとってこのゲームで個人的に一番の部分はなんですか?
Nedfors まずはid SoftwareとAvlancheの両スタジオの強みのユニークな組み合わせについて触れたい。これは他のゲームにはないものだからね。idのシューティングが、我々の作る自由なオープンワールド世界と融合したのが『Rage 2』だ。
 それで個人的には、その中でクレイジーなアクションができることが気に入っている。いろんな銃や能力やガジェットがあって、それをどう使うかという戦術を自分で決められる。コレが自分のやり方だってのをカマせる。それが一番かな。