2018年2月13日(現地時間)よりカナダ、モントリオールで開催中のPC版『レインボーシックス シージ』のプロリーグ“Six Invitational 2018”。本大会は、ヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカ、アジア各地域優秀な成績を出した16チームがカナダ、モントリオールに集いワールドチャンピオンの座を賭けしのぎを削る、いわばプロリーグの最終決勝戦だ。日本からはシーズン3アジア太平洋地域代表として日本のチーム“eiNS”が参戦している。

 なお、先ほどのインタビューでもお伝えした通り、第一試合はプロリーグ シーズン3ファイナルで対戦したFazeClan(Team Fontt)の対戦に。試合はオフラインで実施されるも観客席はなく、プロリーグ シーズン3ファイナルのように激しいブーイングなどアウェーの洗礼はなかったのだが、会場は緊張感に包まれていた。APACファイナルから培ってきた実力、そしてシーズン3ファイナルでのリベンジを果たせるのか? 日本時間早朝からの実施にも関わらず、応援のコメントが配信へと集まっていたのも印象的だった。

 なお、本大会のルールレギュレーションは、ESL公式ルールに準拠している。試合形式はTDMの爆弾ルールを使用、BO3(2マップ先取で勝利)、各マップは最大8ラウンドで5本先取勝利など、これまでの各地域の大会とすべて共通だ。

『レインボーシックス シージ』プロリーグ“Six Invitational 2018” 再戦を果たしたeiNs対FaZeClanの試合をリポート!_01
日本への配信では、実況をCYCLOPS athlete gaming所属Shinchang(写真左)、解説を父の背中所属きんち(写真右)が担当。
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予選はオフラインで実施されるが、観客席はなし。奥の壁一枚を隔てて、対戦相手FazeClanのプレイスペースとなっていた。

・第1マップ 領事館

 最初のマップは、FazeClan側がピックした領事館。FazeClanといえば試合開始早々に一気にプッシュする戦法が特徴。今回はeiNSが攻撃スタートとなったが、FazeClanは防衛といえど攻撃的な立ち回りを見せる。FazeClanは地下を選択し2階で遊撃を仕掛けるオーソドックスな守りに対し、eiNS側アッシュが2階で遊撃潰しに赴く。それと同時にeiNS側テルミットがガレージをヒートチャージで破壊し圧力をかけ戦力を分散させる作戦に出た。Aroer1na選手がファーストキルを取り、地下への侵入を成功させるも、FazeClanはあえて敵を中に誘い込み、遊撃に出ている選手がeiNSを取り囲む戦法にでる。一瞬のうちに人数差をつけられ、eiNSは大事な最初のラウンドを落としてしまった。

 第2ラウンドでeiNSは1階をポイントに選択。キャッスルを導入しおもに2階を守り遊撃を警戒する戦法にでる。横ではなく、縦に広く守備範囲を作る戦法は領事館において非常に効果的で、うまくいけばFazeClanを返り討ちにできる可能性もある。SuzuC選手がファーストキルをとり2階での膠着状態を維持する。eiNSは2キル目をとりTeam Fontt側に時間を使わせることに成功、さらに遊撃潰しも成功させた。しかし、手薄になっていた1階でディフューザー設置を許してしまう展開に。とはいっても4対1の優勢状況を作っていたeiNSは落ち着いてディフューザー解除を成功させ、見事1本取り返すことに成功した。

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 第3ラウンドでは、2階にポイントを設置したFazeClan。2階管理事務室に圧力をかけつつ、1階からの飛び出しを警戒するeiNSは攻めあぐねているようで、時間を大きく使ってしまう。残り45秒の時点で3名のオペレーターを失い苦戦を強いられるeiNSは、突破口を見出せず全滅。ラペリングで2階から侵入する際に封じられてしまったeiNSだが、FazeClan側ではカメラで視覚情報を増やせるヴァルキリーをピックしているわけでもない。カメラで見るまでもなく、完全に相手の動きを読みきっていたFazeClanにeiNSは焦りを見せていた。なお、ここまでお互いに防衛を成功させているため、ここからはeiNSの対応力が問われることになると解説のきんちは述べている。

 第4ラウンドで地下をポイントに選択したeiNS。対するFazaClanはトッケビを導入し、遊撃に出ているオペレーターすべてをロジックボムの音で探知する作戦に。さらに、1階から床抜きの射撃とロジックボム発動のタイミングを合わせ、上からの圧力をかけていく。2階で敵を待っている遊撃のShiN選手だったが、すれ違いざまに撃たれてしまいダウン。2階がフリーとなってしまったeiNSはFazaClanの屋内侵入を許してしまい、地下を防衛していたeiNS側選手はつぎつぎとダウン、FazaClanがラウンドを制する。

 同じくFazaClanも地下を選択した第5ラウンド。ガレージにブラックミラーを設置する攻撃的な守備スタイルを見せるFazaClanだが、Aroer1na選手がヴィジルを倒しファーストキルを獲得。4対4でこのまま勢いに乗って攻め切ると思われたが、この時点ですでに残り40秒を切りなかなか本丸に手を出せない。ガレージ外からプッシュするも一瞬で2キルをもぎ取ったGohan選手をはじめ、カバーが早いFazaClanに次々返り討ちにあい総崩れになる結果に。これで1-4と、Team Fontt側がマッチポイントとなった。

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 第6ラウンド、マッチポイントのFazeClanは攻撃側に。1階をポイントに選択したeiNSは前回同様に2階を含め広く守りを固めていく。FazeClanのラッシュ攻撃に対し、綺麗にクロスを組めるゾーンに誘いこんで対処する戦法が望ましいが、強豪チームのFazeClanはドローンであらかじめ危険な場所をクリアリングして進んでいく。Papilia選手のバルコニー飛び出しからのキルを取るファインプレーも見られたが、屋外正面玄関から射線を通していたfazeClan側選手が猛プッシュを展開。外と中の遊撃に囲まれる形でShiN選手、Papilia選手、prototype_1z選手が倒され、FazeClan側が第1マップ勝利を収めた。

・第2マップ オレゴン

 続く第2マップは、eiNS側がピックしたオレゴン。このマップはシーズン ファイナルでも戦っており、FazeClanが得意とする遊撃が非常に有効なマップだ。
 eiNSの防衛からスタートとなった第1ラウンドでは、2階寝室をポイントに選択。開始早々に遊撃に出ていたShiN選手のパルスが刺さり、ファーストキルをもぎ取る。続くPapilia選手がAstro選手と相打ちに。1対1の交換となったが、eiNSとしては人数差ですでに優っている、かつ撃ち合いがなかり強いAstro選手を排除することに成功し優位な状況を作り出すことができた。これにはラッシュに出やすい傾向のFazeClanも慎重な動きを見せる。
 しかし、トッケビのロジックボムが作動し位置の移動を余儀なくされたeiNS。その隙に遊撃を排除し屋内に侵入したFazeClanの背後をとるSuzuC選手だが、ここでミスをしてしまいショットガンでヘッドショットキルを取り逃がしてしまう。FazeClanはここで撃ち合いの強さを発揮し、連続キルで人数差を逆転。3対1となってしまったeiNSは第1ラウンドを落としてしまった。

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 第2ラウンドで防衛側となったFazeClanは地下をポイントに選択。定石とも言えるタワーに遊撃を展開し、ヴァルキリーのカメラからeiNsの位置を捕捉。飛び出しから1z選手を潰すファーストキルを獲得し、さらにタワーに侵入したShiN選手もカメラで捉え、FazeClanのMav選手がキルを重ねていく。その間にもSuzuC選手、Aroer1na選手が倒されてしまい、人数差で圧倒的振りな状況となってしまったeiNsはまたもラウンドを落としてしまう結果に。クロスから確実にキルを決めるだけでなく、正面からの撃ち合いの技量でにおいても、FazeClanが一歩及んでいるように見えた。

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 第3ラウンドでふたたび2階寝室をポイントに選択したeiNS。遊撃で1階に出ていたパルスをまるで見えたいたかのようにグレネードで倒し、FazeClanが先制キルを取る。1z選手とPapilia選手が1階へ遊撃にでるも、fazeClanは1階に3人を侵入させ厳しい展開が続く。1z選手がダウンしてしまいPapilia選手がすかさずカバーに入るも、移動の隙をついたFazeClanが返り討ちに。気づけば2階で防衛していたほかeiNS選手も倒されており、FazeClanが一気に制圧してみせた。FazeClanは敵を抑え込むどころか、クロスを組んだ射線にeiNSを誘導して潰しているかのような戦術で、それに対抗するにはeiNSがFazeClanの動きやクロスポイントを抑え込まないといけない。そうなると1対1のタイマンによる撃ち合いになるため、「撃ち合いに強いFazeClanを相手にするのは厳しいだろう」ときんちは解説する。

 第4ラウンド、なんとか打開して流れを掴みたいeiNsだがヴァルキリーのカメラを警戒してなかなか建物に触れられない状況。勢いづいたFazeClanは、2階寝室からオフィスにかけた窓を開け、まるで敵がくるのを待ち構えるように屋外に体を晒すという、プロリーグではあまり見られない攻撃的な守備を見せる。

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屋外へ体を晒してオフィスを警戒するFazeClanのGohan選手。

 1階ロビーでは、FazeClanのAstro選手がファーストキルを取るも、ShiN選手とAroer1na選手がキルを取り4対3と人数差をつける。地下階段からロビー、2階への階段を手広く守るFazeClan側イエーガーを倒すことがキーとなるが、ここでイエーガーに背後を取られそうになったAroer1na選手が背後のイエーガーに気づき、カットするファインプレイを見せる。

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 2対1まで持っていくことができたeiNsだが、制限時間ギリギリとなってしまいディフューザー設置に失敗。流れはeiNSに向いていたものの序盤で時間を使わせていたFazeClanの作戦が功を奏したと言える。

 4-0でFazeClanのマッチポイントとなった第5ラウンド。地下をポイントに選択したeiNsだが、開始早々にShiN選手、Papilia選手、1z選手がほぼ同時に倒され遊撃舞台が壊滅する圧倒的不利な状況に。ポイントを守るAroer1na選手がなんとか1キルを返し、SuzuC選手がタワー側階段から裏どりに成功し1キルを取る。さらにAroer1na選手はディフューザーを設置中の的をC4で排除する活躍を見せてくれた。
 2対2にもつれるが、再度ディフューザーを設置するFazeClan。これを止めようと動いたところを移動ルートをロックしていたFazeClanがAroer1na選手をキル。残るSuzuC選手のガスグレネードでFazeClan側オペレーターの体力をダウン寸前まで削ぐことはできたが、最後は挟み撃ちといった状況で倒されてしまう。結果、Team Fonttが始終圧倒する形で勝利。eiNSはシーズン3 ファイナルに続きFazaClanに敗北を許してしまった。

 シーズン3 ファイナルに続き同じチームに敗北してしまったeiNS。前回の試合では読めていても制することができなくなるという撃ち合いでの強さで負けた点があったが、今回はあえて誘い込まれてしまい敵に囲まれてしまう状況に陥ったり、撃ち合いにつよいからこそできるラッシュ攻撃とクロスからカバーを確実に入れるFazeClanの戦略に、eiNSは対応できなかったように思う。また試合後のインタビューでShiN選手は「声出しができなかった」と述べる。チーム内でのコミュニケーション不足から連携が取れなかったことが、敗因のひとつのようだ。

 なお、本日朝には本戦出場をかけた2回戦目eRa Enternityの試合がある。彼らがこの敗北から何を学びどのような試合を見せてくれるのか。ぜひ応援して欲しい。