2018年2月10日〜11日、千葉・幕張メッセにて開催されていたゲームファンとゲーム大会の祭典“闘会議2018”。開催2日目となる11日、PlayStationブースにてリアルドライビングシミュレーター、『グランツーリスモSPORT』(以下、『GT SPORT』)のエキシビションマッチが開催された。ここで、その模様をお届けする。

 イベントのMCはタレントとして活躍する松嶋初音さんが務め、スーパーGTに参戦中で、F1での出走経験もあるレーシングドライバー、井出有治選手が解説として登場。また、『GT』シリーズのイベントやリアルレースでの熱い実況でおなじみの木幡ケンヂアナウンサーが、今回のレースで実況を担当する。

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写真左より松嶋初音さん、井出有治選手、木幡ケンヂアナウンサー。

 今回のエキシビションマッチに招待された選手は、いずれも『GT』シリーズの経験が豊富で、国内外で行われてきた数々の大会で好成績を収めるなど、腕に自信を持つトッププレイヤーたちばかり。なかには、『GT』歴20年というプレイヤーもいることから、木幡氏は「まさに『GT』オールスターです」と語るほど。実施されるレースは予選(モンツァ・サーキット)、決勝(東京エクスプレスウェイ)の2レースで、それぞれが違うコースという変則スタイルのバトルが行われることになる。

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今回のエキシビションマッチでは、マシン間の差をできるだけイコールコンディションに揃えるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)がオンになることで「勝敗の結果はドライバーの腕次第になり、おもしろいレースが見られるのでは」と、井出選手。
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木幡氏は、「予選、決勝ともストレートが長いコースで、マシンの性能差もないので、スリップストリームからのブレーキング勝負に注目しています」と、レースの見どころを語る。

 ここで、レースに参戦する選手たちが7名がステージ上に登壇。前日に行われたタイムアタックの結果順に紹介が行われていった。また、『GT』の元アジアチャンピオンにして、現在はポリフォニー・デジタルに所属し、開発に携わっているYAM選手がゲスト参戦。総勢、8名のトッププレイヤーたちがステージ上に勢揃いした。各選手の使用マシンと参考タイムは以下の通り。

7位:オカサン・ジョースター選手
(使用マシン:BMW M6 GT3、参考タイム:1'59.399)
6位:カルソニック選手
(使用マシン:NISSAN GT-R NISMO GT3 N24、参考タイム:1'59.216)
5位:アユム選手
(使用マシン:DOUGE VIPER SRT GT3-R。参考タイム:1'59.065)
4位:ほんだ選手
(使用マシン:PEUGEOT VISION GRAN TURISUMO GR.3、参考タイム:1'58.946)
3位:CONVERSE選手
(使用マシン:MERCEDES-AMG GT3、参考タイム:1'58.945)
2位:ねぎ選手
(使用マシン:MCLAREN 650S GT3、参考タイム:1'58.942)
1位:やまどぅー選手
(使用マシン:MCLAREN 650S GT3、参考タイム:1’58.351)
ゲスト:YAM選手
(使用マシン:Audi R8 LMS、参考タイム:1'58.477)

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 YAM選手は、「今日は『GT』のトッププレイヤーに集まってもらったので、手に汗握るいいレースになるのではないでしょうか。(自分はゲスト参戦のため)最後尾からのスタートになりますが、参考タイムは2位の成績なので、どこまで巻き返せるかがんばってみます」と意気込みを語りつつ、「国内の『GT』イベントステージで、これだけの強者8名が揃うのは、おそらく初めてといってもいいくらい珍しいものです。8台が接戦になる、迫力あるレースになるのでは」と、実力伯仲のトップどうしによる展開を予想していた。

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井出選手とYAM選手は、1月12日〜14日に千葉・幕張メッセで行われた東京オートサロン2018の『GT SPORT』イベントレース“鈴鹿10分耐久”でペアを組み、見事優勝を飾ったコンビとのこと。

 全選手が勢揃いしたところで、決勝レースのスターティンググリッドを決めるための予選レースを実施。レースレギュレーションは、それぞれGr.3カテゴリーのマシンを使用し、イタリアの伝統あるハイスピードコース、モンツァ・サーキットで、6周のバトルを実施。使用上限タイヤはレーシングハードで、セッティングは禁止、タイヤの摩耗10倍、燃料消費4倍、スリップストリームの強さはリアル、BoPはオンといったところ。全員がスターティンググリッドに揃ったところで、いよいよ予選レースがスタートした。

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モンツァ・サーキットは、2018年1月に追加されたばかりの新コースで、長いストレートにシケインを組み合わせたコースレイアウトが特徴。見どころは、メインストレートのスタート・フィニッシュラインを超えてすぐにやってくる第1シケインのブレーキング勝負だ。
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とくに大きな波乱もなく、レースがスタート。ポールシッターのやまどぅー選手が綺麗なスタートを見せたまま、一団は第1シケインに突入していく。

 モンツァ・サーキットは、数本のロングストレートを備えるコースのため、先行車のスリップストリーム(前走車後方の空気抵抗が少ない位置を走行し、そこから一気に加速して抜き去るテクニック)を利用した抜き合いが見どころになるが、コースレイアウトがシンプルなために一度差が開いてしまうと、挽回が難しいコースでもある。本レースでも、レース序盤は2位以下のグループが混戦状態となり、それぞれベストなラインを取ることが難しくなったためか、必然的に1位のやまどぅー選手が後続を引き離す展開が見られたが、アユム選手が2位グループからの抜けだしに成功。先行逃げ切りを計るやまどぅー選手の追撃モードに突入していった。

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やまどぅー選手はそのまま後続を引き離し、逃げ切り態勢を構築。2位以下は激しく順位が入れ替わる混戦状態のまま、序盤戦が進行。

 注目のYAM選手は、2周目に3番手まで巻き返しを見せ、上位勢に絡むかのような快進撃を見せたが、ふたつ目のシケインで痛恨のスピン。最後尾まで順位を落としただけでなく、7位とのギャップが約14秒と、早くも戦線から脱落する結果に。

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YAM選手のスピンによる混乱で、2位を走行していたアユム選手が単独走行となり、1位の追撃を開始。3周目に入った頃には先行するやまどぅー選手を捉えることに成功。以降は、3位グループの混戦を尻目に、2台のマシンによるトップ争いがくり広げられていった。

 4周目にはアユム選手がトップに浮上するも、以降はストレートエンドでの激しいブレーキング勝負による抜き合いが行われるという、一進一退の攻防に。両選手による激しいトップ争いがくり広げられたまま、レースはファイナルラップに突入。最終コーナーのパラボリカのライン取りはお互い譲らず、2台が並んだまま進入し、そのままゴールラインを通過するという大接戦を見せたが、イン側を死守したやまどぅー選手が僅差で逃げ切り、見事予選レースでの優勝を果たした。

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やまどぅー選手とアユム選手のレース結果は、1000分の11秒という僅差に。8位となったYAM選手も、一時は最大で14秒値近くあった先行車とのタイム差を、5秒程度まで縮める健闘を見せてくれた。

 第1レースが終わったところで、続けて決勝戦を開催。マシンはそのままながら、走行コースを東京エクスプレスウェイ・東ルート 外回りに変更。周回数は10周で、タイヤの摩耗は8倍、燃料消費は2倍となった以外は、予選レースとほぼ同じレギュレーションを採用。東京エクスプレスウェイ・東ルート 外回りは首都高をモチーフにしたサーキットで、コースの半分近くを占める超ロングストレートが特徴のコース。市街地コースのためにラン・オフ・エリアが少なく、ワンミスが致命的な結果を招きかねない危険性も持ち合わせている。

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ロングストレートでの速度を稼ぐためには、最終コーナーのヘアピンをいかにうまく回り、脱出速度を稼ぐかが重要になってくる難コースだ。
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レースがスタートすると、蹴り出しがよかったアユム選手がストレート区間でやまどぅー選手を交わし、トップに浮上。YAM選手も第1コーナーへの侵入までに5位に駆け上がるなど、波乱のスタートとなった。

 レース開始直後にアユム選手がトップを奪うものの、スリップストリームを利用して第1〜第2コーナーへの侵入でCONVERSE選手とやまどぅー選手を交えて首位が入れ替わる激しい攻防をくり広げることに。テクニカルセクションに突入すると、3位を走行していたカルソニック選手がコーナー侵入時の混雑でマシンの行き場をなくしてしまい、コース外壁に接触&スピン。順位を6位まで落としてしまう。

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コース幅は広くないものの、コーナーではつねに併走状態という白熱のバトルがくり返されることに。3台のマシンが並んだことで行き場をなくしたカルソニック選手は、痛恨のクラッシュを喫してしまう。

 1周目の後半には、先ほどの予選レースの序盤と同様にやまどぅー選手が後続を引き離すべく、首位を独走。2位には、最後尾からの追い上げを見せるYAM選手がつける展開に。以降も隊列が整ったまま、レースは2周目に突入。しかし、ロングストレートではスリップストリームを利用した順位の奪い合いが行われるなど、2位〜5位が激しい抜き合いをくり広げるグループを形成。後続グループから逃げ切りたいやまどぅー選手だが、タイム差を広げることができず、1位〜5位までのマシンがスリップストリームトレインを形成するという、激しいバトルになり、周回は3周目に入っていった。

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 レースも後半に差し掛かった7周目には、アンラッキーなアクシデントで遅れを喫していたカルソニック選手と、同じく後方に順位を落としていたほんだ選手が上位グループに追いつき、スリップストリームトレインに参戦。9周目、カルソニック選手は3番手まで浮上し、優勝争いに加わる位置まで挽回。1位と2位はアユム選手とやまどぅー選手が争ったまま、ファイナルラップに突入していった。最終第1コーナーでは、やまどぅー選手に先行を許したアユム選手に焦りが見えたか、第2コーナーで痛恨のテールスライドを起こし、ハーフスピンで6位まで後退。YAM選手、CONVERSE選手、カルソニック選手、ほんだ選手が2〜5位を争いながら、逃げるやまどぅー選手を追う展開に。
 結果、終始ミスのない安定した走行を見せたやまどぅー選手が予選レースに続き、見事1番手でフィニッシュラインを通過。最後尾からの巻き返しを見せてくれたYAM選手が2位に、ハーフスピンによる後退から驚異の追い上げをみせ、最終ヘアピンの混戦を制したアユム選手が3位に入る形でレースは決着した。

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5周目にはCONVERSE選手が首位浮上するも団子状態は変わらず、周回毎に首位が入れ替わる激しいデットヒートが続いていくことに。
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 レース終了後は、ステージ上で表彰セレモニーを開催。3位のアユム選手には銅メダルを、2位のYAM選手には銀メダルを贈呈。1位のやまどぅー選手には金メダルに加えて、優勝トロフィーが贈られることに。

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トッププレイヤー勢による激闘を制したやまどぅー選手は、レース後「楽しくてどうしようかなって思いながら運転していました。勝てて、すごくうれしいです」と、よろこびのコメント。
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『GT SPORT』エキシビションマッチ
3位:アユム選手
『GT SPORT』エキシビションマッチ
2位:YAM選手
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『GT SPORT』エキシビションマッチ
1位:やまどぅー選手

 以上を持って、闘会議2018 PlayStationブースで行われた『GT SPORT』エキシビションマッチは終了。やまどぅー選手は、今回のイベントで終始トップ争いをくり広げていただけでなく、じつは2017年9月の東京ゲームショウ2017のソニー・インタラクティブエンタテインメントブースで行われた『GT SPORT』のエキシビションマッチでも優勝を遂げた実力者。これからは国内外の猛者たちから追われる立場となるが、引き続きその安定さと速さをキープできるのか。今後の活躍にも注目したいところだ。

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レースを終えて、木幡氏は「皆さんのクオリティが高すぎて、バーチャルレースではなく、リアルレースになりましたね。僕も全国のサーキットで実況をしていますが、今日は幕張メッセがリアルサーキットになりました」とコメント。

 イベントの最後に、YAM選手より『GT SPORT』で今後行われる、FIA(国際自動車連盟)公認のオンライン大会に関する紹介が行われた。こちらのレースは、(PS4と『GT SPORT』を持っていれば)誰もが参加できる大会となっており、好成績を収めると、世界一のプレイヤーを決めるオフラインイベントへの出場権を獲得可能。この大会でみごと優勝を遂げると、F1やWRC(世界ラリー選手権)などの年間チャンピオンなどが表彰されるFIAの表彰式(2017年はフランス・パリのベルサイユ宮殿で開催)という、晴れの舞台で表彰を受ける栄誉が与えられる。今後の大会概要などについては、『GT SPORT』公式サイトを参照しよう。

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