――ずばり、『逆転裁判4』のいちばんの見どころはどこでしょうか?
巧舟(以下、巧) “新章開廷”を合言葉に、新しい主人公・王泥喜法介が堂々登場。成歩堂龍一とはまた違った“熱さ”を秘めた彼の物語こそ、やはり見どころだと思います。また、『逆転裁判 蘇る逆転』から始まった“カガク捜査”の流れや、証拠品を全方向から調べたときに発見される“オドロキ”にこだわって、当時制作していました。
――王泥喜法介初登場となる本作ですが、彼が誕生する経緯や開発秘話を教えてください。
巧 『逆転裁判4』の“出発点”……それは、“成歩堂龍一の物語は『逆転裁判3』で決着がついたので、新しい主人公を登場させよう”というポイントで、すべてはそこから始まりました。オドロキくんの名前については、じつは当時“泥”という文字に物言いがつきましたが、“王”と“喜”の文字のカガヤキをもって説得した思い出があります。
――2007年の発売時の開発をいま振り返って、当時の思い出などはありますか?
巧 制作当時、世間で話題になっていた“裁判員制度”をゲームに取り入れるべし、というテーマがチームに課せられていました。そこから“メイスンシステム”が生まれたのですが、このシステムには当時、ミステリーゲームの見せかたとして“新しい可能性”を感じながら物語を作っていました。
――本作に収録されている、英語版『逆転裁判4』こと『Apollo Justice:Ace Attorney』のオススメポイントはありますか? また、英文は、巧さんが実際に読んでチェックしているのですか?
巧 日本語から英語へのテキストの翻訳は、シリーズをとても愛してくれているスタッフが担当しています。その甲斐あって、英語版のローカライズは、以前から海外で非常に好評です。同じシーンが英語ではどう表現されているか、比べてみるとおもしろいですよ。ちなみに、ぼくの専門はニホンゴなので、英語版は“おまかせ”です。
――巧さん自身、『逆転裁判4』の中でお気に入りのシナリオはありますか?
巧 第2話『逆転連鎖の街角』に思い入れがありますね。もともとは最初の『逆転裁判』より以前、1995年ごろに、ほかのゲーム企画のために考えたものが企画ごと消えてしまい、『逆転裁判4』開発時に、本作用にアレンジして復活させたという、ある種思い出深いシナリオです。
家庭用ゲーム機では10年ぶりの発売となる『逆転裁判4』、主人公の王泥喜法介のほか、宝月茜やみぬきなど、魅力的なキャラクターも多数登場する。当時遊んだ人も、まだ遊んだことのない方も、この機会に触れてみてはいかがだろうか。