クロエは相反する要素をたくさん持っています

 Deck Nine Gamesが開発を手がける『Life Is Strange: Before the Storm』。本作は『Life Is Strange』の3年前を描く前日譚で、主人公は前作にも登場したクロエ・プライス。3つのエピソードで構成されており、エピソード1の海外での発売は2017年8月31日を予定している。国内発売については、現時点(2017年8月25日現在)では発表されていない。インタビューに応じてくださったのは、Deck Nine Gamesで『Life Is Strange: Before the Storm』のリードライターを務めるザック・ギャリス氏。

クロエはいかにして青髪のバッドアスになったのか? 『Life Is Strange: Before the Storm』リードライターに聞く【gamescom 2017】_05

――E3 2017で発表された『Life Is Strange: Before The Storm』ですが、反響はいかがでしたか?

ザック・ギャリス氏(以下、ザック) 反応はとてもよかったです。ファンは新しいゲームが紹介されたことをとてもよろこんでいるようでした。一方で懐疑的な意見があることも事実です。『Life Is Strange』の開発はDONTNOD Entertainmentが行っていましたが、本作はDeck Nine Gamesが手がけていることで心配する声がありました。ただ、開発スタジオが変わり、我々にとっては新しいゲームとなりました。スクウェア・エニックスでサポートしてくださるチームは前作と同じです。フッテージを公開し、ゲームの内容を話していく中でファンの関心は高まっています。

――会場にて試遊台を出展されていますが、ずっと長蛇の列ができています。

ザック たくさんの人がプレイしにきてくれて、とてもうれしいです。

――エピソード1の出来栄えについてお聞かせください。

ザック とてもいい感触です。8月31日のリリース日が待ちきれません。このゲームに高い関心を持ってくださる方、このゲームを愛しているという声を聞かせてくれるコミュニティ、ファンが大勢いらっしゃいます。世界中の人たちとシェアできる日を、チーム全員ワクワクして待っています。

――改めてとなりますが、本作の見どころをお聞かせください。

ザック 3年前に戻ってクロエになる機会があることです。彼女はとてもパワフルなキャラクター。彼女自身にパワーがあり、アビリティにもパワーがあるというのは興味深いことです。ライターとしても、とても楽しい。彼女とともに意味のあることが書けました。レイチェル・アンバーとインタラクトする機会にも注目してください。前作ではレイチェルはとても不可思議な女性として描かれていましたが、彼女についていろいろ聞くことはできたものの、会うことはありませんでしたから。本作では、人生で特定の時期にあるクロエを実経験できます。父親が亡くなり、マックスが去り、これまででもっとも疎外感、孤独感を味わっているため、レイチェルという女性を必要とする。そして彼女の全世界が変わっていきます。レイチェルとの出会いは、多くの人が実際に体験する「自分の人生を変えるような誰か」との出会いを描いています。

クロエはいかにして青髪のバッドアスになったのか? 『Life Is Strange: Before the Storm』リードライターに聞く【gamescom 2017】_04
クロエはいかにして青髪のバッドアスになったのか? 『Life Is Strange: Before the Storm』リードライターに聞く【gamescom 2017】_02

――クロエを描くうえで心掛けたことは?

ザック クロエは相反する要素をたくさん持っています。怒りを感じていても、ユーモアがある。激しい性格ですが、傷ついていて内面は弱い。いろいろなことに情熱を感じていますが、関心がないふりをする。それは自己防衛のためかもしれません。こうした相反する要素が彼女を人間的にしていると思います。我々も多くがそういった“ふつうの人間”です。この複雑さにフォーカスし、前作では見ることができなかったクロエの異なる面、内にある世界を見ていく。いかにして青い髪のバッドアスになったのかを、深く明確に理解することになります。

――前作のコンセプトはつねに選択があり、その選択で物語が変わるというものでしたが、本作のゲームシステムのテーマとして大事にされたことは何でしょうか。

ザック 前作は世界とインタラクトするメカニックとしてタイムトラベルがありましたが、それは前作の主人公であったマックス・コールフィールドの能力ですので本作にはありません。本作ではキャラクターと駆け引きを行う、バックトークというシステムがあります。クロエは誰にでもケンカを売りますし、誰とでも言い合いますし、けっして恐れません。クロエのそのような性格から構築した相手を言い負かす、ダイアログ・ミニゲームとなります。彼女のウィット、言葉、態度に人々が反応するので、それを使って巧みに操作する。マックスはこういうことはしませんがクロエはやってしまうわけです。タイム・トラベルの代わりではないですが、本作を象徴するひとつの例。このゲームメカニックはクロエにぴったりだと思います。

――キービジュアルで、クロエの後ろに描かれている短髪の男性キャラ(汚しが入ってハッキリ見えないキャラ)はどんな人物なのでしょうか。答えられる範囲で教えてください。

ザック 新しいキャラクターはいろいろと登場するのでどの人のことだろう(笑)。短髪ということなので絞ると、ひとりはエリオットでクロエの古い友人です。新たに登場する人物で、非常に重要な役割を演じます。短髪……あ、もしかしたらクロエの実父のウィリアム・プライスかな?(笑)。

――前作の音楽は、オリジナル曲とライセンス曲が用意され、作品の雰囲気にもマッチしていて好評でしたが、今回もライセンス曲を使用しているのですか?

ザック 今回もライセンス曲を使用しています。また英国のインディ・フォーク・バンドである、Daughterとパートナー契約し、彼らがオリジナル曲を作曲することを発表しています。クロエのキャラクターとゲームのテーマに沿ったものになっていて、とても美しい音楽です。『Life Is Strange』らしいところと『Life Is Strange』とは違うところがあります。クロエがマックスと違うように、音楽も異なるわけです。

――前作のゲームエンジンはUnreal Engineでしたが、本作ではUnityを採用されています。ゲームエンジンを変えた理由をお聞かせください。また、Unityはスマートフォンと親和性の高いゲームエンジンですが、将来的にスマホ向けにもリリースを予定しているのでしょうか。

ザック スマホについてはノーコメントとさせていただきます。エンジンを変えた理由についても私はリード・ライターですので、技術的な理由があると思いますから答えることはできません。

――E3での発表後、「日本でも発売してほしい」という声を聞くと思いますが……。

ザック それについてもノーコメントとなります。ファンのコミュニティはグローバルで世界中に広がっています。その中で日本から情熱的な意見をいただけていることはとてもうれしいです。

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