九州で“CEDEC+”を開催する大きな意味

 昨年(2015年)に開催された“KYUSHU CEDEC(コンピューターエンターテイメントデベロッパーカンファレンス)”が、今年(2016年)は“CEDEC+KYUSHU”と名を変えて、10月22日(土)に九州大学の大橋キャンパスで開催される。

 今年は、セッション数が30にスケールアップ。開幕講演にレベルファイブの代表取締役社長/CEO・日野晃博氏、基調講演にスクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジーXV』(以下、『FFXV』)のディレクターを務める田畑端氏が登場するほか、バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏、同社で『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』のプロデューサー/ゲームディレクターを担当する玉置絢氏、カヤックの代表取締役CEO・柳澤大輔氏が特別講演を実施。講演のほかに、会場では『FFXV』が発売に先駆けて試遊できるほか、プレイステーション VRを始めとした最先端のVR(バーチャルリアリティ)に触れられる体験会も実施される。この意欲的な取り組みに関して、イベントを取り仕切るサイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏と、レベルファイブの日野晃博氏にインタビューを行った。

【CEDEC+KYUSHU 2016】『FFXV』やVR注目作の講演まで開催決定! 松山洋氏と日野晃博氏が語る“CEDEC+KYUSHU”の取り組みとは!?_02
▲写真左がレベルファイブの代表取締役社長/CEO・日野晃博氏、写真右がサイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏。

――まずはじめに、CEDEC+KYUSHU 2016の企画がいつごろから動いていたのかお聞きしたいです。

松山 CEDEC+KYUSHUを行おうと思ったもともとのきっかけは、18年続いているCEDECですね。“CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)”のCEDEC運営委員会のもとで毎月会議が行われていて、私もその運営委員に参加しているのですが、CEDECはこの10年間で一定の成果を上げられたのではないかなと。

――CEDECが10年間で上げた一定の成果といいますと?

松山 CEDECは、10年前までの集客が2000人くらいだったのですが、今年は6500人を超えまして。日本の開発者人口や会場のキャパシティから考えると、ほぼほぼピークなんです。関東地方で行う年に1回の勉強会としては、ひとつの到達点だと考えました。そこで、CEDEC運営側の動きとしても、“みんなが関東に来て”ではなくて、“各地方都市で開催していきましょう”ということになりました。それで、去年、一昨年と、およそ1年間にわたって、札幌、関西、九州で1回ずつ、地方だとどんなことが行えるのか、手探りで開催してみました。

――松山氏が積極的に関わることになった経緯とは?

松山 ふだん私は運営委員に入っているのですが、CEDECのほうでは忙しさにかまけてなかなか会議に参加できずにいて。CEDEC運営委員のみなさんに「福岡でCEDECをやるんだったら、お前がここで仕事をせずにいつやるんだ」と言われまして(笑)。確かにおっしゃるとおりだなと。そこで、去年のKYUSHU CEDEC 2015では私が実行委員長をやらせていただきました。

――そこで手応えを感じられたんですか?

松山 KYUSHU CEDEC 2015には、結果的に約830人もの人が集まりました。福岡や九州だけでなく、関東関西からも人が来るような規模になって、イベントとして大成功をおさめたんですね。その結果として、去年の12月にCESAのほうで協議が行われて、「KYUSHU CEDECも含めた、地方版CEDECに手ごたえあり」ということになったんです。そこで、今回から正式に体制を整え、本格的に開催していくことになり、CESA自体が開催するCEDECの流れとして、各地方のCEDECもCEDEC+としてプロデュースしていきましょうということになりました。フットワークの軽さが我々の売りだと思いますが、結果的にCEDEC+としての公式開催としては、九州が1発目ということになりました。

――正式なイベントとして、今年からさらに盛り上げていこうとしているのですね。

松山 我々は欲張りですから、昨年の830人に満足せず、今年は日本全国から1200人の集客を目指しています。さらに、講演の内容も、昨年の22コマから今年は30コマに増やしていて、2016年10月22日(土)の1日開催ではありますが、昨年以上に熱い勉強会にしようと思っています。

――イベントをより盛り上げるために、体制などは変えられているのですか?

松山 今回は、全体統括や運営を私たちサイバーコネクトツーが担当していて、プロモーションをレベルファイブや、山倉千賀子さんが代表を務めるガンバリオンが行ってくれています。ほかにもノイジークロークの坂本英城さんなども実行委員会に加わってくれていて、各社協力のもと、担当を分けてイベントを盛り上げようとがんばっているところです。

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【CEDEC+KYUSHU 2016】『FFXV』やVR注目作の講演まで開催決定! 松山洋氏と日野晃博氏が語る“CEDEC+KYUSHU”の取り組みとは!?_09
▲福岡を拠点とするゲーム会社、株式会社ガンバリオン代表取締役社長の山倉千賀子(やまくら ちかこ)氏。
▲ゲーム音楽の制作を手掛ける、株式会社ノイジークローク代表取締役社長の坂本英城(さかもと ひでき)氏。

“GFF”と“CEDEC+”

――九州にはもともとGFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIPの略称。九州・福岡のゲーム制作会社などによる任意団体)がありますよね。ですから、連携もしっかり取れているんじゃないのかと思います。

松山 もちろん連携は取れています。毎月、GFF加盟12社と九州大学、福岡県・福岡市が参加する、産学官連携のGFF定例会を行っていますが、そのGFF定例会が終わった後に各社のCEDEC+の担当者が残り、分科会という形でCEDEC+をいかに運営して成功させるかという会議を行っています。

――CEDECではありますが、GFFでの活動をもっと広げていくような意味合いあるのですか?

日野 似たことはやっていますが、CEDECはCEDECだと思います。CEDEC+KYUSHUはCEDECとしてしっかりと講演を開催し、九州でちゃんと実施していくという感じですね。

――なるほど。とはいえ、メーカーどうしの繋がりでは、ほかの自治体よりも有利な部分はあると感じます。

松山 それはありますね。メーカーのつながりはもちろんなのですが、いざCEDECを行うにしても、福岡市が運営するクリエイティブ産業の振興のための“クリエイティブ・ラボ・フクオカ”の協賛イベントとして、市が協賛金という形で応援してくれますから。九州でCEDECをやるからには、九州、福岡でしかできないCEDECをやらないと意味がないという話を、去年も日野さんに伝えて基調講演を行ってもらったし、今回もオープニング講演を、……“快く”引き受けてくれました!

日野 いまの言いかただと、去年は快くなかったみたいに聞こえますけど(笑)。

松山 ふだんはCEDECも全然やってくれないじゃないですか(笑)! 去年はやってくれましたけど。

日野 講演はあまり得意じゃないからね。

松山 得意じゃん! めちゃめちゃ評判いいじゃん! やらないだけで。

日野 ちょっと前に『妖怪ウォッチ』の影響で、がんばってやっていた時期はあったんですけど……。

松山 去年はCEDEC、TGS(東京ゲームショウ)、KYUSHU CEDECと、3連続で講演をやられていましたからね。もう、毎月やっていましたから(笑)。なんなら最後に、日野さんは「最初から3部作で考えていた」って言ってましたからね!(笑)