いよいよ店頭でHTC Viveの体験、購入ができるように!

 HTC NIPPONは2016年7月7日、“HTC Vive”の国内向け発表会を東京・ベルサール秋葉原にて開催。国内でのパートナーシップを発表し、販売パートナー実店舗での販売開始や体験予約が可能になった。ここでは、HTC NIPPON代表取締役社長・玉野浩氏や、VR新技術部門担当VP・レイモンド・パオ氏などが登壇した発表会の模様をお届けする。

 まずはHTC NIPPON代表取締役社長・玉野氏のあいさつで発表会がスタート。

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▲玉野浩氏
▲玉野氏は「メディア、ハードウェア、プラットフォーム、販売チャンネル、コンテンツパートナー、すべてのVRビジネスのエコシステムの方々に起こしいただき、ありがとうございます」と、会場を埋め尽くした来場者たちにお礼を述べていた。

 続けて、HTCコーポレーション北アジア統括代表取締役・ジャック・トン氏より、HTC Viveの取り組みに関しての紹介が行われた。
 HTC Viveは、ユーザーに新たな世界のチャンネルを提供するもので、そこに境界はなく、アイデアを無限に膨らませることができるとジャック氏。HTC Viveの登場によって、より強力なエコシステムが構築でき、コンシューマーやエンタープライズ向けに、世界を驚かせるさまざまな話題、メリットを提供できるだろうと、ジャック氏は語っていた。

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▲ジャック・トン氏
▲ジャック氏が掲げるHTC Viveのロゴマークは、ヒューマニティ、テクノロジー、イマジネーションの3つを表しており、その中心には新たなチャンス・体験が生まれてくるというタマゴが描かれている。

 ジャック氏の紹介が終わった後は、HTC Viveのコンテンツに関する取り組みについて、レイモンド・パオ氏より説明が行われていった。レイモンド氏は、VRによってユーザーのイマジネーションが広がり、皆の生活が変わってくると、VRの定義を述べたうえで、コンテンツに関するエコシステムの説明をしていった。

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▲レイモンド・パオ氏
▲「VRの経験を2Dのディスプレイで表示することは、ほとんど不可能です。実際に経験してみれば、これが本当にすごいということがわかります」とレイモンド氏。

 HTC Viveのコンテンツを開発者、デベロッパーが円滑に行うことができるようにするエコシステムとして、HTCでは“VIVE X”というVRコンテンツ制作者サポートのためのアクセラレーターを用意。以下にあげたようなさまざまな面で、世界各地のスタッフと協力体制を取りながら、最適なサービス・サポートを提供してくれるとのこと。

・Investment(投資)
・Mentorship(指導)
・Tech Support(技術サポート)
・Fund-Raising Support(資金調達サポート)
・Media Exposure(メディア露出)
・VR Labs(VR研究)
・Product Integration(製品統合)
・APVRA Network(APVRAネットワーク)
・Office Space(オフィススペース)
・Operation Support(運用サポート)

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▲HTCが取り組む制作者サポートの“VIVE X”。コンテンツのエコシステムを充実させるため、さまざまな面での支援を行っている。
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▲VRVCA(バーチャル・リアリティー・ベンチャー・キャピタル・アライアンス)で、VRに関心のある開発者、企業等に、資金面でのサポートも行っており、今後は100億ドルほどを投資したいとレイモンド氏は語っていた。

 ここで、HTC NIPPONの代表取締役、玉野氏がふたたび登壇。HTC NIPPONが、Viveをどのように展開していくかについての説明が行われた。
 玉野氏は、HTC Viveを「無限の可能性を秘めている=無限のビジネスチャンスが生まれてくる」ものと語っており、コンシューマーに向けた販売の考え方が述べられた。現状はVR未経験の方が多いので、体験する場所を用意しないと購入してもらえないのではないか。そう考え、店頭にHTC Viveを体験できるコーナーを設置。さらに、体験コーナーがどこにあるのかを検索できるサービスも、販売パートナーのデジカと協力して開始している。開発者向けのサポートも引き続き続けていくとのこと。
 販売チャンネルに関しては、HTCとデジカがタッグを組み、ドスパラ ガレリア、TSUKUMO、UNITCOMの店舗で販売を開始。6月1日から開始しているHTCのインチャンネルも引き続き販売を行っていく。

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▲7月7日時点での販売開始の店舗。日本各地に販売ショップが点在しているが、今後カバーエリアを増やしていきたいと玉野氏は語っていた。
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▲最後まで調整が行われた小売価格は、99800円[税抜]。
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▲B2Bのチャンスも大きく、急激な拡大が予想されており、現在もいろいろな業種から引き合いがあるとのこと。
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▲店舗に用意されるHTC Vive体験スペースのイメージ。

 ここからはSteamの日本円決済や関連グッズの販売などでValve社と提携の深い、デジカ代表取締役社長のジャック・モモセ氏がステージに登壇。デジカの販売パートナーとしてのHTC Viveに対する取り組みが語られていった。デジカが掲げているおもな役割は、VR体験の場を広く提供すること、VRコンテンツ普及のための環境作り、Viveの普及、コンテンツパブリッシャーサポートの4点。ジャック氏は、VRデバイスを買っても、コンテンツがなければ意味がない。コンテンツも、VRデバイスが普及していないと出てこないという、ふたつのステップを同時に推し進めていくための施策・サポートを行っていくとのこと。
デジカが提供するHTC Vive予約システム http://www.vivedemo.jp(⇒こちら)

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▲デジカは、2016年6月1日よりHTC Viveのオンライン販売もスタートさせている。
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▲デジカが提供するVR予約システム。サイトを利用することで、VR体験ができる場所を探すことができる。

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 これより、新たにコンテンツパートナーとなった企業の紹介が行われていった。今回コンテンツパートナーとして登壇した企業は、バンダイナムコエンターテインメント、コロプラネクスト、電通、大日本印刷、グリー、スクウェア・エニックスの6社。各企業の担当者が登壇し、HTC Viveの魅力や取り組みなどについて語っていった。以下に、それぞれの内容を紹介していく。

バンダイナムコエンターテインメント
AM事業部 エグゼクティブプロデューサー 小山純一郎氏

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小山氏 「B2B分野として、HTCさんにはいち早くお声がけをいただき、現在“VR ZONE”という体験型イベントをお台場で運営しています。HTC Viveはヘッドトラッキングやポジショントラッキングの性能に優れているので、体験者からの評判もすこぶるいいです。また、運営開始から約2ヵ月半、これまで延べ15000人ほどの人に体験してもらいましたが、故障はたったの1台と、非常に頑丈なこともメリットです。ほかのVRゴーグルと比べても脱着がしやすいですし、単純に見えて合理的なところがすごい機器だと思います。7月15日からは、“マックスボルテージ”という、自分がロックスターになったような体験ができるコンテンツと、『装甲騎兵ボトムズ』でスコープドッグに乗り込めるコンテンツが開始されるので、皆さんのご来場をお待ちしています」

コロプラネクスト
代表取締役社長 山上愼太郎氏

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山上氏 「コロプラではスマートフォンのゲームを開発していますが、数年前からVRの開発も行っていまして、ちょうど去年、360度動画の会社を作ったりと、以前からVRには注力していました。HTC Vive向けには『colonel Cyberpong VR』(2016年)という、卓球のようなゲームを出しています。ひとりでも楽しめますが、対戦モードではサイバー空間内で、世界中の誰とでも対戦が行えるようになっています。このコンテンツは、HTC Viveのルームスケール機能がないと実現できなかった、VR向けのスポーツゲームですね。その他のコンテンツも開発中ですので、近々発表できると思います。コロプラネクストでは、Colopl VR Fundで、幅広いVRの会社への投資を行っています。HTC Viveのシステムは空間内を自由に動けるということで、新しい体験を生み出すことができるのではないかと我々自身、非常に期待しております」

電通
第4CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ・センター クリエイティブ・ディレクター 寺本誠氏

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寺元氏 「私たちは、サンシャイン60の展望台で、人間大砲を使って東京の上空を飛んで回るという、“TOKYO弾丸フライト”というコンテンツを提供しています。これは、大砲で撃ち出されたあとに、約2分間東京の名所を回っていくというコンテンツになっています。バーチャルリアリティーは、いままでは見るだけだった展望台に、体感していただくという拡張体験をもたらしてくれる重要な役割を持っています。HTC Viveの良さは、解像度のクオリティが高い点にメリットを感じています。老若男女、多種多様な方がストレスなく体験してもらっています。現在、いろいろなクライアントから提案を受けていますが、そういった面においてもHTC Viveには期待しています」

大日本印刷
ABセンターコミュニケーション開発本部 デジタルアーカイブビジネス開発部部長 久永一郎氏

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久永氏 「私どものプロジェクトは、BNF×DNP MUSEUM LAB Global in Motionという、古今東西の地球儀を所有しているフランス国立図書館の地球儀・天球儀のコレクションをデジタルアーカイブするものです。マルコ・ポーロが活躍した時代や、ヴァスコ・ダ・ガマが世界を一周した15世紀頃は、地球が丸いことはわかっていましたが、アメリカ大陸や、黄金の国・ジパングの位置がわかっていなかったりと、おもしろい地球儀になっています。また、天球儀は星空を球体に写し込んだものになりますが、これをVRで再現すると、球体の中から実際に星空を見ているような体験もできるようになります。こうした、時間を超えるような、実際にはできない体験が可能になる体験コンテンツを、DNP五反田ビルで提供しています。VRに関しては、これから教育分野でもっと活用されていくのではと思っています」

グリー
Wright Flyer Studios事業本部 VR Studio副部長 江本真一氏

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江本氏 「グリーは昨年、VRスタジオを設立し、東京ゲームショウ2015にもVR作品を出展したり、フジテレビとの共同プロジェクト“F×G VR WORKS”を発足しています。先日発表会を行った“F×G VR WORKS”では、ソーシャルビューイングのコンテンツを出展しました。これは、15畳くらいのVR空間内に200インチ相当のモニターが置かれており、そこで仲間といっしょにバレーボールを観戦するといったものになっています。このコンテンツでは応援観戦グッズとしてバルーンスティックが使えるのですが、これがHTC Viveのコントローラーと親和性が高いんです。HTC Viveのすごいところは、当たり前に思っていることが当たり前にできることにつきます。我々はソーシャルにこだわりを持っており、今後芸能人やスーパースターといっしょに話ができたり、発達したAIと話をするような、現実と仮想がミックスされたような体験ができる未来に進んでいきたいと思っています」

スクウェア・エニックス
第10ビジネス・ディビジョン プロデューサー 加島直弥氏

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加島氏 「我々は、2014年11月19日にスマートフォン向けに配信を開始したRPG『乖離性ミリオンアーサー』のオフラインイベントで、今年の1月に日本初となるHTC Vive Preを使用したVR技術デモを展示したのですが、VR元年の初めに、HTCさんに協力いただいたことで、日本ではじめてHTC Viveをお披露目させていただきました。HTC Viveを使っていちばんいいと感じたところは、コントローラーがふたつあって、ゲーム内に両手が表示されるという、当たり前のことが当たり前にできているというところです。『ミリオンアーサー』のデモでも、手を使ったインタラクションを行わせていただきました。また、ルームスケールのトラッキングスペースが広いということも利点としてあげられます。ほかのVRデバイスでは、頭を動かしているとトラッキングを外れてしまうこともありますが、Viveではかなり動き回ってみても、トラッキングが外れることがないのはすごいですね。初めて体験する人も、十分に楽しんでもらうことができると思います」

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▲発表会終了後は、HTC Viveのさまざまなコンテンツの体験会が催されていた。
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▲今回の体験会の目玉は、日本では初試遊となるグリーンバックでのVR体験ブース。これは、VR体験者の背景に、VR世界の画像を合成したものをモニターに映し出すことで、ヘッドマウントディスプレイ装着者がどのような体験をしているのかを、被体験者もモニターで確認できるシステム。
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▲このように、何もない空間でVR体験をしているのだが、モニター越しに見てみると、VR世界が合成して写し出され、プレイヤーが何をしているかが第三者でも確認できる。今後、このグリーンバック合成でのVR体験の機会も増やしていくとのこと。VR体験を外から見学するという、これまでにない斬新な感覚を楽しむことができる。

 国内での正式販売と試遊スペース、サポートなど、本格的なVRの普及に乗り出したHTC NIPPON。とくに、体験試遊できるスペースの増設は、VRのすごさを知るにはうってつけのサービスとも言える。開発者に向けたさまざまなエコシステムや、一般ユーザーが体験できる機会の増加、さまざまなサポートなども含めて、今後のますますの展開が期待されるところだ。