よいか読者の諸君。我々は『ロマンシング サガ2』というゲームで遊ぶ。iOSとAndroidのほか、プレイステーション Vitaでも遊べる。どのハードでプレイしても内容に差はない。安心してプレイしてくれ。皆さんこんにちは、リプ斉トンです(ここまで挨拶)。この記事では、本作をクリアーまでプレイした筆者のプレイインプレッションをお届けしたいと思います。いやー、ついにクリアーまでプレイしてしまいました、リマスター版『ロマンシング サガ2』(以下、『ロマサガ2』)。シリーズのポイントである、自由に攻略できるフリーシナリオシステムと特徴的なキャラクターの育成システム、そして降り注ぐ理不尽、ああ、これが『ロマサガ2』だと思える最高のできばえのゲームでした! この記事を読んでくれた人が、ちょっとでも本作を遊びたくなってくれれば幸いです。

20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_01
20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_02

七英雄(とアリ)との20年越しの再開

 スーパーファミコン版が発売された当時は、私は何も知らない無垢な小学生。当時の私はナウい小学生の例に漏れず、スクウェアとエニックスのRPG作品を片っ端からプレイするゲームファンでした。そんななか「スクウェアから、新しいRPGが出るらしいぞ」と同級生のNくんから情報を聞き、ゲームショップで予約をして発売日に購入。これが私と『ロマサガ2』の出会いだったと記憶しています。『ロマサガ2』と言えば、その高い自由度が特徴的ですが、当時の少年はその難度がどういったものなのか知りませんでした。噴火するコムルーン火山、キャットを見捨てたせいで苦労する羽目になった運河要塞、そして逃がしてくれないラスボス……。まだインターネットも普及していない当時には、攻略情報は友だちとの情報交換か、攻略本の発売を待つのみであったため、基本的には手探りでゲームを攻略することになるわけですが、『ロマサガ2』は小学生にはかなり難度の高いゲームであったと、いまになって思います。

 同級生のNくんはセーブデータが消えないように、セーブするときはすべてのデータを上書きしていくクセがあったのですが、ラスボスの手前でもそれをやってしまい、例の「逃がさん」というセリフを聞かされて放心状態になったというエピソードを鮮明に覚えています。放心状態のNくんを慰めつつ、「やっべー俺はもっと手前でセーブしておこう」と慎重になれた少年でしたが、それだけ用心してもラスボスの怒涛の攻撃の前になすすべもなく敗れ去っていきました。なんでHP3桁のゲームなのに、4桁のダメージを食らうんだよ!! そう、少年は当時『ロマサガ2』をクリアーまでプレイできなかったのです。人生初の挫折を味わった少年は涙し、いつか必ずリベンジすると心に誓ったのでした。う~ん、懐かしいですね。あ、これは余談ですが、Nくんはけっきょく『ロマサガ2』を最初からやり直していましたが、やっぱりクリアーできていませんでした。ざまぁ。

20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_03
20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_04

 そんな想い出もいまは昔。ついに『ロマサガ2』がリマスターされて登場するというではありませんか!! あのころはどこにでもいるゲーム少年でしたが、そんな私も成長し、いまは立派なナイスガイへと成長しました。「ついに決着をつけられるな七英雄!」と意気込み、本作のリリースを楽しみに待っておりました。いちファンとして本当に感無量です。勝手な因縁を叩きつけられた七英雄も堪ったものではありませんが、この20年越しの決着をつけるために無理やり犠牲になってもらいます。先帝(自分)の無念を晴らす!

20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_05

リマスター版の要素&iOS版とAndroid版の操作性はどうだった?

 本作は3つのプラットフォームでダウンロード販売されていて、プレイステーション Vita版はスーパーファミコン版のように方向キーとボタンで、iOS版とAndroid版はタッチパネルで操作が行えます。「プレイステーションVitaは持っていないから、スマホでプレイしてみようかな。でも操作性はどうなのかな?」と思う人もいるかと思いますが、そんな心配はご無用。iOS版とAndroid版の操作性、かなり優秀です!!

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20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_07

 iOS版とAndroid版は画面で指を触れた場所が方向キーとボタンになります。片手で方向キーとボタンの操作を兼ねることができるので、通勤通学中に電車のなかで吊革片手にゲームをプレイすることも可能です(歩きスマホは危険なのでやめましょう)。さらに、方向キーに該当する移動操作もビックリするくらいキビキビです! 両手でも片手でも快適に操作できるので、よりお手軽にプレイしたいという人はiOS版とAndroid版がオススメです。

 ただし、iOS版とAndroid版では、やはりタッチパネルでの操作ということもあり、細かい移動で敵を避けつつ進む操作や、バトルから退却した直後の移動の操作などは、若干コツが必要になります。タッチパネル自体の操作性はかなり優秀だと感じますが、操作性は実ボタンで操作できるプレイステーション Vita版に軍配が上がります。より高い操作性を求めるという人は、プレイステーション Vita版でプレイしてみてはいかがでしょうか。

 とはいえ、iOS版とAndroid版の操作性は、私がいままでプレイしてきたスマホゲームのなかでは文句なしに最高のデキで、リマスター版を初めてプレイしたときには感動を覚えたほどでした。ゲーム内容に差はないので、こういった点を踏まえてどちらのハードでプレイするかを決めていただきたいですね。

 また、リマスター版には陰陽師と忍者という新クラスや、強力な新装備も追加されているので、「もっと『ロマサガ2』で遊びたかった」という人は、これらの追加要素にも注目していただきたいところ。さらに、ラスボス手前で「逃がさん」と言われてしまった人への救済措置として、“強くてニューゲーム”が追加されています。これは、覚えた術と技や一部のアイテムを引き継いだ状態で最初からプレイできるというもの。詰み状態に対する救済措置でもありますが、アイテムをコンプリートしたり、最強データを作ったりといったやり込みに対しても利用できそうです。当時Nくんが詰んでしまったとき、強くてニューゲームがあれば彼の悲しむ顔を見ずに済んだのかもしれません。そして、隣でゲラゲラ笑ってしまった私とNくんが殴り合いの喧嘩をすることにもならなかったのかもしれません。

20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_08
20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_09

 また、リマスター版では、背景グラフィックも美麗なクオリティーへとパワーアップしています。さらに、ボスなどの強敵のグラフィックがアニメーションするようになっている点にも注目です。初めてグラフィックを見る人にはかなり新鮮に見えると思いますが、少しプレイすれば最初からこのグラフィックであったかのように目になじみます。「スーパーファミコン時代のゲームをいまプレイするのはキツい」という人も、絶対に満足できるクオリティーです。

 つぎにゲームシステム面ですが、大部分はスーパーファミコン版を踏襲しつつ、かなりの親切設計がプラスされています。そして、そこにはいまだからわかる新しい発見が多数ありました。たとえば、『ロマサガ2』では重要な要素である陣形。メニューを開いて陣形を決めるとき、詳細な効果が表示されるようになっています。攻撃力がアップする立ち位置、敵から狙われにくい立ち位置、素早さがアップする立ち位置などが表示され、どんな効果がある陣形なのかが一目瞭然なのです。

20年越しの七英雄との決着をリマスター版でつける! 『ロマンシング サガ2』プレイインプレッション_10

 『ロマサガ2』の人気陣形ランキングがあれば絶対に1位になるであろうアマゾンストライク。スーパーファミコン版当時は「なんだか知らんが強い」くらいにしか感じていなかった人も多いと思いますが、これは前衛の3人は素早さと接近攻撃の威力がアップするうえ、行動したあとに自動で防御をしてくれるなんて効果があったんですね。もうひとつ人気の陣形と言えば、「なんだか知らんが早い」と言われたラピッドストリームですが、これは敵よりも必ず早く行動できる代わりに、素早さのパラメーターがガクっと下がるうえ、回避行動が取れなくなるというデメリットがあったんですね。これも知りませんでした。

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 『ロマサガ2』ではもっとも有名であろうインペリアルクロスの陣形も、帝国重装歩兵のベアの定位置であるいちばん前は行動してから防御する効果があったんですね。こんなふうに20年以上の時を経て新しい発見をすることもチラホラ。当時から変わっていないはずなのに新たな発見をするなんて、なんて奥が深いゲームなんでしょうか(惚れ惚れ)。