純粋に協力プレイを遊んでみたいと思った方に楽しんでもらえる内容

 バンダイナムコエンターテインメントから絶賛配信中のWii Uダウンロードソフト『ロスト・リーバース』。週刊ファミ通2015年12月10・17日合併号(2015年11月26日発売)では、原田勝弘プロデューサー(バンダイナムコエンターテインメント)、大谷 宗プロデューサー(バンダイナムコスタジオ)へのインタビューを掲載した。その完全版をお届け!

『ロスト・リーバース』の配信がスタート! 原田勝弘氏&大谷宗氏のインタビュー完全版をお届け_01
<写真左>
バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー 原田勝弘氏

<写真右>
バンダイナムコスタジオ
プロデューサー 大谷 宗氏

――まず、『ロスト・リーバース』は、どのようなコンセプトで開発されたのかを教えてください。

大谷 宗氏(以下、大谷) “仲間と協力しながらお宝を持って帰る”ということに重点を置いたゲームです。ステージにある“ギミック”の解除中やお宝の運搬中は無防備な状態になるため、仲間が守る必要があります。また、ボスキャラクターも登場しますが、“仲間と協力しながらお宝を持ち帰る”というのがおもなコンセプトなので、ボスを倒さなくてもクリアーすることは可能です。ですが、倒せばより豪華な報酬が手に入るというわけです。

――タイトルの『ロスト・リーバース』はどういう意味なのでしょうか?

大谷 “リーバース”ってふだん聞き慣れない単語だと思いますが、“略奪者”という意味で、ゲームのコンセプトでもある“持って帰る”、“奪取する”という部分にかかっています。“ロスト”は“失われた”などという意味ですね。これは4人のキャラクターが失われたはずの特別な存在であるということにかけています。プレイヤーが持って帰るお宝のことを“レリクス”と呼ぶのですが、レリクスは高エネルギー体のため特殊な能力を持った人しか触れることができません。能力のない人が一定の距離まで近づくと死んでしまうくらい影響力がある物質なんです。それに直接触れることができるのが、プレイアブルキャラクターである4人というわけです。この世界はエネルギーが枯渇しているため、高エネルギー体を見つけ出し、何度も取りに行って持って帰らなければならないという世界設定から『ロスト・リーバース』と付けました。

――開発はいつごろから始められたのでしょうか?

原田勝弘氏(以下、原田) 2013年の年末ですね。

――2013年年末ですと、『鉄拳レボリューション』を出された後に、プロジェクトが立ち上がったということでしょうか?

原田 時期的にはそうですが、『ロスト・リーバース』の開発チームは、『鉄拳レボリューション』とはまったく関連なく、若手のクリエイターを中心に集めています。じつは、若手のクリエイターに、プロジェクトの立ち上げからゲーム制作までを経験してもらうという裏コンセプトもあります。僕らの若いころは、『鉄拳』、『ソウルエッジ』、『太鼓の達人』、『アイドルマスター』などの立ち上げに参加でき、いろいろな経験を積ませてもらった人が多いんです。いまの20代、30代前半ぐらいまでのクリエイターは、入社後いきなりシリーズもののプロジェクトに組み込まれて、イチから何かを作るという経験があまりないので、そういう人たちを集めました。ですので、『ロスト・リーバース』はいままであまり組んだことのないメンバーで開発しています。

――なるほど。最初からWii Uで基本無料の“フリー・トゥー・スタート”タイトルとして動いていたのでしょうか?

大谷 新しいIP(知的財産)ということで、まずはたくさんの方が気軽にプレイしていただけるように、基本無料で遊べるものにしたいと考えていました。Wii Uはフリー・トゥー・スタートのタイトルが少なかったため、新しい層に向けたチャレンジをしてみようというところからスタートしました。

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――2015年9月にオープンβテストが行われましたが、反響や手応えはいかがでしたか?

大谷 我々が想定していたよりもだいぶ多くの方にプレイしていただき、アクセス数もかなりありました。また、当初予定していたターゲット層とは別に、年齢の若い方がプレイされていた傾向のデータも取れました。夕方前の学校帰りくらいの時間から急激にアクセス数が増えて、21時ぐらいになると落ち始めるという。

原田 おっ、若いね!(笑)。そういうデータが見られるから、フリー・トゥー・スタートっておもしろいですよね。

――そうですね。ちなみに、当初予定されていたターゲット層というのは?

原田 当初と言いますか、ゲームというものはおもしろくて、コンセプトを立ててこういう人たちをターゲットにしようと決めても、紆余曲折で方向性を変えたり、βテストで明らかになったデータをもとに修正したり、とくにパッケージのゲームは変化するものだと思っています。チームを組み始めて間もないころ、任天堂さんにWii U発売後1年間の購入者層を一生懸命聞いていました。なぜなら、それがフリー・トゥー・スタートのターゲットになっていくだろうと思ったからです。 ただ、オープンβテストで、学校が終わるくらいの時間に人が増えて、若い人が寝るような時間に人が減るというデータが出たことは少しばかり想定外でしたね。

大谷 あと、早朝にもアクセス数が少し増えています。

原田 あ、学校行く前!?

大谷 朝練ですかね?

原田 それだ! 若いね(笑)! 40代になるとどんなに楽しみにしていたゲームでも、朝早起きしてやろうなんて思わないなあ(笑)。朝30分早起きして30分遊ぶくらいなら、夜中に30分長く起きるよ(笑)。

――(笑)。オープンβテストでは存在しなかったボスがサービスイン時に登場するそうですが、ボス以外でサービス開始時に新しく導入される要素はあるのでしょうか?

大谷 細かい部分を含めるとたくさんあるのですが、システム的なところで言うと、キャラクターの成長要素です。スキルを割り振って自分好みのキャラクターに強化することができます。また、入手した武器の強化も行える仕組みが入っています。

――開発で苦労されたところがあれば教えてください。

原田 いろいろなプロジェクトから人を集めたので、どんな仕事をどういう風にやるのか、チーム内での連携と言うかコミュニケーションの取りかたに最初は苦労したんじゃないかな?

大谷 そうですね。ゲーム的な部分では、“マルチビューアクションシステム”です。視点を換えることで見えかたも違うし、一人称視点では専用のモデルやモーションを用意したり、すべての視点で調整を行わないといけないので苦労しましたね。

原田 協力プレイでフリー・トゥー・スタートって言ったら、いろいろな人が集まるじゃないですか。たとえば格闘ゲームなら、投げキャラクターや大型キャラクターなど、バリエーションがあればいくつか試しているうちにしっくりくるキャラクターが見つかると思うんです。それと同じで、単なる戦いかたではなく、システムごと自分に合ったキャラクターがいたほうがいいのではないか? ということを提案してみたら、案の定苦労したという(笑)。

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――かなり苦労されたと思いますが、好みに合わせて視点切り換えが行えるのはうれしいシステムだと思います。それでは、キャラクターについてお聞きしますが、4人のプレイアブルキャラクターの中でオススメを教えてください。

大谷 オススメと言いますか、個人的なお気に入りはヴィクトリアです。最初はとっつきにくいのですが、キャラクターの特性を理解して操作すると途端におもしろくなるようなキャラクターです。

原田 さきほども言いましたが、視点がいくつか入っているのが本作の特徴でもあるので、自分にいちばん合う視点、操作のキャラクターを選ぶのが良いんじゃないですかね?

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

大谷 FPSが好きな人も、あまり得意ではないという人も、いっしょに集まれる場だと思いますので、ジャンルの垣根を取っ払い純粋に協力プレイを遊んでみたいと思った方に楽しんでいだだけるような内容になっています。9月に行ったオープンβテストのフィードバックをもとに、さまざまな要素の修正・調整を行いましたので、リリース版にご期待ください。

原田 世の中にいろいろなソフトがあるので、(ゲームを)遊ぶということに追われがちですが、フリー・トゥー・スタートは友だちが集まったときだけ遊ぶかみたいなことができるのがいいとこだし、まさにフリーだと思うので、気軽に楽しんでもらえるとうれしいですね。