『コール オブ デューティ』らしさは健在!

 2014年9月18日から21日まで、千葉県の幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ 2014。スクウェア・エニックスから2014年11月13日発売予定のプレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360、PC用ソフト、『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』の情報を掲載する。

 じつはちょっとだけ心配もしていたけれど……ぜんぜんだいじょうぶ! いや、むしろかなりいい感じ!! 

 何がって、そりゃあ本作からの新要素“立体軌道”ですよ。“世界でもっとも遊ばれているFPS”である『コール オブ デューティ』(以下、『COD』)シリーズの最新作『 アドバンスド・ウォーフェア』の舞台は、テクノロジーが大幅な進化を遂げた2054年の近未来。軍事技術も現在とは比べものもならないほど発展しており、兵士たちは強化外骨格“エグゾ・スケルトン”(以下、エグゾ)をまとい、人間離れした腕力、耐久力、スピードを持つ。つまり、本作では規格外のパワーを備えたまさに“超人”とも言える兵士たちが、高いところにビュンビュンジャンプしまくりのスーパーバトルをくり広げることになる。記者は最初にエグゾを身につけた兵士が描かれた本作のメインビジュアルを見た際に、ワクワクすると同時にちょっとした不安を感じてしまったのも事実。「『COD』、変わっちゃうの?」 。これまで10年間シリーズを通してプレイしてきた者にとっては、もしかしたら別ものになってしまうと思うとやっぱり心配だったりする。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_02

 だが、その心配も杞憂だったようだ。『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』のマルチプレイヤーモードをTGS2014の会場で体感したところ、確かに大きく変わってはいるが、シリーズらしさは健在だと感じた。新要素のエグゾを駆使したジャンプ=立体軌道は、言葉ではちょっと説明しづらいのだが、じつにいい塩梅に仕上がっている。ジャンプの性能が高すぎると兵士がぴょんぴょん飛び回る“ジャンプゲー”になるし、低すぎると誰もジャンプをしなくなる。本作のジャンプは、障害物を飛び越えるのにピッタリで、左右の分かれ道があったときに、どちらに進むかだけではなく、目の前の壁を乗り越えるという新しい選択肢が増えた恰好だ。また、ジャンプ中にダッシュすることで一瞬速度がアップする“ブーストスライド”を使えば、敵に狙われた際に回避しやすくなった。立体軌道が加わり、戦闘がよりスピーディーかつ奥深くなった印象を受けた。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_01
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_03
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_04

 TGS2014の会場では、日本マイクロソフトブースにて『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』のマルチプレイヤーを体験可能。ここからは、2014年9月20日にスクウェア・エニックスブースで開催されたステージイベントの様子や、本作の開発を担当するSledgeHammer Gamesの共同設立者であるグレン・スコフィールド氏によるプレゼンテーションの要約とインタビューをお届けする。

TGS2014ステージイベント&プレゼンテーション

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_06

 ステージイベントでは、SledgeHammer Gamesのグレン氏とスクウェア・エニックスのローカライズプロデューサーの塩見氏が登壇。『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』に関するプレゼンテーションと新しいトレーラーが公開された。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_07
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_08

・開発について
ユーザーに驚きを与える革新性、これまで10年にわたって続けてきた2年サイクルの開発期間を3年に変更したことでクオリティーが大幅向上、プレイステーション4とXbox Oneをベースに開発を進めた新世代機クオリティー。

・ゲームのおもな要素
没入感の高いユーザーを夢中にさせる物語、ゼロから作り直したゲームプレイ、何度でも遊びたくなる仕掛けが満載のマルチプレイ。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_09

・『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』の世界観
AR(拡張現実)を利用したユーザーインターフェースの進化、軍事考証に基づいた近未来の兵器群、兵士に新しい動きをもたらすエグゾ、水上を自由に走り抜けるホバーバイクを始めとする多彩な搭乗兵器。

・エグゾの挙動
縦軸の移動を可能とするブーストジャンプ、ジャンプ中に高速移動するブーストスライド、高所から飛び降りつつ敵に格闘攻撃を仕掛けるブーストスラム。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_10

・バッテリーについて
エグゾの能力はバッテリーと引き替えに使用可能。バッテリーは特殊能力PERKで強化できるPERKで兵士を強化するかエグゾを強化するかは、プレイヤー次第。

・『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』のストーリー
これまでは、大国どうしの戦争に身を投じた兵士の姿を描いていたが、本作ではPMC(民間軍事会社)が大きく関わってくる。世界的規模のテロ攻撃によって、五大陸にある原子炉が被害を受けた。各国政府は機能を停止し、世界は大混乱の渦に陥る。国の軍事力が衰退することで、民間軍事会社“アトラス”の力は逆に増大していく。テロリズムによって大国が機能停止したとき、国を超える軍事力を持つ企業は果たしてどんな行動を取るのか。主人公はミッチェルという兵士で、新米だった彼がエリートに成長していく過程が描かれる。主人公だけではなく、まわりにいるキャラクターの背景やストーリーなどを描写し、登場人物に深みをもたせようとしている。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_11
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_12
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_13
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_14

・ゲーム後半のミッション“COLLAPSE”のデモンストレーション
舞台はサンフランシスコ。テロリストの攻撃を防ぐためハイウェイでクルマを走らせて“ある積み荷”を追う。ターゲットを橋まで追い詰めると、エグゾに身を包んだ敵兵が多数出現。激しい銃撃戦がくり広げられる。その後、橋が崩壊し、兵士やクルマが飲み込まれていく……。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_15
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_16
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_17
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_18
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_19
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_20
“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_21

・カスタマイズについて
13のポイントを振り分けて兵士を強化する“PICK13”、兵士やエグゾを強化する特殊能力PREK、スコアを一定値稼ぐことでさらに強力な兵器を運用する“ストリークス”、新しい装備を入手したら、射撃場“ファイアリングレンジ”で試し撃ちをすることが可能。キャラクターの外観はパーツごとに設定でき、待機時間にほかのプレイヤーの装備品が見られる。プレイ時間に応じてもらえる“サプライドロップ”は武器やパーツなどがランダムで入っている。

“立体軌道”がFPSの金字塔を変える——『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』ステージイベント&インプレッション&開発者インタビュー【TGS 2014】_24

SledgeHammer Gamesグレン氏へのインタビュー

——ミッション“COLLAPSE”のラストで橋が崩落するシーンは、まさに圧巻でした。『COD』シリーズの開発チームは、ああいった“ゲームの中でしか描けない世界”を、どのような工程で表現しているのでしょうか?

グレン・スコフィールド(以下、グレン) 気に入ってくれて、ありがとうございます(笑)。“COLLAPSE”の大破壊は、本当に長い時間をかけて作り上げました。最初は“この場面で爆発がある”といった、ごくシンプルなストーリーボードを設定し、そこから肉付けをしていくのです。橋が轟音とともに崩れ落ち、クルマが滑り落ちていくところなど、細かいディテールを積み重ねることが重要でした。このシーンを表現するために、何人かのスタッフたちが2、3ヵ月ほど時間をかけてました。

ーー破壊シーンを見せるためだけの破壊ではなく、ストーリーとして意味のあるものにするのはたいへんそうですね。

グレン そうですね。それは最初のストーリーボードの時点で綿密にきめています。本作の物語は、すべての話が壮大でつながっている必要があります。“COLLAPSE”の大破壊も、ただ橋が壊れるだけではなく、橋の下にある空母が重要だったりするのです。その先の展開にご期待ください。

ーー橋の崩落はゲームのワンシーンとのことですが、これを越えるインパクトがあるシーンを期待していいですか?

グレン もちろん。本作では、ゲームを始めてすぐにこれ以上の衝撃が待っています。オープニングは、本作の開発において、もっとも時間とお金をかけて作り上げたシーンです。

ーーそれは楽しみですね! つぎはゲームプレイについてお聞きします。私は、強化外骨格エグゾを装着した兵士を見て、「どんな新しい戦いが待っているのだろう」と胸躍ると同時に、これまでの『COD』シリーズとはまったく異なる世界観に少し不安を感じることもありました。しかし、会場で実際にプレイしてみて、『COD』のプレイ感覚にみごとにフィットしていたことに驚きを感じました。このアイデアを盛り込むのに、相当な苦労があったのではないでしょうか?

グレン ええ。『COD』の戦いに縦軸の概念を持ち込むのは、とてもたいへんで、時間がかかる作業でした。それぞれのテクノロジーを見直してバランスを取った感じです。とは言え、シリーズの歴史からみて、初めて3年間の開発期間をかけて作る『COD』でもあるので、納得いくまで調整できたのが大きいですね。

ーージャンプの感覚が気持ちよくて、じつによくゲームになじんでいると思いました。それも3年間の成果でしょうか?

グレン 良好なプレイフィーリングはこだわった部分です。我々は、3年をかけて、物語やゲームプレイ、マルチプレイなど、すべての面においてパーフェクトを目指しました。私とパートナーであるマイケルは完璧主義者なので(笑)、すべてが大事なのです。

ーー発売前からこんなことを聞くのもなんですが、エグゾを駆使した立体起動が加わったことで、ゲームスピードが大きくアップした印象です。過去のシリーズ作に戻れなくなるプレイヤーも増えそうですね。

グレン そうですかね? いまの私の頭は完全に本作にフォーカスしているので、ほかのことは目に入りません(笑)。ただひとつ言えるのは、本作はベストであることです!

ーーTGSの会場では、マルチプレイの新モード“アップリンク”がプレイできましたね。

グレン アップリンクは、銃撃戦の最中にボールを拾ってゴールの中に投げ入れる“未来のバスケットボール”みたいなものです。ただゴールに投げ入れるのではなく、持ったまま入れば高い得点が得られます。チームは新しいモードを作るのに時間を掛けています。

ーー気軽にプレイできるのもよかったです。

グレン そうですね。eスポーツという側面から見てもとてもエンジョイできると思います。

ーーアップリンクなどの新モードだけではなく、従来からあるモードも収録されているのでしょうか?

グレン もちろん。キャプチャー・ザ・フラッグやドミネーションを収録していますよ。ちなみに、エグゾの能力を無効化したチームデスマッチはあります。

ーー新しい武器はどんなものがありますか?

グレン 本作には350種類以上の武器が存在します。弾丸ではなく、レーザーを照射するダイレクトエナジーウェポンや、二丁持ちの武器もあります。たくさんあるので、すべてを紹介するのが難しいですね。

ーーグレンさんのお気に入りは?

グレン 標的に向かって弾が誘導されるスマートグレネードランチャーです。キャンペーンモードでは、ビルの中にグレネードをを打ち込んでおけば、あとは敵のことを忘れてもいいほどの破壊力があります(笑)。

ーーそれはすごい(笑)。マルチプレイヤーを何度も遊びたくなるという仕掛けとは?

グレン 本作からの要素としてサプライドロップがあります。これはプレイ時間に応じて武器やパーツがランダムでもらえるというものです。武器の場合はスペックが違うので、もしかしたらいい武器をゲットできるかもしれません。それと、今回のマルチプレイヤーのカスタマイズですが、武器だけではなく、兵士の外見を何百億通りもコーディネートできます。プレイヤーは戦闘以外にも見た目でも競い合うことになるでしょう。パーツの中にはものすごくレアなものもあるので、ほかのプレイヤーからすると欲しくなるはずです。

ーー私はアクションの腕前にあまり自信がないのですが、サプライドロップによって上級者に強い武器が渡りそうで、少し心配だったりします。

グレン いえ、サプライドロップは完全にランダムなので、腕前に自信がない人はプレイ時間を重ねれば、よい武器をもらえる可能性があります。たとえば私の場合、ほかのスタッフよりもプレイ時間が短めなのですが、彼らよりもいい武器を持っています。だから、サプライドロップのシステムは完全に運なのです。ちなみに、本作ではカスタマイズの画面から武器を試す射撃場を試せます。新しい武器をみつけたら性能をチェックするといいでしょう。