視界すべてを覆う大迫力のドッグファイト

 2013年12月11日、バンダイナムコゲームス本社、未来研究所にて12月19日から全国のアミューズメント施設で随時稼動予定のアーケードゲーム『MachStorm(マッハストーム)』のプレス向け体験会が実施された。ここでは『MachStorm(マッハストーム)』を実際にプレイしたインプレッションと、本作のディレクター、井本一史(いもと かずし)氏のインタビューをお届けする。

『MachStorm(マッハストーム)』体験リポート、井本Pが語るウワサのアーケードゲームの魅力とは?_01

 『MachStorm(マッハストーム)』はドームスクリーン型戦闘機シューティングゲーム。最大のウリはやはりなんといっても、巨大かつドーム型という特異な形状をしたモニターだろう。筐体中央のコクピットに座ると目に映るほぼすべての範囲がゲーム画面となり、本当に空中にいるような感覚が味わえる。また操作が両手だけで完結しているシンプルさも特徴のひとつで、最初のうちは右手の操縦レバーで機体の照準を敵機に合わせ、ホーミング性能の非常に高いミサイルを撃つだけで十分楽しめる。ゲームに慣れたら左手で扱うスロットルレバーで加速と減速で敵との距離を調整し、ミサイルを当てやすい距離を維持すると効率よく多くの標的を撃墜させられるはずだ。

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 また本作は「アーケードゲームというよりひとつのアトラクションを目指した」(井本氏)と語るだけあって、筺体内にさまざまなギミックが仕掛けられている。自機が加速すると足下から風が吹いたり、自機がダメージを受けたり敵機が近くで爆発するとコクピットシートが振動するようになっている。

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 フライトシミュレーターではなく、あくまでゲーム的な気持ちよさを追求したということで、敵の攻撃が激しすぎて撃墜されたり、操作ミスで墜落することがないのもポイント。ただステージをクリアーするだけならかなりやさしめな難易度となっている。とはいえ、スコアアタックなどやりこみ要素も用意されているので、くり返しプレイする楽しみも用意されている。

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開発スタッフが語る『MachStorm(マッハストーム)』の魅力

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▲『MachStorm(マッハストーム)』ディレクター、井本一史氏。

――『マッハストーム』を開発することになった経緯を教えてください。
井本 もともと弊社には『戦場の絆』というドームスクリーンを使ったゲームがありますが、『戦場の絆』をプレイしていらっしゃらないお客様や、海外のお客様にドームスクリーンの魅力というものを広めていきたいという狙いがありまして、ドームスクリーンを使ったコンテンツを増やして売り出していこう、というのが『マッハストーム』の企画の始まりでしたね。

――開発にはどれぐらいの期間がかかりましたか?
井本 足かけ2年ぐらいですね。ちょうど2年前のいまごろから作り始めました。開発には『エースコンバット』のスタッフが多く携わっています。正当な『エースコンバット』シリーズというわけではありませんが、培ったノウハウですとか、素材(機体など)は『マッハストーム』に活かされています。そこにもともとアーケードでガンシューティングを作ってきたスタッフも融合させています。

――確かに敵機が撃ってくるミサイルを撃ち落とすシチュエーションなどはガンシューティングっぽいですね。
井本 ガンシューティングのお手軽さと、グラフィックは家庭用の『エースコンバット』のハイクオリティーな映像を合わせ持ったゲームにしようという方向性で作っていきましたね。

――『戦場の絆』は足下にペダルがあって、両足もゲームを遊ぶために使う必要がありましたが、『マッハストーム』の操作は両手だけでできますよね。元からあったものをあえて外すというのはある意味勇気が必要だったと思うのですが。
井本 とにかく操作を難しくしたくなかったんですよ。操作デバイスが増えるとそれだけで「このゲームは難しそうだ」と思われてしまう懸念がありましたので。最終的には左右2本のレバーで操作する形になりましたけど、最初はコクピットの真ん中にレバー1本だけ、「右手だけで遊べてもいいんじゃないか?」という意見も出たぐらい、「操作はシンプルなものにしよう」という考えは徹底していましたね。ペダルの操作をオミットしたのもその一環ですね。

――日本のアーケードゲームでドームスクリーンを使ったゲームを作っているのは事実上バンダイナムコゲームスさんだけ、前例も『戦場の絆』だけということで、開発中に苦労したことはありますか?
井本 酔いへの対策ですね。開発の最初のころに何も考えずに作っていたら、みんなすぐに気持ち悪くなってしまって(苦笑)。まずは酔への対策を考えねば、となりました。そこでゲーム性を追求していくうちに、プレイヤーの視点を1ヵ所に集中させる……追いかけている敵機だったり(進行方向にあたる)画面の真ん中に視線を誘導することでプレイヤーが酔わないようにしました。

――なるほど。今回プレイさせてもらった際に、画面に敵っぽい戦闘機が複数出現してもロックオンできる機体が決まっていたのですが、それはプレイヤーの視線を集中させるための酔い対策だったんですね?
井本 そうです。とにかく「いまあなたはこの敵を見ていれば大丈夫ですよ」ということを明確に提示することで、ゲームをわかりやすくすることと、酔いへの対策を同時に行うことができました。

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――筐体内部に送風や振動というギミックが盛り込まれていますが、これらの狙いは?
井本 ゲームセンターにありながらひとつのアトラクションとして楽しんでいただけるよう、短い時間のあいだにいろいろなギミックを仕込んでいます。まずはドームスクリーンの映像で臨場感がバッチリというところと、あとは操作に連動してシートが振動したり、風が吹いたりという体感ギミックを搭載することで、“総合的な空戦”を体験できる工夫をしています。

――敵を撃墜するとスコアのほかに“BINGO”や“DESTORY”など、いろいろな英単語がスタイリッシュに表示されるのですが、これの効果があったり、どんな言葉が出るかの条件はありますか?
井本 ステージの進行に合わせて決め打ちで入れているところも多いのですが、敵を撃墜するまでのスピードや方法に応じて特定のほめ言葉が出るようになっていて、より多くの得点が加算されるようになっています。(リアルよりのフライトシミュレーターではなく)純粋な娯楽として楽しんでもらえるような演出を盛り込んでいます。

――この記事を読んで『マッハストーム』に興味を持った人向けに、どのように楽しめばいいか、コツ的なものがあれば教えてください。
井本 まずは難しいことを考えずにプレイしてもらえたらな、と思います。慣れたらどうやってスコアを伸ばしていくか、ゲーム終了後に判定される階級を上げていくかを考えて遊ぶといいかもしれません。テクニックとしては加速して敵に近づき、画面の中央に捉えて攻撃すると“ダイレクトシュート”と判定され、ミサイルの威力がアップするうえにスコアにもボーナスポイントが加算されます。あとはマシンガンで敵機を落とすと“ガンキルボーナス”が入ったり、敵を早く倒すと“クイックキルボーナス”になるなど、スコアを稼ぐための仕掛けはいろいろな場所に盛り込んでいます。簡単な操作の中に奥深さも持たせていますので、単純なアトラクションとしても楽しめますし、ひとつのシューティングゲームとしての攻略性も要していますので、ぜひ何度もプレイしていただければと思います。

(取材・文 ライター/マンモス丸谷)