エイリアンと戦う傑作ゲームがあったんスよ!
2013年11月15日、『XCOM: Enemy Unknown』の拡張パックである『XCOM: Enemy Within』(PC版)が配信された。寝る間も惜しんでエイリアン対策に励んできた司令官たちには、待望のタイトルと言えるだろう。……。と語っても、ファミ通.com読者諸兄にとっては『XCOM: Enemy Unknown』はちょっとなじみの薄いタイトルかもしれない。そこで、まずは本編である『XCOM: Enemy Unknown』についてざっくりと解説したい。
『XCOM: Enemy Unknown』は2012年に登場したターン制のシミュレーションゲームで、1994年に登場した『X-COM: UFO Defense』のリメイク的な作品。開発はあの『シヴィライゼーション』シリーズを手がけたFiraxis Gamesだ。プレイヤーは突如攻めてきたエイリアンに対抗すべく、部下に指示を出して戦ったり、エイリアンのテクノロジーを研究して新しい技術を開発したり、組織を運営したりと、まあそんな幅広い視点でエイリアン戦が楽しめるゲームなのだ。ちなみに日本では、PC版やiOS版がローカライズ(テキストのみ)されて発売されているが、海外ではPS3版やXbox 360版もリリースされている。ファミ通.comでもPC版(※記事はこちら)やiOS版のインプレッション(※記事はこちら)を掲載しているので、もっと詳しい情報が知りたい方はそちらを参照してほしい。
強力なアーマースーツでエイリアンを駆逐せよ!
というわけで本題の『XCOM: Enemy Within』だが、これは本体『XCOM: Enemy Unknown』にさまざまな要素を追加する拡張パック。プレイするには本体の『XCOM: Enemy Unknown』が必要だ。
まずは、追加された新要素から紹介していこう。ゲームにもっとも大きく影響を及ぼすのは、新たな資源“メルド”だ。これはエイリアンの未知なる資源で、マップ上で発見できる。ただし、エイリアンが自爆装置を仕掛けているため、開始から一定ターン以内に回収する必要があるのだ。メルドの回収を優先するために危険を冒して敵の目前を通過したり、多少の犠牲を払っても敵を素速く倒すなど、本編と同じマップでもこれまでとは異なる戦略が楽しめるのだ。
入手したメルドは、さまざまな新しい強化に使用できる。ひとつめが、サイバネティック研究所で行える、兵士のサイボーグ化だ。新兵以外の兵士、つまり何らかのクラスについた兵士は、サイボーグ化することで“MEC兵士”という新しいクラスになる。このとき、もとのクラスによってボーナス能力が変化する仕組みだ。
さらに、メルドを使ってMECスーツを開発できる。これはMEC兵士のみ装備可能な特殊兵器で、これを身につけたMEC兵士は戦闘力が大きく強化される。生身の兵士とは異なる、圧倒的なパワーで戦場を暴れ回れるのだ。
また、生身の兵士もメルドで強化できる。遺伝子研究施設では、メルドを使って脳、目、胸、肌、足を強化し、さまざまなボーナスを追加できるのだ。強化内容はエイリアンを解剖すると増えていき、さらに遺伝子操作はMEC兵士には行えないという特長がある。
新たな敵組織“EXALT”が登場!
『XCOM: Enemy Within』は、シナリオ面でも強化が図られている。これまでのエイリアンに加え、エイリアンに組する人類の組織“EXALT”が登場。EXALTの基地を見つけ出し、シークレットエージェントを送り込んでのバトルが展開されるのだ。ちなみにシークレットエージェントは兵士から選ぶことになり、さらにヘビーとMEC兵士のクラスは選択できない。また装備はピストルのみになってしまうため、エージェント向きの育成も視野に含める必要がある。
彼らの真意や、どのような結末を迎えるかは気になるところ。それ以上に、この追加で新しいミッションやマップを楽しめるというポイントは見逃せない。EXALTの敵は当然人間なわけで、人類対人類という新しいバトルも楽しめるのだ。また潜入させたシークレットエージェントをいかに上手に脱出させるかという、緊張感もかなりのものだ。
新要素によってキャンペーンはさらに楽しく進化!
というわけで、キャンペーンを最初からプレイしてみたところ、やっぱりおもしろい! 序盤2ステージほどのチュートリアルこそノーマルと変わらないが、それ以降はメルドが出現するため、戦略/戦術ともに大きく異なる戦いを楽しめるのだ。
筆者はひとまず新要素を体験するために、メルドを集めつつサイバネティック研究所を作成。本作の施設建設は、必要電力のやりくりや資金繰りなどが影響するため、どの順番で建てるか(もちろんしばらく建てない、という選択肢もアリ)がわりと重要。それが新しい施設が増えたため、新たな戦略を立て直す必要があるわけだ。というわけで、衛星を打ち上げるために必要な衛星アップリンクは少々後回しに。
サイバネティック研究所が無事完成し、メルドも溜まったので、さっそく兵士をMEC兵士へとクラスチェンジ。筆者は“コブラ”のような、体の一部が機械化した兵士になるんだろうな……と想像していたのだが、生まれた兵士の姿は、なんと“頭だけが人間の先行者”っぽいデザイン。ちょっと脱力しつつ、MEC兵士のみが装備できるアーマースーツ“MEC”を作成、装備してみると……、これがえらい強い! 耐久力は通常の兵士の倍ほどあり、さらに武器も“ミニガン”というパワフルっぷり。
そんな感じで、さっそくつぎのミッションでMEC兵士無双を楽しんだ……かというと、意外とそうでもなかった。じつはMEC兵士は遮へい物に隠れることができないため、敵の攻撃が当たりやすい。そのため、耐久力こそ高いが敵に突っ込むとフルボッコにされてしまうため、すぐ倒されてしまう。さらに、なまじ耐久力が高いからか、大きなダメージを負った場合は回復するまでに長い時間がかかってしまう。せっかくの攻撃力を、発揮できるチャンスが失われてしまうのだ。
そのため、MEC兵士でも通常の兵士と同じように、しっかりと守備を考えて戦う必要があると感じた。万能な強力クラスが増えたのではなく、あくまでクラスの選択肢が増えた感じだろう。うまく扱えるかどうかは、プレイヤーの腕前に大きく左右されるのだ。
新たな組織“EXALT”とのバトルもおもしろい。事前に潜入させたシークレットエージェントは、本隊とは離れた場所からのスタートとなる。さらに装備はピストル一丁のため、うまく合流できるかどうか、緊張感あふれるバトルを楽しめるのだ。
また新たな武器や研究も増えているため、バトルの選択肢も大きく増えている。それらをいつ作成するのか、どのような順番で研究するのかという、ノーマルとは異なる運営も楽しめるのだ。
数々の新要素により、根幹となるキャンペーンがさらに楽しく進化した本拡張パック。本作は1度クリアーして終わりというタイプではなく、何度もプレイして新しい戦いかたを見つけ出すのが醍醐味の作品であるため、本編にハマった人ほど本拡張パックを楽しめることだろう。戦略ゲームに興味のある人は、ぜひとも本編とあわせて購入し、冬休みにじっくりとエイリアンとの戦いを楽しんでみてはいかがだろうか。
筆者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。まだまだ本作の全貌をつかんだとは言いがたいので、もっとやりこんできます!