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 2012年12月22日に、東京・渋谷のSHIBUYA-AXで、5回目のワンマンライブを行う声優・今井麻美。そのライブを前に、2012年11月10日に、沖縄の南城市にある“ガンガラーの谷 ケイブカフェ”で開催された、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”のリポートを掲載。

 2012年10月に同カフェの洞窟にて人骨が発掘され、今井のライブ当日から遺跡と認定されて初の活動を始めたという、奇遇なタイミングでの開催となった。このリポートで、5回目のワンマンライブに向けて、気持ちを高めていただけたら幸いだ。

01 COLOR SANCTUARY

 +Aメンバーが入場し、アコースティックによる前奏の中、今井が登場。白いドレスをまとった今井は、「皆さん、こんばんはー」と、観客におだやかに語りかけ、大人っぽい雰囲気のまま『COLOR SANCTUARY』を熱唱。原曲よりもしっとりとした印象になったアコースティックバージョンで、洞窟の幻想的な雰囲気をより増していく。

MC

今井「改めまして、こんばんは。今井麻美初の沖縄ソロライブ、洞窟内ライブにお越しいただきまして、ありがとうございますー。皆さんにご報告があるんです。ここガンガラーの谷、ケイブカフェ、そこでライブしますと告知させていただきました。……が、じつは変わりました。この洞窟のすぐそこで、1万年と2000年前から愛しちゃってるという(笑)。人骨が発見されたということで、この洞窟全体が、“遺跡”に認定されたんですって。それで、洞窟内ライブ改めて、遺跡内ライブに変わりました!」

今井「そして、+Aのメンバーから4人来ました。天ちゃん(中村天佑)、カズー(山口和也)、たまちゃん(花岡環)、バンマスのみゃあみゃあ(宮下智)。遺跡ライブということでたぎってます! なので、私もたぎる曲をいきたいと思います!」

02 The Azure ~碧の記憶~

 アコースティックギターの激しいストロークを基調にしたアレンジ版『The Azure ~碧の記憶~』。“たぎる”という表現のとおり、今井は持ち前の声量を活かした声で、激しく、迫力のある歌声を洞窟中に響かせていく。

5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_03
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_04

03 Hasta La Vista

 フラメンコ風の楽曲『Hasta La Vista』は、情熱的な雰囲気をそのままに、軽快なキーボードや、ギターのカッティングを活かした内容に。今井はフラメンコ風のダンスを、ときおり交えながら熱唱する。

04 Limited Love

 『Limited Love』は原曲よりちょっとゆったりな印象にアレンジ。ノリのいいサビはそのままに演奏を行い、間奏では自然と会場全体から拍手が起こっていた。

MC

今井「席によっては降水確率、高いぞって人いますか?」
観客「はーい!」
今井「あー、雨男、雨女いっぱいいるー(笑)。私のところは大丈夫! 見えない!(笑) うねうねした屋根なんて見えない! 1週間前から週間天気予報を見てたんです。ずっと雨だったんだけど、友だちが沖縄は天気変わりやすいからって慰めてくれたんです。でも、いざ沖縄に着いたら曇で降ってなかったんですね。それが、女性のスタッフから“沖縄に着きましたー”って連絡をもらったら雨が降ってきたから、“私じゃないよね!”って(笑)。ちなみに、たまちゃんも雨女とのことで。女3人がみんな雨女だったらダメだよね(笑)。さて、つぎの曲へ行く前にこの人をお呼びしましょう」

 という呼びかけで、プロデューサーの濱田智之氏が「出たがりですみません(笑)」と言いながら登場。続く楽曲へ参加する。

05 Day by Day

 プロデューサーの濱田智之氏を交え、デビュー曲『Day by Day』のアコースティックバージョンを披露。1stアルバム『COLOR SANCTUARY』に収録された『Day By Day - Bossa Nova -』に似たアレンジの楽曲になっており、今井の歌声も同曲のようにやさしい歌いかたになっていた。

06 いっしょ。

 「歌える方はいっしょに歌ってくださいね」というMCから始まった『いっしょ。』。サビだけでなく、1番から観客も大きな声で歌い上げ、遺跡全体での合唱となり、一体感あるライブとなっていく。

MC

今井「今回は、テンポよくやろうと思うの、なぜだかわかるよね? そう、帰りのバスがあるから! バスが行っちゃう前にやらないとね。そして、つぎの曲に行きたいんだけど、ステージ上を男子禁制にしたいんだ。だから、ごめん!」

 そう言われ、男子の+Aメンバーはステージから下りることに。下りたメンバーは、観客に席を詰めてもらい、観客席に座って行く。そして、たまちゃんとふたりで披露する曲について、今井から曲紹介を振ると、たまちゃんは「えっ! モノマネさせられるのかと思った!」と、みずからフリを作るような発言をしてしまう。今井、そして観客にうながされるままに、今井のモノマネで曲紹介を試みるが、声が小さかったこともあり、ちょっと残念な結果に……。その後、今井による、たまちゃんがモノマネする今井麻美風というややこしいコールで紹介された曲は、『遠雷』。

07 遠雷

 たまちゃん伴奏、今井のボーカルのみのふたり編成ライブ・バージョン。遺跡の幻想的な光に照らされながらしっとりと歌う姿は、曲の穏やかな印象をより増幅し、楽曲が終わると会場中からの大きな大きな拍手が送られていた。

5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_08
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_07
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_06
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_05
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_09
5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_10

08 満天星
09 蒼穹ノ月 ~Crystal Moon~
10 ガーベラ~今年の花

 濱田氏を除く男子メンバーがステージに戻り、再び4人のバンド+今井の5人編成に。この構成でお届けするのは、『満天星』、『蒼穹ノ月 ~Crystal Moon~』、『ガーベラ~今年の花』の切ないバラード群。楽曲途中のMCで触れられたのは、入場時に配られた針金でできた、とんぼ。来場者全員に配られた300を超えるとんぼは、なんと今井の父親の手作り。工作好きな父親が、娘を支えるファンに感謝を込めて作ったのだという。

11 花の咲く場所

 アカペラで始まった『花の咲く場所』。今井の集中力に引き込まれるように、誰もが今井の生声に魅了されていく。そして一転して、2番からは迫力あるバンド演奏も追加され、緊張から解き放たれたかのように、2番からは観客も拍手、手拍子で参加した。

今井「アルバム『Precious Sounds』では、アコースティック・バージョンなどをみんなでブースに入って録ったりしました。いろいろな場所で歌うのが夢だったんです。これからも私ががんばって、とくに濱田さんががんばって(笑)、いろいろな場所で歌える場所を地域で増やしていきたいです。そして追加公演決まりました! (2013年)2月9日仙台、2月15日大阪。ぜひ来てくださいね」。

今井「沖縄では、私の番組SSGの『Okinawa Stage』で前日に観客を募集するという、突発的な公開収録をしたこともありまして。そちらの公開収録に参加して来てくれた人いますか? (ひとりだけ手を挙げる)え、本当!? わー、うれしい! ありがとー。いい思い出だよね?」
観客「最高でした!」
今井「ありがとう! みんなズルいと思ってるかもしれないけど、沖縄だよ? だって。特別感。こんなお遊びの企画をいろんな地方でやっていきたいんだけど、なかなかどうして難しい。そのときは、SSGで一応、音楽を作るというので来たのであって。違うんですよ? スタッフが行きたいって、遊びたいってことじゃないんですよ? それで、沖縄の海を見ながら、空を見ながら作った曲。それで、じつは最後の曲です」
観客「えーーー!」
今井「わかってるでしょ、みんな。お約束だから(笑)。ね? 最後になります!」
観客「Yeahーー!」
今井「いまおもしろかったのが、向こうのほうで、ちょっと違うかもしれないけど、“へええーー”って声が上がりました(笑)。そういうの嫌いじゃない(笑)。この沖縄のこの地に来なかったらできなかった曲。この後も、物販のときに聞こえた曲とかあるかもしれませんけど(笑)、みんなもビーチを思い出しながら聞いてください」

12 海と空と君と

 アンコール前の最後の曲は、沖縄の民族音楽、琉球音楽をテーマに作られた『海と空と君と』。しっとりと、そしてゆったりしたバラード曲は、アコースティックでさらなる広がりを見せ、沖縄の遺跡ならではの曲として、遺跡に観客に響いていく。そして、今井は、最後に「今日は本当に来てくれて、ありがと。またね」と言い残し、階段を上り、舞台後ろに消えていく。

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5thライブ前に振り返る、“今井麻美 沖縄アコースティックライブ”_22

En01 散花の祈り

 暗転後、すぐに濱田プロデューサーが登場し、「時間ないから巻き目で(笑)」と言うと、ライブTシャツに着替えが終わった順にメンバーが現れる。アンコール1曲目は、キーボードのたまちゃん作詞、作曲の『散花の祈り』をアコースティック・バージョンで初披露。今井が身体を揺らし、ノリノリで歌を披露すると、観客のあいだからも自然と手拍子が始まり、間奏では歓声も飛び交うほどの盛り上がりになっていた。

En02 struggle

 Webラジオ番組『今井麻美のSSG』から生まれた曲を2連続で。アンコール2曲目は『今井麻美のSSG はこねすてーじ』に収録された『struggle』。こちらもアコースティックでは初ながら、原曲のロックの雰囲気を失うことなく、激しく今井が歌い上げていく。「手を伸ばし」の歌詞で今井が手を上げると、観客も手を上げたり、大きな手拍子が遺跡内にこだましたりと、一体感のあるステージに。

 今井「時間通りに進まなかったら、この『struggle』歌えなかったんだー(笑)。というわけで、あっという間でしたねー。そうなんです。私、アコースティックライブをコーナーでやらせていただいているんですけど、あれを経験するたびに、どんどんスイッチが変わっていく気がするの。自分の中では、この歴史ある遺跡の中で、一万年と二千年前から私たちを待っていてくれたのかもしれないって思っていて。それとね、このカフェにはミンゴスコーヒー……じゃなかった、“35コーヒー”ってのが売ってるのよ(笑)。私たちも年を重ねて、一万年と二千年後に誰かに見つけてもらうかもしれない。そんなロマンも広がるじゃないですか。私、このステージでまた変われたと思います! そして最後の曲です。聴いてください」

En03 Precious Sounds ~風が残していった~

 ライブ最後の曲は、3枚目のアルバム『Precious Sounds』の表題曲。ゆったりとしながらも力強いミディアムバラード。そして、間奏ではピアノを伴奏に今井はひと言ひと言に想いを込めるようにしながら、遺跡内に言葉を響かせていく。

今井「私、歌を歌っていて、声優として生活して、すごくすごくすごくすごく悩むことも多かったです。この場所に来れるなんて本当に思ってなかった。こんなに多くの人が沖縄に集まってくれるような人になれるなんて、本当に思ってなかった。でも、まだぜんぜんゴールじゃないんだよね。私、今年、みんなには言っていなかったけど、すっっっごく落ち込んだことがあった。何があったわけじゃないんだ。歌を歌ったり、お芝居をしたりっていうことが、自分でわからなくなったことがあったの。ずっとずっと、ここ何年か走り続けてきたから。そんなとき、親友と沖縄に来たの。それまでずっとずーっとずーっと何年も出し続けて、走り続けてきたんだけど、そのとき、初めて自分の中にいろんなものが入ってきたの。沖縄で。だから、この沖縄ライブを絶対にやりたかった。実現して、うれしい……! みんなのおかげです。ありがとう。沖縄に来られなかったら、ひょっとしたら立ち止まっていたかもしれない。ある意味ゴールしちゃっていたかもしれない。でも、いまここにいる私をみんなが受け止めてくれてうれしいです。ちなみに……、(『Precious Sounds~風が残していった~』の裏テーマの)ヒントではないよ!(笑)。さあ、最後、沖縄アコースティックライブ。みんなでゴールしよう!」

 ラジオでも、どこのトークでも話していなかったという、告白に近いMCを挟み、曲のラストのパートを観客の手拍子を浴びながら、笑顔で歌い上げた今井。締めには、「いっしょにゴールしよっ! せーの、ゴール!」という観客とのコールを行い、観客の大きな拍手も交えた満面の笑みで曲を終わらせた。

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 そして、最後には+Aメンバーと手を取り、生声で「ありがとう」の締めの挨拶……と思いきや、「バスの最終の締めは20時50分だから!!!」と観客の心配をし、メンバーのピックを投げるという今井らしい、笑いのある締めとなった。

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リハーサルの様子

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■今井麻美 沖縄アコースティックライブ
セットリスト
01 COLOR SANCTUARY
02 The Azure ~碧の記憶~
03 Hasta La Vista
04 Limited Love
05 Day by Day
06 いっしょ。
07 遠雷
08 満天星
09 蒼穹ノ月 ~Crystal Moon~
10 ガーベラ~今年の花
11 花の咲く場所
12 海と空と君と
Encore
En01 散花の祈り
En02 struggle
En03 Precious Sounds ~風が残していった~