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スマートフォン・ソーシャルゲーム時代のゲームエンジン&ミドルウェアのメリットは?【GREE Platform Summer Conference 2011】

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●高機能化が進むスマートフォンでも欠かせないものに?

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 2011年8月5日、ソーシャルネットワーキング・サービス(SNS)大手のグリーが、都内で“GREE Platform Summer Conference 2011”を開催した。

 “これからのゲーム開発 〜SmartPhoneやゲームエンジンの台頭で訪れる変革期〜”と題したパネルディスカッションでは、『ソーシャルゲーム業界最新事情』(ソフトバンククリエイティブ)などの著書を持つ徳岡正肇氏をモデレーターに、Unity Technologiesの大前広樹氏、エピック・ゲームズ・ジャパンの河崎高之氏、CRI・ミドルウェアの畑圭輔氏、オートデスクの門口洋一郎氏と、ゲームエンジンやミドルウェアのメーカーからパネリストが集合。ソーシャルゲーム/スマートフォン時代におけるゲームエンジンとミドルウェアの有効性について議論が行われた。

 最初のテーマはズバリ、“ミドルウェアを導入するメリットとは”。大前氏は、先月行われた“Game Tools&Middleware Forum”での講演と同様、「使わなくても作れるなら使わなくてもいい」として、ゲームエンジンを使うメリットは速度にこそあると続ける。ゲームエンジンを使う“から”いいゲームができるというわけではない。ゲームエンジンをタイトルごとに内製する時間を省略し、開発のスピードをあげることで、納期を守りつつ、自社の強みを出すようクリエイティブ面に注力できるのだ。

 河崎氏はメリットは速度であるとする大前氏の発言に、コスト面のメリットを付け加えた。エピック・ゲームズのUnreal Engineを始めとするゲームエンジンは、トップクラスの技術者たちがそれぞれ相応の年月をかけて磨き上げてきたものだ。同等の物を内製で作ろうとすれば「1億や2億ではきかない」(河崎氏)コストが注ぎ込まれている。それを使うことで、人的・金銭的コストを節約して、ゲームデザインのトライ&エラーに注力できるというワケだ。

 ミドルウェアではどうだろうか? 畑氏は、開発工数の削減という以外に、同社で販売する音声・動画のコーデックを例に挙げ、「他社が真似できないような技術でオンリーワンのものを作りだせる」ということをメリットとしていた。例えば、同社の独自コーデックにより圧縮率が高くかつ高画質の動画を組み込むことができれば、低画質の動画で済ませるしかないタイトルよりもいい見栄えを獲得できるのは間違いないだろう。門口氏も、オートデスクが扱う3dx MaxやMayaといった3Dグラフィックツールはハリウッドの映画産業などでも使われているものだとして、それだけ質の高いものを安価な金額で手に入れることができるという点を強調していた。

 ここで徳岡氏は、あえて「では、アイデア勝負の小さなコンテンツだったら?」と切り返す。HDの家庭用ゲーム機のようなリッチなコンテンツならそういった説明は非常にわかりやすいが、スマートフォンで、さらに小さなコンテンツとなると、これまでになされてきた説明ではやや不明瞭だ。

 大前氏は、「タイプにもよると思うが」と前置きしつつ、コンテンツの骨子をどう高めていくかが重要であるとする。例に挙げたのはスマートフォンのモンスタータイトル『Angry Bird』だ。その基本はシンプルだが、たくさんのステージを作らないといけない。となると結局ツールが必要なのだ。主要ゲームエンジンならばグラフィカルなゲームエディターが最初から用意されているが、すべてをフルスクラッチで作ろうとすると、結局その分の労力がかかることになる。また、ツールをチームメンバーが習得することで、タイトルによって役割が変わってもワークフローの変化に対応できることも重要だと述べた。

 河崎氏は、プログラミングなどに関連してしばしば語られる「車輪の再発明は避けたほうがいい」という言葉を引き合いに出し、目の前に使えるもの(すでに成熟したゲームエンジンやミドルウェア)があるなら使ってすぐに作り始めたほうがいいと語った。重要なのはコンテンツの完成度をいかに高めるかであって、ツールはそのための方法だ。河崎氏が「開発の初日から絵を出せる」と語っていたように、大前氏の会社のUnityや、河崎氏の会社のUnreal Engineでは、用意されたダミーデータを使ってプロトタイプを作り、自分たちはどういったものを作ろうとしているのかを初期段階から確認できる。動かしてみて「あちゃー」となったら、すぐにコンセプトの練り込みに戻ればいい。

 一方、門口氏は、ミドルウェアによってデザインの幅が広がるという点を挙げていた。自社の技術的制約や、そこまで開発する時間がないという際でも、特定の機能を極めたミドルウェアを導入することによって、そうでない場合では不可能だったゲームデザインが可能になることも出てくる。

 畑氏は、ゲームエンジンやミドルウェアがマルチプラットフォーム対応していることを挙げていた。ハードウェアの違いをできるだけエンジンやミドルウェアに吸収してもらえば、iOS向けに開発したあとでAndroid向けにフルに作り直すということも少なくなってくる。環境の差をそこまで意識せずに、同じソースコードでマルチプラットフォームに対応できるというのは、確かにコンテンツの大小に関わらずメリットのひとつとなりうる。

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 では今度は、ゲームエンジンやミドルウェアを使う場合の懸念材料はなんだろうか? コストやリスクにテーマが移った。コストという点で強いのはUnityだ。Unityには無料版があり、前年度の収入が一定のラインを超えていなければ、無料版で作ったゲームを売って収入を得ることができる。個人開発者や学生には嬉しい取り組みだ。フルバージョンにしても、1ライセンス13万6000円で、iOSとAndroid向けのプロライセンスはそれぞれ13万6000円の追加で済む。もし前年度の収入が1000ドル以下であれば、マルチプラットフォーム対応したとしても、無料のUnity(0円)+iOS用ライセンス(36500円)+Android用ライセンス(36500円)で7万3000円で作り始めることもできる(もちろんプロ版とiOS/Androidのノーマルライセンスでは機能差があるが)。

 河崎氏も、Unreal Engineの無料版であるUDK(Unreal Development Kit)を挙げた。非商用利用や研究目的であれば、『ギアーズ オブ ウォー』や『マスエフェクト』シリーズなどのトップクラスのタイトルで鍛えられたエンジンを使うことができるのだ。たとえばファミ通.comで紹介するたびにそのクオリティーの高さが話題となっているロボットFPS『Hawken(詳細は過去記事を参照されたし)などは、UDKで作られている。販売にあたっては正規のUnreal Engineへとグレードアップしなければならないこともあると思うが、この場合であれば、その費用はパブリッシャーとの契約金やファンドからの融資により捻出すればいいだろう(補足:エピック・ゲームズ・ジャパンによると、UDKであれば商用ライセンスは条件により99ドルで利用できるとのこと)。

 大前氏・河崎氏とも、その代わりとして、組織をゲームエンジンを使って効率的に開発するための体制へと最適化しなければいけないというコストを挙げていた。大前氏は個人的な意見として「やってみて速度が上がらなかったら使わないほうがいい」と語り、河崎氏も「1本だけでやめるのであればやめたほうがいい(中略)使うのであれば会社の体制を最適化したほうが効果が出てくる」としていた。まずは使ってコンテンツを作ってみて、自分たちにとって有用なツールとなるかを判断して欲しいというのが共通見解だ。畑氏・門口氏も体験版・試用版の存在を挙げていた。

 大前氏はさらに、逆の懸念点をつきつける。大前氏が仮定したシチュエーションはこうだ。3Dのアニメーションのモデルをクライアントに見せなければいけないとして、一方では(ゲームエンジンを使わないがために)そのための環境作りに1ヶ月かかり、一方ではゲーム制作は熟練していなくても、Unityを使うことですぐに提出できるとしたら……。競争力という点において、使わないことによるリスクもあるのではないかというのだ。

 また、河崎氏は、サブマリン特許による訴訟リスクについてよく聞かれるという。どこかの企業が持っている特許により、和解金を持って行かれるのではないか? だが河崎氏は、商用ゲームエンジンを使った場合でも内製ゲームエンジンを使った場合でもその潜在リスクは等しく、むしろ逆に、プロが作っているエンジンは神経質に注意を払っているがゆえ、リスクをある程度回避できるのではないかと語っていた。

 駆け足になったラストでは、ヘルプの充実やサポート体制についての議論も。一昔前、商用ゲームエンジンの導入時の隠れたコストとして、日本語のヘルプやサポートが充実していないということがしばしば挙げられていたことをふまえての問題設定だ。

 大前氏は「日本語という点ではUnityはまだちょっと弱いと思います」としつつも、日本語サポートの充実化を行っていく意向を示し、活発な意見交換が行われているFacebookのコミュニティーを詰まった時の手段として挙げていた。河崎氏は、技術資料はすでに1000ページ以上を日本語化しており、今後もエピック・ゲームズ・ジャパンで日本語サポートを強化していくとのこと。畑氏や門口氏も、日本語サポートを積極的に充実させていると語り、その点については心配しないで欲しいとしていた。

 くり返しになってしまうが、ゲームエンジンやミドルウェアを使うことが、そのままおもしろいゲームや売れるゲームに繋がるわけではない。しかしながら、市場の急成長と性能の伸びを見せるスマートフォンの領域は、すでに見逃すことのできない規模になりつつある。そういった状況で、ゲームエンジンやミドルウェアを使って「ちょっとでも楽をする」(大前氏)ことで、より完成度や開発ラインの回転率を上げ、競争力を高めるというのは、ひとつの方法であるのは間違いないだろう。

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