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『ストリートファイターIV』など良作を生み出すカプコンがスマートフォンアプリ開発のキモを語った

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●貴重なデータや制作方針を公開

　2011年4月25～28日まで東京国際交流館にて日経BPが主催するイベント“スマートフォン 2011 春”が開催中。本イベントは、スマートフォンに関わるさまざまな会社が集結して行われる国内最大のスマホ・カンファレンス。ここでは、4月27日に行われた講演のなかから、カプコン手塚氏の講演の模様をお届けする。

カプコン
CS開発統括大阪制作部
MC開発室長
手塚武氏

　カプコンの手塚氏は“カプコン流アプリ開発のキモ　パッシブユーザーという考え方”というテーマで講演。パッシブユーザーとは手塚氏オリジナルの言葉で、“キッカケがあれば行動する人”のことだという。たとえば、テレビで見た、たまたま見つけた、まずはレンタル、ワールドカップは観る、など積極的ではないが情報を得たくないわけでもないという人たちだ。モバイルコンテンツに関しては、こういったユーザーを無視していくことはできないと手塚氏は言う。

　また、スマートフォン戦略をたてるうえで大いに参考にしてもらいたいのがアーケードゲームの戦略だという論を展開。手塚氏自身がもともとはアーケードゲームの開発に携わっていたこともあり、「アーケードゲームでお客さんを惹きつける要素には、“すごくリッチだけど1プレイは100円”、“シンプルである”、“ロケテストで調整を重ねる”、といったことがありますが、これはモバイルのコンテンツでも重要なことです」（手塚）

　自らが手がけたアーケードゲームでも、お金を追加してコンティニューするとパワーアップアイテムが大量に出てくるといった仕掛けを盛り込んだそうだが、これはたしかにスマートフォンアプリでも有効な手段といえるだろう。

　カプコンから配信され、App Storeの有料アプリランキングの常連となった『ストリートファイターIV』も、「iPhoneに合わせた細かいチューニングを行っており、単純に家庭用版のパワーを使ったヒットではない」（手塚）と、じつはパッシブユーザーをかなり意識して作ったそうだ。

■ストリートファイターIVでパッシブユーザー向けに行った施策

・アイコンの変更
⇒最初は家庭用版のパッケージをトリミングしたものだったが、アップデートで誰もがひと目でわかる“リュウ”に変更した。

・初回起動時にヘルプを強制閲覧させる
⇒必ず見させて、しかもひと目でわかるようなものにした。

・難易度調整
⇒難易度“ふつう”を通常のイージー相当に調整した。“ふつう”で遊んで気持ちよく勝てるようにして、楽しさを知ってもらう。

・キャラクターのチョイス
⇒『ストIV』の皮を被った『ストII』と言われるくらい、『ストII』キャラを最初はメインにすることで回帰ユーザーの獲得を狙った。

　このほかにも、いわゆるチュートリアルモードを“道場”としたり、格ゲーユーザーにはおなじみの“キャンセル”という言葉を使わなかったりと、わかりにくさを極力減らすようにしたのだそうだ。最後に、「カプコンは今後もスマートフォン市場においては、パッシブユーザーを十分に意識したゲーム開発を続けていきたい」（手塚）と締めくくった。