HOME > 【スマートフォン 2011 春】グリーがソーシャルメディアビジネスとスマートフォン向けソーシャルアプリの開発を語る

【スマートフォン 2011 春】グリーがソーシャルメディアビジネスとスマートフォン向けソーシャルアプリの開発を語る

ソーシャルアプリ
ケータイ
ビジネス

●ゲームやロケーション、チェックインなどの要素を融合したアプリが今後のスマートフォン事業には必要

　日経BPが主催する、国内最大のスマートフォン・カンファレンス“スマートフォン 2011 春”が、2011年4月26日～28日にかけて東京国際交流館・プラザ平成で開催中。本イベントの2日目にあたる27日に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス“GREE”を手がけるグリーによる特別講演及びセッションが行われた。本記事にて、その模様をお届けする。

　“スマートフォンがもたらすソーシャルメディアビジネスの新たな可能性”と題した特別講演に登壇したのは、グリーの執行役員でありソーシャルアプリケーション事業本部長の吉田大成氏。「1日にスマートフォンを使う時間は平均84分」と切り出した吉田氏は、冒頭でスマートフォン市場について説明。スマートフォンで利用できる主なサービスの中で、“プリインストールされているアプリ”、“メール”、“ウェブ”、“コミュニケーションゲーム”の4つがソーシャルメディアにとって重要な要素として挙げ、とくにコミュニケーションゲームがメインとの考えを示した。

　つぎに、そのコミュニケーションゲームの話題へ。2010年、2011年それぞれのゲームトレンドを語った吉田氏。まず2010年に関しては、パズルゲーム『アングリーバード』を始めとした“シンプル＆直感的”なゲームがひとつのトレンドだったと分析。加えて、ゲームのレコメント、自分や友だちのスコアを登録できるなどのゲーミングプラットフォームもトレンドと沿えた。そして、2011年のゲームやアプリのトレンドについて挙げたキーワードが“ソーシャルゲーム＋アプリ内課金”というキーワードで、今後は、「ソーシャル＋単機能の連携」と述べた吉田氏。ただ撮影するだけのカメラアプリではなく、ゲームやロケーション、チェックインなどの要素を融合したアプリを提供することが必要だと語った。

　話はグリーの国内スマートフォン戦略へ。同社は今後、20代～30代のユーザーを中心にフィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えが増加し、｢その層が新しいメディアを求めてくるのでは？｣という。その上で、グリーは“ソーシャルメディア”としてスマートフォン版SNSをリリースし、“ソーシャルプラットフォーム”としてスマートフォンでもwebでも遊べるゲームを提供し、フィーチャーフォンのみで提供していた内製の“ソーシャルゲーム”を順次配信することを、スマートフォン事業の軸として展開すると説明した。もちろん、子会社化したアトランティスとのアドネットワーク共同展開、auとの共同運営でGREEマーケット（仮称）を2011年夏モデル以降のAndroid端末にプリンストールさせる展開、角川グループホールディングスとの提携によるSNS初のソーシャル電子書籍を提供（2011年夏予定）する展開など、ゲーム以外のスマートフォン事業にも取り組むとした。

　国内のみならず、グローバルな展開についても言及。先日発表があったとおり、同社は約7500万ユーザーが利用するスマートフォン向けソーシャルゲームプラットフォーム“OpenFeint社”を完全子会社化し、“GREE”の約2500万ユーザーと併せて、じつに1億ユーザーを誇るソーシャルプラットフォームになった。この件について、「今後は海外に目を向けていかなければ飛躍できない」と吉田氏。海外のソーシャルメディア、デベロッパーと協力することで技術基盤を提携し、国内のパートナーメーカーのアプリを海外のユーザーに向けて配信できることなどのメリットが期待できる述べた。

●スマートフォン向けソーシャルアプリ開発に関するセッションも

　特別講演の後には、“GREEにみるスマートフォン向けソーシャルアプリ開発～技術×クリエイティブ×ビジネス～”というセッションが行われた。登壇者したのは、グリーメディア開発本部ソーシャルアプリケーション統括部の伊野友紀氏（第3プロダクションチームグループリーダー）。

　このセッションでは、フィーチャーフォン版“GREE”の『モンプラ』や『釣り★スタ』、『海賊王国コロンブス』、『ハコニワ』といった看板タイトルを、スマートフォン版に移植、開発する際の手法や苦労話などが語られた。興味深かったのは、スマートフォン版のタッチ操作に関する話。移植開発初期、決定のアイコンをユーザーにタッチさせる表示を“画面を押してください”にしていたが、この“押してください”という表現が社内で｢わかりにくい｣ということになった。考えた末に｢タッチしてください｣という表示にしたという。また、決定のアイコンを画面右上に配置していたが、スマートフォンは右手で操作する人が多く、親指が届く範囲に置かないとタッチしづらいという意見もあったようで、最終的にいちばんタッチしやすい画面右下に配置したなど、スマートフォン向けにさまざまな試行錯誤があったことを明かした。

　そのほか、GREEのスマートフォン版の展開について、当初｢フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えたユーザーの囲い込みのために｣という狙いもあったというが、実際にはスマートフォン版GREEには移行ユーザーよりも新規ユーザーの登録が多かったという傾向があることも語った。

※グリー公式サイトはこちら