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須田氏を始めGHMのクリエイターが集結、チャリティーイベント“GRASSTREAM2 TRAVIS VS. GARCIA”が開催

ゲーム プレイステーション3 Wii Xbox 360 iPhone iPad iPod Touch
須田剛一氏率いるグラスホッパー・マニファクチュア(以下、GHM)は2011年3月30日、都内で“GRASSTREAM2 TRAVIS VS. GARCIA”を開催した。

●GHMのクリエイターたちによる約3時間のトーク&ライブ

 須田剛一氏率いるグラスホッパー・マニファクチュア(以下、GHM)は2011年3月30日、都内で“GRASSTREAM2 TRAVIS VS. GARCIA”を開催した。本イベントは当初、会社の設立13周年を記念したたトーク&ライブイベントとして実施予定だったが、東北地方太平洋沖地震の発生を受けて急遽チャリティーイベントに変更。イベントおよび同日に配信を開始したiPhone/iPod touch向け新作アプリ『FROG MINUTES』の収益をすべて日本赤十字に寄付することとなった。

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▲会場にはかなり気合の入ったコスプレ衣装の人も。

▲ビーム・カタナの撮影コーナーには黒山の人だかり。

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▲イベントの進行は佐藤かよとローリング内沢氏が担当。

 イベント開始前にはGHMに所属するクリエイターたちが、会社としてではなく個人で独自に行っている各種支援活動が紹介されるひと幕も。サウンドコンポーザーの山岡晃氏は、国内外を問わず親交のあるゲームミュージックの作曲家たちとともに、コンピレーションアルバム『Play for Japan -THE ALBUM-』を発売すると発表。「ビデオゲームに携わる人たちも世界中から応援してくれているんだ、ということを感じてもらえたらと思う」と作品に込めた意味を語った。こちらの詳細については近日発表予定となっており、また山岡氏個人の活動ということでGHMとは別の窓口で販売するとのことだ。

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▲チャリティーアルバムを発売する山岡氏。

 飯田和敏氏は、GHMが3月11日の震災当日から1週間ほど自宅待機になっていたことを明かし、その期間中に「自宅で心のざわめきを落ち着かせようと思って」仲間とともにゲームを1本作ったという。『なぎ』と題されたその作品はすでにWeb上で配信されており、内容は一種のサウンドメーカーとなっている。周囲の音を取り込み、それをサインウェーブというシンセサイザーの音に変換。取り込まれた音がたとえ騒々しいものであっても、やがてそれは変換され、やわらかな音となっていく――海面が波ひとつ立てず穏やかな状態になっていることを“なぎ”と呼ぶが、『なぎ』はそれを音で表現した作品というわけだ。「地震に対抗できる力があるのかわからないが、どうにかして地震の怖さをやわらげることはできないか? と考えていました。いまダウンロード数が3000くらいだが、みんなが使えば奇跡が起きるかもしれない」。飯田氏はそんな願いを本作に込めているのだという。

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▲飯田氏は自宅待機期間中に新作を手掛けた。

 須田氏はGHMでの取り組みとして、チャリティーオークションへの出品を発表。制作費約80万円という『ノーモア★ヒーローズ』シリーズの主人公トラヴィスの武器“ビーム・カタナ”の実物(?)と、同シリーズのキャラクターデザインを担当したコザキユースケ氏およびメカデザイン担当のコヤマシゲト氏、そして須田氏のサイン入りWiiが出品される。これに加えて、須田氏のかつての同僚で、GHMとも非常に関わりの深い岩手県にある喜久盛酒造が震災の被害に遭ったことを受け、復興のためにチャリティーTシャツを制作。「恐らく、送料込みで2500円」で後日販売されるとのことだ。

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▲須田氏もGHMとしてさまざまなチャリティー活動を行う。Tシャツは、一部で有名なてんぐTシャツをアレンジしたものとなっている。

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▲こちらはサイン入りWii。

 以上のような、東北地方太平洋沖地震への積極的な支援表明とともにスタートしたイベント。ちなみに会場の模様はUSTREAMで全世界に放送(英語実況ページも用意)されており、須田氏は「ここから東北の人に元気を届けたいと思います!」という力強い宣言を披露した。以下、全3部構成となったイベントの内容を各部ごとに分けてリポートする。

■須田氏は『ノーモア★ヒーローズ』新作に前向き?

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▲須田氏とはかなり長い付き合いになるコザキ氏(左)とコヤマ氏(中央)。

 第1部では、GHMの看板タイトルとも呼べる『ノーモア★ヒーローズ』に関して、須田氏とキャラクターデザインのコザキ氏、メカデザインのコヤマ氏がトークショーを展開。第1作目の開発時から数えて約5年の付き合いになるという3人のトークはときに脱線しながらも、いまだからこそ明かせる裏話満載の内容に。コザキ氏によればデザインしたもののゲーム化されていないキャラクターがかなりいるそうで、そのボリュームは「あと2作品くらいいける」ほどだという。これを受けて須田氏は「またいつか作りますか!」と前向きな反応。また、登場キャラクターの中ではシノブが好きというコザキ氏からは「いつかシノブが主役のゲームをディレクションしたい」という言葉も。「シノブはピンでもいける背景があるキャラクターですよね!」と、これまた須田氏はノリノリな反応。続編、もしくはスピンアウトタイトルが出る可能性は高い……かもしれない。

 『ノーモア★ヒーローズ』シリーズの具体的な新展開も発表に。なんと、GHM初のフィギュア作品としてシリーズの主要キャラクターである“シルヴィア”が登場するのだ。手掛けるのはフィギュアメーカーYAMATOの吉沢光正氏で、サンプルとして作られたシルヴィアフィギュアのまつ毛には同氏の腕毛が使われた渾身の仕上がりとなっている。発売時期などについては後日発表予定。

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 さらにトークショーでは『ノーモア★ヒーローズ』シリーズを始め、ゲームへのオマージュに満ちた映画『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』が紹介された。すでに鑑賞したというコヤマ氏は「原作がしっかりしていて、じつは恋愛映画だからぜひカップルで観に行ってほしい」と絶賛。須田氏からは原作コミックの3巻にトラヴィスが登場しているというミニ裏話も披露された。こちらについてはGHMの海外スタッフが作者に確認し、作者もトラヴィスであることを認めたという。また、監督であるエドガー・ライト氏からの「『ノーモア☆ヒーローズ』のファンはきっと好きになってくれるはず」というメッセージも合わせて上映された。

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 気の知れた3人のトークということで、最後は時間が足らなくなってしまったが須田氏は続編の可能性について、「すぐじゃないにせよ、いつか実現したいと思っている。またみんなで作りましょうよ」と前向きなコメントが最後に贈られた。

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▲時間が足らなくなり、慌てて設定画などを紹介する3人。食事に手をつけていなかったということで、「アーン」し合う場面も。

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▲第1部のラストでは、飯田和敏氏によるライブも行われた。

■新作アプリ『FROG MINUTES』をバニラビーンズがプレイ

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 第2部では配信を開始したばかりのiPhone/iPod touch向けチャリティーアプリ『FROG MINUTES』をプレゼン。詳細についてはすでに別記事で紹介しているのでそちらを参照してほしいが、カエルに餌を与えて捕まえるというシンプルでありながらどこかエッジの効いた非常にGHMらしい内容となっている。

 ステージにはゲストとして、『FROG MINUTES』の1日PR大使に就任したアイドルユニットの“バニラビーンズ”のレナとリサも登場した。実際にプレイしたふたりは、トークも忘れてゲームに熱中。本物のカエルから収録したという鳴き声に感心した様子で、何度も画面をタッチをしていた。また本作ではナレーションに女性アーティストの坂本真綾を起用。「こんなにカエルの名前を連呼するのはなかなかない経験でした」という本人からのメッセージもステージ上で披露された。

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▲バニラビーンズはライブも披露。

■『シャドウ オブ ザ ダムド』にあの個性派俳優を起用

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 イベントのトリを飾ったのは、GHMが開発し、エレクトロニック・アーツが発売するプレイステーション3、Xbox 360用ソフト『Shadows of the DAMNED(シャドウ オブ ザ ダムド)』。ステージには須田氏と山岡氏が登場し、現時点で明かせるギリギリの最新情報を披露した。

 本作は「サイコロジカルアクションスリラー。言い換えれば“どパンクホラー”、もしくは“どパンク地獄ホラー”」と須田氏が表現するアクションアドベンチャーとなっている。ストーリーは主人公の“ガルシア・ホットスパー”が、連れ去られた恋人を救い出すために単身地獄へ向かうというもので、須田氏の言葉を借りれば「いわゆる冒険活劇なんですけど、ストーリーの構成自体は『スーパーマリオなんとか』に似ている」という明快な仕上がり。しかし、登場するキャラクターは主人公を始め、どれもアクが強い。セリフや掛け合い、演出においても須田節が炸裂することは間違いないだろう。ちなみに、主人公ガルシア・ホットスパーの“ホットスパー”は“騎士”という意味で、イングランドのサッカーチーム“トッテナム・ホットスパー”から取ったものだという。チーム名から言葉を借りたのはつぎのような理由からだ。『ノーモア★ヒーローズ』の欧州圏での販売を担当したライジングスター・ゲームズを須田氏が訪れた際、同社のスタッフはサッカー好きな須田氏のために試合のチケットを用意してくれた。その試合で勝利したのがトッテナム・ホットスパーだったのだ。加えて須田氏は熱狂的なフーリガンに巻き込まれそうになり、それが強烈な思い出として残ったそうだ。

 『シャドウ オブ ザ ダムド』では山岡氏が手掛けるサウンドも注目だ。「須田さんからの注文が多かった。それに絶対応えてやろうという気持ちでやっていた」と山岡氏。過去に数多くのホラーゲームの楽曲を手掛けてきた同氏だが、『シャドウ オブ ザ ダムド』は「ホラーだけどアクションを重視していてただ怖いだけじゃない」と感想を語り、「いままでにやっていたものと違う感じ」と期待の高まる言葉を残した。

 新情報としては、ボイスキャストのひとりが公開に。本作では主人公ガルシアの相棒に近い存在として“ジョンソン”という銃が登場するのだが、その声を個性派で知られる俳優の我修院達也が担当するのだ。「収録は楽しすぎで、ずっと笑いが止まらなかった」(山岡)、「本当に眉毛が太いんですよ! あとは役者魂がすごかった」(須田)とそれぞれ収録の様子を振り返ったふたり。そのほかのキャストについては明かされなかったが、須田氏は「ほかのキャスティングもすごい。ゲーム史上にないくらい」と自信を見せた。なお発売時期に関して公式では2011年夏とアナウンスされているが、「8月末くらいのイメージ。夏休みの終わりに地獄の体験をしてもらいたい」と須田氏は話している。

■今後のGHMについて

 約3時間にわたってトークと歌で展開された“GRASSTREAM2 TRAVIS VS. GARCIA”。エンディングでは今後のGHMについて、所属する主要クリエイターたちが語った。飯田氏は「震災以降の考えかたを考え中です。何を考えているかと言ったら、日本の未来。なので、日本の未来を考えるゲームを作っています」と自身の新作に言及。いわく、それは東京のお台場にある「まったく新しいハードウェア」(飯田)で開発されており、「地球の姿を眺めたことのある」(同)宇宙飛行士で日本科学未来館館長を務める毛利衛氏とタッグを組んで、2011年8月に公開予定とのことだ。

 山岡氏は今回の震災によって「世界中の人といっしょになって盛り上げていく転換期になっていると思う。チャリティー企画について具体的に行動を起こしたい」と話し、イベント開始前に紹介したチャリティー企画について一歩踏み込んで説明。同氏の行動には『レッド・デッド・リデンプション』、『Halo(ヘイロー)』シリーズの作曲家という海外勢に加えて、日本からも植松伸夫氏、光田康典氏も賛同しているという。「同じ世界でやっている仲間たちが、ふたつ返事でやろうと言ってくれた」と企画への確かな手応えを語った。

 須田氏は「僕らはゲーム屋ですから、それを作ることが僕らにとっての平和です。3月11日の2時45分までは本当に幸せな日々でした。そしていま、すべての日本人が日常を取り戻したとき、僕らは本当の平和というのを改めて実感することができると思います」と被災地および不安な気持ちを抱いているすべての人へ向けてお見舞いの言葉を贈る。続けて「平和になったときに必要なのはエンターテインメントだと思う。だからこれからも、新しくて最高にイカしてるゲーム、プレイしたあとに何か残るゲームを作る。明確な使命を持って、これから僕らはゲームを作っていきます」と14年目に入るGHMの所信表明を行いイベントの幕とした。

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