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単なるゲームを超えた上質なエンターテインメント！　ロックスター・ゲームス『L.A.ノワール』最新デモリポート【PAX East 2011】

日本でも発売が決定したロックスター・ゲームス最新作『L.A.ノワール』について、海外で行われたデモの内容をリポート！

●ロックスター・ゲームス最新作のデモをリポート

　米時間の2011年3月11日から13日にかけて、アメリカのボストン・コンベンション・センターで、ゲームイベント“PAX East 2011”が行われた。PAX Eastは、シアトルで有名なゲームイベント“Penny Arcade Expo（ペニー・アーケード・エクスポ。通称PAX）”の西海岸版。今年は6万を超えるハードコアゲーマーが全米から集まった。ちょっと時間が経ってしまったが、その熱狂の模様をお伝えしよう。

　各社の最新タイトルがごった返すPAX Eastの展示フロアーで、ロックスター・ゲームスの最新タイトル『L.A.ノワール』は、ビデオが始終流れ、クローズドデモも披露されて、とくに目立っていた。本作はブレンダン・マクナマラ率いるTeam Bondiによって、シドニーで開発中。ロックスター・ノースやロックスター・サンディエゴを始めとする何人ものロックスター・ゲームスのスタッフも協力している。

　ロックスター・ゲームスの近作と同じように、本作は広大なオープンワールドのゲームだ。しかしながら今回は、よりじっくりとした知的なゲームになっており、フィルム・ノワールのテイストを取り入れた、1940年代ロサンゼルスの刑事物語となっている。戦後の混乱期を題材としたことで、頽廃、脅迫、ドラッグなどを背景とする、かの有名なブラック・ダリア事件のような実在の未解決事件へのオマージュも捧げており、大人のムードを漂わせるジャズが流れるサウンドトラックが、すばらしい雰囲気をもたらしている。

▲金と栄光。その裏には爛れた欲望が隠されている。

　そして何よりも本作を独特なものとしているのは、Team Bondiの姉妹会社が持つ“MotionScan”技術だ。これは、表情の機微や俳優の感情表現を32台のカメラで取り込むというもので、400人以上の俳優の演技が本作のために収録されている。セリフを話す様子などが20時間以上も記録されており、一段上のカットシーンを見せてくれる。合わせて、街にいるNPCの反応もいい。

　デモでは、“リップスティック・マーダーズ”と題された最初の事件を見ることができた。新任の刑事コール・フェルプスとなり、タフなパートナーであるラスティ・ギャロウェイとともに街をドライブし、公園で発見された女性の死体について調査を行う。リポーターをあしらって、まずやらなきゃいけないのは死体の分析だ。口紅で線が引かれた裸の死体。彼女の頭をずらし、腕を動かしてひどい傷を調べる……。ロックスター・ゲームスの広報は、「見ての通り、本作はマチュアレーティング（17才以上対象）になります」と説明した。

　そして、周辺の調査も必要だ。何か手がかりになりそうなものは？　BGMが変わり、必要なものを発見したことに気がつく。すべての情報はメモに記述され、証人や容疑者に質問ができるようになる。ひとりあたり、2個から7個の異なる質問ができる。

　デモの続きでは、女性が最後に目撃されたバーに行って、どうにもクサい、彼女の暴力的な亭主を尋問していた。マップは20平方キロメートルほどの広さがあり、プレイヤーは自由に探索可能で、端から端までは30分ほどのドライブになる。もちろん、市街の様子は当時の写真や古地図から丹精込めて作られている。

　会話が進行していくと、BioWareのゲームのように、プレイヤーの選択により枝分かれもする。証人や容疑者との会話では、真実、疑い、嘘の3種類を使って真実を探りだしていく。会話していて、不自然な反応や表情から、真実を言っているかそうでないかを直感的に判断することで、ゲームの流れが変わっていくのだ。持っている情報や手がかりによって容易になるのは言うまでもない。

　そしてロックスター・ゲームスの近作と似ているのはオープンワールドだけではない。銃撃戦よりもストーリーやキャラクターの深みを重視しており、拳闘や銃撃戦、カーチェイスはあるが、それはあくまでも最後の手段、最後のおまけのようなものである。捜査の合間に銃撃戦や銀行強盗に対する支援要請を受けることもあり、気は抜けない（断ることもできる）。

　それぞれ45分から1時間半はかかる23の事件がプレイヤーを待ち受けており、ざっと合計すると25時間から35時間は濃密な刑事物語を楽しめるという。すでにゲームは非常に意欲的かつ磨き抜かれており、『グランド・セフト・オートIV』や『レッド・デッド・リデンプション』に引き続き、ロックスター・ゲームスのタイトルが独創性と映画的なゲーム体験において優れていることを証明するだろう。海外では5月17日発売予定（日本は2011年夏予定）となっている。（取材、写真: ジェイソン・ブルックス翻訳: 編集部）