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“遊び”の新しい可能性を追求する、東京工芸大学が卒業制作展を開催

ゲーム

六本木アカデミーヒルズ40で“東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2011”が開催中。ゲーム関連でも充実した内容の作品を多数見ることができた。

●学生さんの若々しい感性に触れられる

　六本木アカデミーヒルズ40で開催中の、“東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2011”にお邪魔してきた。写真や映像などメディア芸術に積極的に取り組んでいる東京工芸大学だが、2010年にゲーム学科を設立するなど、ゲーム関連の教育に対しても熱心。次代を担うクリエイターの卵たちのどのような斬新な作品を見ることができるのか、今回はおもに、アニメーション学科ゲームコースの学生さんたちの制作展を覗いてみた。

　制作展の出展内容は、“ゲームコース”という言葉から連想されるよりは、遥かに多彩。ビデオゲームはもちろん、CGやデバイス、カードゲームやボードゲームといったアナログゲームの類まで展示されている。“ゲーム”を取っ掛かりに学生さんたちの考える“遊び”を追求している形だ。制作された作品は、昨年の4月から10ヵ月以上をかけて作り上げられた、まさに学生さんたちの“成果”。お話を聞いてみると、いかに学生さんたちが真剣にゲーム作りに取り組んでいるかがわかる。

　さらに気付かされるのが、発想の斬新さ。人間どうしても考えかたが固くなってしまいがちだが、学生さんたちの瑞々しい感性は、そんな固定観念をあっさりと乗り越えて、斬新な発想を提案してくれる。作品の中にそうした新しい発想があるのは、見ていて爽快だ。

　東京工芸大学、ゲーム学科にて教鞭をふるう、岩谷徹氏にお話を聞いてみると、「ゲームの幅広さとうのは、じつは“遊び”じゃないかと思っているんですね。遊びをクリエイトするとか、人をおもてなしするとか、ファンファーストというのは、ゲームに限らない。学生たちの作品として、遊びがしっかりと形になっているのがうれしいです。僕が授業で“遊び”と言っても、具体的なことは何も言っていないんです。ところが学生たちはそれを咀嚼して、ちゃんと形にして、しかも我々教員たちの想像を超えたものを作ってきてくれる。それがうれしくてしょうがないです」。

　“東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2011”は、2011年2月19日（土）～20日（日）も六本木アカデミーヒルズ40にて実施中。アニメーション学科ゲームコースのほかにも、デザイン学科や写真学科、映像学科、マンガ学科など、学生さんたちの意欲作を見ることができる。学生さんの瑞々しい感性の触れたい方は足を運んでみてはいかが？

2011年2月19日（土）午前10時～午後8時
2011年2月20日（日）午前10時～午後4時

　以下に、制作展に展示された作品の中から、一部を紹介する。


▲巨大な敵を倒す迫力に注力したというアクション『Assemble Breaker（アッセンブルブレイカー）』。その迫力は相当なもの。いままで未経験だった新技術に取り組んだという。3D立体視対応。	▲『Hybrid Brave（ハイブリッドブレイブ）』は「どこまで本格的なRPGを作れるか？」をテーマに取り組んだ意欲作。RPG好きの12人が集まって、自分たちの好きな要素を盛り込んだのだとか。相当なボリュームを誇る。	▲『Hybrid Brave（ハイブリッドブレイブ）』も3D立体視対応。3D対応は時代の流れなのか……。NVIDIAの3D VISIONを使用。ちなみに、展示されていたゲーム3本は、XNAで制作されたPCゲーム。こんなところにもXNAの広がりを感じる。


▲『GORESPEED（ゴアスピード）』は、敵の近くをすり抜けることで倒す、という斬新な発想のアクション。敵の近くをすり抜ければすり抜けるほど、威力は高くなる。基本は左スティック1本で操作できるのも魅力。	▲『Light Box』には加速度センサーが搭載されており、傾けることでLEDランプが点滅。光点を操作してゴールに導いていく。	▲“ゲームと映画が人体に与える暴力的表現の比較”という論文も。卒業論文はふつうだが、ゲームコースだと新鮮な感じ。ゲームと映画を比較して、ゲームが原因で犯罪が起きたという風潮が正当がどうかと検証しようとしたとのこと。


▲4人プレイのボードゲーム『RECLAMATION（リクラメイション）』。一国の主となって自国を発展させていく。会話重視とのことで、小型の書物を用いて、相手と交渉する。		▲こちらはカードゲームの『INKLUDE（インクルード）』。通常トレーディングカードは、カードを集めることで自分のデッキを強くしていく。ところがこの作品では、手持ちのデッキをプレイしながら強くしていく……という逆の発想なのが特徴。


▲運の要素を排除したという、ボードゲームの『呀凱（あがい）』。自軍のコマを3つ相手の陣地に入れれば勝ち。雰囲気のあるボードゲームだ。	▲『erase hand box』はカメラの認識機能を使ったゲーム。手の肌色を認識し、手の位置や大きさを変えることで画面に出現する四角形を消していくというもの。リハビリの用途も見込めるとのことで、よく考えているなあ。	▲『Ray box』は言ってみればデジタル万華鏡。下の部分に自分の持ち物を入れ、上から覗くと自分だけの万華鏡が見られるという仕組み。「ライブ感を持って、その人だけの体験が提供できないか」というのが制作の理由。おもしろい発想です。