『THE LAST STORY』坂口博信氏コメント&体験プレイインプレッション

ゲーム Wii
本日2010年12月27日行われた“THE LAST STORY プレゼンテーション〜新たなRPGを求めて〜”。そのプレゼンテーション後に行わた坂口博信氏の囲み取材の模様と、体験会のプレイインプレッションをお届け。

●囲み取材の模様――MMORPG感覚のバトル、本作のテーマは仲間

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――発売を待ついまの心境は?

坂口博信(以下、坂口) 本当は、もっと早くマスターアップする予定だったんですけど、いい作品にしようということで、スケジュールを延ばしていただいたことで、とことん作り込めて感謝しています。開発の最後、ゲームというのはバグとの戦いというものがありますが、バグの中でもひとつやふたつ、原因のわからない手強いバグが残るんです。ですが、今作はそれも解決できたので「よかった」という気持ちが強いですね。

――安心して年を越せますね。

坂口 これからプロモーションがありますし(笑)。また違った忙しさがありますね。

――ディレクションは『FFV』以来ということですが、関わりかたにどのような違いが?

坂口 新しいシステムにしたかったので、お約束がないんですね。組織ごと再構築しなくてはいけなかったので、より現場に近い立場で、スタッフと直に話しながら、進めていきました。

――戦闘シーンはMMORPGのような感覚が入っているような印象を受けましたが。

坂口 そうですね。感覚的には30〜40時間くらい、MMORPGをひとりで遊ぶ感覚に近いと思います。ヘイト(敵対心)のシステムであったりとか、壁役になったりとか、魔法を使うキャラクターはひ弱であったりとか、そういった部分もMMORPGに近いと思います。

――ちなみに、最近はどんなMMORPGをプレイしているんですか?

坂口 最近はやっていないですね。『World of Warcraft』もプレイできていなくて。いまいちばん何がやりたいかと言ったら、『World of Warcraft』をやってみたいですね(笑)。

――『THE LAST STORY』が最後になるかもしれない、というお話もありましたが。

坂口 自分としては120%やれたと思いますが、遊んだ人がどう思うかなので。評判がよくないようであれば、僕の感覚が時代とズレているのかもしれない。一生作らない、ということではないかもしれませんが、しばらくは作っても意味がない。自分としてはすべて出し尽くしたので、手に取った方々にジャッジしてほしいです。そこで、噛みしめたいと思います。

――本作のテーマは?

坂口 主人公が優しくて、悪く言うと優柔不断なんですけど、仲間をすごく意識するんですね。仲間たちと冒険してよかったなと、プレイヤーにも思ってもらえるような……。仲間がテーマですね。

――仲間とのやり取りのボリュームは?

坂口 比較対象がないですけど、かなりありますね。これほど仲間と会話するゲームはないんじゃないかなと思うくらいです。

――今回のプレゼンテーションはどなたの発案で?

坂口 任天堂さんです。今回のアイデアを聞いたときはビックリしました。僕にも発想はありませんでしたし。いまはネットも高速化して、映像も観られる時代ですから、アリなのかなと思いました。でも、任天堂さんにそこまでやっていただけるということもありがたいので、僕も全力を尽くしました。岩田さんがいらっしゃったことにもビックリしましたけれど(笑)。

――あれは本当にサプライズで?

坂口 そうですよ!(笑) まったく知りませんでした。

●体験プレイインプレッション

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 試遊は、ストーリー序盤の4つのポイントからひとつを選ぶ形だった。記者は、もっとも話が進んでいると思われる海賊船の上でのエピソードを選択。このエピソードは、ゲームシステムの要となる“ギャザリング”を多用してバトルを存分に楽しむことができるという触れ込みだったのだ。

 セーブデータをロードすると主人公のエルザは船倉にいた。ヌンチャクのアナログスティックで移動、Zボタンを瞬間的に押すことでキャラクターの真後ろに視点を移動させるシステムだ(長押しは主観視点の注目状態になる)。活き活きと動き回るキャラクターたちにエルザが近づくと会話ができるキャラクター上には、会話可能の表示がポップアップ。アイテムを売っている船員や、装備を売っている船員などがいた。ある人物に話しかけると会話がスタートし、とあるアイテムを探しているという。選択肢が登場し、協力する旨を伝えると、そのまま場面は遺跡のような場所に移動。バトルに突入。

 “ギャザリング”システムは敵の視線を集めるシステムだ。バトル中にCボタンを押すことで発動し、エルザの右腕に光が集まる。それと同時に、敵の攻撃対象を示す"ポインター"と呼ばれるラインがエルザに集中。エルザがうまく立ち回ることで、周囲の仲間が活躍する機会が生み出せるのだ。遺跡でのバトルでは冒頭に増援を合わせて10体程度の敵が登場。一度に刃を交えると苦戦は必至なので、1匹ずつ誘き出して戦えとのTIPSが仲間からもたらされた。そこでまずは遮蔽物の陰にAボタンで貼りつき(貼りつき解除は再度Aボタン)、Zトリガーを引き続け、いちばん手前の敵をターゲット。Aボタンで矢を射ると、それまで周囲を警戒していただけの敵が戦闘状態に突入した。ところが位置取りが悪かったせいか、周囲の敵が一斉にこちらに押し寄せる結果に! 攻撃は、近づくだけで目の前の敵にオートで斬りかかるシステム(コンフィグでAボタンを押す設定に変更可能)。一方、敵は放っておくと、魔法を詠唱しているエルザの仲間など、狙いやすい仲間に注目する傾向がある。そこですぐさまギャザリングを発動し、敵の注目を一身に集め、迷路状のフィールドを駆けずり回ることにした。

 エルザがギャザリングをしているあいだは、仲間の魔法の詠唱速度が倍になる。敵を引き連れ、ときおり振り返り、軽く蹴散らしているうちに、仲間のフレア(炎属性の魔法)が発動。フィールドにオレンジ色に輝く円形の“サークル”が出現した。そのサークルに居合わせた敵がダメージを喰らうのはもちろんだが、そこに留まり続けているサークルの場に重ねて魔法を掛けられるのも、この『THE LAST STORY』のバトルの特徴のひとつだ。フレアにエルザの持つ風の魔法を重ねることで炎が拡散し、敵の防御力を下げつつ、さらにダメージを与える模様。ほかにも仲間が発動させたヒール(回復)のエリアに風の魔法を重ねれば、周囲の仲間が一斉に回復するなど、いろいろと試したくなるシステムだ。さらに学生時代、数学の授業に登場したベン図のように円の重なりを何重にもすることで、効果は何重にでもかかっていく。ギャザリングした状態になると、自分の体力を表すゲージの下に4段階に分かれた魔法ゲージが登場。これを溜めると風の魔法が発動できるようになる。こうして魔法の重ね合わせを試しているうちに、敵をすべて討ち払い、その場を切り抜けられた。

 しばらく小規模の戦いを挟みながら進むと、クモのようなボス戦に突入。このクモは、子グモを召喚するとともに、ときおり糸を吐き出してエルザを含めた仲間たちを絡め取る攻撃をしてくる。アナログスティックをガチャガチャと動かすことで糸の呪縛からは逃れられるので、真っ先にエルザを解放し、風の魔法で仲間を絡め取っている糸を断ち切ることがこの戦いのポイントになる。ところが記者は風の魔法を放つ方法を完全に把握しておらず大苦戦。魔法を発動しようとゲージを溜めているうちに、仲間がひとりずつ敵の大グモに食べられ減っていってしまうのだ。倒されたり、自発的にリセットをくり返したりを含め、ゆうに10回以上は再挑戦。見かねたスタッフの皆さんから、
じつは前述の魔法ゲージが1段階でもいいから溜まったところで立ち止まり、Aボタンを押すとすぐさま魔法を選択する俯瞰画面になることを教えていただき再挑戦。途端に仲間が捕らえられることがなくなり、やっとの思いで大グモを倒した。

 すると場面は再び船上に。今度は仲間のひとり、隻眼の魔法使い、ユーリスと会話。協力する旨の選択肢を選んで、彼のエピソードに突入した。

 舞台は別の船中か、複雑な構造の船内を移動。壁を蹴破り、ハシゴを登り、毒に冒されたユーリスを助けるちょっとしたイベントを超え、ボス戦に突入。詳細なギミックは省くが、ステージごとに趣向を凝らした戦いが待ち受けていることだけは保証されているようだ。2段階にギミックが凝らされた戦いを切り抜け、気づいてみればあっという間に2時間が経過していた。

 ゲームを終え、思い起こすなら、システムと演出とアクションの共存しているバランスのよさが強く印象に残っている。プレイヤーを導きつつ、プレイの妨げにならない、色とりどりに輝くディレクションやポインタ。操作系からカメラ、果てはキャラクターの装備のカラーに至るまで好きに設定できる充実したコンフィグなど、ユーザーインターフェイスは充実しており、そうした下地の上に、映画的手法を多用したカメラワークとプレイヤーの操作できる部分がほどよいバランスで乗せられているのだ。マップとキャラクターのスケール感の心地よさ。ドロップアイテムのランダムさによるくり返しプレイへの耐久性。路地の密度、酒場のざわめきなどキャラクターの躍動感。吹き替え洋画を意識したような、わかりやすくアツくなれる坂口節。なかでも、ギャザリングシステムは、緊張感を生み出すことはもちろん、プレイヤーを献身的なヒロイズムに酔わせてくれるのだ。かと思うと、ちょっと暗喩的にセクシーなイベントや、複数で楽しむWi-Fiプレイでは、ハチャメチャなバトルなども楽しめる。

 『THE LAST STORY』は、発表会の最後、任天堂岩田社長とのやり取りの中で坂口氏が「“本気”をプレゼントです」と言っていたように、いたく丁寧に作られた本気ぶりが滲み出ているタイトルだった。触れれば触れるほど、「こういう幅広い“遊び心”にずっと触れたかったんだな」ということを少しゲームに倦んだ筆者に思い出させてくれた。

THE LAST STORY(ラストストーリー)
メーカー 任天堂
対応機種 Wii
発売日 2011年01月27日
価格 6,800円[税込]
ジャンル RPG(ロールプレイング)
備考
(C)2011 Nintendo/MISTWALKER

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