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『ペルソナ2 罪』オープニングアニメ制作者対談、秘蔵の絵コンテも掲載!
PSP ゲームプレイステーション・ポータブル用ソフト『ペルソナ2 罪』の鮮やかな新規オープニングアニメを制作したスタジオは、『マクロスF』などを手掛けてきたサテライト。週刊ファミ通2010年12月16日増刊号(2010年12月1日発売)では、オープニングアニメの制作者たちを直撃し、インタビューを掲載した。そこで載せきれなかった対談の全貌と、秘蔵の絵コンテなどを、当記事で一挙公開するぞ!
写真中央: |
●サテライトだから実現したクオリティー
目黒将司氏(以下、目黒) 約90秒のアニメに散りばめられた意味深な演出の数々が、公開直後からインターネットなどで話題になっていますよね。僕たちも『マクロスF』や『バスカッシュ!』に感動して、サテライトさんにオープニングアニメを作ってほしいと依頼した経緯があるわけですが、大当たりだったと改めて感じています。
佐藤英一氏(以下、佐藤) サテライトには、もともと『ペルソナ2 罪』のオリジナル版が好きというスタッフが少なくありませんし、月並なオープニングアニメを作るつもりは毛頭ありませんでした。通例、オープニングアニメには作品の内容を紹介する役割がありますけれど、『ペルソナ2 罪』は11年前にオリジナル版が出ています。だったら僕たちなりに作品を“解釈”し直して、観る人にも再解釈できるおもしろさを伝えたいと思ったんです。
丸藤広貴氏(以下、丸藤) 金子一馬さん(アトラスのキャラクターデザイナー)のエッセンスをアニメでいかに表現するか、というチャレンジでもありましたね。11年前に描かれた金子さんの絵は、いま見るとむしろ新鮮。それを絵として“模倣”するだけなら比較的すぐに描けるかもしれませんが、アニメで動きや表情を持たせるとなると話は別です。作家のエッセンスを“理解”してすべてを受け入れないと、いいアニメは作れない。キャラクター表(下の写真を参照)を作るときも、エッセンスを取り込むためにひたすら練習を重ねました。
目黒 アトラス側からは、あえて細かいリクエストを出さなかったんですよね。金子の絵を、サテライトさんがどう表現するのかを見てみたかったんです。
丸藤 11年前の金子さんは柔らかいタッチの絵を描かれていましたが、最近の絵はシャープというか、クールさに磨きがかかっていますよね。でも、練習を重ねるうちに、絵の骨格そのものは一貫していることがわかってきました。クールでありつつ温かみもある絵のエッセンスを“理解”するまでに、2ヵ月くらい要しましたね。
佐藤 今回のキャラクターデザインに関しては、一般的なアニメのように、もともとの画風(金子さんのタッチ)を作画監督が“自分流にアレンジ”して作り直してしまう姿勢とはまったく違います。丸藤を含むスタッフみんなが金子さんのエッセンスを受け入れて、それを丸藤がキャラクター表にまとめたんですよ。
目黒 ペルソナ(キャラクターが召喚する別人格)のデザインに関しては、公式の資料が多くなかったので、後ろ姿などをサテライトさん側で想像して描いていただいたりもしました。
丸藤 けっきょく、金子さんが背面の資料を描いてくださったりもしましたね。
佐藤 アニメはたくさんのスタッフが手分けして作るものなので、設計図をしっかり作って共有することが大切。ふつう、オープニングアニメだけの仕事を請け負ったら、映すかどうかもわからないアングルまで設計図に描いたりはしません。けれど、それは僕たちの“解釈”を描くうえで必要な工程でした。
丸藤 ペルソナのキャラクター表は数体ぶん作りましたが、襖のシーン(詳しくは後述)にしか登場しないペルソナもいます(笑)。
●“解釈”し甲斐のある演出を目指して
目黒 ペルソナの描かれた襖がつぎつぎと開く演出には、とりわけ感銘を受けました。サテライトさんが解釈する“ペルソナ”という概念がよく表れていますよね。
佐藤 ゲームでは見られない光景ですけどね(笑)。人が持つ無意識の領域に潜るという概念を、和風に解釈した結果が襖です。ロマン・トマ(フランス人の美術スタッフ。『バスカッシュ!』の原作者のひとり)も関わっているだけあって、キャラクターがお面の上を駆けるシーンなどからも、制作テーマのひとつであるネオジャパニズム(洋と和の融合)を感じてもらえるかと。
目黒 ああいったアニメ独自の演出は、どうやって考え出したんですか?
佐藤 一般的に、アニメの絵コンテは監督がひとりで描くものです。けれど今回は、自分以上に『ペルソナ2 罪』の知識を持っているスタッフが何人もいるので、まずは彼らが思い描いている“『ペルソナ2 罪』像”を絵コンテにしてもらいました。最終的に、90秒という尺をとうに超えるボリュームの絵コンテが出来上がりましたが、じつは、自分が描いたものはそれほど多くないんです。絵コンテをみんなで“共作”するのはサテライトとしても珍しいというか、贅沢なことをしたなぁと思います(笑)。
目黒 そんな並々ならぬこだわりの結果だと思いますが、あらゆるシーンの細かい描写や、背景の文字にいたるまでを“解釈”して楽しんでくださっている方もいるみたいです。
佐藤 背景の文字ひとつひとつに、もちろん何かしらの意味を込めています。ただし、それをはっきり伝えることは避けました。僕たちが表現したかったのは、ゲームのストーリーではなくエッセンス。アニメは僕たちの解釈であり、絶対の答えではありません。観る人自身にとっての“『ペルソナ2 罪』像”を考えるキッカケにしてもらえたら、制作者冥利に尽きますね。
丸藤 もしかしたら、僕たちの解釈に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。けれど、“当たり障りのない”アニメを作ってしまったら、それは当然ながら“当たり”になり得ない。作画も演出も単純にゲーム本編をなぞるものにはしない、という課題にはしっかり応えられたと思います。
目黒 ゲームをクリアーしたあとに観ると、解釈の幅がさらに広がりますしね。続編の『罰』もリメイクするとしたら、サテライトさんとぜひまた組みたいなぁ(笑)。
メーカー | アトラス |
---|---|
対応機種 | PSP(プレイステーション・ポータブル) |
発売日 | 2011年03月03日 |
価格 | 6,279円[税込] |
ジャンル | RPG(ロールプレイング) |
備考 |
Published by ATLUS
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