HOME> ニュース> 間違いなくシリーズの最高峰『テイルズ オブ グレイセス エフ』インプレッション

間違いなくシリーズの最高峰『テイルズ オブ グレイセス エフ』インプレッション

ゲーム インプレッション プレイステーション3
2009年12月に他機種で発売されて、高い評価を得たRPG『テイルズ オブ グレイセス』。この『グレイセス』に“エフ”(futureの頭文字)が付いた『テイルズ オブ グレイセス エフ』が、プレイステーション3で登場。そのプレイインプレッションを、週刊ファミ通編集部の川島ケイジがお届けしよう。

●“守る強さを知るRPG”が新生

logo_TOG

 2009年12月に他機種で発売されて、高い評価を得たRPG『テイルズ オブ グレイセス』(以下、『グレイセス』)。“守る強さを知るRPG”を謳ってはいるが、『テイルズ オブ』シリーズの伝統を大切にしつつも打ち破ってみせたゲームデザインは、“守る”よりもむしろ“攻める”ような気鋭を感じさせた。それから約1年後の2010年12月2日、『グレイセス』に“エフ”(futureの頭文字)が付いた『テイルズ オブ グレイセス エフ』が、プレイステーション3で登場。そのプレイインプレッションを、週刊ファミ通編集部の川島ケイジがお届けしよう。

■打ち破られた伝統のリニアモーションバトル

01
02

 『テイルズ オブ』シリーズのバトルといえば、○ボタンで通常攻撃、×ボタンで術技が発動し、左スティックを同時入力することで攻撃の方向などが変えられる……という、単純明快な操作性がひとつの売りだった。だが、『グレイセス』では、この伝統を大きくチェンジ。たとえばヒロインのソフィなら、○ボタンから“格闘技”が、×ボタンから身体能力の一時強化などをもたらす“再生術”が発動する。通常攻撃という概念がなくなり、どのボタンからも術技のように強力なアクションがくり出せるようになったのだ。“スタイルシフト”と呼ばれるこのシステムは、もしも完成度が中途半端だったとしたら、悪い意味で「伝統をぶっ壊した!」なんて叩かれたかもしれない。しかし実際にプレイしてみれば、スタイルシフトは仲間の個性と強さをいっそう際立たせており、いい意味で伝統をぶっ壊していることがわかるはず。どのキャラクターも操作していてチョー爽快! 方向キーを押すだけで操作キャラクターを瞬時に切り換えられる親切設計もありがたい。

 これらのシステムは、基本的に『グレイセス エフ』でも変わっていない。もちろん、プレイステーション3ならではのHD画質になったことで、同じ術技でも迫力がグンとアップしているように感じられるし、ロード時間もすこぶる快適。『テイルズ オブ』シリーズのバトルシステムは作品ごとに独自要素があるので、単純に比較できないことは承知しているが、あえて自分は『グレイセス エフ』のバトルシステムがピカイチであると断じたい。

■平和が崩れゆく展開を何とかしたいから

03
04

 勇者が魔王を倒すような“勧善懲悪”とは違う、敵味方ともに信念なり正義なりがあるストーリー。これは『テイルズ オブ』シリーズの専売特許ではないが、人気を支える伝統のひとつであることは間違いない。コミカルに描かれる仲間たちの日常と、生死に関わるシリアスなイベントシーンとのギャップもまた、それぞれの持ち味を引き立たせる。そんなツボは『グレイセス エフ』もしっかり押さえていて、主人公の剣士アスベルと、親友のリチャード王子が、それぞれ強い意志を持っているがゆえに対立し、やがて世界規模の戦いへとストーリーが発展する。ふだんのグルーヴィーチャット(雑談)などで仲間たちの平和な日常をしっかり描いているからこそ、それが壊れてしまったときのショックや、何とかして取り戻したいというモチベーションを、自然とプレイヤーにもたらしてくれるのだ。要するに、先のストーリーが気になってプレイのやめどきがわからない! ってこと。

 本編のストーリーに大きな新要素はないが、やはりHD画質になると、キャラクターの表情がより繊細に伝わってくる。彼らの心の機微に触れながら、プレイヤーが自分なりに“守る強さ”と向き合ってみると、『グレイセス エフ』のストーリーがいっそう味わい深くなるだろう。

■後日談“未来への系譜編”の詳細は伏せておくが……

05

 さて、『グレイセス エフ』の最たる新要素が、本編のエンディングから半年後の世界が描かれる“未来への系譜編”だ。一度は滅亡の危機を免れたはずの世界に異変が起き、アスベルたちが再び集結する。本編で壮大な“雨降って地固まる”を果たしたアスベルとリチャードの共闘や、感情の起伏に乏しかったソフィの少女らしい成長など、後日談ならではの見どころ&遊びどころは多々あるのだが……。当然ながら、本編をクリアーした後にプレイできるようになる要素なので、発売直後のこのタイミングで多くを語るのは避けておこう。

 ただし、未来への系譜編がけっして“後付け”の“おまけ”ではないことを強調しておきたい。本編のために用意されつつもゲーム中では明示されなかった膨大な世界設定の一端が、未来への系譜編という形で世に出ることになったわけだから。本編のキャラクターボイスは台本にすると4冊分で、未来への系譜編はなんと3冊分に相当する……という力の入れ具合からも、これが“おまけ”のレベルをとうに超えていることがおわかりいただけるのでは。

 先のストーリーが気になってしょうがない! バトルがテンポよくてキモチイイ! という感想は、本編でも後日談でも変わることはなかった。『テイルズ オブ』シリーズの経験者も、シリーズに触れたことがないという人も、シリーズ屈指の完成度を誇る“守る強さを知るRPG”をぜひ味わってみてほしい。

text:川島ケイジ

■筆者紹介 川島ケイジ

週刊ファミ通編集者。RPGを担当することが多いが、バイオレンスなアクションゲームやFPSも大好き。ただし下手の横好き気味。

テイルズ オブ グレイセス エフ
メーカー バンダイナムコゲームス
対応機種 プレイステーション3
発売日 2010年12月2日発売
価格 8379円[税込]
ジャンル RPG / ファンタジー
備考 PlayStation Network対応、プロデューサー:馬場英雄、キャラクターデザイン:いのまたむつみ、開発:ナムコ・テイルズスタジオ
(C)いのまたむつみ (C)2010 NBGI

ソーシャルブックマーク

  • Yahoo!ブックマークに登録

評価の高いゲームソフト(みんなのクロスレビュー

※ ブログ・レビューの投稿はこちら!ブログの使い方

この記事の個別URL

その他のニュース

Switch『スーパーモンキーボール バナナランブル』先行レビュー! おサルを転がし家族や友だちとワイワイ楽しめるパーティエンターテインメント

シンプルなゲーム性ながら熱中度抜群のアクションゲーム『スーパーモンキーボール バナナランブル』。その先行プレイレビューをお届け!

【『戦場のフーガ』開発記録】『インターミッション』第45回

サイバーコネクトツー松山社長が『戦場のフーガ』の開発秘話を赤裸々に解説する『インターミッション』。第45回をお届け。

【ザラキと月のほのぼのひとコマ】『チェイサーゲーム』シーズン2 外伝 レディのたしなみ編

アニメ業界の闇に切り込む内容となったシーズン2の『チェイサーゲーム』は、実在のゲーム制作会社サイバーコネクトツーを舞台にしたゲーム業界お仕事マンガ。シーズン2の外伝 レディのたしなみ編を掲載。

『ヴァガンテ』Switch版・PS4版が4月25日に発売。最大4人で財宝が眠る危険なダンジョンに挑むローグライクアクション

ローグライト・プラットフォームアクション『ヴァガンテ』のSwitch版/プレイステーション4版が4月25日に発売。

漫画家・ぱげらった制作のホラーアドベンチャー『妄想凶ザナトリウム』家庭用ゲーム機/Steam版が4月26日発売。海水浴エピソードを新たに収録

ケムコは、ホラーアドベンチャー『妄想凶ザナトリウム』Nintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)版を2024年4月26日(金)に配信開始する。

ギャグ漫画『ELDEN RING 黄金樹への道』第42話公開。ラダーンとの激闘がついに決着を迎える!

アクションRPG『エルデンリング』をもとにしたギャグ漫画作品『ELDEN RING 黄金樹への道』が、“COMIC Hu(コミックヒュー)”にて2024年4月19日に更新され、新たに第42話が公開となった。

スシローで『【推しの子】』コラボが4月24日より開催。B小町の3人が公式アンバサダーに就任。限定シール付き監修スイーツや寿司が登場

テレビアニメ『【推しの子】』と回転寿司チェーン店・スシローのコラボキャンペーンが2024年4月24日より開催。作中に登場するアイドルグループ・B小町のメンバーが公式アンバサダーに就任。

MMORPG『HIT : The World』本日(4/17)正式サービス開始。1000万円山分けイベントや最強ボス最速討伐イベントなど、3つの記念企画を同時開催

ネクソンは、スマートフォン、PC(Windows)向けMMORPG『HIT : The World』をサービス開始した。