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板垣伴信氏を直撃、『Devil's Third(デビルズサード)』は日本で確実に出します【TGS2010】

ゲーム インタビュー
東京ゲームショウ 2010に合わせて行われたTHQのメディアイベントにおいて、板垣氏にインタビューする機会を得た。 E3のTHQブースで電撃発表され、話題を集めた最新作『Devil's Third(デビルズサード)』の進捗状況などを聞いた。

2010-09-18

●シリーズ化や映画化なども構想中

 2010年6月にE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)のTHQブースで電撃発表され、話題を集めた板垣伴信氏の最新作『Devil's Third(デビルズサード)』。東京ゲームショウ 2010に合わせて行われたTHQのメディアイベントにおいて、板垣氏にインタビューする機会を得た。残念ながらE3から新たな情報が公開されることはなかった『Devil's Third(デビルズサード)』だが、その進捗状況などはやはり気になるところ。板垣氏に『Devil's Third(デビルズサード)』の“いま”を直撃した。

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▲ヴァルハラゲームスタジオの代表取締役CTO、板垣伴信氏。『Devil's Third(デビルズサード)』ではプロデューサーを務める。

――E3の発表から3ヵ月経ちましたが、開発状況はいかがですか?
板垣 絶好調ですよ。メディアの方からよく、「完成度は何%くらいですか?」と聞かれるのですが、11%くらいですね。E3のときに僕が「10%」だと答えたことを覚えている人は、「ちゃんと進歩していますね」と言ってくれるんですけど(笑)。

――E3から3ヵ月で1%との進歩となると完成までにどれくらいかかるのか、という感じですね(笑)。
板垣 という単純な計算でもなくて、僕の中では開発は4段階くらいあるんですよ。いまは必要な素材を集めている状態ですね。同時に、『Devil’s Third(デビルズサード)』はシリーズ化も考えていますので、どういう開発スタイルでいくことがゴールにいちばん近いのか?といったことも考えています。まあ、いまは基盤整備といったところですね。そろそろ基盤整備は終わると思うので、そうすると大量生産が一気に始まります。そうなると急に「完成度70%」とか言い出すんですよ。

――開発スタイルとのことですが、開発スタイルは従来から変えているのですか?
板垣 まったく違います。『Devil's Third(デビルズサード)』では、銃、刀、拳による攻撃方法があるわけですが、僕らは『デッド オア アライブ』シリーズや『NINJA GAIDEN(ニンジャガイデン)』シリーズをずっと作ってきた人間なので、近接攻撃はお手のものです。少なくともその分野では、世界でもトップクラスの実力があると自負しています。ただし、いままでは全部自分たちで作っていたんですね。なぜなら、作るのが好きだから。ですが、人にお任せしたほうがよいのができるパートとか、人にお任せしても同じクオリティーのものができるということであれば、そこはお任せして、自分たちが得意なところに集中したほうがいい、という考えかたですね。だから『Devil's Third(デビルズサード)』では、THQ本社とはもちろん、ニューヨークの会社やバンクーバーの会社などとも連携しています。

――適材適所といったところでしょうか?
板垣 そうですね。たとえば銃を撃つという行為ひとつとっても、日本人はほとんど銃を撃ったことがないので、銃を撃つモーションキャプチャーがどうしてもカッコ悪くなってします。あくまで“フリ”なわけですから。そうすると、アメリカで軍人を使ってモーションキャプチャーするほうが断然いい。敬礼シーンひとつ取っただけで、“フリ”と“本物”は違う。そういうのがゲーム全体の雰囲気を損なってしまうことがあるんです。そういう意味でも、任せるところは任せたほうがいいと思っています。

――E3でトレイラーを公開されての反響にはどのようなものが?
板垣 いちばん多かったのは、「よかったです」というものでしたね。「何はともあれ、よかった」と(笑)。

――よっぽど心配されていたんですね(笑)。
板垣 なにしろ三上真司さんにも心配されていたくらいですから。ユーザーの方はもっと心配だったんでしょうね。そのご意見がいちばん多かったかな。あとは、「信条を持ってやっているのだから、それを貫いてください」というのが多かったですね。

――『Devil's Third(デビルズサード)』に関してはいかがですか?
板垣 「残虐表現を貫いてください」というのがいちばん多かったですね。「(板垣さんが)貫いてくれるのはわかっているけど、ぜひとも貫いてください」という(笑)。とはいえ、これはヴァルハラゲームスタジオのホームページにも書いたのですが、僕は残虐表現がやりたくて残虐表現をやっているわけではないんですよ。『Devil's Third(デビルズサード)』は戦争がテーマなのですが、戦争って本来が残虐なものですよね。僕はそこから目を背けませんよ、という意思表示なんです。迫真性やリアリズムをゲームに持たせるというときに、現実から目を背けて、エフェクトでごまかす……というのは、僕が関わるプロジェクトに関しては絶対に許容できない。とはいえ、人が不愉快になるものを押し売りするつもりもないので、発売禁止になるものを作るつもりもありませんし。

――日本と海外では表現を変えるといったことは?
板垣 一般論を言うと、リージョンやプラットフォームごとに違うバージョンを作っても、お客さんにとっていいことにはならないです。僕は『デッド オア アライブ2』は7種類作っているので、そこのところは痛感しています(笑)。まあ、レーティングに関しては、やはり“Z”になるでしょうね。Zでも、とびきりギリギリのZになるんだろうな。

――日本での発売が気になるところですが……。
板垣 まだ決まってないですよ。THQさんが直接販売するかもしれないですし、そのへんは白紙です。いずれにせよ日本でもちゃんと発売します。日本人が作ったソフトを日本人が遊べないとなると、「おまえは何人だ?」となってしまう。僕の信条としては、応援してくれているファンがいる以上は、そういった人たちに海外版を輸入してもらうといったことはさせたくないですね。ちょっと言葉の意味が違うかもしれませんが、それは“裏切り”といっしょです。

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――『Devil's Third(デビルズサード)』ではシングルモードとオンラインモードがありますが、板垣さん自身はどちらに比重を置いているのですか?
板垣 やっぱり両方です。僕の原点は格闘ゲームなので、やはり“対戦”という部分には注力していますが、一方でストーリー作りもとても大切にしています。僕の作るのは「妙なストーリーが多い」という励ましの言葉をたくさんいただいていますが(笑)、今回も題材は凝りに凝っていますよ。ただ、『Devil's Third(デビルズサード)』に関しては、映画監督でもあり、テレビドラマのプロデューサーでもあるTHQのダニエル・ビルソンさんと、彼の知り合いの脚本家であるポールさんといっしょに、脚本から舞台設定から何から何まで、いっしょに作っているんです。ハリウッドのコネクションも使えますし、素晴らしいゲームになるでしょう。『Devil's Third(デビルズサード)』に関しては、映画化、小説化、漫画化までトランスメディア展開を考えているんですよ。

――映画化や小説化もですか? ストーリーはどんなテーマになるのでしょうか?
板垣 それを言うと、いろいろとバレてしまうなあ(笑)。

――オンラインまわりについてはどうでしょうか?
板垣 いまのテストバージョンだと16人で動いていますが、いまサンフランシスコにいる通信関係のエキスパートと話を詰めていまして。ニューヨークのスタジオからの支援も受けています。E3の段階でもともと「16人以上になる」というアナウンスはしているのですが、さらにたくさん増やせるでしょう。さすがに256人ということにはならないと思うのですが(笑)。できるだけたくさん増やしたいですね。

――人が増えれば増えるほど、おもしろくなるゲーム性なのですか?
板垣 『Devil's Third(デビルズサード)』は対戦フィールドが、非常に立体的なゲームなんですね。フラットな場所での戦いに加え、縦軸もあるので、たくさんの人がいないとプレイヤーとプレイヤーがぶつかり合って、戦闘が発生する頻度が少なくなってしまう。

――『Devil's Third(デビルズサード)』では、オンラインプレイにもいままでにない要素が盛り込まれているようですね。
板垣 明らかにそうです。スナイパーライフルで照準を調整していたら、上から飛び降りて来た敵に首をはねられたりしますから。対戦ゲームを作らせたらお手のものなので、対戦のおもしろさに関しては皆さん信用していただいて大丈夫です。思うこととしては、いまのシューターって、少しこざっぱりし過ぎている感じがします。『Devil's Third(デビルズサード)』はもっと煽りますよ(笑)。

――いまのシューターは整理され過ぎているということですか?
板垣 淡白ですね。端的に言うと殺されても楽しくなきゃダメということですね。

――それは、おもしろい表現ですね(笑)。
板垣 対戦ゲームに関して言うと、負けたほうがつまらないと感じたら、「もう1回」というふうにはならないんです。たとえば、「自分の読みが外れたから負けたんだ」というふうに、負けたことに合理性を感じなければ、つぎはない。『Devil's Third(デビルズサード)』はそういった、合理性を感じさせるゲームでありたいと思っています。一方で、読みが外れて負けたのはいいけど、最後の一撃をしゃがみパンチでKOされたのではまったくおもしろくない(笑)。それが、最後の1ミリを削るのにわざわざいちばん痛い投げ技を食らったとなると、「そこまでやるか!?」という闘志が湧くじゃないですか。“煽る”というのはそういうところです。「オレ、こんな殺されかたをしたのか!」という(笑)。

――それをショックに感じてもう1回やろうと?
板垣 そうです。わかりやすいでしょう(笑)。

――お話を伺うに、『Devil's Third(デビルズサード)』には相当格闘ゲームのエッセンスが入っているようですね。
板垣 格闘ゲームというよりは、ギャンブルかな。もっというと麻雀(笑)。それは僕の格闘ゲームのベースにもなっているのですが。ギャンブルというのは、数学に基づく洞察力、読み、決断力、思考のスピードなどが求められるじゃないですか。最高のゲームですよね。逆にいえば、そういった視座から見たら、当時の格闘ゲームは、各選択肢の数学的期待値がおかしかったり、そもそも選択肢の数の妥当性など、いろいろとと変な点があった。つまり頭を使ってやる勝負として、数学的にいびつな形をしているように見えたんですよ。だからこそ『デッド オア アライブ』では、「お金を賭けてもやりたくなるようなものを作ろう」という気持ちでいたんです。

――なるほど。板垣さんのバックボーンはギャンブルなんですね。
板垣 格ゲー用語で“読み合い”という言葉と“バクチ”という言葉があるんですね。このふたつの意味を誤解している人がいるんだけど、“読み合い”というものには必ず“運”が介在しますからね。“読み合い”というのは、“運”に支配される比率を、頭を使っていかに押し下げるかの勝負です。ふつうだと30%の確率で負けとなる状況で、数学的な情報や、相手のプロファイル、行動傾向、そのほかのメタ情報まで動員して、どうやって15%、いや10%まで押し下げるか……という知的作業です。でリスクを下げられるだけ下げて、可能性を上げられるだけ上げたうえで、初めてサイコロを振りましょう、という話です。これがギャンブルですよ。ただ運任せで何も考えずにサイコロを振ってもちっともおもしろくないわけですよ。まあ、100%勝ちが決まっている勝負もおもしろくないですけどね。

――なるほど。そういった意味では、『Devil's Third(デビルズサード)』は麻雀の最新進化形といったところでしょうか?
板垣 (笑)。まあ、麻雀には叶わないなあ(笑)。これは個人的な意見だけど、麻雀よりおもしろいゲームはこの世にないと思うな。

――では最後に、誰もが気になるであろう質問を。発売時期はいつになりますか?
板垣 まだまだ先になりそうです。できるだけ早く出したいのですが、とにかく素晴らしいものにしたいので、いましばらくお待ちください。ひとつ言えるのは、現状来年の発売はないかなと。お待たせするぶん、皆さんに喜んでいただけるものを作るつもりでいますので、ご期待ください。

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