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『人喰いの大鷲トリコ』の詳細に迫る! 上田文人氏インタビュー【TGS2010】

プレイステーション3 ゲーム
発売時期が電撃発表されたプレイステーション3用ソフト『人喰いの大鷲トリコ』。上田文人氏にインタビューを敢行し、『人喰いの大鷲トリコ』、そしてプレイステーション3版『ICO』、『ワンダと巨像』の詳細について直撃した!

2010-09-17

●『ICO』、『ワンダと巨像』から『人喰いの大鷲トリコ』へ……

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 発売時期が電撃発表されたプレイステーション3用ソフト『人喰いの大鷲トリコ』。新たなトレーラーも公開されて、大きな話題を呼んでいた。本作のディレクター、ゲームデザインを務めるのは、ソニー・コンピュータエンタテインメントの上田文人氏。海外メディアから取材オファーが殺到し、多忙を極める上田氏に特別に時間を割いていただきインタビューを敢行。『人喰いの大鷲トリコ』、そしてプレイステーション3版『ICO』、『ワンダと巨像』の詳細について、お話を伺った。


――ついに発売時期が発表になりましたね。
上田文人氏(以下、上田) TGSのタイミングで皆さんにお伝えすることができました。いちユーザーとしての意見ですが、いつまでも発売日未定というのも……ね(笑)。
――発売時期が2011年HOLIDAYということですが。
上田 2011年10月〜12月ですね。春休みの時期ではないです(笑)。発売時期を発表したことで、これまで楽しみにしていてくださった方々の期待もより大きいものになると思いますので、つぎはその期待に応えるような、裏切らないようなタイトルにしないといけない、と感じています。
――最新トレーラーには、これまでとは雰囲気の異なる楽曲が使用されていましたが、あれは製品版で使われるものなのでしょうか?
上田 意外性のある楽曲を意識しました。ただ、あれは今回のTGSのために用意したもので、既存の楽曲です。『人喰いの大鷲トリコ』は、皆さん悲しいエンディングを想像するじゃないですか。それはある程度仕方ないことでもあるんですけれど、単にそのまま捉えられるのはおもしろくないというか……。ゲームの中で動物というテーマを扱っている限り、コミカルなシーンや生理現象も表現したいというのがコンセプトでしたので。今回はそういうところを集めたトレーラーになりました。
――確かに、トレーラーではトリコが吐く動作を行っていたり、猫が排泄後に砂をかけるように後ろ脚で地面を掘ったりといったシーンが印象的でした。
上田 なぜあのような表現をしたかというと、いままで作ってきた『ICO』、『ワンダと巨像』はファンタジーの世界の話ですので、映画が好きな人はファンタジーの部分がフックとなって購入し、プレイしてくれたんですけれど、もっと広い層に向けて何かを感じてほしいなと思ったときに、動物というテーマを選んだことももちろんそうですが、それ以上に生理的な表現を入れることによってそういった人(広い層)に届くんじゃないかな、と思って。また、ゲームデザイン的にも生理現象を絡めれば、「いままでになかったデザインにできるな」と思ったんですよね。
――生理現象は、たとえばご飯をトリコに与えた後、与えた量や時間に応じて自発的に行う……というものなのでしょうか?
上田 そうですね。ただ、勘違いしてほしくないのは、何かを合成するためにトリコに食べさせるわけではないということです。あくまでも生理現象のひとつ。そこがコントロールできないところのおもしろさだと思うんですよ。さっき食べさせたものが、もしトリコが食べられないものだとしても、プレイヤーはわからないので。たとえば、敵と戦っているときに生理現象が起これば、少年は守ってもらえなくなりますよね。コントロールできないというのは、本作のコンセプトでもあるので。完全にコントロールできないというわけではなくて、コントロールできない部分があるということです。そこがゲームのリアリティーにもつながるし、ゲームデザインの神秘性にもつながるんですよね。
――なるほど。そういえば、敵である鎧姿の兵士の中身が空洞なこともトレーラーで垣間見られましたが……。
上田 人ならざる存在と言いますか……。ただし、少年はあの兵士に直接勝つことはできません。周囲の状況やオブジェクトを使ってやっと勝てるという……。
――トレーラーでは、倒れている兵士の頭を少年がつかんではずしていましたね。
上田 あれも倒すための攻撃方法として考えているわけではなくて、倒すこともできます、というくらいものです。以前お話したことがあるかもしれませんが、少年とトリコと見張り(兵士)がジャンケンのような関係になっていますので、見張りはトリコに倒してもらうというのが基本となります。

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――仕掛けを動かすシーンもありましたが……。
上田 移動するオブジェクトというのは、ほかのゲームにも出てくるとは思いますが、きちんと構造を理解して、「こう動かないといけないよね」という細かなところにもこだわっているという意味では、自分のゲームならではだな、と思います(笑)。
――前回のトレーラーから全体的にブラッシュアップされていますよね?
上田 じつは、グラフィックに関しては、前回からあまり変わっていません。前回のトレーラー時に、ほぼ完成に近い形となっていましたので。それよりも、動きのブラッシュアップのほうが、前回に比べたらずいぶん上がっていると思います。生物的だったり、バリエーションですね。以前だと決まった動きしかしなかったものが、ロケーションに対応して動いたり。
――環境についてもお聞きしたいのですが、たとえば羽虫や蛾なども、かなり細かく作り込んでいますよね。
上田 松明の周りにいる蛾は、光に寄ってくるように制御しています。……このような話をするのはどうなのかわかりませんが、本作はステージの作りかたがこれまでとは違うんですよ。これまでのステージは、丸ごとひとりのアーティストが隅々まで作る手法でした。ただ、空間が広くなり、プレイステーション3になって解像度が上がり……となると、単純に仕事量だけが増えてしまう。そういった作りかたはやめて、LEGOブロックのように細かなパーツを作って、それを作ることに目いっぱい注力して、そのパーツの組み合わせでステージを作っているんです。誰も行かないような場所にまで細かなキチンとした情報が詰まっているというのが本作のステージなんです。それによって、制作の効率化も図れましたし、HDに耐えうる画面の情報量を醸し出しているんですよね。
――いま公開されているステージは石造りの建物が多いですから、その作りかたですと、よりリアリティーが増しますよね?
上田 そうですね。その手法がいちばん活きるのは石造りですね。ただ、人工物にしか使えないかというと、自然物にもこの手法は有効なんです。今回はお見せできていませんが、ある自然物のステージでは、“このスケールのステージをひとりの人が細かく作っていたら、とてもそんな情報量は入れられないだろ”というところも、今回の手法で作っていますので、細かいところにまで情報が入っています。それによって『ICO』、『ワンダと巨像』、『人喰いの大鷲トリコ』と開発人数は増えていますけれど、HD化、プレイステーション3化による増員という点で言えば、ほかの会社さんほど増えてはいないと思います。このように、ステージの構築の仕かたなどに、これまで時間を費やしています。
――AIについてはいかがですか?
上田 ネタとしてはたくさんあります。まだ、少し不安定な部分があり、入れ込めていないところもありますね。……トレーラーをご覧になって、ほかに気になったところはありますか?
――トリコの何と言えばいいんでしょう、独特の動きが……。
上田 反応ですかね。反応に関して言えば、前回のトレーラーよりも入れ込んでいます。でも、まだまだ足りないと思いますね。
――え!? まだ足りないんですか?(笑)
上田 まだ足りませんね。僕の狙いでもありますが、ほかのタイトルとは毛色が違うとも感じますし、海外のゲームがシューティングといった派手な路線、濃い味なものに向かっている中、そういったものではないタイトルで勝負したいと思っていますので。

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――『ICO』、『ワンダと巨像』に関してですが……。
上田 監修という意味では、すべて見ています。毎週アップデートがあって、それを見てチェックしています。開発を手掛けている会社が非常に優秀で、僕ですら知らない仕様をすり合わせてうまくやってくれているんですよ。キチンとプレイステーション2の『ICO』、『ワンダと巨像』とプレイステーション3の『ICO』、『ワンダと巨像』を見比べて、遜色ないように作ってくれているんです。必要であればよりよくしてくれるので、本当に助かっていますね。
――プレイステーション2版と内容は同じなのでしょうか?
上田 同じですね。プレイステーション2版の『ICO』には日本およびヨーロッパバージョンと、アメリカバージョンのふたつのバージョンがあるのですが、プレイステーション3版は日本およびヨーロッパバージョンと同じなので、日本のユーザーの皆さんからすると同じ内容になりますね。
――フレームレートは変更されるのですか?
上田 『ICO』は30フレームのままです。60フレームにできたとしても、そこは変更しません。雰囲気がまったく変わってしまうので。『ワンダと巨像』も30フレーム想定です。プレイステーション2ではフレームレートが落ちたシーンでも、30フレームを維持するようになっています。
――それぞれ個別に発売されるのでしょうか?
上田 個別ですね。あ、3D対応の話は聞いていますか?
――“Sony Computer Entertainment Japan Press Briefing”で発表されていましたよね。
上田 けっこういいんですよ。ただ、3Dの調整は、僕が想像していたよりも奥が深くて。
――それはどのような部分に関してですか?
上田 どのくらい飛び出させるか、どのくらい奥行きをつけるか、どこを焦点にするか。これは、目の疲れ具合との天秤なんですが、その辺りはずっと詰めていますね。『ICO』の3Dもいいですが、『ワンダと巨像』は立体になると本当に迫力が出て。このタイミング3Dに対応させたかったので、実現できてよかったですね。
――発売時期については……。
上田 詳細は言えないのですが、プレイステーション3版の発表を行ったことに対し、僕の想像を超える反応があったので、驚くとともに非常にうれしく感じています。ぜひプレイしていただいて、エンディングを迎えていただきたいと思います。クリアーまで遊んでいただいて、何かを感じていただけたらうれしいですね。
――最後に、上田さんの作品を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
上田 『ICO』、『ワンダと巨像』は以前から作っていて、今回このような形で発表できたので、皆さんの反応を楽しみにしています。『人喰いの大鷲トリコ』も、SCEJブースにて最新トレーラーを流していますので、ぜひTGS会場に足を運んでみてください。

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(C)Sony Computer Entertainment Inc.

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