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【CEDEC 2010】ソーシャルゲームの第一人者が注目するのはアンドロイド携帯

ケータイ ソーシャルアプリ
昨今絶大な人気を博しているモバイルソーシャルゲームにフォーカスをあてたセッションをお届けしよう。この分野の第一人者が捉えるソーシャルゲームの現状と今後に向けての課題とは?

2010-08-31

●ゲーム性、ゲーム作りのノウハウが今後すべてのアプリやWebサービスに影響を与えていく

 CEDEC(CESAデベロッパーズカンファレンス)2010が、2010年8月31日〜9月2日の3日間にわたって、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会議センターにて開催中だ。社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)主催によるCEDECは、ゲーム開発者の技術交流などを目的に開催されている講演会で、今年で12年目。ゲームの知が集結するCEDEC 2010の模様をリポートする。

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 昨今絶大な人気を博しているモバイルソーシャルゲームにフォーカスをあてたセッションが開催初日の2010年8月31日に行われた。“モバゲー、mixiモバイル、GREE等、モバイルソーシャルゲームの最新動向とゲームデベロッパーへの事業機会”という内容だ。登壇者はブレークスルーパートナーズのマネージングディレクター、赤羽雄二氏。

 ブレークスルーパートナーズは「日本発の世界的ベンチャーを1社でも多く生み出し、日本をもう1度元気にしたい」とのコンセプトのもとにソーシャルアプリなどのサービス開発企業を共同創業している会社。赤羽氏自身、ソーシャルゲームに対する造詣が深く、CEDECでは3年連続の講演となる。セッション自体は、「一方的な講演にしたくない」との赤羽氏の方針から、随所に聴講者の質問が織りまぜられるなど、極めてアクティブな講演となった。

 講演は、モバゲー、mixiモバイル、GREEの3大モバイルソーシャルサイトの最新動向の分析からスタート。まずはユーザー年齢に関しては、mixiは20代が6割なのに対して、GREEとモバゲーでは30代以上が3割を超えるとのこと。なかでもGREEは女性が、モバゲーは男性がそれぞれ多いらしい。30代は課金が多いのが特徴で、会員ひとりあたりの月売上額は、mixiが61円なのに対して、GREEは177円、モバゲーは344円だという。モバゲーの344円というのは驚異的だが、これは『怪盗ロワイヤル』効果によるもので、ここ半年で状況が劇的に変化したのだとか。

 ヒット作の登場により状況が変わるのは、家庭用ゲーム機などと同様なようだ。一方、mixiの売上は低めだが、これは「ソーシャルグラフを重視しているmixiが意識的に行っていることなのでは」と赤羽氏は分析する。ちなみにソーシャルグラフとは、顔や名前がわかって実際に接触が取れる人と人とのつながりのことだ。そして講演では、モバゲー、mixiモバイル、GREEともにiPhoneやアンドロイド携帯などに代表されるスマートフォンへ注力していくことが説明された。

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 ここで赤羽氏は改めて、モバイルソーシャルゲームの本質を分析してみせる。「(モバイルソーシャルゲームの本質は)難しいことはひとつもなくて、日常の生活が入っていることです」とした赤羽氏は、以下の8つの要素を列記した。
・24時間手元に
・“わざわざ”ではなく気軽に
・時間がちょっと空いたときに
・何でもこれで……近い将来、購入も
・SNSの数千万〜数億人へのアクセス
・SNSの“友だち”への波及:バイラル性
・“友だち”への思い、しがらみ:ソーシャル性
・ブロードバンドによる高速、高画質

 ちなみに“バイラル性”とは、口コミを超えたより過激な伝播のことで、その伝播心理は男女により大きく異なるとのこと。女性ユーザーは、ちょっとしたお返しの気持ちから、一方の男性ユーザーはみんなで参加しないといけない、サボると迷惑がかかる、といった心理状態からソーシャルゲームに打ち込んでいくのだという。いずれにせよソーシャルゲームは「ゲーム的なものが、あらゆるものへ広がっている状態」(赤羽)とのことだ。そのうえで、赤羽氏はソーシャルゲームに学ぶこととして、”一気に100万ユーザーを獲得するバイラル性”や”毎日ログインし続けるアクティブ率に高さ、離脱しづらいソーシャル性、しがらみ”などを挙げた。ちなみに、日本人のユーザーは時間制限や期間限定イベントに極めて弱いとのことで、そこに対する課金は世界でも例を見ないという。その現象を見た海外メーカーが、ビジネスチャンスとして捉えているのだとか……。

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 さて、おつぎに赤羽氏が触れたのは、モバイルソーシャルゲームにまつわる国内外の動き。赤羽氏が注目するのはアンドロイド携帯だ。2010年1月〜6月のアメリカ・スマートフォンの出荷台数がiPhoneを超えたことはご存じのとおりだが、今後はアンドロイド携帯が普及するのではないか……と赤羽氏は予想する。「アンドロイド携帯には、国内各社もかなり力を入れており、3キャリアもこれからの宣伝はほとんどスマートフォンになる。2012年年末の段階で、加入者数の15〜20%がアンドロイド端末になるのでは」(赤羽)というのだ。「iPhoneには熱烈なファンが多いが、ほとんどのデベロッパーがビジネスが成り立たずに苦しんでいる」と赤羽氏は語る。アンドロイド携帯のほうが自由度が高く、世界中で何十社による何百のプロジェクトが動いているというのだ。いずれにせよ、スマートフォン対応のゲームは2010年前半だけで2000億円を販売しており、ダウンロード数は38億回を超えるとのことで、今後のモバイルビジネスの主役に踊り出ることだけは間違いなさそうだ。

 そして最後に赤羽氏が言及したのが、“ゲームデベロッパーにとっての事業機会と参入方法”。「ヒントはあるが、答えはない」と断言した赤羽氏は、ヒントとして、ソーシャルゲームのFacebookやTwitter、スカイプなどの活用を挙げた上で、「ゲーム性、ゲーム作りのノウハウが今後すべてのアプリやWebサービスに影響を与えていきます」と続けた。

 ちなみに、いま赤羽氏が注目しているのはFacebookの“Open Graph”。“Open Graph”は現在会員数が5億人とも言われるFacebookユーザーの情報を外部サイトが簡単かつ自由に活用できる仕組みのこと。店舗やイベント、音楽、趣味などWeb上のグラフ(相関図)が、“Open Graph”ですべて結びつけられるのだという。これにより、パートナーサイトを訪れると、友だちにパートナーサイト内での活動が知らせられるのだとか。友だちがどのサイトの記事を読んだり、コメントを書いたりしたかわかるようになるらしい。「ゲームの世界をインターネット、ソーシャルの世界に大きく広げる」という赤羽氏だが、今後”ゲーム”というものの概念がどう変わっていくのか、頭を柔軟にして考える必要があるのでは……と思わせた。

 なお、当日の講演での資料はブレークスルーパートナーズの公式サイトで公開中。興味のある方はどうぞ。

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