日本発売も決まったBlizzardのマルチプレイ対戦FPS『オーバーウォッチ』について、ゲームディレクターに話を聞いた【Blizzcon 2015】

公開日時:2015-11-09 00:00:00

 古くは『スタークラフト』、『ディアブロ』、『ウォークラフト』、近年では『ハースストーン』、『Heroes of the Storm』といった、ハードコアで競争性の高いゲーム内容で世界的に人気を誇るBlizzard Entertainment。その久しぶりの完全新規IPとして発表され、注目を集めているのがFPS『オーバーウォッチ』(オーバーウォッチ)だ。個性な能力や必殺技を持ったキャラクターたちを使い、6人対6人で戦うマルチプレイ対戦型のFPSで、現在アメリカとヨーロッパでPC版のクローズドβテストが行われている。

 先週末にアメリカのカリフォルニア州アナハイムで行われたBlizzard恒例のファンイベント“Blizzcon”では、海外で2016年春にPC/PS4/Xbox Oneで発売されることが発表。そして先ほど、日本でもPS4版がスクウェア・エニックスから発売されることが判明した。



 本稿では『オーバーウォッチ』のゲームディレクターを務めるジェフ・キャプラン氏(下写真)への合同インタビューに参加したので、その模様をお届けする。

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――まずは、キャプランさんのこれまでの経歴を教えていただけますか?

キャプラン 自分はこのゲームのゲーム・ディレクターとしてクリエイティブ・サイドを見ているので、ゲームがプレイしてダメとか見た目が悪いとなったら、すべて自分が悪い(笑)。ビジネスサイド(プロダクト全体)はプロダクション・ディレクターが見ている。

 自分は2002年5月に入社して、職歴は約13年になる。最初は『World of Warcraft』が出来る以前、開発の初期段階でこの仕事に入った。『エバークエスト』の大ファンだったから、色々な意見を言っていたね。このゲームでのプレイヤーとしての様々な経験が、『WOW』のデザイナーとして役立つと考えてもらったようだ。2004年のローンチに参加して、その後エクスパンションの『Burning Crusade』ではリード・デザイナーを、『Wrath of the Lich King』ではゲーム・ディレクターを務めた。

 今回、このゲームが日本で出ることをとても嬉しく思っているんだよ。というのは交換留学生として三重県鈴鹿市近くのイソヤマというところに3ヵ月住んでいたことがあるからね。日本にいるあいだ、ずっとファミコンをホストファミリーの子どもと一緒によく遊んだ。ゲームボーイのゲームを買いに行くとアメリカにないものがいろいろあって楽しかったな。日本にあるゲーミングに対する情熱も知った。

 Blizzardに入社して以来、自分たちが作っているゲームがどうすれば日本でもっと好まれるか、どうしたら日本で出せるかと思ってきたので、個人的にとても嬉しく思っているよ。



――このプロジェクトをスタートするにあたり、FPSが得意なスタッフを引っ張ってきたりしたんですか?

キャプラン もちろんだ。チームには様々な経験を積んだ人がミックスされているよ。FPSのエキスパートたちも採用した。リード・ゲームプレイ・エンジニアのティム・フォードは『メダル オブ オナー』のコア・エンジニアで経験豊富だ。他にも『Bioshock Infinite』のアニメーター、『Evolve』のアニメーターなどを雇ったので、チームとしてFPS経験は豊富だ。

 そして社内で『スタークラフト』、『World of Warcraft』、『Heroes of the Storm』、『ハースストーン』といったBlizzardらしいタイトルに関わってきた人たちがいるので、両者の多種多様な経験がミックスできると考えている。



――リード・キャラクター・アーティストのアーノルド・セイン氏はどんなプロジェクトを経てきたんですか?

キャプラン 以前は公式には日の目を見なかったR&D(調査・実験)プロジェクトに参加していた。それ以前はUdonにいて、カプコンとパートナーを組んでアートブックも作ったみたいだね。彼は自分が一緒に仕事をした中で最も優れたキャラクター・アーティストだ。忍者と侍なら一日中描いていられるようだが、常にロボットパーツを取り入れる。たくさん描いているのでそのうちに見せられればと思う。素晴らしい才能を持った人だと思う。



――『オーバーウォッチ』は完全新規IPで、『Star Craft: Ghost』以来初めてのシュータータイトルにも関わらず(GhostはキャンセルされたTPS)、予想以上にBlizzardファンからの支持を集めていて驚きました。なぜだと思いますか?

キャプラン それぞれのヒーローが非常にユニークだからだと思うね。色々な魅力を持ったキャラクターが揃っているので、個々のプレイヤーが自分にピタッとくるキャラクターを見つけられだけでなく、異なるゲームプレイが楽しめる。

 たとえば、ゲームでの性能によってキャラを選ぶプレイヤーもいるだろう。サバイバルを重視するなら強力なバリアーを持つZaryaを選ぶとかね。一方で外見を重視してタフでクールなアーマーを持ったタンク役のReinhardtとか、美しさを理由にSymmetraを選ぶかもしれない。このキャラクターの魅力とプレイ面での多様性がプレイヤーを惹きつけてくれることを期待しているよ。

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 それと、チームプレイ要素も本作にとって大事な部分だ。チームベースの対戦シューターではキル数を競うデスマッチになることが多いけど、『オーバーウォッチ』は他プレイヤーのキル数より、チーム全体として成功して勝てたか、あるいは負けたかという経験が重要なゲームだ。

 チームとしてさまざまなヒーロー構成で戦い、能力のコンビネーションによって相互作用が生まれることに面白さがあると思う。例えばZaryaがGraviton Surge(重力爆弾で周囲の敵を集めて浮かせる)で敵を集めて、そこにHanzoがDragonstrike(巨大な龍のスピリットを召喚して放つ技)を叩き込むとかね。チーム戦にフォーカスしている。



――収録キャラクターの21人という数字はどんな意味合いでそこに到達したんですか?

キャプラン 12人以上のヒーローを入れられるということは早くからわかっていたけど、いまの21という数字自体に深い意味はないんだ。ゲームプレイの多様性を追求していたらいまのところ、こうなっているという感じかな。

 たとえばPAX Eastの時期だったと思うけど、ZaryaとMcCreeを追加発表して遊んでもらったら、BastionやTorbjornなどが持っているタレットに対してうまくプレイできない人が多かった。そこで間接的な火力を持ったヒーローを入れてみようということで、Junkratを加える事にした。物理ベースで跳ねるグレネードをうまく弾ませて投げれば、角の先にタレットがいても倒せるからね。

 そういった具合に進んできて、21に到達したところでしっくりきて、まとまったものを提供できるという感じがしたんだ。 バリエーションや多様性が十分あって、すべてのプレイヤーにピタッとくるものを見つけてもらえると思った。自然に21に落ち着いたということだね。



――いまJunkratの例が出ましたが、キャラクターの設計はいつもそういう感じにやっているんですか?

キャプラン キャラクター作りはとても楽しい作業で、自分が開発チームと一緒にやる一番楽しい仕事だ。Junkratのようにゲームプレイの必要性から生まれるものもあるし、違ったケースもある。

 リード・キャラクター・アーティストのアーノルド(・セイン)は今まで見たことのないすごいキャラクターを描くんだ。HanzoとGenjiの場合は彼のイラストから始まった。最初、ふたりはひとつのキャラだったんだ。刀を持ったサイボーグ(今のGenji要素)で、弓矢も持っていた(今のHanzo要素)。なので、2つに分けて違うキャラクターを作った。ゲームプレイは優れた描画から生まれたわけだ。アーノルドが描いたものを見て、みんなあのキャラになりたい、どうやったらプレイ出来るのかと言っていた。

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 反対にZenyattaはゲームプレイから生まれたキャラだ。スコット・マーシーというアーティストがペーパーデザインしたのが発端なんだけど、あまり移動せず、動き回らなくてもよいヒーラー・キャラクターが必要だったんだ。例えばMercyでプレイしていても、Tracerなどの敏捷なキャラクター相手では、Cadceuss Stuffのビームで回復してやろうにも移動系アビリティを使ってもなかなか追いつけない。これは問題だった。そこでスコットがTracerにヒールを送れるヒーローを作った。回復用のオーブを出してやって「それじゃ後でね」と送り出せるような設計だ。それからスコットはストーリーを考えて、ネパールの寺院で修行を積んだ覚者、サイバネティックなモンクということになった。そしてアーノルドがこのストーリーを考慮して、これまで見たことのないキャラ、Zenyattaを描いたんだ。

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 Soldier:76のように、ストーリーだけで出来たものもある。クリス・マットソンが長く温めてきたもので、非常に優れた兵士が長く自国のために尽くしたが、システムに裏切られ、知識を持った傭兵のような、すべてに疲れた辛辣な人間になった。芯は良い人間だが以前のように利他的ではなく、融通が利かなくなっているという感じだね。

 このように純粋にストーリーだけで作られたもの、HanzoとGenjiのようにアートから生まれたもの、Zenyattaのように純粋にゲームプレイから生まれたものなど様々なきっかけでキャラクターが出来てきたわけだ。どんな方向からも出てくる可能性はあるよ。



――家庭用ゲーム機で遊べることが発表されたわけですが、コンソールのFPSはいろいろ言う人もいるけど、僕は好きです。ただしコントロールがちゃんとしている限りは。本作ではどう最適化しますか?

キャプラン よくわかるよ。『オーバーウォッチ』は最初から3つのプラットフォームでリリースすること目標として開発していて、コンソール版は単にPCから移植するようなものではない。特にテクノロジー、デザインで学ぶことも多い。例えばキーボードにはたくさんのキーがあるけど、これをすべてコントローラーに割り当てるのは無理だ。

 そこでコントローラーでの操作をどうやって良くするか考えなきゃいけないわけだけど、コンソールゲームでの経験が豊富な先述のティム・フォードが貢献してくれた。それに我々の親会社であるActivition Blizzardも大いに助けてくれた。『コール オブ デューティ』シリーズを開発する3つのスタジオがあるわけだけど、TreyarchとInfinity Wardがこのゲームをプレイして、コンソール&コントローラーでの様々なフィードバックを提供してくれたんだ。それだけでなく、Activisionがパブリッシングしている『Destiny』を開発したBungieも手を差し伸べてくれた。このように、このゲームを改善するために、スタジオ内部だけでなく傘下会社からも積極的にサポートとリソースを得ていく予定だ。



――6v6にしたのはなぜですか?

キャプラン チームプレイの感覚を大切にしたかったから、初期段階で3対3、4対4、5対5、12対12……色々な人数で実験してみた。重要視したことがふたつあって、まずチームのベストプレイヤーが自分が貢献したインパクトを感じられること。そして同時にワーストプレイヤーが足を引っ張ったと自責の念にかられないことだ。この二つのバランスを取る必要があった。ハイスキル・プレイヤーが大きなインパクトを与え、ロースキル・プレイヤーは大きなインパクトを与えないようにする。これを考えていく過程で、結果的に6v6が良かった。

 少人数でのチームプレイも良かったんだけど、6人いると中心の戦い以外にサイドでの競り合いが起こるんだ。TracerとMcCreeが小競り合いしている時にReinhardtが来て邪魔をするとか、そういう状況も起こるので面白い。



――今後、異なる人数でのゲームモードの追加もありますか?

キャプラン 現在は6v6で進める。会社からもチームからもコミュニティからも要望は多いから常に考えているけど、将来はやっていきたいものの、新しいモードの追加はとても難しい。

 本作のデザイン哲学の核はヒーロー対ヒーローの戦いであり、これから離れることになってはいけないと思う。例えばプロトタイピングとしてCapture the flagをやってみたんだけど、うまくいかなかった。Tracerで素早くマップを横切ればいいからね。そこで「Tracerはフラッグを持ってはいけない」とか「持っている時はアビリティは使っていけない」などのルールを作ってやる方法もあるが、それではヒーローではなくゲームモードそのものにフォーカスしてしまっていることに気づいた。どうしてもギミック的になるか、複雑すぎて混乱する状況を作ってしまう。

 繰り返しになるけど、(だからありえないのではなくて)将来的にはやりたいことであり、プロトタイプで期待できるものになることはわかっているので、モードを追加するかもしれないが、あくまでヒーローが中心であり、ヒーローのキャラクター特性がきちんと保たれることが重要だ。そう作れた時には実現すると思う。



――コンソール版には比較的安価な通常版がなく、Origins Editionのみになったのはなぜですか?

キャプラン コンソール市場は提供するものも価格もPCとは異なるからね(恐らく、Origins Editionの価格帯と内容がコンソール市場には良かったという意味)。Origins Editionの内容はプレイヤーに喜んでもらえるコンテンツだと思う。昨年このゲームを発表した時に一番希望が多かったのはスキンだったので、喜んでもらえるはずだ。他のBlizzardゲームで使えるエキストラ・アイテムも入って説得力があると思うよ。



――僕は最初は『ハースストーン』と『Heroes of the Storm』に続くF2Pタイトルになるんじゃないかと思っていたんですが、パッケージ売りにした理由は?

キャプラン もちろんビジネス・モデルは色々検討した。Blizzardでは幸いにも『ハースストーン』みたいなミステリーボックス(何が出てくるかわからないガチャ方式)、月額課金、伝統的なパッケージ、キャラ売り、ありとあらゆるビジネスモデルを経験してきたからね。究極的にはゲームデザイン、ゲームバランスからの選択になった。

 このゲームの最もクールなところはチーム構成とヒーローをダイナミックに切り替えられることなので、これによって『オーバーウォッチ』を定義づけたいと思ったんだ。だからプレイヤーがフルに楽しむには、ヒーローのベースセットを提供する必要があった。これはすべてにカウンターするために21人全員を必要とするいう話、例えば「Widowmakerに対抗するにはWinstonが絶対に必要」というわけではない。でもさまざまな攻撃方法を選択できるようにするにはある人数が必要となる。例えばBastionを攻撃するには、Reaperとしてテレポートして後ろから撃つ、Tracerとして後方にパルスボムを使うなど、7つくらいやり方がある。そうやって複数の対抗策があある上に、魅力を感じるヒーローの多様性も必要だ。視覚的に選ぶ人もいれば出身国で選ぶ人もいるだろう。こういったものを(バラ売りではなく、誰もが基本セットとして入手する)ベースバージョンとして提供したいと思ったんだ。



――今後さらにヒーローを追加する予定はあるのでしょうか?

キャプラン いまはわからない。ベータテストでどうなるかを見ていくことになると思うよ。今週ベータに新しい3人を追加し、現在の18人とうまくいくかどうか検討する。ローンチ当日には何も追加せず21キャラのままだけど、ベータとローンチで、人数が多くてプレイヤーが手に負えない状態に陥っていないか、どうカウンターするかわからず混乱していないかなどをチェックする。そしてプレイヤーはより多くのヒーローを求めているかどうか。またコミュニティがそれをどうサポートするかどうかによって、将来決めていく。



――試合が終わった後、結果画面で4人のプレイヤーカードが提示されて、そこでLikeボタンを押せるのが面白かったです。あれは実際、どういうものなんですか?

キャプラン マッチ中のすべてのプレイヤーのスタッツを把握する堅固なシステムがあって、試合後には両軍から4人がピックアップされてカードが表示される。基本的には被らないんだけど、非常に成績がよければ2枚同じ人が出ることもある。

 プレイヤー・オブ・ザ・ゲーム(最優秀プレイ)が表示されると、「あれはスゲー」とかディスカッションするよね。カードはそのサブシステムと言える。最高プレイヤーにくわえて、あと4人のプレイヤーにもスペシャルに感じて欲しいんだ。

 誰のキル数が最も多かったかではなく、カードも多様性をもたせた。『オーバーウォッチ』はゲームプレイが多様なので、誰が最高のキル数を出したかだけを見るわけにはいかない。これはフェアではない。Symmetraのテレポーターが非常に有効で勝てたとか、Mercyがヒーリングを驚くほどたくさん使ったといったことなどに投票する。

 これはマッチの間の楽しいソーシャル・モーメント、休憩時間だと思っている。「Meiが素晴らしかった、アイスウォールで一番多くの敵をブロックした!」と話したりするところだ。10人が1つに投票すればカードはレジェンダリーになる。将来は他のシステムと繋いで、このようなアイディアを発展させていきたい。最終的なゴールはプレイヤー間のソーシャル・インタラクションを増やすことだ。ただその時にカードを見て「Blizzardはなんでこんなバカなことをするんだ」とチャットするだけでもいい。



――ベータでもっとも人気があったのはPharahというヒーローだそうですが、何が決め手だと思いますか?

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キャプラン 色々な理由があると思うが、彼女はとてもパワフルで大きなダメージを与えられる。FPSをやってきた人に訴求力がある。昔の『Quake』や『チームフォートレス』をやっていた人にはピンと来るんじゃないかな。直接的なダメージがすごいし、足に当ててもダメージがあり効果的だ。また機動性も高い。他のFPSをプレイしてきた人たちは、Widowmaker、Reaper、Soldier:76といったキャラクターに親しみを感じるようだね。



――Hanzoは弓を引く際に動きが制限されるところがあるのでは?

キャプラン そのとおりだけど、その分を壁登りが出来ることで取り返している。マップのほぼどこでも壁登りで行けるから。Widowmakerは同じようにグラップリングで色々なところへ行けるけど、10秒間クールダウンしないと使えない。一方Hanzoはパッシブ能力としてガシガシ登っていける。

 また彼のSonic arrow(着弾するとソナーとして機能する矢)は頻繁に使えるし、クールダウンが早い。マッチのはじめに戦略的に使うといいよ。ディフェンスでHanzoなら、自分は相手のスタート地点の入り口をSonic arrowで撃つ。そうするとチーム全員に誰が通ってくるかがわかる。これはとても有利だ。Widowmakerが透視能力のInfra-Sightを使うには、一定の人数の敵を倒すか、一定のダメージを与えなくてはいけないからね。

 またHanzoにはScatter shotもある。矢がバラけるけど、もっともダメージの大きい技のひとつつだ。誰かが室内にいたらScatter shotでダメージを与え、もしかすると倒せる。スキルの高いHanzoプレイヤーは敢えて敵のすぐ前の地面に向けて撃つんだ、すべての弾が反射して綺麗に当たればダメージが300になるので、タンク以外なら一発で倒せる。またうまい人なら屋根から撃って倒せる。ゲームプレイに多様性があるキャラクターだよ。



――こうしたキャラクターはシューティングの好きな人にはすぐ理解されるでしょうか? 例えばMeiはトリッキーなキャラだと思いますが。

キャプラン プレイヤーによって理解度が異なるかな。Hanzoは『チームフォートレス2』でスナイパーとしてHuntsmanの弓を使う人ならすぐにわかる。アルファテストでは徐々にHanzoにいく人が多かった。最初は伝統的なスナイパーとしてWidowmakerを使って、Hanzoがいかにパワフルかがわかってそちらにいく。それでよいと思う。ベータはまだ1週間だけど、そういったことが起こると思う。

 しかし、例えばZaryaは最も複雑なキャラクターでわかりにくく、これから磨きをかけて理解しやすくしていく。でもプレイスタイルがわかって有効な使い方がわかり、一度ピタッときたらこのゲームで最もパワフルなキャラクターになれるよ。

 Meiの基本武器はそれほど複雑でないと思う。要は正確に撃てなくても仲間のところに駆け込んで、とにかく撃って相手を遅延させればいい。ヤバくなったらCryo-Freezeで氷に閉じこもってね。6−8秒間氷のブロックの中に入って自衛し、ヒール出来る。しばし氷に守られて攻撃を避け、生き残ることが出来るので初心者にも向いているよ。ただもうひとつのスキルIce Wallは、マップの知識がないとどこに作ったらよいのかわからないので難しい。が、使えるようになると楽しいアビリティだ。プレイヤーはきっと我々が思いもよらないクールなことをやって驚かしてくれるにちがいない。



――コンソール版のインターナショナル・ベータテストは?

キャプラン コンソールでのテストもやりたいね。アルファになるかベータになるかは決まっていないけど、テスト自体はきちんと行う。Blizzardは大きな会社であり、Activisionの経験も共有できる。これまで最大のコンソール・プラットフォーム・ストレステストも検討するよ。



――Tracer が『Heroes of the Storm』に入ったことについて何か教えて下さい。

キャプラン Blizzconでもgamescomでも一番多く聞かれたのは、いつ『オーバーウォッチ』のキャラクターが『Heroes of the Storm』に登場するかだった。素晴らしく光栄なことだが、まずは自分たちのゲームで地位を獲得しなくてはいけないと思っていたんだ。なんたってその他の参戦タイトル『Warcraft』、『Starcraft』、『Diablo』は10年、20年続くメガエピック・フランチャイズだからね。これらのゲームと並ぶにはそれだけのことをやらなくてはいけない。

 だがTracerを入れてもらったことはとても光栄だ。ゲーム・ディレクターのダスティン・ブラウワーとは友達で週2回ランチをするが、聞いたときはとてもうれしかった。Tracerのアビリティはまだ発表していないが、非常にパワフルなキャラクターになっていてクールだと思った。オープニングセレモニーで映像を出した時も非常に大きな歓声が上がったし、とにかく光栄に思っているよ。



――JunkratがPAX Eastでの経験から出てきたという話がありましたが、3人の新しいヒーローについて教えて下さい。

キャプラン 一部は同じだね。Meiは2つのことが刺激になっている。1つはゲームプレイで、氷を使うキャラが作りたかった。とても説得力のあるゲームプレイメカニックだと思う。それと、より知的な冒険家、科学者という、これまでにない訴求力のあるキャラクターにしたいと思ったんだ。これがインスピレーションだった。その上でディフェンス・ヒーローが不足していたのでディフェンス方向にした。

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 Genjiはさっき話したけど、アートに刺激されたものだ。すでにとてもクールなキャラだが、もっとカッコよいものにしたかった。もともとサイボーグで弓と刀を使えるHanzoだったキャラクターから分かれてできたものだ。また兄弟は同じクランに属し、一人はシリアス、もう一人はプレイボーイで無責任だ。そしてGenjiはサイボーグ化した際に自分自身を見つけ、Zenyattaに助けられ、ロボットとなった部分を憎まずに受け入れるようになるという2つの個性を表現している。サイバー・ニンジャの絵を見れば、あとのゲームプレイがどうなるかはわかりやすい。



 D.Vaはパイロットをメカに入れて、パイロットが出てこられるようにしたら面白いと思った。アーノルドとクリス・メッツェン(クリエイティブ・ディレクター)が色々検討していて、メカをピンクにしてはどうかということになった。ビル・ペトラス(アート・ディレクター、WOWのオリジナル・アートディレクター)は、巨大、エピック、大きな肩パッドなどを得意とするオールド・スクールな人なので、「ピンクはダメだ、ピンクは男っぽいところが何もない」と言ったんだけど、それがクールなところなので彼を説得したよ。結果的に面白いストーリーができた。

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――HanzoとGenjiの背景には色々ありそうですが……ふたりは憎しみ合っているのですか?

キャプラン とても興味深いワクワクするストーリーがある。今日この後のパネルディスカッションで面白い発表もあるよ(編注:アニメ短編シリーズの制作が発表された)。この二人のストーリーは最も興味深いものの1つだ。

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――マッチメイキング・システムについて、プラットフォーム別になるが、ワールドワイドにはリージョンごとにロックされるのか、ワールドワイド・マッチングをサポートするのですか?

キャプラン PCのマッチメーキングはリージョン別になるが、リージョンは広大で、北米、ヨーロッパ、アジア、中国の4つだ。中国以外はプレイヤーはシンプルなドロップダウンで自分のプレイしたいリージョンを選ぶ。現在のベータと同じで切り替えできるよ。コンソールでリージョンがどのようになるのかはっきりしたことは今後決定される。



――自分の一番好きなキャラクターは?

キャプラン 週によって変わる。3週間ほど前はZaryaだった。彼女はパワフルだがその良さがあまり知られていない。直感的に選ぶようなキャラクターではないが、チョークポイント(通路や壁などで狭くなり、敵の防衛が集中するポイント)を打ち破る際にZaryaで行きたい。そして常にMcCreeのファンで、彼のガンは使いやすく楽しい。

 今週はHanzoだ。ディフェンスでハナムラマップでプレイするのが一番楽しい。Blizconの前夜、復活地点から出たらTracerが飛び出してきたので、まずは打撃一撃で倒し(ヘルスが減っていたのだろう)その後、刀と掛物のある壁ごしにdragonstrikeを使ったんだけど、敵チームはこれを見ていなかった。それで2人倒したら、Soldier:76が来てUltimate(超必殺技)を使用したので、足元にScatter shotを放って逆にトドメを刺し、プレイヤーオブザゲームをもらった。Hanzoはとても満足度の高いキャラクターだ。でも1週間後に聞かれたらまた違うキャラになるだろう。すべてのキャラクターが好きだし、全部プレイするからね。



文・取材:編集部 ミル☆吉村



※『オーバーウォッチ オリジンズ・エディション』公式サイト

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