【コラム第6回】『コール オブ デューティ ゴースト』パッチ配信でローカライズ作業もてんやわんや

公開日時:2013-11-14 00:00:00

コール オブ デューティ ゴースト』のローカライズを手掛けるスクウェア・エニックス ローカライズプロデューサー塩見卓也氏やローカライズスタッフによる、コラム第6回。今回は、発売後に配信されるパッチにまつわるローカライズの話。発売したら終わりではないんですな。


こんにちは、スクエニ塩見です。

遂に明日11月14日、『コール オブ デューティ ゴースト』[字幕版]が発売を迎えます!(パチパチパチ)北米版の発売からお待たせ致しました。

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今年の5月、E3で初めてゲームを見てから今日まで、全力で駆け抜けて来ました。振り返ると辛い思い出が多過ぎて、今そっと記憶に蓋をしたのはここだけの話……。

さて、本日は明日の発売日を前に、『コール オブ デューティ』における“パッチ”について語りたいと思います。

ゲーム機をネットに繋いでプレイされている方は経験があると思いますが、ゲーム起動時に自動的にアップデートが掛かる事があると思います。そう、あれがパッチです(ネットを通じてパッチが本体へとダウンロードされ、アップデートが掛かる仕組み)。

PS3、Wii Uでは“パッチ=Patch”、Xbox 360では“タイトルアップデート=Title Update(略してTU)”と呼ばれています。

一昔前の日本ではPS3や360を使用していても、ネットには繋いでいないという方が沢山いらっしゃったと思います。しかし、最近では『コール オブ デューティ』のマルチプレイなど、オンライン要素に力を入れたタイトルが増えてきたので、ネットに繋いでいる方も多くなってきたのではないでしょうか。

スーパーファミコンや、初代プレイステーションなど、ゲーム機がネットに繋がる前の時代はゲームがマスターアップし、ソフトが発売されお客様の手元に届いてしまえば、その後何らか不具合が発見されても残念ながら修正は不可能でした。

しかし、現在は発売後に不具合が発見されても、インターネットを介してパッチを配信することで、ある程度の修正が可能となりました。

さて、この“パッチ”ですが、ここ数年で使われ方が変わって来ているように思います。

僕のローカライズ処女作はXbox 360版の『BIOSHOCK』なのですが、あの当時(5年前)は世の中的に「パッチを配信する」という行為自体頻繁には行われていませんでした。また、実際配信されたものの多くは、軽い不具合を修正するくらいの事例が多かったと記憶しています。

現在はというと、何か不具合があれば直ぐに修正パッチを配信し対応、さらにはゲームコンテンツ拡大など、幅広い目的でパッチが使われるようになりました。

(こうした文化が良いのか悪いのかという議論は皆様それぞれ考えをお持ちかと思いますので、今回は触れないでおきます。)

さて、本題の『コール オブ デューティ』シリーズにおけるパッチに戻ります。

マルチプレイを長期間に渡ってプレイされている方はご存知かも知れませんが、『コール オブ デューティ』シリーズでは頻繁にパッチが配信されている印象をお持ちかと思います。実際、年間約25回前後のパッチが配信されています。

この配信数を見て「1年中不具合だらけなのかよ!?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

確かに発売日前後は、不具合の修正やセキュリティ強化などで頻繁に緊急パッチが配信されますが、その後に配信されるパッチの多くは、ゲームをより良くするためのものになっています。

例えばゲームバランスの要となる武器やスキルの調整など、多くはマルチプレイに関するもので、ユーザーの皆様から寄せられた様々な意見を元に日夜バランス調整が行われており、それらがパッチに反映されて行きます。

さらに『ゴースト』ではマスターアップ後から発売日を迎える直前まで、マルチプレイに関する数々の調整が進められ、発売日初日のパッチで仕様ががらりと変わることが予想されました。

LAでの日本版ローカライズ作業がほぼ完了した後にも、新たな仕様が追加されたDay1パッチ(※)の開発が進められているわけなのです(この作業フローはまた別のコラムで語ります)。

去年の『ブラックオプスII』では日本版の発売日当日まで、配信されるパッチの内容を知ることが出来ませんでした。その結果、未曾有のテキストバグに見舞われ、皆様にご迷惑をお掛けすることとなりました。

今年は昨年の反省を生かして、帰国前にパッチの中身を確認出来るようActivision社にかけあい「Day1パッチの内容を全部確認して修正するまで俺は日本に帰らねー!」と声を大に主張した甲斐もあり、なんとか日本版の発売前にDay1パッチの内容を確認し修正することができました。

ただし、ほっとしたのも束の間、現在北米では既にパッチ3が配信されております。

国によってパッチのバージョンに差異が出ると、バージョンの異なるユーザーがマッチングしなくなってしまいますので、先週末から今日まで、日本の発売日までにパッチ3の配信を何とか間に合わせるのに必死でございました(ニコ生に出演した際「パッチがパッチが大変な事にー!」とうなされていたのはこのためです)。

流石に今回は間に合わないかも……と心が折れかけていましたが、関係各社様のご協力により、何とか明日の発売日に間に合わせることができました(関係各社様ありがとうございます!)。

先ほど製品版の日本語版で実際にマルチプレイヤーに繋いでみましたが、パッチもきちんと配信されており、大きな問題もなく動いております。

そんな日本語版の画面を見ながら、これを皆様のお手元にようやくお届けできると思うと、なかなか感慨深いものがあります。明日起きたら変な不具合が出てないことを祈りながら本日は眠りにつきたいと思います!

ではまた次のコラムで。


※そのタイトル初のパッチ。致命的な不具合の修正や、大幅な仕様の変更など重大な修正が反映されていることが多い。

※『コール オブ デューティ ゴースト』公式サイトはこちら
(C)2013 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION, CALL OF DUTY, and CALL OF DUTY GHOSTS are trademarks of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.

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コール オブ デューティ ゴースト - ファミ通エクストリームエッジ

タイトル:コール オブ デューティ ゴースト
対応機種:プレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360、Wii U、PC
発売日・価格:
[字幕版]
プレイステーション3版とXbox 360版、Wii U版、PC版は11月14日発売予定、各7980円[税込](PC版の価格はオープン価格)
[吹き替え版]
プレイステーション3版とXbox 360版、PC版は2013年12月12日発売予定、各7980円[税込](PC版の価格はオープン価格)、プレイステーション4版は2014年2月22日発売予定(※プレイステーション3版を購入した人は期間限定でダウンロード版を1000円で入手可能)
ジャンル:FPS
プレイ人数:未定
(C) 2012 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks and Black Ops is a trademark of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.