『キングスグレイブ FFXV』リベルト役でゲーマーのかぬか光明さんにインタビュー

 『キングスグレイブ FFXV』で、リベルトの声優を務めるかぬか光明さん。ゲーム好きでファミ通読者というかぬかさんに、普段のゲームライフや、今回の作品、収録についてなど、お話を聞いてみました! なお本インタビューは、週刊ファミ通2016年7月21日号(2016年7月7日発売)に掲載された内容に加筆・編集を行った完全版です。

KO6_1834 livertusB_HD16bitMsk

▲かぬか光明さん(文中はかぬか)。ケンユウオフィス所属の声優。おもに外画の吹き替えを中心に活躍中で、『ピクセル』のラドロー役などを担当。

▲かぬかさん演じるリベルト・オスティウム。主人公ニックスの親友という重要な役どころ。

かぬかさんはゲーマーでファミ通読者!

――かぬかさんはゲームがお好きで、ファミ通を読んでいただいているとか。

かぬか そうなんです! ファミコンのころからゲームで遊んでいて、高校生になって小遣いをもらえるようになると、ファミコン通信を買うようになりました。

――ありがとうございます! ファミ通でよくチェックするところや、思い出などがあれば教えていただきたいです。

かぬか 新作の情報はやっぱりファミ通さんが早くていろいろと載っているので、見て参考にしています。それと“ファミ通町内会”が好きで、ネタを読んでひとりでほくそ笑んだり(笑)。昔、付録のガバスを集めていたんですが、雑誌についている分だけだといい賞品をもらえないと気づいたときは絶望しましたね(苦笑)。

――今度ぜひ投稿してください(笑)。かぬかさんは、普段どんなゲームを遊ばれるんですか?

かぬか 柔道をやっていたこともあって、格闘ゲームは好きですね。高校生のころに遊んだ『ザ・キング・オブ・ファイターズ’94』や『’95』は、めちゃめちゃやっていましたし、シリーズ作はいまでも遊んでいて、先日発表された新作も楽しみです。もちろん『FF』も『ドラゴンクエスト』も好きですし、ソーシャルゲームもやります。『モンスターハンター』は、『4』と『4G』でプレイヤーボイスやナグリ村の村長の声をやらせていただいたこともあり、ものすごくプレイしましたね。

――どれくらい遊んだんですか?

かぬか シリーズは『X(クロス)』まで全作やっていて、いちばん遊んだのは『2nd G』なのですが、『4』はハンターランクがカンストして、『4G』に引き継いでマルチプレイをしていると「チートですか?」って言われるくらいでした(笑)。勲章も全部集めて、最大サイズ最少サイズもすべて金冠にしていましたね。

――やり込み派! その様子だと、『FF』シリーズもがっつり遊ばれているんでしょうね。

かぬか だいたいプレイしていますね。ファミコンだと『FFII』で仲間どうしで殴り合って成長させていたこととか、『FFIII』の最後のダンジョンの長さなどが印象深いです。『FFIV』では、パロムとポロムの壁を止めるシーンで泣きそうになったり。『FFV』だと、ものまね師ゴゴのところで、“何もしない”というのが正解なことに驚いたり。あと、“しんりゅう”やオメガについて、いろいろな噂があって、それに翻弄されたりもしました(笑)。

――当時はインターネットでの情報交換もなく、情報が混沌としていましたからね。

かぬか そうなんですよ。『FFVII』もすごくやり込みましたし、『FFVIII』はカードの収集に熱中しました。『FFIX』も黒魔道士ビビの物語にグッときたし、『FFX』で声が付いてからは、主人公を操作してはいるんですけど、その会話の中に自分も入っているような感覚がおもしろいなと。知っている方が出ていたりもして、それを聞きたくてやったりしましたね。

――ちなみに、いちばん思い出深い『FF』は?

かぬか 難しいですね。がんばってやり込んだのは、『FFV』のしんりゅう戦とオメガ戦ですかね。さんごのゆびわを付けて、魔法剣で……と、当時の情報網を駆使して攻略しました。「ダイダルウェーブが来るかな」っていう、あのドキドキ感はいまでも忘れていませんよ。スクエニさんのゲームは、『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』や『トバル No.1』や『トバル2』、『エアガイツ』、『アインハンダー』と、挑戦的なものがたくさんあったのが好きでよく遊びました。だからつぎの『FFXV』も、思い出深い作品になることを願いつつやりたいなと思っています。

――今回の『FFXV』は、現代風のファンタジーになっていますが、『FF』ファンとして印象はいかがでしたか?

かぬか もちろんファミコンやスーパーファミコン時代の『FF』や、原点回帰がテーマだった『FFIX』など、従来のファンタジーの世界観も好きなんですけど、今回のリアル感のあるファンタジーというのはとてもおもしろいと思います。現代でもし魔法があったら、こういう感じになるだろうなと。ただ、作るのはすごく難しいでしょうね。現代的にしすぎると「『FF』じゃないじゃん」ってなりますし、よくあるファンタジーに寄りすぎると「こういう世界観じゃなくてもいいじゃん」ってことにもなりかねませんから。そのバランスをうまく取っているなあって感じます。

――なるほど。かぬかさんは本当にゲームがお好きで、趣味のひとつなんですね。

かぬか 食べるか、ゲームしてます!(笑)

KO6_1842

かっこいい役に戸惑いながらも精一杯演じたリベルト

――かぬかさんのお人柄が少し見えたところで、そろそろ作品のお話に……。まずは今回、キャスティングされた経緯をおうかがいできればと。

かぬか 今回は直接オファーをいただいた形でした。お世話になっているディレクターさんがキャスティングしてくださったんだと思います。決まったときは『FF』だと知らされていなくて、台本にあった概要を読んでいるときに“チョコボ”っていうワードが出てきて「あっ、これ『FF』か」と(笑)。

――ゲームが好きだからこそですね(笑)。リベルトは主人公ニックスの親友という重要な役どころですが、それがわかったときはどうでしたか?

かぬか 僕は去年出させてもらった『ピクセル』でも、ラドローというオタクの陰謀論者の役をやらせていただいていたんですが、ああいう役が多くて。だいたい、間の抜けた太った食いしん坊とか、ダメな子を演じているんです(笑)。リベルトのようなカッコいい役柄はあまり来ないので、最初は不安でした。マネージャーも、「えっ? カッコいい」って言うくらいで(笑)。

――意外な配役ではあったんですね。

かぬか でも、僕ならできるだろうと思ってキャスティングしてくださったはずなので、精一杯やろうと。普段やらないからこそ、「こういう風にやってみよう」という意欲はありました。収録後に野末さんから「すごくよかった」っておっしゃっていただいて、そこでようやく安心できましたね。

――リベルトというキャラクターについては、かなり研究されたのでしょうか。

かぬか そうですね。台本を読んだり、キャラクターの絵を見るだけではわからないこともあるので、そこはきちんとイメージできるように詳細を聞いたりして。あと、自分の中で、リベルトという人物としての筋は一本通していましたが、「このキャラクターはこうだ」と決めすぎないようにしていました。周りの方との掛け合いなどを通じて、自然な芝居を作り上げていけるように。なので、周りの方にはすごく助けていただきましたね。

――収録は、ほかの方も同時に?

かぬか だいたい、いらっしゃいました。王の剣のメンバーとの掛け合いなどはほとんど揃って録れましたね。綾野さんや怱那さんはおらず、キャスティングされていたことを知ったのは後からで、「そうだったんだ!」って驚きましたよ(笑)。

――収録はスムーズに進んだのでしょうか。苦労されたことはありましたか?

かぬか 比較的苦労は少なかったように思います。1回方向性が決まってしまえば、あとはそのシーンでの心情を言葉にするというのはいつも通りというか。皆さんいっしょにいてくださったので、感情を作っていくのもさほど難しくはなかったです。僕は外画の吹き替えをやらせていただくことが多いんですけど、この現場も吹き替えでいっしょになるメンバーが多かったので、緊張もせずにできました。心掛けたこととしては、絵がすごくリアルなので、多少コミカルな部分があったとしてもやりすぎないよう、なるべくリアルに、シーンの流れの中できちんとお芝居が成り立つようにしたところです。

――外画の吹き替えと、CGのムービーに声を当てるという事で違いはありましたか?

かぬか すでに海外版の役者さんの声はだいたい入っていたので、声を合わせたりするのは大丈夫だったんですけど、映像がまだできていなくて音もなかったので、そういう部分で違いはありましたね。シーンによってはCGがまだ本当にダミーで、どれが自分のキャラかわからないこともあったので、都度確認して「じゃあ息を入れますね」と、臨機応変にやっていきました。

――収録の際、綾野さんや忽那さんは実際に体を動かしながら録っていたそうですが、かぬかさんなど、声優業の長い方もそういうことはあるのでしょうか。

かぬか 僕らもやっぱり多少動いてしまったりしますね。手をちょっと動かしたりとか、足踏みをしたりとか、そのほうが感情を乗せやすいので。声での演技は、絵に負けないくらい感情を出さないと、見ている人が共感できないんですよね。「なんで悲しい顔しているのに、声はそうでもないんだろう」と白けさせてしまうから、感情の乗せかたはすごく大事だと思います。たとえば走りながらの息などは、声の仕事をやっている方ならある程度こうやればいい、というのがスキルとしてあるんですけど、やったことがない方だとやっぱり難しいですよね。実際に走ってみて、その時の息の使いかたを体で覚えた方がやりやすい。綾野さんや怱那さんといった、映像でお仕事されている俳優さんたちは、1回コツをつかんでしまえば絶対できる方たちなので、きちんと1回体を動かして体験し、自分の中で確立してから声を乗せていったのだと思います。

――それぞれのやり方があるんですね。

かぬか たとえば僕なんかが俳優業をやると、声が先行してしまって臭い演技になるんじゃないかな(笑)。それをテレビでやれと言われたら、尻ごみしちゃいます(笑)。そういう部分での演技の違いがあるので、そこを超えて挑戦されている綾野さんや怱那さんは、本当にすごいなと思います。

――それでは、公開の迫る本作について、かぬかさんが思うリベルトの見どころを教えていただけますか?

かぬか 『キングスグレイブ FFXV』では、王の剣たちが“未来の王”のため、それはもちろん自分たちのためでもあるのですが、激しい戦いをくり広げます。彼らにもそれぞれの都合があって、お金のために戦っている奴もいれば、自分の信念のために戦っている奴もいる。リベルトは“故郷”を自分の中の支えにしていて、それゆえに物語の動きの中ですごく悩みます。同郷の出身で、幼なじみのニックスとの関係、絆というものが、どうなっていくのかに注目してほしいですね。すごくおもしろいです。おもしろい、としか言えないです(笑)。

――ディレクターの野末さんも「めっちゃおもしろい」とおっしゃっていました(笑)。

かぬか 本当におもしろいんですよ。ちょっと“厨二”的な展開もあって、「おー!」と燃えました(笑)。CGも実写かと思うくらいですし、それを見るだけでも価値があります。これだけでもひとつの作品として楽しめますし、観てから『FFXV』本編をプレイしたら、ゲームがさらにおもしろくなる作りになっていると思います。とくに、『キングスグレイブ FFXV』でルーナに何が起こり、『FFXV』本編ではどういう心情なのかをより深く想像できるんじゃないかな。ぜひ、劇場で観ていただきたいです!

Libertus02

この記事の個別URL

『ファイナルファンタジーXV』ファミ通.com 特設サイト

最新動画エントリー