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　遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。ファミ通BOOKS編集者の戸部マミヤです。皆さん、年末年始はどのようにお過ごしでしたか？

　ぼくはといいますと、コミックマーケット91に参加しておりました。叶姉妹が足を運んだことで話題になった今回の冬コミ。“趣味は寝正月、特技は正月太り”という、化膿しきった傷口のようなグズグズの年始をこよなく愛するぼくですが、少しでもファビュラスに新年を迎えるべく、コミケの人混みに揉まれることで事前にカロリーを消費してきた次第です。

　さて、コミックマーケットといえば、やはり目を惹くのはコスプレイヤーの皆さま。特に“合わせ（併せ）”と呼ばれる、同じ作品のキャラクターが集結したコスプレは圧巻です。今回のコミケで見かけたハイクオリティなゲーム系“合わせ”をざっと並べてみますと……。

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　バイオな災害を駆除すべく出動中の特殊部隊。

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　今が旬とあってか、怪盗団はたくさん見かけました。ぬいぐるみがキュート！！

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　核戦争後の東海岸からお越しのご一行様。コーラのキャップで同人誌は買えたんでしょうか。

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　YOU DIEDな皆さんと愉快なマスコット（ミミック）。なんとこちらのタイトル、ファミ通BOOKSから本が出ています！！　唐突な宣伝、大変失礼しました。

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 ……どうでしょう。その作品に触れたことがある方なら、いや、触れたことがなくとも、思わず楽しくなってしまうのではないでしょうか。ぼくは楽しくなります。ヒャッハーー！！

　しかし、見ているだけでは物足りなくなってくるのがゲーマーのサガ。楽しそうなゲームを見つけたら、自分の手で遊ばずにはいられない。コスプレだって同じです。見てヒャッハ―したのなら、見られる側でもヒャッハーしてみたい。そう考えてしまうのが心情というもの。

　とどのつまりは……

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　ぼくも“合わせ”に挑戦したいよーっ！！

　というわけです。

とはいったものの……†

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　……なんて叫んではみたものの、ぼくはコスプレする側に関してはマッタク・ノ・専門ガイ。田舎から出て来たばかりのクソ引きこもりですから、いっしょにコスプレできるような友人もおりません。なんとか状況を打開すべく、数百億個の脳細胞をフル回転させた結果、「当日“合わせ”をしているグループを見つけて混ぜてもらう」という死ぬほどIQの低い作戦で臨むことに決めました。 

　しかし、そうなってくると考えなくてはならないのが“キャラ被り”の危険性です。そもそも“合わせ”の目的のひとつは、事前の打ち合わせにより、集合写真で同じキャラクターが重複するのを避けること。 

　つまり、たとえお目当ての作品の“合わせ”をしているグループを見つけても、自分と同じキャラクターが既にいた場合「○○役はふたりも要らねえ！！」と、拳と拳で役柄を奪い合うストリートファイトが勃発する可能性があります。『刃牙』のコスプレでもするのなら話は別ですが、一般的に衣装が鮮血に染まるのは避けるべき事態です。というか、どう考えてもヒンシュクを買うのは後から割り込んだぼくのほうですから、やめておきましょう。
　コミケのような大きなイベントでは、“被り”も含めて交流を楽しんでいるコスプレイヤーさんも多く、そこまでこだわる必要はないのでは？というご指摘をいただきました。コスプレ初心者の不安をそのまま描写したため、誤解を招くような表現になってしまいました。申し訳ございません。

　被りを避けるためには、マイナーなコスプレをするのが手っ取り早いのでしょうが、ファミ通で記事を公開する以上、ある程度は知名度のあるキャラクターの格好をしたいところ。

　というわけで、ぼくが扮すべきキャラクターの条件は　①“合わせ”が行われるような旬の作品であること　②誰とも被らないようなキャラクターであること　③キャラクター単体でも知名度があること　以上の３つということになりますね。なるほどなるほど……

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　そんな都合の良いキャラクターいねえよ！！

　あ、準備を始めたのはコミケの３日前ですから、④衣装を用意するのが簡単　も追加で。この男、“計画性”って言葉を知らないんでしょうか。

 

　とはいえ、ここで諦めるわけにはいきません。一抹の望みをかけてファミ通.comを眺めていると……

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　いました。

　気になりますか？　気になりますよね？　少々お待ちください。すぐに用意いたしますので。

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　はい。完成です。

　え？　これのどこが“旬”のコスプレなのかって？　ああ、すみません。小道具を写すのを忘れていました。

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　あの超話題作に登場する“おにぎり（リヴァイアサンと同じスペック）”です。

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　やめてください。石を投げないでください。仕方がなかったんです。あの鳥山明先生だって、作画の負担を減らすために超サイヤ人の髪を白抜きにしたと聞きます。それと同じ工夫を、めちゃめちゃ低い次元でやっただけなんです。ゴミを、ゴミを投げないでください！！

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　ちなみにこちらのウィンドウは、インクジェットプリンタで印刷できるステッカーを、塩ビ製のボードに貼り付けて作りました。雀の涙程度のDIY精神。

コミケ当日†

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　はい。というわけでやってきました。“ラストダンジョン”こと東京ビッグサイト。改めてものすごい人だかりですね。これだけ人数から石を投げられるのかと思うと、恐怖で震えが止まりません。ああ、どうしてこんなことに……。

　いや、違った。ぼくは石を投げられにきたわけではないのです。コスプレの“合わせ”を撮影しにきたのです。究極に幻想的な格好をした方を探すため、緊張しながらコスプレエリアへと向かいます。

※コスプレブースおよび更衣室はきちんとガイドラインを読んだうえで利用しましょう。

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　お昼過ぎには鬼混雑（おにこんざつ）するコスプレエリアですが、早い時間ということもあって人もまばら。すぐに空いているスペースを発見することができました（ぼくが距離を置かれていただけかもしれませんが）。

　こんな「忘年会の余興からそのままやってきました」って格好の男が紛れ込んでしまって申し訳ない限りですが、王子やお供の格好をした方が現れるまで、じっと座って待つことに。

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惜しい！！　(@machmassive4029 様)

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　そうこうしているうちに時間だけが過ぎていきます……。この日の最低気温は１度。すんでのところで凍死だけは免れているものの、海から吹きすさぶ寒風が容赦なく体温を奪います。活動限界は刻一刻と近づき、気力も体力も風前の灯。くだけた言いかたをすれば、“そろそろ帰りたい”。

　くっ……。だめなのか……。夢にまで見た“合わせ”を撮影することは叶わないのか。コスプレの女神は微笑んではくれないのか……。（“コスプレの女神”って、響きがちょっとやらしいですね）

　そんな折でした。

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　「あっちでキャンプしてる人たちがいましたよ。あれ、たぶん同じゲームじゃないかな」

向かった先に待ち受けていたのは……†

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　キャンプのたき火！！！

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　例のヌードル！！！

　そして念願の……

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　“合わせ”が撮れたーーーー！！！

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　しかもノリがいいーーーー！！！

　衣装や武器はもちろんのこと、小道具にまでこだわることで、セットのようになった一角。なんという力の入れよう。すごい……。これが本物のコスプレってやつなのかと、自らの格好を恥じるばかりでした。撮影を快諾してくださったおふた方、ありがとうございました！！

 

　そしてもう一発……

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　撮れたぞーーーっ！！！　

　めちゃめちゃイケメンーーー！！！　これもう、本物じゃないのーーー！！？（本物ではないそうです）

　絶えず女の子に囲まれていらっしゃって、ぼくなんかが一緒に写真を撮っていいものかと声をかけるのを少し躊躇したのですが、さわやかな笑顔で快く引き受けてくださいました。感謝……。感謝しかありません……。ありがとうございました！！

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　心なしか、写真のぼくも雌のおにぎりの顔をしていますね。

撮影を終えて……†

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　はい。というわけで、ねんがんの“合わせ”を撮影することができました！！　ヒャッハーーー！！　感無量でございます。

　初めてのコスプレ参加。受け入れてもらえるのかという不安でどうにかなってしまいそうだったのですが、真冬の寒気とは対称的に、皆さんとても暖かく、最高に楽しい体験ができました。「コスプレしてみたいけど踏ん切りがつかない……」という方も、ぜひチャレンジしていただきたい！！

　さて、実際にコミケでコスプレをしてみて気付いたこと・反省したことがいくつかございますので、最後にそちらをつらつらと綴って〆とさせていただきます。

 

①キャラクターではなく“場”を作れ

　今回、ぼくは“おにぎり”に扮してコミケに臨みました。こういった“ネタ系”のコスプレには、アイデア次第で簡単に実現可能というメリットがあるのですが、同時に、スベるとめちゃめちゃ悲しいというデメリットもはらんでいます。

　スベることを恐れて委縮してしまうと、そもそもネタに気付いてすらもらえず、ますます気持ちが沈んでいく負のループに陥りがち。いっそ本当にお台場の海に沈んでしまおうかという気にすらなってきます。

　今回、コミケという最大級に人の多いイベントに参加して、地味なコスプレでは注目してもらうことがそもそも難しいのだとわかりました。

　せっかくのおもしろいアイデアも、伝わらなければ意味がありません。大変かもしれませんが、シチュエーションが一目でわかるような小道具を用意したり、そもそもの衣装自体を大きく派手に作るなどして、自分が主役になれる“場”を演出するのがいいと思います。もちろん、ほかの参加者への配慮を欠かさずに！　それでも撮影してもらえないならマジでスベってるので開き直りましょう！

 

②対策すべきは気温よりも“風”

　コミケの初心者ガイドなどを見ると、“夏は暑さ、冬は寒さ対策を万全に”というアドバイスは必ずのように載っていますが、“強風”に関しての注意書きはなかなか見かけません。

　海に面している東京ビッグサイトは、かなり強い風が吹きます。

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　当初、こちらのボードは簡単な重しを使って固定していたのですが、強風で何度も飛ばされかけたため、途中からは諦めて手で支えるようになりました。

　衣装や小道具に薄くて軽い素材を使う場合、壊れたり飛ばされたりする危険性がありますし、セットした髪の毛も乱れに乱れます。せっかくの準備が台無しになってしまうだけでなく、ゴミが散らかって他の参加者やスタッフに迷惑がかかるかもしれません。

　暑さ・寒さは気合いで意外となんとかなります。強風対策も忘れないようにしましょう。

 

③自分の欲求に合わせたコスプレを

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　これは、“コスプレ三大欲求”を表すグラフです。コスプレイヤーの持つ欲求は大きく【モテたい・ちやほやされたい】【好きな作品の衣装を着たい・作りたい】【おもしろいと思われたい・アイデアを褒められたい】の３つに大別できるといわれています（※）。

　“合わせ”を撮影する目的から“おにぎり”になる道を選んだぼくでしたが、会場に赴き、人からの注目を浴びるにつれて、【おもしろいと思われたい・アイデアを褒められたい】という欲が顔を出しました。言われたい……。「クソワロタwww」と言われたい……。

　そうなってみて、改めて自分の格好を鑑みると、顔面（海苔の部分）を黒塗りにしなかったことが“甘え”のように感じられたのです。

　自分の“コスプレ三大欲求”と上手につきあって、悔いの残らないコスプレをしましょう。

※いわれていません。

 

　以上です。撮影にご協力くださった皆さまに、心よりの感謝を申し上げます。ありがとうございました！！

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2016年の個人的ゲーム・オブ・ザ・イヤー『Undertale』のキャラクター。まさかのチョイスで笑ってしまいました。

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戸部マミヤ（仮）
ファミ通コンテンツ企画編集部・新人。
ファミ通BOOKS更新担当。
南米のジャングルで遭難したことがある。