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『ティアーズ・トゥ・ティアラ-花冠の大地-』のプロデューサーに直撃!

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●下川氏に直撃インタビュー!!

 

 2007年にアクアプラスより発売予定のシミュレーションRPG『ティアーズ・トゥ・ティアラ-花冠の大地-』。PCで人気を博した本作が、CG、システム、シナリオを一新し、プレイステーション3に移植されるということで、ファンのあいだで期待が高まっている。そんな『ティアーズ・トゥ・ティアラ-花冠の大地-』がどう進化しているのか、プロデューサーを務める下川直哉氏に話を伺ってきたぞ。

 

アクアプラス代表取締役社長
下川直哉

アクアプラスおよびリーフブランドの作品のプロデューサーを務め、またその大半の作品で作曲も担当している。本作においても、プロデュースと音楽を担当。

 

――プレイステーション3版は、移植と言うより、フルリメイクなんですね。
下川直哉(以下、下川) そうですね。物語の骨子を利用した、実質完全新作と言って差し支えない作品だと思います。キャラ絵、イベント絵から背景まで、まったく別物ですし、シナリオも大幅にリニューアルしています。ですが、もちろん、人気の高いシーンなどはすべて残しています。
――シナリオに関してですが、PC版だと、リアンノン以外の女性陣があまり本筋に関わらなかったようですが……。
下川 そのあたりの補強は、今回かなり意識しています。メインの宿命的な時代の流れに絡むわけではありませんが、キャラを立たせるために各ヒロインとも固有イベントを強化し、物語としても自然でわかりやすい流れにするように努力しています。
――戦闘時のビジュアルが3Dになったことは別として、ビジュアル面でプレイステーション3で作ることの影響はありますか?
下川 まず、単純に画像サイズが大きいので、それ相応の塗り込み、クオリティーが必要ですね。もっとも、それこそが狙いなのですが。
――原画に、PC版とは異なる甘露氏となかむら氏を採用した理由は?
下川 やはり過去の実績からですね。プレイステーション3に初参入するうえでの意気込みを感じていただければ、と思います。甘露は『うたわれるもの』を担当していましたし、なかむらに関しても、過去の仕事でファンタジー色の強い作品に慣れていますから。また、プレイステーション3で出すにあたって、あえてキャラクターデザインを変更したという側面もあります。デザインはいちから組み立て直し、完全リニューアルされていますしね。
 

 

キャラクターたちをより濃く、リアルに


――とくに女性キャラの外見は、大きく変わっていますね。
下川 原画を担当するふたりに、物語をいちから読んでもらい、各自の中でのキャラのイメージをまとめてもらいました。そしてでき上がったのが今回のデザインです。こちらからは、設定上問題になりそうな最低限の禁則事項以外は、とくに指定せずに自由に描いてもらいました。それでよかったと思います。
――キャラクターに関して、外見だけでなく、性格や背景などの部分も変わっていますか?
下川 キャラによっては、若干そういう面もあります。リアンノンがよりしっかりしていたりとかね。イベントの変更や差し替えもしていますし、中にはまったくなかったイベントが発生することで、新たに見えてくるキャラクター性というのもあると思いますよ。たとえば、敵陣に囚われた味方を救出に行くといった話もありますし……。とくに、女性陣を魅力的に見せられるような演出を大事にしています。この子はこういう性格を持っているぞ、ということがわかるようなシナリオを叩き込んでいる最中ですね。
――世界設定としては、ごく一般的な剣と魔法の世界だと考えていいのですか?
下川 そうですね。その中で、ベーシックで王道なストーリーをきっちり描いていきます。もともと非常に長い話ですから、できるだけストーリーを大事にしていくつもりです。
――本作の世界設定のもとは、ケルト神話とアーサー王伝説なんですよね。
下川 そうです。シナリオ担当がそういうテーマで話を作ってきて、企画会議にかけたところ、そのままGOサインが出ました。どちらも、神話伝承としてはさほどなじみがないですけれど、もともと下敷きにはしても、忠実に真似るつもりはないので。僕らは僕らなりに、新しい"神話"を作っていくつもりです。
――音楽や音声に関しては、PC版と比べてどうなるのでしょうか?
下川 声に関しては、今回キャラクターデザインを変更したことなどもあって、新たなイメージを立てたいという意図から、先日、新規にオーディションを行い、声優さんを決定しました。音楽に関しても、オープニングやエンディングは新たに書き起しましたし、追加、リニューアルされた曲もありますよ。
 

 

シミュレーションRPGとしての変貌


――PC版では、RTS(リアルタイムストラテジー)でしたが、シミュレーションRPGに変更したのはなぜですか?
下川 まず、わかりやすさ、とっつきやすさを重視したからです。また、RTSはパソコンのマウスオペレーションを前提に作られているので、コントローラーによる操作に移すことが難しい、という側面もあります。もともと、この作品自体、移植を前提に考えていたわけではありませんので。
――戦闘パートでの質問ですが、3Dになったことで地形効果や、高低、向きの概念は取り入れられているのでしょうか?
下川 今回3Dにしたのは、プレイステーション3のよさを出すためと、自由度の高い戦闘を実現するためです。そういったフールドの部分については、まだ未定ですね。
――戦闘マップのフィールドは、いわゆる四角いマスに区切られているのですか?
下川 はい。いわゆるヘックスならぬマス制をベースに考えています。一般的にいちばんわかりやすいシミュレーションRPGの形だと思いますので。そのうえで、アクアプラス独自の要素を入れ込んでいくつもりです。
――戦闘に出撃する、いわゆるメインキャラクターに、新キャラは追加されますか?
下川 新キャラ自体はいますけれど、それが味方になるとは限りませんよ? まあ、そのあたりは今後随時情報をお出ししていきます。重要なのは、物語というかシナリオも大幅に変わっていること。PC版をプレイした人でもまったく新しい気持ちで楽しめるように考えて作っていますから。僕たちのように絵と物語が主体のゲームを作る人にとって、ハイデフテレビの恩恵は絶大なものがありますしね。
――ちなみに、PC版ではチビキャラによる戦闘時のアニメーションが好評でしたが……。
下川 部分的には3Dキャラによってそういう演出も入れていきたいとは思っています。ただ、ハイビジョンテレビで見せる以上は、できるだけキャラクターの立ち絵のイラストを見せる形にしようとも考えています。絵描きの絵柄をたっぷり堪能してほしいですしね。
 


――PC版であった、傭兵やフリーマップなどのシステムは受け継がれているのですか?
下川 そうですね。本作では傭兵の出番をきっちり用意してあります。また、キャラを育てるためと傭兵をうまく運用するためには、フリーマップは不可欠ですしね。育てる楽しみを存分に味わっていただければ、と。
――お話を聞く限りでは、全体的にゲーム性が高くなっているように感じるのですが……。
下川 そう言っても差し支えないでしょう。ゲーム部分も楽しんでほしいですから。
――具体的に、戦闘マップの数などは、PC版より増えているのですか?
下川 もともとPC版のマップ数自体、かなり多いんですけど、PC版よりは確実に増えていますね。マップ数だけでなく、ゲームの難度やテンポとも関わってくるので、一概には言えませんが、ボリューム的には申し分ないか、と。プレイされる方によってプレイ時間は大幅に変わってくると思います。
――難易度的にはどうなりますか?
下川 難易度設定をきちんとつけるつもりです。シミュレーションに慣れている人がてこずるほど難しいモードもあれば、ストーリーを楽しみたい人向けの楽々モードもある。その中間の"ふつう"もある、という感じで、最低3つは用意しないといけないですね。
――プレイステーション3用に制作されているうえで、どんな苦労がありますか?
下川 もちろん、3D部分のキャラの造形、見せかた、動きなどは難しいですし、新しいハードですから、わからない部分も多くあります。プレイステーション3に求められているクオリティーって、メチャクチャ高いじゃないですか。それに少しでも追いつかないと、というプレッシャーはありますね。ただ、僕らの作品は、3Dパートで圧倒的なプライオリティーを持つ必要はないとも思っています。映画的な感覚のゲームを作るためにプレイステーション3を選んだ、というのが理由のひとつです。画面が圧倒的にきれいなこと、家庭用ゲームの世界で大画面化が進んでいることなどを利用して、物語への没入度を高めていきたいと思っています。PCゲームの利点は画質がきれいなこと。プレイステーション3ならば、その画像をさらに大画面できれいに見せることができますからね。
 


――お話を聞いていると、他のギャルゲーメーカーがプレイステーション3に手を出さないのが不思議に思えてくるのですが……。
下川 無論、開発コストや技術的なハードルなどいろいろありますから、困難ではあるでしょう。今後、ウチでは2D絵によるアドベンチャーも、プレイステーション3で出そうと思っています。本作には、そのための先駆けというか実験的な側面もあります。でも、50インチの大ビジョンで、感動的なストーリーが大迫力で楽しめるというのは、すごくいいじゃないですか。映画館なんて、もともとそのために大画面と音響施設を備えて、没入感を高めているんですから。
――たしかに、映画館はそうなってますね。
下川 もともと、物語を見せたい人間にとっては、進むべき道は限られているんですよ。
――『うたわれるもの』やPC版であった、各キャラの必殺技類はあるのですか?
下川 もちろん、キャラクターへの感情移入を強めるために、本作にも用意しています。キャラごとのカットイン演出と、ド派手なエフェクトと演出はつけようと思ってます。
――キャラクターの装備欄が、一般的なRPG並みに充実してますね。
下川 これもキャラクターへの感情移入度が高まる一因だと思うんです。好きなようにキャラをカスタマイズできるのって、楽しいじゃないですか。そういった部分も含めて、全体的にゲーム性は強化されています。
――プレイステーション3で作品を作るに際して、新しい発見などはありましたか?
下川 従来のギャルゲーですと、大画面であっても液晶モニターなどだと、どこかボヤけて見えてましたが、そういうところがいっさいないことに感動しました。いい意味での違和感というか。ギャルゲーは、もともと絵師のきれいな絵とおもしろいストーリーを見ることが主目的でしょうから、感動的でしたね。
――ハイビジョンだと縦横比が、従来のギャルゲーと違うと思うのですが……。
下川 その点では、いろいろ苦労はしてるみたいですね。絵描きさんにもよるのでしょうけれど、たとえば恋愛ゲームだと、ヒロインの立ち絵を表示するとき、原則ひとりじゃないですか。従来に比べてどうしても両横に空きが出てしまうんですよ。幸い、本作の場合は、ほとんどの会話シーンがふたりの掛け合いなので、画面に2キャラの立ち絵を表示するため、それほど違和感はありませんけど。
――イベントCG自体も横長ですよね?
下川 これがいちばん難しいのかもしれませんね。従来は4:3で描くのが基本でしたし、雑誌などに掲載するイラストは縦長でしたし。毎回、雑誌の見開き絵を描けと言われているようなものかもしれません。もっとも、慣れれば問題はなくなるでしょう。

 


※本インタビューは、週刊ファミ通7月27日号に掲載されたインタビューを再構成したものです。

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