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新要素の秘密満載! 『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』インタビュー完全版

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●誌面では掲載しきれなかった情報もお届け!

 発売日が2007年5月10日に決定したプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)用ソフト『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』。シミュレーションRPGとして異例の累計130万本以上の売上を誇り、ユーザーから名作とうたわれたプレイステーション版のリメイク作だ。この作品が、どうリメイクされたのか? 週刊ファミ通3月16日号(2007年3月2日発売)では、本作の開発に携わる3人のキーマンに、新要素の詳細について伺った。ここでは誌面に収録しきれなかったインタビューの全文を掲載する! 新情報満載のロングインタビューを見逃すな!!

ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

柴 貴(写真右)
小菅氏とともに現場を仕切るプロデューサー。代表作は、『ドラッグ オン ドラグーン』など。

河津(写真中央)
エグゼクティブプロデューサー。『FF』シリーズ、『サガ』シリーズなどの名作を手掛ける。

菅慎吾(写真左)
開発現場を取り仕切るプロデューサー。代表作は、ニンテンドーDS版の『FFIII』など。


もとのよさには手を加えない

 

――今回、リメイクにあたって追加された要素について教えてください。
小菅慎吾(以下、小菅) 新作ムービーに、新しいキャラクターとジョブ、そして通信対戦を加えています。あとは、新しいエピソードもいくつか追加していますね。
――これらを追加した理由は?
柴貴正(以下、) いまだにプレイステーション版を遊んでくれているユーザーがいるほど、もともとよくできた作品ですので、そのよさが崩れないよう手を加えました。物語を変えずに、イベントをムービーにしてきれいな世界に仕上げたり、通信対戦などを加えて何度も遊べるような要素を増やしたり、そういった手の加えかたをしています。
河津秋敏(以下、河津) 初めて遊ぶ人はそのまま楽しめますし、プレイステーション版を遊んだ人はより深く遊べるように、もとの作品を壊さず、奥深くするというコンセプトで作っています。
――ハードがPSPになり画面の比率が横に広がったことで、以前は見えなかった部分が見えるようになっているのでしょうか?
小菅 そうですね。基本的に表示できる範囲を広げて、パラメーターなどの数値を端に寄せることで、遊びやすくなるように視認性を広げています。
――なるほど。ゲームバランスなどは、簡単になるように手を加えているのでしょうか?
河津 いえ、これはあえて変えていません。プレイステーション版は、いまのユーザーにはちょっと重い印象があるかもしれませんが、それもオリジナルのよさですので、そのまま残しています。
小菅 ただ1部だけ、クリアーが非常に難しい部分があったのですが、リメイクに合わせてそこを若干調整しています。おそらく『FFタクティクス』ファンの方には、"ウィーグラフ"の部分と言えばわかると思います(苦笑)。
――連戦のところですね(笑)。あと、ユニットの出撃数、仲間にしたユニットの保存数などは変更がありますか?
 出撃数はバランスにも関わりますので、変えていません。ただ保存数は若干増やしました。もともとのプレイステーション版が、固有の顔グラフィックを持つキャラクターだけで保存数のほとんどが埋まってしまう状況でしたので、もっと汎用キャラクターやモンスターを使えるようにしています。


ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

 

遊びの幅を広げる通信対戦

 

――続いて、今回通信対戦を加えた経緯を教えてください。
 プレイステーション版では、ユニットを限界まで育てても友だちに見せることしかできませんでしたが、それを遊びに発展させられないかという発想から生まれたのが通信対戦です。同様に、育てたユニットを持ち寄ってクエストに挑む、"共同戦線"もあります。
――通信対戦では、専用のルールが決められるようですが?
小菅 戦場となるマップの選択、強力な"アビリティ"算術の使用可否、プレイヤーの持ち時間などを設定できます。シミュレーションゲームですので、長考するのは当然なのですが、多少なりともテンポよくプレイできるように制限時間を設定できるようにしています。
 あとはプレイヤーどうしで、出撃ユニット数を1対1や3対3で対戦するといった、独自のルールを決めてもらいつつ、幅広く遊んでもらいたいですね。
――開発内部では、すでにこのチームが最強といった通信対戦用の組み合わせは決まっているのでしょうか?
小菅 たとえばリレイズがあると強いといったある程度の法則はありますが、最強という組み合わせはまだありませんね。
――戦闘後には報酬が得られるようですが、報酬はどういったもの何でしょう?
河津 この通信対戦でしか手に入らないものがあります。プレイステーション版にはなかったものや、イヴァリースに関係したものがありますよ。
――それは楽しみですね。そういったレアアイテムは、何度も通信対戦をくり返して、出てくるようなものなのでしょうか?
小菅 くり返し遊ぶのもそうですし、あとはレベルの低いチームで、レベルの高い相手に勝つといった対戦内容も、入手率に少し関わってきます。
――通信対戦独自の要素としてトラップが加わっていますね。
小菅 トラップは全部で6種類あり、設置できる数は変更できます。相手に設置場所は見えませんので、相手の通る場所を予想して置いたり、戦闘開始時に配置されたユニットの目の前に並べたりと、それぞれの戦略が出せますね。ただ、相手が戦略どおりに動くとは限りませんので、その計算が一気に狂うドタバタ感を出すのも狙いです(笑)。
 トラップに引っ掛かった際には、回避コマンドが表示されます。コマンドを制限時間内に正確に入力できるとトラップが回避できるのですが、制限時間が非常に短いうえに、コマンドは突然表示されるのでかなり難しいと思います。
小菅 トラップに備えようとして、トラップばかり意識すると、今度は戦略がおろそかになってしまいますし。
――やっかいですね(苦笑)。"割り込み処理"という要素もあるようですが、こちらは?
小菅 攻撃する際に、ランダムで"!マーク"が出現します。そこでタイミングよく○ボタンを押すと、クリティカルヒットになったり、ノックバック(攻撃の衝撃で、強制的に相手を1マス押す行為)させたりできます。
河津 割り込み処理の発生率はランダムですが、低く抑えてあります。コマンドを選択したあとにボーっとしないようにするのが狙いですね。たいていは攻撃を選んだら、つぎの行動を考えますが、そういった油断をしているときに限って、割り込み処理が発生するんですよ(笑)。

 

ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争


やり応えのある共同戦線

 

――では、続いて通信対戦のもうひとつの要素である共同戦線の内容について教えてください。
小菅 こちらはメインストーリーとは別に、ふたりのユーザーが自分たちの育成したデータを持ち寄ってクリアーを目指すものです。敵は、強化されたボスのほか、たくさんの忍者が一斉に物を投げてくるといった、変わった組み合わせもありますよ。おもしろいアイデアをいっぱい入れましたので、驚きながら楽しめると思います。
――共同戦線も通信対戦のように報酬はあるんでしょうか?
 はい。こちらにもご褒美アイテムがありますよ。
――なるほど。共同戦線用のミッションは、専用のストーリーが用意されているのでしょうか?
小菅 はい。どれも『FFタクティクス』の世界観は壊さないことを前提に、ファンの方に喜んでいただけるサービス的なストーリーになっています。
――『FFタクティクス』ファンがニヤリとするような。
 そうですね。ここにはいませんが、ディレクターがもともと『FFタクティクス』のヘビーユーザーなんですよ。さきほど、"いまだにプレイステーション版を遊んでいるユーザーがいる"と話しましたが、彼もそのひとりです(笑)。リメイクする際に、参考用としてプレイステーション版のデータを持ってきてもらったのですが、レベルもジョブレベルもどれもマックスで、プレイ時間のカウンターも止まっているんです。このリメイクの企画が出るまえから、いちユーザーとして10年間ずっと使い続けてきたデータのようで(笑)。そんなヘビーユーザーが、ファン向けに作ったものですので、確実に楽しんでいただけると思います。
――『FFタクティクス』初心者と、やり込んだ人がいっしょに戦うと言うよりも、やり込んだユーザーどうしが共同で戦うものになりそうですね。
 はい、バランス的にはけっこうハードです。最後のほうは連戦がありまして、かなり時間がかかります。でも、それだけいい報酬もありますので、ご期待ください。
河津 僕もこのまえプレイしたんですが、アッサリ負けました(笑)。かなりやり込んで自信のある人たちに集まって、チャレンジしてほしいですね。個人的に非常にオススメのモードです!
――楽しみにしています。こういった通信要素が充実していると、ユーザーがデータを持ち寄って対戦や共同戦線をプレイするようなイベントを期待するのですが、その予定はありますか?
河津 それは、できればやりたいですね。ただ皆さん、レベル99が当然といったデータを持ってきそうなので、僕と対戦といったイベントはご遠慮願いたいですが……(苦笑)。
 そこでプレイヤーどうしの独自ルールですね。レベル99は禁止とか(笑)。

 

ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

 

無声映画のようなムービー

 

――今回、特定のイベントがムービーになっていますが、ボリュームはどの程度になるのでしょうか?
 10本以上入っていて、当初の予定よりもかなり長くなりました。
河津 ひとつひとつが長く作られているんです。
 なぜかと言うと、『FFタクティクス』のイベントは、やり取りがあまり激しくないこともあり、間を楽しむムービーにしているからなんです。おかげで、『FFタクティクス』ならではの雰囲気を壊さずに、より楽しめるものに仕上がったと思います。
――もともと2Dだったイベントをムービーにする際、アクションやカメラワークには苦労しましたか?
 ムービーディレクターががんばってくれました。彼が絵コンテを描いて、ムービーに仕上げると、小菅に怒られて直す……のくり返しで(笑)。もとからデキがよかったので、さらにクオリティーアップしていきましたね。
河津 僕としては、想像していたものよりいいものができあがったという印象ですね。吉田(明彦氏。『FFタクティクス』のキャラクターデザイナー)君の絵をそのまま動かせるのかという疑問があったので、静止画が多くなるように考えていたんです。それが予想以上に動いているもので、驚きましたね。
――あのキャラクターがなめらかに動くのは、本当に驚きました。特定のイベントをムービーにする際、どのイベントをムービーにするかという議論があったのではないかと思うのですが……?
 これがおもしろいことに、じつは今回のスタッフは『FFタクティクス』が好きな人ばかりで構成されているんですよ。さきほどお話したディレクターだけでなく、河津さんはもともとヘビーユーザーでしたし、同じく小菅も僕もムービーディレクターもそうなんです。その『FFタクティクス』を好きなメンバーが、ムービーにしたい場面をリストにして「いっせーの!」と出したら、全部いっしょだったんです(笑)。
――それは、すごいですね!
小菅 ラムザとディリータ、ふたりの心情がよく出ているところを選んで出したら、「皆、いっしょだ!」と(笑)。選んだ数もいっしょだったんですよ。
――では、ムービーにする場面はここしかないというものが選ばれているんですね。あと、ホームページで観られるプロモーションビデオではナレーションが入っていますが、本編のムービーにはボイスは入っているのでしょうか?
河津 いえ、入っていません。最初は入れようかという話もあったのですが、ラムザがどんな声をしているのかと言われると、人によって想像する声が違いますし、オリジナルのよさを再現するには、ボイスがないほうが正解だと判断しました。
 そのため、ムービーも無声映画のような演出を入れています。基本的にセリフは画面下部に表示されるのですが、いいセリフ、強調したいセリフは、画面を暗転させて、そのセリフだけ表示するんです。そのセリフが頭に残って、とても気持ちいいですよ。
小菅 スピーカーだとわかりづらいかもしれませんが、衣擦れの音や足音などの周囲の環境音などでも感情を表現しているんです。プレイする際には、ぜひヘッドホンをつけてほしいですね。
――ほかに、イベントシーン以外に加わったムービーはありますか?
小菅 タイトルロゴの表示されるループデモと、あとオープニング、エンディングですね。
 オープニングはおもしろいですよ。『FFタクティクス』をやった人なら「ああ、そう来たか!」とニヤッとすると思います。
――オープニングシーンと言うと、オーボンヌ修道院のところですよね……?
 まあまあ、それはぜひプレイするまでのお楽しみに(笑)。


ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

 

新たなるジョブとキャラクター

 

――新しく加わった"たまねぎ剣士"と"暗黒騎士"のジョブについて、詳しい説明をお願いできますか?
小菅 たまねぎ剣士は『FFIII』でおなじみのジョブですね。見習い剣士よりも弱く、アビリティを一切覚えられないジョブです。特徴としては、ほかのジョブ用の武器防具もすべて装備できるところですね。あと『FFIII』をプレイされた方はご存知だと思いますが、使い続けて育てると……。あとは育ててからのお楽しみで(笑)。
 暗黒騎士は自分の命と引き換えに相手にダメージを与える、一風変わったジョブです。攻撃力があるアビリティを上手に組み合わせると、より活躍してくれます。あと、一定の範囲に攻撃する技が多いので、通信対戦で使うとおもしろいですよ。
――ジョブではありませんが、新キャラクターとして加わったバルフレアについて教えてください。彼を加えることになった経緯は?
河津 『FFXII』の主人公ですからね(笑)。『FFXII』からひとりキャラクターを追加しようという企画が挙がって、その中の選択肢では彼しかありませんでした。あと武器が特徴的だったため、彼が入ることでゲーム的にもおもしろくなると考えました。
――なるほど。あの、『FFXII』の本当の主人公は選択肢になかったんですね(笑)。
河津 もうひとりの主人公は『FFXII レヴァナント・ウイング』でがんばっていただくと(笑)。
――バルフレアは登場シーンがムービーになっていますが、ストーリー的にも関わる部分はあるのでしょうか?
小菅 メインのストーリーには絡みません。ゲストキャラクターという扱いですね。ただ、バルフレアが仲間になるステージは専用のものがあり、専用ミッションも用意してあります。彼のミッションのシナリオは、『FFXII』のスタッフ直々に監修してもらっていますよ。
――そのバルフレアのジョブは空賊ですが、こちらの特徴は?
小菅 空賊は、シーフと機工士の両方の特徴を持ったものです。バルフレアのプロフィールも盗賊と機工士ですから、設定に合わせてあります。かなり強いですよ。アビリティは"みだれうち"という、遠距離から銃を連続で何発も連射するものがあります。
――ちなみに、バルフレア以外に新キャラクターが加わる予定はあるんでしょうか?
河津 ……新キャラクターが、ひとりということはないでしょうと(笑)。
――絶妙なお答えをありがとうございます(笑)。


ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争


イヴァリースファンへ


――ところで、『FFタクティクス』以外の"イヴァリースアライアンス"について、今後の予定を教えてください。
河津 まずニンテンドーDS用ソフトの『FFXII レヴァナント・ウイング』が2007年4月26日に発売されて、そのあとは『FFタクティクス 獅子戦争』が2007年5月10日。そして、『FFタクティクスA2 封穴のグリモア』は、まもなく詳細が出せると思います。そして、2007年3月で『FFXII』が発売から1年という節目になりますので、何かできればいいなと思っています。新たな展開を楽しみにしていてください。
――では、最後に『FFタクティクス 獅子戦争』に期待している読者にコメントをお願いします。
小菅 10年まえの作品が携帯ゲーム機で復活し、外で対戦をしたり、自分の部屋でプレイできたりと、いつでもどこでもイヴァリースの世界に触れられるようになりました。自分が10年まえにプレイしたときは、重厚な世界観を読み解くのに苦労した部分もありましたが、いまプレイしてみるとまた違った印象を感じたんです。まさに、"いま明かされる真実"といったフレーズのとおり、大人になってからも楽しめるゲームだと思います。
 小菅に全部言われたから、言うことなくなっちゃった(苦笑)。『FFタクティクス』ファンの方に遊んでほしいです。プレイステーション版をプレイした方はもちろん、プレイしたことがなくとも「名作だ」と聞いて気になっている方も遊んでみてください。我々スタッフは、原作をリスペクトしながら作っていますので、その世界観は絶対に壊しませんしゲームも壊しません。ただ、いま遊ぶ際にもっと深く遊べる要素を追加したということを感じてほしいですね。あと、もともとハードなゲームですので、キャラクターが死んでプレイステーションのリセットボタンを押した記憶を、今度はPSPで思い出してもらえるといいなと思います。
河津 プレイステーション版では、自分もいちユーザーとして200時間近く遊んでいました。そのゲームが復活して、また200時間近くやると1年くらいかかるなあと考えながらも、またやっちゃいそうな気がします(笑)。PSPというまた違う環境で遊べるし、新しい要素もいろいろあります。自分も楽しみにしているこの作品を、ユーザーの皆さんといっしょに楽しめるといいなと思っています。

 

ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

 

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