『すばらしきこのせかい』のすばらしきスタッフに直撃!
●『すばらしきこのせかい』のすばらしきスタッフにインタビュー
2006年9月22日から24日まで幕張メッセにて行われたゲーム見本市"東京ゲームショウ2006"。この会場で急遽発表され、試遊することまでできたスクウェア・エニックスのニンテンドーDS最新作『すばらしきこのせかい』。その物語やバトル、システムについてもっと深く知りたい! というキミのために、スタッフインタビューをお届けするぞ。『キングダム ハーツ』(以下、『KH』)シリーズや『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズなど、多数のヒット作を手掛けた彼らの新たな挑戦とは!?
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長谷川 朋宏氏 |
神藤 辰也氏 |
荒川 健氏 |
野村 哲也氏 |
DSの性能を活かした作品 |
――どんなコンセプトの作品ですか?
神藤辰也(以下、神藤) ニンテンドーDSのソフトということで、企画当初から上下の画面で別々のバトルを、しかも同時にプレイさせたいと考えていました。それが、このハードの作品の、本来のありかたではないかと思って。それで2年ほどまえ、ここにいる3人でバトルなどの骨子を作っていったんです。
長谷川朋宏(以下、長谷川) 既成概念を取り払おう、というのが僕らが最初に決めたことでした。だから画面に背景がふつうに入るのも嫌だし、RPGならアイテムはこう取るものだ、といった発想もすべて捨てました。ところが、そのうち企画もストーリーも、全員が別々に仕上げちゃって(笑)。それを野村に見てもらいながら、形にしていきましたね。当時、『KHII』を作りながらの話です。
――ニンテンドーDSというハードを選んだ理由は?
神藤 2画面あることやタッチパネルでの操作など、作り手としてかなりそそられるハードだからですね。
――ハードの通信機能などは使いますか?
神藤 どういう形か詳細は決まっていませんが、通信やマイクに関しては使う予定です。
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バトルは難しいのか? |
――2画面で同時にアクションを行うバトルは、ありそうでなかったシステムですね。
長谷川 やはり、やるからにはDSでしかできないものにしたかったんです。たとえば、1画面を使ってステータスなどのデータを常時見せるとしても、それは1画面のハードでできます。DSである必然性はないわけです。
荒川健(以下、荒川) 技術的には問題はなかったのですが、システムとして成り立つまでには紆余曲折がありました。言ってみれば、別のゲームが2本入っているようなものなので。
――2画面同時というのは難しそうですね。コアなゲームユーザー向けなのでしょうか?
神藤 そんなことはないですよ。『FF』層というか、中高生や大人の方、ライトユーザーにも遊んでもらえるように工夫しています。操作は段階を経て身につくようになっていますし、慣れれば操作が快感に変わりますよ!
長谷川 何かを強制するようなシステムはひとつもないですしね。じつは、下画面だけプレイしていてもバトルはできるんです。上画面はオートバトルも可能なので。慣れてから、いろいろなことをやってもらえれば。
荒川 上下を行き来する光の球を追いかけてプレイすれば、自然に上下交互にプレイできます。上下同時にプレイできればそれでいいし、交互にやっても、片方だけやり続けてもきちんと評価されるようにして、ユーザーがスタイルを選べるようにしたいですね。
――必ずしも同時にプレイする必要はないと。
荒川 もちろん、最終的には上下同時に触れたほうがいちばん評価が高くなる仕組みにするつもりです。同時に操作できないとペナルティがあるというのではなく、操作できれば見合ったご褒美があるという方向性です。
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エンカウントも型破り |
――フィールドでの探索と、バトルはどう切り替わるのでしょうか?
野村哲也(以下、野村) 勝手に接触して突入するのではなく、自分から戦いに行く、能動的なイメージです。
神藤 たとえば、街でサイキックスキャンを行っているときにもノイズがいます。人の思考の中に、ノイズがいるわけです。
荒川 人の思考をちゃんと読むためには、混じったノイズを倒さないといけないんですよ。
長谷川 敵は見えているので、避けたり、逆に何体もまとめて倒したりもできます。
――まとめて? それは便利ですね。
長谷川 ただ、まとめると強くなります(笑)。
――まとめて倒すといいことがある?
荒川 はい。超能力の獲得をメインに、キャラクターの成長に関わるボーナスがあります。
登場人物と謎多き物語 |
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――メインイラストや、キャラクターの元絵は野村さんが描かれているということですが。
野村 イラストの背景は、渋谷だけど色合い的に異質な雰囲気でアートディレクターに描いてもらいました。しかも、日ごろは人が多いのに無人で無機質。ネクは目を閉じて何かを聞こうとしている。これは、彼が他人と距離を置きたがるという性格にもよっています。それでヘッドフォンをつけているというのもあります。
――外界を遮断して何かを聞く……。音を操ると書いてネク、と読むのに関係が? 音が作品中で意味を持つのでしょうか?
神藤 いいところに……。秘密です(笑)。
荒川 敵がノイズという呼称な点も含め、音は設定でもだいぶフィーチャーしていますよ。
――メインイラストにはほかのキャラクターもいますが、彼らは仲間でしょうか?
野村 おのおのの目的は違うけれど、いずれ仲間という形で集う若者たちです。
荒川 死神のゲームの参加者ですね。
――スケボーに乗っているキャラと、右端のキャラは同じデザインの帽子を被ってますね。
野村 そのふたりは少し関係性があります。右端の子は女の子で……まあ、詳細は続報で明かしていきますので(笑)。
――では、渋谷を舞台に選んだ理由は?
神藤 現代の若者を象徴する街であり、いろいろなものが雑然と集まった場所だからです。企画段階では東京全体を舞台にしていた時期もあったのですが、渋谷に特化させたほうがメッセージを伝えやすいと判断しました。
――バトルでは上下画面の場所は近いようですが、なぜいっしょに戦わないのでしょう?
神藤 じつはそこに謎が(笑)。この作品は、謎が謎を呼ぶシナリオ、いわゆる"ソリッドシチュエーション"がキーワードなんですよ。
――物語の初期設定にも謎が多いですね。ミッションを課してくる"死神"とか……。
神藤 死神はゲームの管理者です。なぜネクたちがゲームに参加することになったのか、なぜ渋谷に閉じ込められているのか。そのあたりもきちんと描かれていきます。
荒川 バトルだけでなく、物語の上でもふたりで行動するというシチュエーションが多いのですが、個人対個人の物語だけでなく、奥深い推理も楽しんでもらえると思いますよ。
野村 3Dのゲームなら演技やカメラワークなどの演出を加えることができますが、2D だとテキストで読ませることになる。字を読んでおもしろい、率先して読みたくなるような展開にする必要があると考えています。
前向きではない主人公? |
――『すばらしきこのせかい』という平仮名のタイトルにも意味があるんでしょうか?
野村 サッチモの曲(註:ジャズの神様と呼ばれる、ルイ・アームストロング(’01〜’71)が歌った『この素晴らしき世界(What A Wonderful World)』(’68年)のこと。サッチモは彼の愛称。スローな曲に合わせ、独特のカスレ声が世界の美しさを歌い上げる曲。たびたびテレビコマーシャルの曲としても使われている)がもとになってはいるのですが……。物語のテーマを見せられたときにそれが気に入って、そこにある日、このタイトルが突然結びついたんです。
――物語のテーマというのは?
野村 "人は誰もが逃げ場を捜している"。平野の企画書に書いてあった言葉です。
神藤 それを否定するのではなく、逃げ場所に行くことも悪いことではないのでは、という捉えかたです。
長谷川 ゲームの主人公は、たいてい前向きですよね。そういう定番も崩したかった。生きていればいろいろ悩みますが、自分の理想と違うほうへ進んで、そこでまた考えてという生きかたもいいのでは、というお話です。
――ロゴのデザインも変わっていますね。
神藤 ネクの趣味がグラフィティという設定なので、そのイメージですね。グラフィティも、物語に関連しています。ひとつひとつの要素に意味があって、それらすべてが物語の謎に密接に絡んでくるんですよ。
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2007年の発売に向けて |
――開発状況は何パーセントくらいですか?
野村 50パーセント……でしょうか。
荒川 ホントですか!?(笑)
神藤 企画はかなり練り込まれているので、あとは実装していく段階です。
――発売時期は近いのでしょうか?
野村 2007年です。今年はないです(笑)。
――最後にメッセージを。
荒川 斬新なシステムをたくさん採用していながら、いろいろな層のユーザーが満足できるようなものを目指しています。お楽しみに。
神藤 いままで作ってきたものの路線とは、まったく違うものを作ろうとしています。挑戦の塊のような作品ですね。新しいものならではの感触を楽しんでいただきたいです。
長谷川 新規のタイトルなので、いろいろな人に手に取ってほしいと思います。難しく思えるかもしれませんが、敬遠するまえに触ってみてくださいね。
野村 彼らとは長いつき合いですが、スクウェア・エニックスの次世代を担うスタッフたちだと思っています。今回は彼らにかなり任せているので、ぜひそこに新しい風を感じていただきたいですね。『KH』チームには本当に優秀なスタッフが多く、ほかにもユニットが登場していきます。その先駆けとして、この作品が公開されたわけです。今後もこういう試みが続きますので、ご期待ください。
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