『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』のディレクター、落合信也氏に直撃!
●落合信也ディレクターが驚きの発言!
サウンドノベルの金字塔として名高い『かまいたちの夜』シリーズ。そのシリーズ最新作である『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』がプレイステーション2で登場する。この作品は、第1作『かまいたちの夜』、第2作『かまいたちの夜2 〜監獄島のわらべ唄〜』の謎を解き明かす、最終最後の作品として制作されている。しかも、これまでのシリーズとは大きく違い、複数主人公システムを採用。これにより、複数の人物の視点から、事件の真相に迫るという、従来シリーズ以上のゲーム性を獲得しているのだ。そんな本作のディレクションを務める落合信也氏に、週刊ファミ通6月30日増刊号(2006年6月16日発売)ではインタビューを敢行。氏の口から驚くべき情報を聞いた。そこでファミ通.comでも、このインタビュー記事を掲載。さらに、誌面では掲載しきれなかった話題についても公開するぞ。
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落合信也 |
――最初に今回落合さんがどのような形で『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』に参加されていらっしゃるのか、お聞かせください。
落合信也(以下、落合) 『2』のときと同じディレクションという立場で関わっています。『2』との違いという点で言うと、企画の最初の段階から関わっているという点で違っていると。あとはまぁ、『2』と同じような関わりかたですね。
――本作のコンセプトは?
落合 前回では、正統進化ということを打ち出していたんですね。ベーシックなものはそのままに、進化という部分では"ダイナミックにする"ということを中心にやってきたんです。それは、プレイステーション2というハードが出る時期と相まっていて、映像表現を中心にいろんなクリエーターさんを呼んでダイナミックにしようと。シナリオ自体も、トリックもダイナミックなものでしたし、舞台も広くなっているということで、そうしたダイナミックな進化というのをやっていたんです。ただ反省点もありまして(笑)。ダイナミックにした分、"怖さ"という点も映像表現によるものが中心になってしまったんですね。結果、どちらかと言うと、"ビジュアルによる生理的な恐怖"というのが強くなってしまったというのがあって。1作目を支持してくださっている人たちの好きな"怖さ"というのは、そうしたダイナミックなものではなくて、もっとスタティックな、"静的な怖さ"というのを求めていたところがありましたので、そういう意味で言うと、今回は基本を重視しようということを意識して作っているところがあります。
――基本というのは?
落合 ビジュアルの派手さではなくて、もっと"ミステリーの中身の濃さ"であったりとか。あとはサウンドノベルとしての基本というと、"地の文"ですね。セリフ以外の文章。ビジュアル的な進化を考えるときに、映像がどんどん増えていって、文章がどんどん減っていって、最終的にはセリフだけが残って映画みたいになるんじゃないかというようなことが進化の流れとして考えられるんです。だけれども、やはりそれだとサウンドノベルとしての味がどんどんなくなっていくので、やはり文章を活かそうと。で、文章を活かす場合、とくにセリフ以外の文章を活かすとなると、その人の心情を語ることが中心になっていくんですよね。そうした点で、複数主人公にして、それぞれの心情を語るというシステムが生まれてきているんです。だからある意味進化というよりは、原点とか基礎とか、そういったところにもう1回戻ってゲームを作ろうということを意識しています。
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――今回、落合さんが大枠のプロットを考えられて、それを我孫子さんがシナリオとして書き起こしているということなんですが、なぜこのような形で制作することになったんでしょうか?
落合 まず『2』の開発が終わった時点で、いろいろ反省点も多くて、悔いが残る部分もあったので、中村のほうに「もう1作作らせてほしい」という話をしたんですね。そのときに、中村のほうから3つ条件が出されました。ひとつ目が今回作った舞台であるとか、登場人物、あとは開発資産というか開発環境ですね、それを使って『2』よりも価格を抑えること。もうひとつが我孫子さんに執筆していただいて、1作目のユーザーが喜ぶような連続殺人のミステリーにするということ。それで3つ目というのが、ネット上で、犯人が暴露されても楽しめるようにしなさい、というのがあってですね。
――難しい注文ですね(笑)。
落合 その仕組みができあがってから我孫子さんに相談するようにというような条件があって。それで私のほうで、ある程度シナリオと仕組みというのを組み合わせたようなプロットを作った、ということが始まりですね。
――ネット上に犯人が暴露されても楽しめる仕組みというのは、どんなものなのでしょうか。
落合 厳密にそれをできるようにするというのは、不可能に近いとは思うんですけれども、ある程度をそれを実現させるような仕組みとして、ひとつは複数主人公にするということを考えました。それともうひとつが、犯人を、ひとりにしないで複数にする。複数の犯人と複数の主人公が絡み合うことで、複雑なシステムを作って、ひと筋縄では解けないというか、犯人がこうだよ、と説明できないような仕組みにした、という感じですね。
――複数の主人公がいるとなると、わりと考えがちなのが犯人も主人公の中にいるんじゃないか、と考えそうなんですが。
落合 今回スゴく登場人物が限られているので、その中に複数の犯人がいて、当然犠牲者もいるわけですよね。そう考えると、その中に犯人がいたとしてもおかしくはないよね、とだけ言っておきます(笑)。
――あとは複数主人公についてもうひとついいですか? 画面を見ると主人公は4人なのかな、と思ってしまうのですが。
落合 おもだった主人公は発表されている4人分のスペース。香山さんというのは今回の物語のきっかけを作る役割が強いので、残り3人分の"?"のところでメインのストーリーを進めていく感じになっています。あとはメインのミステリー以外のシナリオも用意していますので、そうした部分も楽しむことができるようになっています。
――それはピンクのシナリオ?
落合 そうですね。ピンクのシナリオは用意しています。
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――本作のテイストは?
落合 1作目がミステリーにサスペンスを加えたものだとすると、2作目がそこにホラーが加わったという感じになると思います。それで3作目は、スリラーを入れようということを意識していまして。そのために、舞台をある程度限定させるということと、あとはコートを着た謎の人、というのを出してですね、それでミステリー+スリラーのようなテイストにできればなと思っています。
――陰陽道などの要素も、今回も引き続き出てくるのでしょうか?
落合 前作に続いてということで近い部分はあると思うんですけども、ある意味それが関わるのは、ほとんど香山さんのシナリオだけですね。香山さんが今回みんなを集めたりとか、いわば水先案内人のような立場にいるので、彼のシナリオでそうした話が出てくるんですけども、ほかの主人公に関しては純粋にミステリーの話が中心になっています。
――開発状況は現状どれぐらいなんでしょうか。
落合 もうほぼ100パーセントと言っていいぐらいですね。いまチェックしている段階で、不具合も少なそうなので、ほぼ完成と言っていいと思います。
――最後に読者の皆さんにひと言メッセージをお願いします。
落合 今回はミステリーであるということと、量や見た目ではなくて、中身の質ということにこだわって作りました。とくにシナリオ面で言うと、"驚き"と"感動"と、"カタルシス"。この3つが伝わるようにというか、それで満足できるようなものを作ったつもりですので、シリーズの締めくくりとして楽しんでいただけたらと思います。
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