『逆転裁判4』について松川プロデューサー&巧舟ディレクターが語る!!
●ふたりのキーマンが語る『逆転裁判4』!
ニンテンドーDSで発売が予定されているカプコンの新作ソフト『逆転裁判4』。ゲームボーイアドバンスで発売された『逆転裁判』から『逆転裁判3』、そしてニンテンドーDSで登場したリメイク作(+新作1話)『逆転裁判 蘇る逆転』と、続々と作品を重ねてきた人気シリーズだ。前4作は、弁護士の成歩堂龍一(なるほどうりゅういち)と、助手(?)の霊媒師、綾里真宵が活躍する推理アドベンチャーゲーム。もちろん、このシリーズ最新作『4』も推理アドベンチャーゲームではあるのだが、主人公を一新して、『逆転裁判3』から7年後の世界を舞台にした新たな物語が描かれていくのだ。そんな『逆転裁判4』について、週刊ファミ通6月30日増刊号(6月16日発売)では、プロデューサーである松川美苗氏と、脚本担当の巧舟氏にインタビューを敢行。そのインタビューを、誌面の都合上掲載しきれなかった話題も含めてマルッと公開する!!
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松川美苗 |
巧舟 |
――今回制作はいつごろから始まっているのでしょうか。
松川美苗(以下、松川) 時期はちょうど、『蘇る逆転』を2005年9月15日に発売させていただいて、ちょうど同じ時期ぐらいに、「つぎを作ってみたらどうだ」と提案をいただいて。すごく急だったんですけど、翌月、10月の任天堂さんの発表会(※1)でまず1報として「作りますよ」ということだけ発表させていただきました。
――構想はそのころすでに練られていたのでしょうか?
巧舟(以下、巧) 構想は……、発表されたときは何もなかったんですよ。しばらくなかったですね。何ヵ月も(笑)。本当に構想を練り始めたのは、いつぐらいですかねぇ。
松川 実質的に、巧がチームに入ったというか、巧が本格的に動き出したのがたしか(2005年)10月の下旬ぐらいです。当時、ブログをやらせていただいていた(※2)ので、ブログをやりながらつぎのネタと、『蘇る逆転』の海外版の仕事をやりながら構想を練っていました。
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※1:2005年10月に行われた任天堂の発表会"ニンテンドーDSカンファレンス! 2005秋" ※2:『逆転裁判 蘇る逆転』の公式サイトで見ることができたオフィシャルブログ。巧氏の書く"開発者ブログ"と、ナルホドくんとマヨイちゃんの掛け合いが読める"キャラクターブログ"がある |
――物語の舞台が、『逆転裁判3』の7年後になるということなんですが、これはなぜ7年後なんですか?
巧 縁起がいいですからね(笑)。
松川 『4』というタイトルをつけさせていただく中で、チームとして、もう1回新しい『逆転』を新ハードでチャレンジしてみよう、というのがコンセプトというか、目標となっています。『蘇る逆転』はニンテンドーDSで『逆転裁判』を作ったらこんな風だよという作品。『蘇る逆転』でやり残したことはないけども、もっとフルチャレンジしてみようというところでは、タッチパネルの使いかたや、ニンテンドーDSというハードへの挑戦は、今回チームと相談しながら詰めています。また、物語も新しいユーザーさんにも、いままでのシリーズを知ってくださっている方にも楽しんでもらえるような形というのは何だろうか、と考えまして。そういうところから、新しい主人公を迎えて7年後の世界を舞台にするという案が生まれました。
――前作のキャラクターは登場するのでしょうか?
松川 亜内と裁判長は出てきますね(笑)。誰が出てきてほしいですか?
巧 おお、いまから募集しますか?
――間に合うんですか、それ(笑)。
巧 意外に間に合っちゃうんじゃないですかね(苦笑)。
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――主人公の、王泥喜法介(オドロキホウスケ)というのはどんな人物なんでしょうか。
巧 『4』でリニューアルということで、元気のある熱血漢というイメージでキャラデザインしてもらっているんですね。今回のキャラクターデザインは、デザイン主導で好きにやってもらっているという感じなんです。
――最初に公開されたイメージボードとはだいぶ違っていますが。
巧 最初ボクは裁判長のポスターにしたかったんですよね。裁判長が旅立つっていう、裁判長にスポットライトを当てたいって。それはいましかないっていう話をしたんですけども。
――弁護士バッジの画面のところで"アコガレの弁護士に"みたいなことが書いてあったんですが、オドロキくんは弁護士に憧れてなったということなんですか。
巧 そうですね……(苦笑)。それは発売後に確認していただければいいんじゃないでしょうかね! シナリオはじつはまだ書いている途中なんですよ。ですから、いま(インタビュー中に)「あっ!」って思ったりしていることとかもあるかもしれませんね(笑)。「やべ、忘れてた」みたいな。
――では、このあとも変わるかもしれないよと。
巧 どうなるかわかんないですね、正直。
松川 でも、ユーザーさんの期待されている"アコガレの"っていうところとか、"7年後"っていう設定が、うまくリンクしていってくれるんじゃないかなって思って、いま書いているシナリオに期待しています。
巧 ……はい(笑)。
――法廷のイラストも新しくなりましたが、そちらのほうに関する思い入れなどは?
巧 7年経ってますし、主人公たちも一新されるということで、"昔のテイストを残しつつ、新しいところもある"というバランスが意外にけっこうたいへんでしたよね。
松川 そうですね。でき上がったのが、ホント最近で。ホントにできたてのイラストです。ここでオドロキくんが戦うんだというのを、いま感じているところですね。
巧 まだ我々もなじんでいないんで、もしかしたら気分次第でなくなるかもしれないですけど。
――気分次第で(笑)。
巧 予断を許さない状況ですね。
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――オドロキくんが左腕に腕輪をしているんですが、これは?
松川 これ最初は時計だったんですよ。「時計でいいんじゃない?」って言っていたんですけど、ある日突然、「こっちでオーケーになった」と、キャラマンから聞かされました。
――わりと魔術的な雰囲気の……。
巧 これはですね、「異議あり!」ってやるじゃないですか。そのときに、何もないと寂しいので、これを着けとこうよって。で、着けてみたら意味ありげに見えてしまって、いろんな人から「これ何なんですか?」って聞かれるようになったので、何か意味を考えないとなぁと思っているところなんですね。
――いやいやいや(笑)。これ絶対何か意味がありますよね?
松川 ロゴを見ていただくとわかるんですけど、光るかどうかは別として、何か重要な、『逆転裁判4』を語るうえでのシンボリックなものになるのではないかと。そう思いますね。
巧 あんまり皆さん想像しないほうがいいんじゃないかと思いますよ。これだけいっぱいの人が想像するとけっこう当たっちゃいますから(笑)。絶対に。
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――みぬきちゃんは、どんなポジションのキャラクターなんでしょうか。
巧 ずばり、マヨイちゃんの代わりのキャラですね。
松川 巧さんが大好きなマジックを使うキャラクター。今日もホントはマジックを披露したいんですよね。
巧 そうなんですよ。
松川 昨日は徹夜で練習するぐらいの勢いで。
巧 もう眠いんですけれども。
――(笑)。前回は霊媒師のマヨイちゃんがパートナーで、今回は魔術師ということなんですが、なぜ魔術師なんですか?
巧 フィーリングですかね(笑)。『1』〜『3』のときの霊媒師というのは、最初から物語の構造ができていて、霊媒師じゃないといけなかったんです。で、今回代替わりしてオドロキくんとみぬきちゃんになったときに、その相棒が"ピアノが上手なお嬢さん"じゃ、ちょっと弱いだろうと。
――たしかに(笑)。
松川 いろいろあったんですけどね、数のヤツとか。
巧 ああ! "大商人の娘"という設定で、人の証言とかすべてのものの金額が見えるというキャラクターもいました。
――(笑)。
巧 「オドロキくん、いまの証言は350円よ!」とか(笑)。
――「安いからこれは無視しよう」って言って(笑)。
松川 あとはデザイナーが推していたのが忍者ですね。ただ、そうすると「また里が出てくるからイヤだ」と巧が嫌がりまして。
巧 忍者って言われてもなぁ。
松川 そうこう言っているあいだに、マジシャンにしようと。
巧 そうですね。じつはボク、大学生のころにマジックをたしなんでおりまして、相当の腕前という噂なんですけど。
松川 巧さんは、カプコンの入社試験のときに、マジックをして入社したんですよね。
巧 そうですね。入社試験のときはつねにポケットにネタを隠していて。いまかいまかと待っていたんですけども。
松川 そんなことを言うと、カプコンはマジックをすれば入社できる会社だと思われちゃいますよ。
巧 いや、入れるんじゃないですかね。大学4年間かけてみっちり勉強すれば。マジックにかける青春? 彼女もがんばっているはずですよ。マジックのおかげでヒロインの座をまがりなりにもつかみかけている。
松川 かけてる(笑)!?
巧 夢を追い続けているわけですよ、彼女も。
――性格的なイメージとか、内面的なものというのは。
松川 わたしは、おしゃまっていうのがキーワードなのかと思っているんですけども。
巧 おしゃま!?
松川 うん。なんか背伸びした女の子っていうのが当初のキーワードだったと思ったんですが。
巧 ああ、そんなイメージはたしかにありますね。
――みぬきちゃんはどんな活躍をするんでしょうか。
巧 彼女のがんばり次第ですね。シナリオを書いていて、キャラクターに僕が動かされるということがけっこうあったりするんですよね。設定して書いている内に、こいつはこんなことしそうだな、とか。
松川 (そうして)書いていて、予定よりも2週間ぐらいかかりそうですとか、予定よりも(シナリオが)200ページぐらい長くなりそうですとか。
巧 200ページも(笑) !? そんなこともあったりなかったりしますけども。彼女が動き出してくれれば、何かささやきかけてくれるんじゃないかと、期待しています。がんばれ!
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――オドロキくんとみぬきちゃんの名前の由来というのは?
巧 ナルホドくんの"なるほど"っていうのは、僕の好きな言葉なんです。どこからきた言葉なのか、語源もよくわからないのにみんな「なるほど」って言ってるなぁっていうのが好きで。あとは僕は推理小説が好きで、推理小説でいちばん重要な要素は「なるほど」って思わせることなんですよね。そういった意味でナルホドくんという名前にしたんです。だから"ナルホド"って僕の中でベストな名前だったんですけども、今回新しい名前を考えるに当たって、なかなかそれに匹敵する名前が出てこなくて。1度"イキナリくん"というのが候補として上がったんですよ。どっかの新聞の4コママンガみたいな名前ですけど(笑)。そこからもうちょっと考えて、ミステリーにもう一度立ち返って、いちばん重要なのは"驚き"だろう、ということで、「オドロキくんってどうかな」って聞いたらチームの中ではそれがいちばんピタリときたかなと。
松川 下の名前の法介というのは、巧さんのほうから出てきたときには、みんな「いいんじゃないか」ってふたつ返事で決まって。けっこうデザインのほうもそうなんですけど、メインデザイナーのほうから出てきたデザインと、巧のほうが考えたキャラクターの設定といったものが、早めにしっくりと合致したキャラクターって感じですよね。
巧 そうですね。あとオドロキくんってけっこう名前はすんなり出たんですけど、なかなか漢字に当てはめるのがたいへんだったんですよね。で、ここにいる人がね……。
松川 "泥"という字がいかがなものかと(笑)。ずっと気になっていて。それでチームで相談していく中で、"王"という輝ける字と、"喜"という輝ける字でサンドイッチするから、"泥"は大丈夫なんだってすごく熱弁をされたので。
巧 ほかにないからね。ホントこれがダメなら、オドロキの"王"という字を"汚"にするぞとかいう話をしたりとか。
――(笑)。
松川 だからもう半分、脅迫まがいに決まって。
巧 で、「まぁ、しばらく置いておこうじゃないか」と。「冷静になればわかるから」と言ってほっといているうちに雑誌に出ちゃっているというわけですね。
松川 強行手段に出られましたね。
巧 うやむやという感じで。……。(主人公の名前が)ウヤムヤでもよかったかな? ウヤムヤくん。
松川 ダメですね(笑)。まぁ、でもオドロキくんはプレイヤーの分身なので……。
巧 泥は入っていますけどね。
松川 いい意味で泥臭く。プレイヤーの皆さんと成長してくれるといいんじゃないかなと。
巧 いつか泥も取れるといいですね。
松川 取れるんですか!?(笑)
巧 わかんないですけども。
――声はまた社内の人でやられるんでしょうか?
巧 けっこうやりたい人がいるらしくてね。
松川 そうなんですよ。チーム内でオーディションをしようかとか、デモテープを作ってこようかとかいろんな話が出ていて(笑)。
巧 最近ボクに、やたらいい声で「巧さん、異議あり」とか、言ってくる人もいて。まぁ、やりたい人がやったらいいんじゃないですかね。『1』のときは、ナルホドくんの声を自分でやったんですけども、それで主人公の声は渡したくないっていうのはあるんです。ただ、さすがに今回も僕がやってしまうと、誰が誰だかわからなくなっちゃうので。ここは涙を呑んで(主人公の座を譲ります)。チーム内でやるのかな? お金ないから。
松川 お金ないですからね(笑)。
――本作にはニンテンドーDSならではの、トリックだったり、おもしろいことが用意されているんですよね。
松川 新しいことは、いまチームが試行錯誤しているので、『蘇る逆転』でやったカガク捜査とは違った遊びかたというのを、日々努力して考えているところですね。ニンテンドーDSで1タイトル作らせていただいて、当然チームも成長していて、ただまだまだ魅力的なハードで。ゲームボーイアドバンスで完成された『逆転裁判』というのが、『1』〜『3』までで。それとは違って『4』というのは、『蘇る逆転』で勉強して、ニンテンドーDSで完成された『逆転裁判』というのを目指していかなければいけないな、と思っています。
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――『逆転裁判』担当弁護士に丸山弁護士が着任されたということですが、本作には、どのような形で関わられているのでしょうか?
松川 これからいろいろご相談させていただくというのが、現在の正直な状況です。『逆転裁判』というタイトルはいろんなユーザーさんに支えていただいていて、ゲーム業界でも評価されているタイトルだと感じています。ただ、名前が固かったりとか、謎解きばかりでたいへんそうだという理由で、とっつきにくいゲームだと感じられている方もいるんですね。そのとっつきにくさのところを、取り払うお手伝いをしていただけないかな、というところで、今回ご相談させていただきました。『逆転』シリーズのプロモーションをメインに、そのほかにもいろいろとご相談させていただき、シリーズに関わっていただく予定です。
――最後に読者の方にひと言ずつメッセージをお願いします。
松川 いま、新しいメンバーがチームに参加したり、巧であるとか、前作のデザイナーの塗(※3)であるとか、いろんなメンバーの力が集結して、新しい『逆転裁判4』を、おなじみのあのキャラクターも出てくる『逆転裁判4』を制作しています。皆さんには、もうしばらくファミ通さんを通じていろんな情報を届けさせていただきますので、ご期待ください。よろしくお願いします。
巧 今回、"リニューアル"をテーマにしていろいろとやっていますので、どうなるのかぜんぜんわからない状況です。今回、インタビューを受けて僕もいい刺激を受けましたし。ただ、そのどうなるかわからない感が、チーム一同楽しみでもあり、怖くもありながら毎日制作しています。ですので、皆さんもこのどうなるかわからない状況で、楽しくもあり、怖くもありという日々を、これから送っていただければと思います(笑)。
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※3:塗和也氏。『蘇る逆転』と本作のキャラクターデザインを担当 |
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