『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J』プロデューサーインタビュー
●“『サカつく』の『サカつく』化”とは……?
ついにその内容が明らかになった『J.LEAGUE
プロサッカークラブをつくろう!』(以下、『サカつく』)シリーズ最新作、『J.LEAGUE
プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J』。PSP用ソフトとしてリリースされる同作の開発陣が掲げる“『サカつく』の『サカつく』化”なる開発コンセプト。この言葉にはいったいどんな意味が込められているのか? 週刊ファミ通2009年7月10日号(2009年6月26日発売)では、本作の魅力と謎に鋭く迫るべく、プロデューサーの山田理一郎氏のインタビューを敢行。誌面ではお伝えし切れなかった部分も含めて、インタビューの完全版をファミ通.comに掲載する。
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『J.LEAGUE
プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J』 |
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――『サカつく』シリーズの『6』というナンバリングのタイトルをPSPで出すことになった理由を教えてください。
山田理一郎(以下、山田) いろいろと事情があるのですが……(笑)。『サカつく』シリーズをいちばん遊んでくださっている層のライフスタイルが変わってきているのが理由のひとつです。Jリーグがスタートしたときに中学生や高校生だったという層は、もう年齢的には家庭を持っている人が多いと思います。やはり家族がいると、リビングのテレビでじっくり腰を据えてゲームをプレイするのは難しいですよね。どうしてもやりたい場合は、部屋にある自分専用の小さいテレビでプレイすることになる。そういったことを考えると、画面がキレイでプレイステーション2と変わらないことができるPSPという携帯ゲーム機が、いまのユーザーのライフスタイルに合っているだろうと。もちろんこれまでのように、据え置き機でじっくりと遊びたい方もいらっしゃると思いますが、ニンテンドーDS版の『サカつく』、『野球つく』を発売して、つくろうシリーズと携帯機の相性のよさが評価された部分もあり、今回はPSPでの発売となりました。タイトルを『サカつくPSP』ではなく『6』にしたのは、企画的にもボリューム的にもナンバリングのタイトルにふさわしいものにできるという思いがあったからです。
――対応機種がPSPということは、通信対戦などもできるのでしょうか?
山田 当然、アドホックモードを使った対戦も可能です。
――開発コンセプトとして掲げられている“『サカつく』の『サカつく』化”という言葉に込めた思いをお聞かせください。
山田 これはオシム元日本代表監督の“日本代表を日本化させる”という言葉にあやかってつけた、本作のキーワードのようなものです。簡単に言うと、『サカつく』という作品をもう一度イチから見直して、本当に必要なところとそうでないところを切り分ける作業をやろうということなんです。シリーズを通してユーザーさんからいただいた意見を踏まえて、『サカつく』に本当に必要な部分だけを残す。『6』という冠をつけるにあたって、まずはその作業をする必要性を感じていましたので。
――具体的には?
山田 たとえば、演出を重視すると、どうしてもロード時間が長くなってゲームのテンポが悪くなりますよね。でも『サカつく』は、基本的には同じ流れで進むシーズンを、何度もくり返してプレイする作品です。だったら、演出よりもゲームのテンポを重視すべきじゃないだろうか、と。そういった具合に、より快適で、ユーザーフレンドリーな作品にするために、あらゆる要素を見直しています。
――データインストール対応になったので、ゲームのテンポに関しては安心してもよさそうですね。
山田 はい。データインストールを行わなくてもストレスなく進められるように気をつけて設計していますので、テンポに関しては問題ないと思います。今回はゲームのテンポの向上という課題に、根本的に取り組んでいますので、ぜひご期待ください。
――実在のクラブでプレイできるようにしたのも、“『サカつく』の『サカつく』化”の一環ですか?
山田 本作のもうひとつのコンセプトに、いまの時代に合わせたモダンなゲームを作ろうというものがあるんです。Jリーグが発足したばかりのころは、Jリーグのクラブ数が少なかったわけです。だからこそ、自分の町に自分のクラブを作って、Jリーグに参加するということに夢を持てた。でも、いまはJ1とJ2合わせて36のクラブがあり、自分の地元にクラブがあるという人のほうが多い。そうなると、ふだん応援している地元のクラブでプレイしたい思う人も当然いるだろうと。そうしたサポーターの心にも響く作品にしないと、Jリーグのゲームとは言えないのではないかと考えて、実在のクラブでプレイできるようにしたんです。また、現在はすでにJリーグのクラブがアジアを制覇したり、世界の強豪クラブと公式戦で戦う舞台があります。かつてとは違って、ここまではもう夢ではなく現実になっている。では、そのさきの夢を僕たちが見せてあげようという思いもあるんです。アジア制覇、世界との戦い、と来て、そのさきにある夢は何なのか? そういったところをプラスアルファとして加えて、モダンで夢のある『サカつく』を作りたかったんです。
――ここからは、クラブ設立、イベント、経営、育成、試合といった各要素について、変わった部分を中心に伺っていきます。まずはクラブ選択です。オリジナルクラブを作る場合は、いままでのシリーズとほぼ同じ流れになると思うのですが、Jリーグのクラブを選んだ場合は、とのような流れになるのですか?
山田 クラブごとに決められた資金で、現在の所属選手と再契約を行うところからスタートします。初期資金をどれくらいの額にするかはまだ検討中ですが、レギュラーメンバーは全員チームに残せるくらいの資金を用意したいとは思っています。
――クラブによって初期資金などの条件が違うということですか?
山田 はい。クラブによって、スタートラインも、目指すべき目標も違います。たとえば、強豪クラブを選んだ場合は、最初から世界を目指してプレイすることになるので、Jリーグで優勝しても特別なイベントは起こりません。何度も優勝を経験しているクラブにとって、Jリーグ優勝は目標ではなく通過点のはずですから。もちろん、そういった強いクラブを選んでも、喜びを得られるまでには、相応の苦難があります。簡単に頂点に上り詰められるという単純なシステムになっているわけではありませんよ。
――選手の数はどれくらい収録されるのでしょうか?
山田 正確な数はまだわかりませんが、10000人以上です。おそらく、前作『5』と同じくらいの数にはなると思います。
――選手はいままでどおり、外国籍と日本籍の実名選手とオリジナル選手がいる?
山田 そうですね。今回は、『サカつく』シリーズの昔のオリジナル選手も多く入れようかと思っています。ただ、シリーズを通してプレイしているユーザーさんはともかく、Jリーグのファンの人たちから見ると、「何でこいつら強いの?」みたいな感じになると思うんですよ。ですから、その点は気をつけようと思っています。
――オリジナル選手と、Jリーグの選手の能力の差が少なくなる?
山田 能力値の調整も考えていますが、シリーズファンとJリーグファンの両方が納得出来るような形を取れないか、といろいろと検討しているところですね。
――クラブや選手のデータはどの時点のものになるのですか?
山田 まだ確定していません。なぜかというと、このあといろいろと移籍の動きがありそうなので(笑)。なんとかギリギリまで頑張って、最新の移籍事情を反映したいと思っています。できれば、Jリーグの中断期間明けくらいまで粘りたいんですが……。
――ちなみに、今回はライバルクラブはあるのでしょうか?
山田 本作では、ライバルとなるクラブをゲーム開始時にユーザーが選ぶ形になります。
――オリジナルのライバルクラブはないのですか?
山田 オリジナルクラブで始めた場合は、もうひとつオリジナルクラブが発足します。そのクラブをライバルに選ぶことも可能ですし、既存のクラブをライバルとして選ぶこともできます。
――そういえば、今回の写真では秘書の姿がありませんでしたが?
山田 ……今回はノーコメントでお願いします(笑)。
――ライバルクラブに関連したイベントはあるのでしょうか?
山田 そうですね。ただ、これもいままでと違う仕掛けをしていきたいな、と思っています。楽しみにしてください。
――イベントで大きく変わったところは?
山田 現実世界では、たとえばスタジアムを建てるとなったら、行政の力が必要となりますよね。今回はそういった部分を臭わせるようなイベントを用意しています。スタジアムやクラブハウスを大きくしたい場合は、“知事”というキャラクターがキーマンになります。4年に1度知事選があるのですが、そのタイミングでクラブの成績がいいと、知事が人気取りのためにスタジアム建設を後押ししてくれるとか。
――スポンサー関係のイベントもあるのでしょうか?
山田 各県にひとつオリジナルのスポンサーがあって、クラブの成長とともに大きくなっていきます。このスポンサーの社長もキャラクターとして登場して、さまざまなイベントに絡んできます。
――“知事”に加えて“社長さん”ですか(笑)。
山田 そのほかにも、イベントにはさまざまなキャラクターが登場しますので、かなり華やかになっていますよ。ただ、イベントの発生頻度が高くなり過ぎると、テンポが悪くなってしまいます。だから、選手がケガから復帰したことを告げるイベントなどは、トピックとしてヘッドラインだけ簡単に表示して、イベントそのものを見るかどうかは、自由に選べる形にしました。
――プレイヤーが見たいイベントだけ見ればいいわけですね。ちなみにイベントの総数はどれくらいになるのでしょうか?
山田 すべて合わせて600種類くらいです。数で言えば、いままでのシリーズの倍以上になっています。
――キャラクターといえば、元日本代表監督のオシムさんが作品内に登場するようですが、オシムさん絡みのイベントも?
山田 あるイベントで、彼が自クラブのアドバイザーになってくれます。その後に、彼のもとを訪ねると、さまざま助言を受けることができるようになります。
――いわゆる“オシム語録”もそのときに?
山田 ええ。たとえばシステムのことを聞いたら、「日本人はシステム論が好きなようだが、大事なのはどういう選手がいるかだ。システムの奴隷になってはいけない」と“オシム語録”を言ったあと、「いまのメンバーなら4-4-2がいいんじゃないの」みたいな感じでアドバイスをくれます(笑)。もちろん、ほかのイベントにもいろいろと絡んできますよ。ただ、ゲームに登場させるときに、オシムさんというキャラクターをイジることはしたくないので、オシムさんというキャラクターを再現して、どこまで『サカつく』に組み込めるか、という感じでやっています。
――オシムさんを作品内に登場させた理由は?
山田 僕がどうしても使いたかった、というのが最大の理由です(笑)。これから日本代表がよくなっていくというときに、ああいう形で日本を去られたので、喪失感が大きかった。それを埋めるためというわけではないのですが、オシムさんにもう一度Jの舞台に立ってほしかった。彼のメッセージはサッカーファンの心に響くので、ゲームに登場して、ぜひそういうメッセージを発してほしかったのです。
――クラブの経営で変わったところはありませんか?
山田 チケット代を決める要素をなくしました。その代わり、どの試合にお客を呼ぶかという、プロモーション活動を行えるようにしています。基本的には、勝てる試合に多くのお客を集めるのが、サポーターを増やす近道になります。でも、集客がいい試合というのは、相手が人気のある強豪クラブだったりするので、勝つのが難しくなっています。だから、どの試合に対してどういったプロモーション活動を行うかが重要になる。これが経営の遊びの部分です。
――チケット代は固定なのですか?
山田 基本的には固定です。ですから、お客をどれだけ集められるかが効率よく収益を上げるカギとなります。プロモーションにはいくつか種類があって、集客だけではなく、さまざまな効果が発生します。経営の遊びの要素については、この方向性で細かい要素を詰めているところですね。
――選手の移籍や補強に関しては?
山田 移籍に“完全移籍”と“期限付き移籍”があるのは前作と同じですが、今回は“期限付き移籍”で獲得してから、期限が終了したあとに“完全移籍”で獲得することもできるようにして、より有効に“期限付き移籍”が機能するようなシステムになっていると思います。また、自クラブから他クラブへの移籍に関してもやりやすい形にして、移籍金の分割払いにも対応するなど、選手の入れ替えをより能動的に行えるような人事のシステムを構築しているところです。
――現実のJリーグで今シーズンから導入されているアジア枠には対応しているのでしょうか?
山田 もちろん。海外選手の中では、アジアの選手がより重要になると思いますよ。
――移籍の際の交渉は、いままでと同じですか?
山田 交渉はより値切ることができるようになっています。金額を提示したあとに選択肢を選んで説得していきます。これをそれぞれ3回行って、選手の満足度を表すゲージを満タンにすれば交渉成立です。説得で、効果的なものを選べば、満足度ゲージが大きく上がるため、金額も低く抑えられるというわけです。どの説得がいちばん効果的かは、クラブの状況やその選手の状態や考えによって変わります。
――最終的にゲージが満タンにならないと交渉は決裂?
山田 3回の交渉で満足度が満タンにならなかった場合でも、ある程度までいっていれば、向こうが折れてくれたり、新たな条件を出してくれることもあります。そのあたりはより交渉っぽくなっていると思いますね。スカウトによるリストアップではなく、交渉で直接選手を獲得する場合には、同じように交渉して移籍金を減額させることもできます。
――選手育成に関して、詳しく教えてください。
山田 もっと自由な育成ができるようにしようと思っています。設定した練習メニューに沿って、選手が自動的に成長していくという部分は同じです。ただ、プレイヤーが積極的に関与する育成に関しては、いままでのやりかたは通用しません。留学に出しておけばひと安心、という形ではないですよ。
――“選手覚醒”という新しいシステムがあるようですが、これはどのような育成システムなのでしょうか?
山田 今後詳しく紹介することになると思いますが、従来の『サカつく』の問題点を解決するための要素です。いままでの『サカつく』は、選手の能力の限界が固定されすぎていたと思っています。能力が高くない選手は、どう育てても世界には通用しなかった。ですが、今回はJリーグのクラブを使えるので、その所属選手たちが世界レベルの戦いで通用しないというのではおもしろくない。“選手覚醒”は、そういったジレンマを打破するために作った新システムです。思い入れのあるメンバーで頂点を目指したいという人にとっては、やりがいのある仕組みになっているはずです。
――戦術の設定などは、いままでどおりですか?
山田 今回はすべての設定において、“アバウトに設定したい”という人を意識して作っています。シリーズを重ねるごとに複雑になった部分もあったので、まずはシンプルにできるようにして、細かくやりたい人は従来のシリーズのように細かい設定もできるような形にしています。
――新要素に“チームカラー”というのがあるようですが、これはどういったものなのでしょうか?
山田 どういう戦術を取って、どういうフォーメーションで、どういうチームに育てるかというところで得られるノウハウのようなものです。チームカラーを持っているチームはトータル的に有利になります。
――チームカラーを持っていないクラブもある?
山田 ゼロではないですね。
――どうやったら得られるものなのですか?
山田 基本的には育成の結果ですが、それに加えて特定のタイトルを取っているかなどの条件を満たすことで得られる場合もあります。
――たとえばどういうチームカラーがあるのでしょうか?
山田 “サイド中心”とか、“赤い悪魔”とか。まあ赤い悪魔は特殊なチームカラーですけれど。チームカラーによって選手の動きも変わりますし、強い部分と弱い部分も出てきます。それにあわせて、選手を配置することが重要になるというイメージです。
――『サカつく04』にあったフォーメーションコンボに近い感じでしょうか?
山田 あれはプレイスタイルが必要だったので、厳密にいえば違いますが、イメージ的には同じような感じで捕らえてもらっていいと思います。
――これは実際に見てみないとわかりづらいですね。もう少し詳しい情報が知りたいところです。
山田 いずれ詳しく紹介しますのでお待ちください。
――楽しみにしています! 試合の見せかたも変わっていますね。
山田 完全なリアルタイム方式にするか、それともピンチやチャンスのシーンをダイジェストで見せる方式にするかで迷ったのですが、今回はテンポを重視して後者を選択しました。ただ、ダイジェストで試合を見せる手法には、戦術が実際に機能しているのか、また選手がどう動いているのかがわかりづらいという問題があります。だから、通常は選手のポジショニングやボールの動きを2Dの画面で見せて、チャンスになったらダイジェスト画面に切り替えるという仕組みにしたんです。
――2D画面上では、選手のカットインのような演出が入っています。これが出るとどうなるのでしょうか?
山田 イメージ的にはパチンコなどのチャンスアップ予告みたいなものです。これを含めて、事前の演出がより派手なものになるほど、得点や派手なプレイへの期待が高まる、と。僕はステップアップ予告と呼んでいるんですけどね(笑)。
――前作で廃止された、“光りプレイ”(特殊な演出で見せる派手な得点シーン)はあるのでしょうか?
山田 もちろんあります。カットインなどの予告と光りプレイが絡むと、非常にアツいですよ! また、いままでの光りプレイとは違った、もっとドキドキできる要素も考えていますので、ご期待ください。
――高速で試合を進めることもできる?
山田 はい。その場合は、2D画面だけです速く試合が進んでいく形になります。
――試合において、演出以外で変わったところは?
山田 まだちょっと詳しくは言えないのですが……。今回は、選手交代が試合に大きく影響を及ぼすようになった、という点でしょうか。どうしても、選手交代って“体力が減ったから代わりに選手を入れる”というふうになりがちだと思うんです。もちろん実際のサッカーでも、疲れたから交代ということはあるんですが、もっと戦術的な交代というのも多いと思うんですね。そういった要素を入れて、ユーザーが監督気分をより味わえるようにしたいと考えています。選手交代次第で弱いチームが強いチームに簡単に勝てるというわけではないですが、ユーザーが行った交代によって、局面が大きく変るようにはしていきたい。いままでのシリーズ以上に、どの選手を交代で投入するか、いつ投入するかということが重要な要素になってくるようにするつもりです。
――スーパーサブ的な役割の選手が、これまで以上にカギを握りそうですね。
山田 はい。あとは、サポーターの声援が試合に影響するというのもポイントですね。試合中にサポーターの声援やブーイングによって、さまざまな効果が発生するような仕組みを考えています。タイトルを勝ち取るためには、クラブとしての総合力が問われる、というような形にしていきたいですね。
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