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『Demon’s Souls(デモンズソウル)』開発者インタビュー

2009/4/2

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●いまだからこそ話せる、話題の超難度ゲームの本音の部分!?

 

 ソニー・コンピュータエンタテインメントとフロム・ソフトウェアが世に放った、プレイステーション用アクションRPG『デモンズソウル』。まえ評判の段階から、かなり難しいゲームと言わていたが、発売初日に売り切れ店が続発。実際にプレイして、本当に“心が折れる”プレイヤーが続出しているにも関わらず、このゲームを始める人は増え続けた。そして今回、発売から2ヵ月が経過したタイミングで、「なぜあんなに難しいゲームになったのか?」というブレイヤーが直接聞きたいことを筆頭に、実際、最初にプレイして、やはり心が折れそうになったファミ通編集者が直撃インタビュー。“心が折れた人”や、いまだ多いゲームの謎を知りたい人は必見の内容を掲載となっている。

 なお、2009年4月2日には、エンターブレインより日本で唯一の本作の公式攻略本が発売となった。プレイヤーは、そちらもチェック!

 

01

梶井 健氏(写真左) Kajii Takeshi

本作のプロデューサー。ユーザーの間口を広げるために難度を下げるという選択肢をあえて採らず、ゲームの個性を尊重。その英断が、今回の結果につながっていく。そのぶん、デバッグ作業がはかどらず苦労の連続だっだらしい。

 

フロム・ソフトウェア

宮崎英高氏(写真右) Miyazaki Hidetaka

本作のディレクター。プレイヤーと自分が楽しめるゲームを目指した結果が、あの難度となって表れた。それでも、当初よりは少し難度は落とされているらしい。本作での世界設定もみずから手掛け、事細かに作り込んだと言う。

 

●発売後の反響について

 

――かなり難度が高いと、発売まえから話題になっていた『デモンズソウル』ですが、結果は、セールス的に見ても、ユーザーに受け入れられた形になりました。作り手としては、どのように感じましたか?

梶井健(以下、梶井) メディアの皆さんから始まって、口コミでおもしろさが広がっていったことが大きかったですね。ユーザーさんが、まだこのジャンルのゲームをこんなに待っていてくれたのかと、とてもうれしかったです。

――アクションRPGでドラゴンなどが登場するクラシックなスタイルのダークファンタジーですが、その内容は近年あまり見ない硬派なものでした。ゲーム中での説明やヒントもほとんどないという……。

梶井 ゲームジャンルは、本来もっといろいろあったはずなのに、近年の人気作はちょっと偏っている傾向があると個人的に感じていたんです。決してユーザーフレンドリーではないゲームですが、それを受け入れてくれて、内容に反応してくれたゲーム

ユーザーの土壌の広さを感じるとともに、まだこういう路線のものを作っていいんだなと改めて確認させていただきました。

宮崎英高(以下、宮崎) 「達成感が実感できる、それがあるゲームは楽しいよね」といったような感覚でユーザーさんに受け入れられている感触が実感できました。僕らの狙いだった、ゲームの達成感といったものがユーザーさんに受け入れてもらったという実感があり、何よりも安心しました。

――発売のまえに、「はたして、この難度で現在のブレイヤーに受け入れてもらえるのか?」という不安はありませんでしたか?

宮崎 不安がなかったといえば嘘になります。僕らとしては、難度の高さ自体を目的としていたわけではありません。難度の高いものを克服する楽しさとか、工夫する楽しさといったものを提供したかったんですよ。

――あの難度の高さは本来の目的である達成感のために必要だったと?

宮崎 僕らが感じてほしかったのは、何かを成し遂げたときの達成感なんです。そういうところをわかりやすくして、古典的なゲームとして提示したのがこの『デモンズソウル』なんです。そのために難度の高さが必要だったわけで、「難度の高さで話題になる」とか「ゲーマーに挑戦!」などと思っていたわけではないんですよ。難しくないと、プレイヤーがいろいろ考える余地とか、頑張ろうって気力もおきないだろうと。たとえば、ボスとかを倒したときに「やった!」っていうガッツポーズが出て、声をあげるようなゲームが作りたかったんです。

――確かにガッツポーズをしましたね。

梶井 ゲームらしいゲーム。テーマに原点回帰というのを掲げまして。いまはストーリーであるとか、設定を楽しませるものが多くなっていますよね。それは、誰がやっても完成度の高いドラマを見せるような方法論だと思うんです。でも、やる人によって異なるゲームを作ろうと。ゲームの謎を解いてさきを目指していく、そのひとつひとつの行為自体がゲームプレイだと僕は思うんです。もちろんいろいろな物があっていいと思います。プロデューサーの僕の立場では「間口を広く」って言べきでしょうし、中和させて広くという方法もあるけれど、それだとゲームのコンセプト自体が崩れると判断してこのような難度のままにしました。また、せっかくフロム・ソフトウェアさんと作らせていただく機会でしたから、フロムさんの尖がった部分を活かしていただきたいと思いました。だから難度の調節についてはディレクターの宮崎さん、あるいはフロムさんのやりたいようにお願いしました(笑)。

宮崎 我々としては、とくに難度をめちゃくちゃに高くしたつもりもなかったんですよ(笑)。そういう意味では最初の反応には逆に驚きましたね。けれど、難度を低くして、ユーザーに受け入れてもらうという方法は違うと思ったんです。まずは、作り手の我々が楽しいと思える物を作って、あとは、それをどれだけ多くの人に受け入れてもらえるかということだったと思います。最初の反応を受けて、逆にあとから、少々やり過ぎたのかなと思ったくらいですから。

――少々……なんですね(笑)。

宮崎 結果として確かに難しくはなってしまいましたけれど(笑)。

梶井 作って楽しいということでは、僕も含めて、スタッフみんなが楽しかったですね。「これは楽しいゲームができた」と。ただそこからさきは予想できなくて。いまのゲームはユーザーフレンドリーな物が多いので、反応はどうなのかな? と。そこはつねに怖かった部分ですね。

――育成ができない状態で、距離も長い。ゲームの最初の部分が、いちばん難しく感じるのですが、ふつう最初はやさしくしておくのがセオリーですよね? どのような経緯から、あのようになったのでしょうか?

宮崎 敵の配置について「ふつう正面に敵はいないでしょ」というところから始まって、序盤で『デモンズソウル』の基本のプレイのしかたを覚えてほしい、と。そのうえで、成長なり、マルチプレイなりを体験してほしかったんです。そうじゃないと、いきなり最初から味方を呼んで手伝ってもらい、簡単にクリアーできてしまう。でも、それは違うと思うんですね。達成感や、操作、駆け引きなど、このゲームの基本がわかっていることで、仲間のファントムのありがたさや、敵の黒ファントムの恐ろしさも実感できる。また、相手に呼ばれたときに最低限のことができるようになっているはずです。このゲームがわかっているからこそ、仲間を呼ぶか呼ばないかの判断もできるはずですし、能力育成にしても自分はこういうスタイルでいくということがわかっているからこそ、できることだと思います。それらを最初に学んでほしかった。なので、最初の王城には多くのシチュエーションを取り入れています。ただし、ちょっと長かったかなとは思っていますけれど……(笑)。

――では、あの最初のボーレタリア王城の長さは、狙いではなかったんですか!?

宮崎 はい(笑)。正直、やばいなとは思ったんですが、あのマップ自体に、ドラゴンなど、いろいろなアイデアが入っているので、あまり省きたくなかったという思いがあり、そのままにしてしまいました。ただし、そこをクリアーさえすれば、あとはひとり歩きができるはずですから。最初にその方針で週刊ファミ通さんに攻略していただいて助かりましたよ。そのあとが楽しくなっていくところですので(笑)。

梶井 あそこさえやっていただければ、あとにも、心が折れそうになる場面はあるでしょうけれど、もう基礎はできているはずなので大丈夫だと。逆にそのまえを緩くしちゃうとのちのちつらくなったかもしれません。いや、コレ、あとづけですけれど(笑)。

――ユーザーは、最初にきびしさを叩き込まれる仕様なんですね。では、全体のバランスで注意したことは何ですか?

宮崎 中盤も難易度高めにしてあって途中でダレないようにしようと意識しました。それでも成長ができるようになっているの

で、やさしくなっているはずです。

梶井 キャラクターの成長とプレイヤー自身の成長も合わせてバランスよくできたかなと。最初行っていたところに、あとで改めて行ってみると楽にクリアーできたり。そうすると、自分がうまくなっていることをかなり実感できるんです。そうなるとまた詰まったところに挑戦したくなる。確かに何度も心が折れそうになったりするのですが、確実に自分もうまくなっていっていることが実感できるので、続けられるのかなと。そのあたりは、本当に絶妙ですよね。フロムさんや宮崎さんの培ってきたものだと思うんです。フィールドの作りも、ショートカットなどがあったり。

宮崎 そうですね。いくつかフールドがあっても、ゲーム中にマップが見られない仕様ですから、基本的には必要以上に迷わないように意識しました。じつは、頭で描いても難しくないものが大半ですが、プレイヤーが自由に選べるルートの選択肢だとか

、広がりみたいなものは消したくない。その矛盾した命題をどう解決しようかと考えましたね。逆にいえば、そこが作り手の腕の見せどころなわけですが(笑)。

――オートマップ方式にしなかったのも、こだわりなんですね。

宮崎 マップは自分で見つけ出して覚えてほしいと思いました。最初はわからない場所でも、あとあと勝手知ったる場所になっていく。その感覚がやっぱり貴重だと。

梶井 ハードが違うので、別物なんですけれど、昔のゲームの感覚なんですよね。昔のゲームって、マップにしても自分なりに苦労してると、いつのまにかその場所が馴染みの場所になってきますよね。ダンジョンを何度も何度も潜っていると、あ、ここはこうで、と覚えていくわけですよ。その感覚が、達成感だと思います。

――そのほかにこだわったところはどこでしょう?

宮崎 難度が高くて、けっきょくよく倒されるゲームなので、できるだけ倒される要因がゲームの所為にならないようにしています。倒されるなら、プレイヤーの所為で倒れてほしいと。そうでないと、成長したいとか、考えることをプレイヤーはしなくなってしまう。ゲームやシステムの所為で死ぬと、理不尽ですよね。また、確率的に勝つみたいなこともよくない。「何度もやってれば勝てるよ」みたいなことにはならないようにしています。「倒れたのはあなたの所為ですよ」ということをゲームとして突きつけないと、操作が難しいだとか、理不尽だから倒されたとか、あるいは100分の1のクリティカルが出て倒されたとかっていうのはちょっと違うかなと。そのへんに気を遣っています。倒されても心が折れずに何度もやってもらうための工夫ですけれど、これは必須な部分でしたね。倒れたときにへんなストレスにならないようにしていて、じつはモーションのキャンセルを効きやすくしています。ほとんどのモーションがローリングでキャンセルできるんですよ。

――敵にも必ず弱点があって、そこを突くと倒せるようとか……?

宮崎 そうですね。よく考えていただけたら勝てるようにしてあります。ローリング回避が不可能な沼で大腐敗人が3体いたとしても、うまく陸地におびき寄せれば意外と楽に勝てたりしますから。そういういろいろな攻略法を捜してください、と。工夫して発見して勝つということを、ひとつずつやってほしい。あんまり押しつけになってもしかたがないと思うので、ゲーム中では何の説明もしていませんけれど、それを自力で解いてもらうことが、このゲームのコンセプトなんです。

――いま「心が折れそうだ」と思っているユーザーに対してひと言お願いします。

宮崎 実際に難しいゲームだとは思います。でも、アクションゲームが苦手な僕でもクリアーできるように作っているので、考えてプレイして抜けていってほしいですね。心が折れるぐらいのほうが、達成感もありますから、ぜひチャレンジしていただきたい。そのさきにはけっこうなものが待っていると思います。ひとつヒントを言うなら、盾が強いぞ、ということですね。

――まず受けてから攻撃するのが基本ですよね。僕もあとでわかったんですけれど(笑)。

宮崎 僕の中では、デモンズ=盾ゲー、ですから(笑)。盾で受ければたいていのことは解決すると。1対1に持ち込んで、盾をかまえていれば大丈夫です。また、どうしても敵を倒せないときは、飛び道具を使えと(笑)。実際に盾が重要なのは確かです。き

ついなと思ったら、基本に戻ってみてほしいですね。あとは、アクションゲームが得意じゃない人でもできるように作っているので、ぜひ、心折れずにチャレンジしてほしいと思います。ゲームを上手くなれということではなく、「どうやったら進めるんだろう」と工夫をしてください。それが我々の目指しているゲームですし、そのさきに待っている達成感というところを提供したいので、そこを味わってほしいんです。

梶井 短気を起こしたらだめなんですよ。めんどくさいから適当に突っ込んじゃうと、やられちゃいますから。

宮崎 あるいは金属鎧を着るのをやめて、盗賊の指輪をつけて後ろ忍び寄ってみるとか。敵の黒いファントムがいるとして、あれにばれなくなる指輪とかもありますし。いろいろな抜け道が用意されているので、チャレンジしてもらいたいなと。難度的にハマるみたいなことはないはずなので。

梶井 道は必ず拓く、ということですね。

 

●世界設定について

 

――暗くじめじめした世界や、想像していくシナリオなど、ハードな部分も非常に楽しませていただきました。

宮崎 ありがとうございます。完全に僕とスタッフの趣味ですね(笑)。

――たとえば10あるストーリーなら、その3ぐらいしか描いていない印象ですね。

宮崎 そうですね。そこは賛否両論でして。どうやってユーザーに想像してもらうかが勝負。全部語ってもしょうがないと思っているので、うまく情報を渡して、想像力を刺激し、自分の中で世界を作っていってもらいたい。ただし、今回はさすがに情報が少な過ぎたかなという気もしています(笑)。世界設定については、まずは作りたいものを作ろうと決めて、そのなかでソニーさんとすり合わせました。結果的には、好き勝手にやらせていただけましたね。

梶井 僕も非常に好きな世界観だったので。最初に宮崎さんとお話したときに、好きな映画の雰囲気とかが合っちゃっていて。これはもうおまかせしたほうがいいと(笑)。たぶん、僕が『デモンズソウル』のいちばん最初のファンですから。途中からはもう「早くやりたいっすね〜」ばっかり言っていました(笑)。

――プロデューサーさんがファンというのは心強いですね。

梶井 やはりファミリーコンピュータが、僕の原点でありゲームなんですね。好きな映画もダーク系のファンタジーが好きで。僕の趣味に、宮崎さんの趣向も入って。さすがに行き過ぎかなとも思ったのですが、そこらへんはおまかせして。唯一、ヒロインを入れてほしいとだけ注文しました。

――それが、黒衣の火防女ですね。最初は登場する予定ではなかったんですか?

宮崎 最初の想定ではなかったです。でも、いたほうがいいのではという話になりまして。

梶井 なかなかデサインを見せてくれなかったんですよ。いまからだと入れ込むのが難しいというタイミングで、ようやく見せてもらえたんですが……「あれ? 目がない」って(笑)。

宮崎 確信犯的で申しわけありません(笑)。でも、それもプレイヤーに想像させる部分なのかなと。「なんで?」という(笑)。

梶井 世界設定には合っていたのでオーケーですけれど。初めは、「え?」って思いましたよね。

宮崎 僕以外全員そうでしたよ。デザイナーからも「これは大丈夫なんですかね?」と言われていましたからね(笑)。

――開発的に苦労したり、思い入れのあるキャラクターはいますか?

宮崎 思い入れがあるのは黒ファントムを召喚するボスの黄衣の翁です。システム的にも”ネットワーク接続でほかのプレイヤーを召喚して敵として戦わせる”という特殊なことをしていますから。あいつの所為でバグがいっぱい出ましたし。デバックスタッフには、やめてくれと言われました(笑)。それでも、『デモンズソウル』らしいボスとして、かなり思い入れがありますね。

――あれはネットワークにつながないで、ひとりでプレイするとどうなるのでしょう?

宮崎 専用のNPCが出てきます。けれどそこはネットワークにつないでやってほしいところですね。

――ネットワークだと黒ファントムとしてプレイヤーが召喚されるわけですよね。

宮崎 はい。いろいろ苦労はありましたけれど、入れられてよかったと思います。あれはボスとして突然呼ばれたときのドキドキ感が別格で、最初何が起こったかわからない。突然、見知らぬところに召喚されて、しかも頭に変なものを被せられてますしね(笑)。

梶井 あれは、じつは青ファントムとしてサインを出していると召喚される仕組みなんですよ。その中から強制的に選択されるんです。だからふつうにプレイヤーに協力しようとして青いサインを出していても、急に黒ファントムして召喚されて、「何が起きたんだ」ってなるわけです。かなりユーザーの方からは好評ですね。風体も変わっていますし。

宮崎 あの被る物も僕がデザインしていたりしますし。

梶井 そうなんですか?(笑)

宮崎 僕が書いたんですよ。こんな感じだよって。

梶井 あれは被ると視界が悪くなって、戦力が低下するんですよね。あれを手に入れて被ってると見た目はおもしろいんですけどね。

宮崎 ボスに呼ばれたときに勝つと入手できる物なんですよ。だから被っている人は誰かを倒しているんです。召喚されて勝ったら、「おまえはよくやった。これでおまえも黄衣の一族だ」とご褒美にもらえるんですよ(笑)。

梶井 裸にあれを被ってというスタイルが一時流行ってました(笑)。世界観というか、王道ファンタジーと言いつつも、どこかが変な世界なんですよね。敵もほとんどオリジナルですしね。

宮崎 謎な部分がほしかったんですよね。裏では世界設定も全部構築しているんですよ。種族がどうだとか、ここはこうだからこうなっているんだという感じで。でもルールが全部見えてる世界はつまらないので、あえて理解不能な感じがある世界にした

んです。それはコンセプトと言ったら大袈裟ですけどね。

――頭に被る物のもちゃんとした理由があるということですね?

宮崎 そうです。黒ファントムを召喚するのも、必然性があるんだけれど、全部説明してもしかたがない。そこはある程度想像にまかせて、想像してほしいんですよ。それに勝るものはなく、その方が魅力的だと思っているんです。

――それ以外の敵で、想い出深いものはありますか?

宮崎 ボーレタリア王城の最後の敵ですね。いちばんバランス調整に苦労しました(笑)。最初、ほかに比べて、アクション性がとても高くなってしまっていて、突出して強くなってしまったんです。それを抑えて、最後のボスらしさを出す、現在のものになるまでけっこう苦労した覚えがあります。最初のファランクスも苦労しました。こちらは、最初なのでゲームの世界が構築できるまえだったので。また、塔の騎士などは、作り手としては、おもしろくできたのではないかと思います。あれは、開発で手のかからなかった子なんですね。でもやっぱり苦労したという意味では、召喚する黒ファントムがいちばん苦労しましたね。思い入れもいちばんあります。

 


okina

黄衣の翁。ネットワークプレイだと、プレイヤーを黒ファントムとして召喚する。それがこのゲームならではの要素となっている。このイラスト下に広がる黄色の布が"大きな帽子"になる。その大きさは? プレイして確かめてみよう。

 

kokui

ヒロイン扱いであとで加わったというミステリアスなキャラクターの黒衣の火防女。「目は、ユーザーのキャラクターの好みを限定してしまう要素にもなりがちなので、このデザインで、逆によかった」と梶井プロデューサーは語っている。

 


kishi

「おもしろく作れた」と宮崎ディレクターが語る塔の騎士。最初のころは足を攻撃して倒してから攻撃するという攻略方法は設定されておらず、足そのものが弱点だった。それでは、さすがに単純すぎると、現在の形に収まったという。

 

●特徴あるオンラインプレイ

 

――オンラインプレイの距離感が斬新ですね。最初から協力プレイで進めるわけではなかったり、チャットでのコミュニケーションもなくて、一方的ですが、そのあっさり感がいいというか……。

宮崎 『デモンズソウル』では新しいネットワークの使いかたをしましょう、というコンセプトがありまして。僕も梶井さんも、現在よく見られるネットワークゲームの濃密なコミュニケーションが少し苦手な部分があったんですよ。かなり本気でやる気がないと、つらいじゃないですか。でも一方で、ネットワークっておもしろいツールだというイメージもあって。もっとゲームをおもしろくできるはずなんだけども、コミュニケーションの負荷から二の足を踏む原因となっているところもある。そこを取っ払ってみたいと考えました。そういうことでいろいろ試して、ほかのプレイヤーの幻影が見えるようにしたり、チャットの機能をなくして、召喚する仕様にしたり。ネットワークでゲームをすることに対しての心理的負荷を取り除いて、ふつうにゲーム遊べたら、もっとネットワークを楽しめるのではないかと考えた結果なんです。シングルプレイを気楽に遊ぶ感覚で、そのままのテンションでプレイできるということを意識しました。その部分に関してはまだ、やり残したこともあるのですが、まずは、受け入れていただけたというか、提示できたかなと思います。

梶井 ふつうのMMOとかなら、最初からあそこに数人集まるっていうのが当たり前なんですね。最初から会えて当たり前で、「それじゃあ何をしましょう」と決める。ゲームだけではなくて、チャットなどのゲーム以外の部分で気を遣いますよね。それで、ずっ

とプレイしている人より、遅れていると、入りずらくなっちゃうとか。『デモンズソウル』では、それを違う方法でクリアーできたと思います。『デモンズソウル』の場合は、召喚されたり、したりして、黒ファントムが入ってきてドキドキしたりと、わりと気軽にプレイできるんです。わずらわしさのない、楽しい部分を残せました。

――直接会話ではなくメッセージを残しておくという発想もおもしろく、実際にうまく活用されていて、攻略のヒントになったりしていますよね。

宮崎 携帯のメールと携帯電話の差だと僕は思っています。電話だと負荷が高いじゃないですか? だから、みんなメールを使いますよね。いまのネットゲームは、電話しかないのか、と。だからメールがあってもいいのはないか、と。そういう形のものを提示していきたかったんです。ネットワークというおもしろいツールがあるんですけれど、いわゆるMOとかMMO以外の使いかたが模索されていないのが疑問だったんですね。そこを今回やらせていただきました。

――PK(別のプレイヤーが操作するキャラクターを攻撃して殺してしまうこと)ができるのはコンシューマーゲームでは珍しいと思うのですが、反対意見はありましたか?

梶井 反対というか、かなり気を遣って入れました。

宮崎 人によってはストレスを感じるでしょうし、まだここは改善の余地は残っているのかなと思いますね。ただ僕のイメージではPKではなくて、強い敵キャラクターをたまたま人が操っているんですね。そういうイメージに最終的に落とし込みたいんです。黒ファントムが侵入しましたということが、ネットワークのメッセージで出なければ、ただ単にシングルプレイで強い敵が出たということとたいして変わらないんはずですよね。しゃべりもないですし、相手が賢いAIを積んでいるのかもしれない。そういう風にしたいんですよ。対人プレイではなくて、世界の中で強い敵ということをお互いに演じ合うような。片方は獲物を演じているわけですけれど。そういうことができたらいいなと考えています。その部分のひとつのわかりやすい例として入れておきたかったのが、黒ファントムを召喚するボスなんです。ほかは、まだ今回、初めての試みなので、そこまでできていないところがあるのですが、お互いがお互いに敵であることをロールプレイするという形にしたいんです。なのでPKがしたかったということではないんですよ。

梶井 マンネリ化を防いだり、モチベーションを維持するための外部刺激としてのネットワーク利用ですね。まあ、結果的にはPKになっていますけれど(笑)。

宮崎 刺激って使いかたもそうですし、ほかにも共有感っていう部分など、いくつかのコンセプトをもとに使っています。

梶井 最初は幻影が見えただけでも新鮮だったんですよね。

宮崎 そうですね。ただネットワークに関しては、開発中に我々が実感できなかった部分がありまして。わからなかったんですね。机上の空論だったんですよ。おもしろいはずだとは思ってはいても、実際多人数がプレイしているわけでもないですし、みんなデバックプレイしていることもわかっていたので。敵とか入ってきても倒していいんだかどうなんだかわからん、みたいな(笑)。

梶井 倒したら、「デバック作業の邪魔になるのでやめてください」と言われたり(笑)。「それは、すいません」と。

宮崎 そういう意味では、『デモンズソウル』のネットワークシステムの本当の形を最初に体験したのは、ユーザーのみなさんなんです。それは、僕らもうらやましかった部分ですよ。「どうなるんだろう」という部分が僕らも知りたかった。幻影が見えても「ふ〜ん」だけだったらどうしようかと(笑)。実際、好評で安心しました。

――ネットワークを使うとゲームが変わりますね。

宮崎 そうですね。オンラインを前提に難易度を作ってる部分はありますし、オンラインのシステムを活かせるようにしてありますから。敵とか罠は固定ですし、そうでないとメッセージや血痕の意味がなくなってしまいますし。そのために作ったシステムでもありますから。だからぜひオンラインにつないでシングルプレイをしていただきたいなと。

――今後、ダウンロードコンテンツなどの追加の予定などはありますか? 

梶井 ユーザーさんが長くプレイしてくれているようなので、なるべくその気持ちに応えられるように善処したいと思っています。

 

●『デモンズソウル』の可能性について

 

――今回入り切らなかった要素とかはありますか?

宮崎 複雑なトラップギミックとか、イベントとか、時間の概念とか、いくつかはあります。

梶井 『デモンズソウル』の場合は手探りの部分が多かったですからね。それよりも何よりも、今回はこれでいきましょうと、まずは満足した内容でした。

梶井 ユーザーの反応も含めてどうなんだろうという思いがあって。難度もそうですし、これはどこまで受け入れられるのか、そういった部分に本当に手探りなところが多かったんです。『デモンズソウル』にここまで反応していただけたので、今後にも

活かせるかなと思っています。

――では、スバリ、次回作の予定はいかがでしょうか?

梶井 ええっと(笑)。ただ今回フロムさんと仕事をして、よい仕事ができたと思いますので、個人的にですけど、何かしらやりたい気持ちはかなり高いですよ。

宮崎 開発としてはもちろんやりたいです。今回の結果を踏まえ、ある程度の方向性は見えたので、『デモンズソウル』の純正な続編かどうかはわかりませんが、今回のノウハウを活かしたことをぜひやりたいと思っています。

――最後に、せっかく、おふたりがいらっしゃるので、オマケでお聞きたいと思います。“月明かりの大剣”という強力な武器がありますが、あれから光波が撃てると噂があるのですが……?

宮崎 撃てないですよ。もともとシステムとして入れてませんからね。

――ネットではまことしやかに噂されていますが……。

宮崎 うーん……。撃てないと思いますけどねえ(笑)。

 

DScover

Demon's Souls

独占公式 パーフェクトガイド

2009年4月2日発売 1600円[税別]

192ページ A5判

発売/(株)エンタープレイン

 

1600種類を超える全武器データを筆頭に、防具、アイテム、エリアマップなど、各種データを完全網羅!! 濃霧の向こうの隠された真実(データ)をすべてを暴き出す、ファン垂涎の1冊がついに登場だ。  


 

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