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『ブレイブルー』開発のキーマンを直撃

2009/3/14

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●まだ見ぬ家庭用新要素も!?

 

 ついに家庭用移植が決定したアーケードの人気対戦格闘ゲーム『ブレイブルー』。週刊ファミ通3月20日・27日合併号(2009年3月6日発売)では、移植の発表とともにゼネラルディレクター:森利道氏とディレクター:山中丈嗣氏のインタビューを掲載した。今回は、誌面では掲載しきれなかった部分を含めた、インタビューの全文を公開。 

 

森利道(写真左)
『ギルティギア ゼクス』にデザイナーとして参加。以降シリーズの制作に携わる。本作の総監督。

山中丈嗣(写真右)
ディレクターとして『ブレイブルー』のコンシューマー版の開発を統括。代表作『ギルティギア2』など。

 

――おふたりのプロフィールをお聞かせください。

 

山中丈嗣(以下、山中) 私は、『ギルティギア2』の制作進行を担当していました。それがひと段落したところで家庭用『ブレイブルー』の制作に参加しました。

森利道(以下、) 僕はおもに『ギルティギア』シリーズの制作に携わっていました。そのあと、アーケード版の『ブレイブルー』に参加しました。対戦格闘ゲームばかり10年くらい関わっています(笑)。

 

――『ギルティギア』シリーズはもう10年も経つんですね。

 

 そうですね。僕はこの2009年で36歳なのですが、『ギルティギアゼクス』を作っているときは23歳でしたからね。「2000年問題でデータが消えてしまったらどうしよう」と、騒いでいた当時が懐かしいですよ(笑)。

 

――『ブレイブルー』は、『ギルティギア』シリーズとはまったく別シリーズということで、プレッシャーもあったのでは?

 

 ないと言ったら嘘になりますよね。とくにゲームシステムを『ギルティギア』シリーズから一新しているので、それが「世の中に浸透してくれるのかな?」という不安はありました。

 

――なるほど。では山中さんは?

 

山中 そうですね。今後『ギルティギア』と並んで弊社の看板タイトルになる作品ですから、そういう意味ではプレッシャーを感じながら開発をしています。プレイステーション3とXbox 360の2機種同時発売ということで、納期というプレッシャーもあります(笑)。

 

――森さんはアーケード版の開発にも関わっていた『ブレイブルー』の特徴と『ギルティギア』シリーズの違いをお聞かせください。

 

 『ブレイブルー』は、「既存の2D対戦格闘ゲームのお約束を壊したい」と、考えながら作りましたね。たとえば、たいていの2D対戦格闘ゲームでは、キャラクターをダウンさせたところに攻撃を当てられないというお約束があるじゃないですか。あれはおかしいと思いませんか? だから『ブレイブルー』では、ダウンから相手が起き上がるまで、無尽蔵に攻撃を当てられるようになっています。

 

――寝てる奴が悪いと(笑)。

 

 はい。とは言ってもあくまで対戦格闘ゲームなので、ゲームバランスが壊れない範囲で極力自由度を上げていこうと考えました。でもゲームシステムを全部変えてしまうと、プレイヤーがついてこれなくなってしまうと思いますので、そのへんを抑えつつ、新しい2D対戦格闘ゲームのスタイルを確立できるように努力いたしました。

 

――自由度を上げることと、ゲームバランスの両立は難しかったのでは?

 

 そうですね。『ギルティギア』シリーズのゲームシステムを踏襲しているとはいえ、さきほども言ったように、2D対戦格闘ゲームのお約束を壊したいと思って作っていましたから、もう最初はメチャメチャでしたよ(笑)。

 

――ゲームシステムの話題が出たので、本作の特徴であるD(ドライブ)ボタンについてお聞かせいただけないでしょうか?

 

 僕らはキャラクターの個性を大切にしています。ですので、まずキャラクターを動かしたときに、すぐにプレイヤーがそのキャラクターの個性を理解できるようにしたい。という思いがありました。「え? このキャラクターはどうやって遊ぶの?」となることがイヤだったんです。でも『ブレイブルー』では、ドライブボタンを押すと、各キャラクターそれぞれの特徴的な攻撃が出せます。それを見た瞬間に、そのキャラクターの特徴がつかめるようになっていると思いますよ。それに、ライトユーザーにも楽しんでもらいたいので、ドライブボタンを押して出せる技は“簡易必殺技”みたいな意味合いもあります。ボタンひとつでド派手で強力な必殺技が出せるというわけですね。ゲームスピードが速くて操作も難しいという、高くなってしまった2D対戦格闘ゲームの敷居を少しでも下げられたらな、と。もちろん、キャラクターによってはマニア向けの特殊な技も用意してありますよ。

 

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――アーケード版の開発当初からすでに家庭用への移植は考えられていたのですか?

 

 もちろん。ただ、正直に言うと頭の中にはありましたが、とりあえずは、アーケード版でできる限りのことをやろうというつもりで全力投球しました。移植を前提に作ると、どうしても抑えてしまう部分がでてきてしまいますよね。そうすると、おもしろくなるはずのものが、つまらなくなってしまう可能性もありますので。

 

――全力投球の一部が、グラフィックに表れたわけですね?

 

 そうですね。もうグラフィックは本当に苦労しましたね。容量もアニメーションの枚数も『ギルティギア』シリーズの1.5倍はありますよ。

 

――それはすごいですね。

 

 アニメーションも多いのですが、キャラクターのリアクションに注目していただきたいですね。『ブレイブルー』ではリアクションパターンを大幅に増やしてありますから。殴られたときや投げられたとき、ダウンしたときなどのリアクションがすべて異なっています。『ブレイブルー』に限らず、アークシステムワークスでは、キャラクターの個性というものを大事にしている。その結果の表れですね。でも、そんなたいへんな作業をスタッフに注文していたら、「なんだこのカット数は、この野郎!」と、スタッフから文句がきました(笑)。

 

――いろいろなリアクションがあれば、見ているだけでも楽しめますよね。

 

 そうなんですよ。コンセプトのひとつに、ただの対戦格闘ゲームではなく、エンターテインメントを作ろうというものがありましたから。ゲームはプレイするだけではなくて見ても楽しめるものじゃないとダメかなと。それ考えると、カプコンさんの『ストリートファイターIV』はすごくよくできているなと感心しましたね。

 

――そうですね。あの作品はキャラクターの表情まで変わりますからね。

 

 あれを見たときは「やりやがったなー」と思いました。ちょっと悔しくなりました(笑)。ゲーム制作は、ライバルがいないとダメだと思うんですよ。あのメーカーがすごいことしたから、僕らも負けていられないなと思うわけです。今回であれば、格闘ゲームの王者であるカプコンさんがあれだけのものを出されたので、僕らも燃えているところです。

 

――家庭用への移植作業はすんなりできたのでしょうか?

 

山中 すんなりとはいきませんでしたね。アーケード版と家庭用ではハードスペックが異なっていますので、アーケード版のデータをそのまま使うことは難しいんです。ただ、森から、見た目や操作感覚が変わることはNGという指示がありまして、そこは絶対に変えないように作っています。アーケード版をやり込んだプレイヤーにも納得してもらえるデキだと思います。

 

――なるほど。では、アニメーションパターンなどはアーケード版と変わっていない?

 

山中 まったく削っていませんね。森に削るなと言われたので(笑)。

 

 アーケード版は、見ても違いがわからないような、背景のすごく小さいものまで高解像度で表現していたんですよ。そういったもののデータを圧縮して容量を抑えた感じですね。そうするとバカみたいに容量が抑えられるんですよ。見た目は変わらないんだから最初からやっとけよと(笑)。

 

――家庭用の新要素であるストーリーモードが、もの凄いボリュームだとお聞きしたのですが?

 

 歴代の格闘ゲームと比べても、これほどのボリュームのストーリーモードは見たことないですね。スタッフからは「力を入れ過ぎだ、この野郎!」って(笑)。

 

――情報量は、テキストタイプのアドベンチャーゲームに匹敵するとか?

 

 はい。ふつうにプレイするだけでも、30時間以上はかかります。

 

――え? 30時間!? それはすごいですね。ちなみに、1キャラクターあたりのプレイ時間はどのくらいですか?

 

 ふつうに1時間半から2時間くらいかかると思います。

 

山中 ストーリー分岐がありますから、すべてクリアーするためにはもっとかかりますね。

 

――そのストーリー分岐ですが、戦闘結果によって物語が分かれていく形なのでしょうか? それとも選択肢によって?

 

山中 戦闘結果によって分かれる分岐もありますが、アドベンチャーゲームみたいに、選択肢による分岐のほうが多いですね。

 

 ストーリーモードを楽しむ方は、ライトユーザーが多いと思うんです。だから、選択肢によって戦闘形式が変わるのはかまわないのですけれど、「物語に大きく関わる分岐点での戦闘結果による分岐は極力止めてくれ」と山中にお願いをしました。アクションが苦手だけど物語を楽しみたい、キャラクターを楽しみたい、という人たちが最後まで遊べるように配慮しました。

 

――いま話題に挙がった戦闘形式とは?

 

山中 なんらかの“制約を受けながら戦う”場合があるということです。たとえば、体力が少ない状態で戦うだとか、カルルなら人形が使えない状態で戦うというものまであります。ほかには、“キャラクターの真の力”が発揮できるステージなんてものもあります。

 

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――それはキャラクターがパワーアップするというイメージでしょうか?

 

山中 そうですね。アーケード版では3キャラクターしか使えなかった必殺技“アストラルヒート”が使えるようになります。

 

――アーケード版ではボスとして登場するラグナ、ニュー、レイチェルしか使えませんでした。

 

山中 はい。今回は、全キャラクターがアストラルヒートを使えるようになっています。

 

 家庭用ではストーリーモードで全キャラクターがボスとして登場する可能性がありますので、全キャラクターに入れた、ということです。

 

――誰のアストラルヒートが注目ですか?

 

 ジンのアストラルヒートが必見ですね。

 

山中 個人的にはタオカカだと思いますよ。いや、テイガーもヤバイですね。

 

 たしかにテイガーはすごいね。演出が過剰でしょ(笑)。

 

――それは楽しみですね。では、ほかにストーリーモードの特徴はありますか?

 

 出演声優が超豪華。キャラクターのセリフはフルボイスになっています。

 

山中 セリフ量も大ボリュームですね。通常、声優さんが1日で収録するセリフ量は300ワードくらいだと言われているのですが、本作の収録では500〜700ワード分くらいセリフを録りました。プレイヤーキャラクターのひとり、シシガミ・バングはとくにすごい量になりましたね。

 

 ある声優さんには、「3日か4日に分ける量ですよね」と突っ込まれました(笑)。『ブレイブルー』という作品は格闘ゲームですが、僕はあくまで娯楽だと思っています。ですからファンのみなさんには、格闘ゲームとしてだけではなく、いろいろな形で楽しんでいただきたいと思っています。

 

――少し話が戻ってしまいますが、さきほどアクションが苦手な人も遊べるように配慮したとおっしゃっていましたが、ストーリー分岐のほかに何か工夫した点はありますか?

 

 必殺技の簡易コマンドを用意しました。

 

山中 アナログスティックを倒すだけで、設定してある必殺技を出すことができます。アクションが苦手な人はこれを使って最後まで遊んでほしいですね。

 

 いままで格闘ゲームだから買わなかったという人にもプレイしてほしいですね。本当にストーリーモードはオススメです。あとひとつ言わせてもらうと、できればアーケード版をプレイしてから家庭用を遊んでいただきたいですね。

 

――それはなぜ?

 

 『ブレイブルー』のストーリーには、非常に多くの謎が隠されています。ですからアーケード版をプレイして謎に対する疑問を持っていただいてから、家庭用を遊んでもらうとより楽しめるのかなと思います。

 

――ある意味アーケード版は家庭用への壮大な複線だったわけですか?(笑)

 

 (笑)。そういうわけではないのですが、家庭用ではアーケード版を踏まえつつストーリーが進みます。

 

――アーケード版の謎が家庭用で明らかになると?

 

 はい。いろいろな制約によりアーケード版では語れなかった部分も含めて、謎が明らかになります。すべてではありませんけれど。

 

――ストーリーの分岐によってエンディングが変化するそうですが、何パターンくらいあるのでしょうか?

 

山中 通常のエンディング、いわゆるトゥルーエンドと呼ばれる真のエンディングなど、キャラクターごとに最低3パターンは用意してあります。合計では40以上になりますね。ぜひ、全キャラクターのストーリーモードをクリアーしてほしいですね。

 

 オープニングも注目ですよ。アニメ制作会社のGONZOさんに手掛けていただいたアニメムービーが収録されています。

 

山中 まだ具体的な内容は公表できませんが、アニメムービーに合わせた主題歌も予定していますよ。それだけではなく、1回聞いたら忘れられないような劇中歌も入る予定です(笑)。非常に人気のある2キャラクターにはテーマソングを特別につけてみようかなと。

 

 『ギルティギア』シリーズのときは、対戦格闘ゲームとしての進化を第一に考えていたのですが、『ブレイブルー』ではキャラクターコンテンツとしてもかなり力を入れていますので、期待してほしいですね。

 

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――WEBラジオもやられるんですね。

 

 2009年4月から発売まで続けていく予定です。番組では、ゲストとして声優さんをお招きする予定です。

 

――ネットワーク機能にも対応していますね。

 

山中 はい。ネットワーク対戦については、『バトルファンタジア』でのノウハウがあったので、問題なく動いてますよ。ネットワーク環境にもよりますが、国内であればストレスなく対戦を楽しめると思います。これは、森から移植を頼まれたきの条件でしたからね。

 

 初心者向けにボリューミーなストーリーモードを用意しつつ、上級者用にアーケード版と同じ感覚で、ストレスなくネットワーク対戦ができる環境を作りたいと。

 

 僕としては対戦格闘ゲームファンを増やしたいんです。簡易コマンドでストーリーモードを遊んでもらって、「あ、私でもできるかも」と思ってもらえたら、ぜひネット対戦に挑戦してもらいたいですね。それをきっかけに、対戦のおもしろさを感じてもらえたらいいですね。ネットワーク対戦なら、いきなり上級者とマッチングしてボコボコにされるということも少ないと思いますし。最初は初心者どうしで対戦してもらって少しずつステップアップしていってもらいたいですね。

 

――同じくらいのレベルのプレイヤーどうしがマッチングされる機能があるのでしょうか?

 

山中 当然あります。対戦に勝つと増えるポイントがあって、このポイントが同じくらいの人とマッチングされるようになっています。ちなみに、ポイントはプレイヤーのモチベーションを保つということを考え、基本的には減りません。現状では勝つと増える仕組みになっています。

 

――ネットワーク対戦の待ち受けについてお聞きしたいのですが、アーケードモードなどのひとり用をプレイしながら、相手の挑戦を待ち受けるような機能はあるのでしょうか?

 

山中 残念ながら、今回は搭載されていません。従来どおりのロビーで待ち受けるタイプになる予定です。ただ、ボイスチャットの有無など、対戦相手の検索機能はかなり細かく設定できるようになっていますよ。

 

――なるほど。自分の希望にあった対戦相手を捜しやすくなっているわけですね。ちなみに、ほかのプレイヤーのネットワーク対戦の模様を観戦できるような機能はありますか?

 

 ガンバッています(笑)。ほんとうにがんばっています。

 

山中 お楽しみに。ということですね(笑)。

 

――では、ダウンロードコンテンツの配信予定はあるのでしょうか?

 

山中 もちろん予定してます。コアなゲーマー向けのモノから、初心者でも楽しめるモノと、いろいろ用意する予定です。楽しみにしてください。

 

――ストーリーの追加などがあるとうれしいですよね?

 

山中 そのあたりは想像にお任せいたします(笑)。

 

――ネットワーク対戦がストレスなくできるようであれば、ネットワークを使った大会があるとプレイヤーも盛り上がるのでは?

 

 ぜひ、やってみたいですね。確実に開催すると明言はできませんけれど、個人的にはやりたいです。

 

――ほかに何か家庭用で追加される要素はありますか?

 

 家庭用オリジナルとして、テイガーとカルルのステージが追加されます。例によってすごく作り込んでありますね。なんでうちのスタッフはあんなに背景を作り込むんですかね。

 

山中 作り込んでくれたおかげで、最初はうまく動作しなかったんですけれど……(笑)。

 

 今回新たに作ったふたつのステージは、とにかく画面に変化が生じるようになっています。

 

――オブジェクトが動くイメージでしょうか?

 

 そうですね。時間の経過で変化する感じですね。実際には見てからのお楽しみということで。

 

――追加と言えば、家庭用オリジナルキャラクターが参戦する予定は?

 

 それは続報に期待してください!

 

――では、最後に読者へのメッセージをいただけないでしょうか?

 

山中 僕は、移植という枠にとらわれず、「家庭用が『ブレイブルー』の始まりなんだ」というくらいの勢いで作っています。上級者にはストレスのないネットワーク対戦を、キャラクターファンの方にはストーリーモードを用意いたしました。幅広いファンの方に満足いただける内容になっていると思いますので、ぜひ手にとっていただければと思います。

 

 くり返すようになってしまいますが、『ブレイブルー』はひとつのエンターテインメントとして作っています。これが対戦格闘ゲームやキャラクターコンテンツを好きになっていただくきっかけになればと思います。

 

――ありがとうございました。

 

 

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