HOME> インタビュー> 『ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-』のインタビュー全文掲載!!
●時田貴司氏が語る『ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-』
『ファイナルファンタジーIV』(以下、『FFIV』)がスーパーファミコンで発売されてから、2008年で17年。長い年月を経て、そのアフターストーリーが携帯電話で描かれることとなったぞ! 『ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-』は、携帯電話でプレイするRPGで、主人公は『FFIV』の主人公セシルとローザのあいだに生まれた第一子、セオドア。毎月ストーリーが配信され、各ストーリーでは『FFIV』に登場したキャラクターたちの、その後の物語が描かれていくのだ。また、序章は無料で配信されるので、気軽にダウンロードして楽しむことができるぞ(序章以降は有料配信)。
週刊ファミ通2008年1月4日号(2007年12月21日発売)では、同作のエグゼクティブプロデューサーを務める時田貴司氏へインタビューを敢行。今回は、誌面に掲載しきれなかった内容も含めて、そのインタビューの全内容をお届けするぞ。
エグゼクティブプロデューサー |
『半熟英雄』シリーズや『ライブ・ア・ライブ』など、数々の作品に携わる。2007年12月20日に発売されたニンテンドーDS版『FFIV』のエグゼクティブプロデューサーも務めているのだ。 |
すべてのドラマを描きたい |
――『FFIV』の続編をケータイで出すことになった、きっかけというのは?
時田貴司(以下、時田) 構想が昔からあったわけではないんです。妄想はしていましたけれどね(笑)。『FFIV』のニンテンドーDS版を作っているときに、アフターストーリーをやってみないか、という話とケータイで何かをやらないか、という話があったんです。『FFIV』のキャラクターは僕も非常に愛着がありましたし、リメイクの作業中ということもあって、僕の中でも旬だった。タイミング的にもニンテンドーDS版が発売されたあとですしね。そこでニンテンドーDS版を遊んだユーザーさんが、すぐに遊んでもらえるプラットフォームが何かを考えたんです。それでケータイならダウンロードしてすぐ遊べるので、続けて遊んでもらえるんじゃないだろうか、と考えました。
――なぜ、セシルとローザの息子であるセオドアを主人公とした物語にしようと?
時田 ふつうの続編だと、またセシルを主人公にすると思います。ただ、オリジナルの発売から年月も流れていますし、オリジナルを遊んだ世代の人たちがいま親になっている、ということも考えて、セシルやローザの息子のセオドアという、オリジナルキャラクターを主人公にしました。
――では、セオドアを通して、その親であるセシルとローザの物語も楽しめると?
時田 セシルとローザどころじゃないです。すべてのドラマを描きたいと考えています。今回はセオドアを新しい主人公にして、彼の目を通して、その後、各キャラクターたちがどういう風に生きてきたのか、そして何かが起こったときに、どういう風に対処していくのか、みたいなことが綴れるとおもしろいかな、と思っています。
ド直球勝負 |
――ケータイならではの見どころというのは?
時田 たとえば、携帯電話で50時間のRPGを一気に遊ぶのって正直ツラいじゃないですか(笑)。だから短いけれども、飽きない配信のしかたを考えています。マンガの単行本のような。コミックスをどこから読んでも成立する構成を考えています。
――サブタイトルの『月の帰還』という言葉が非常に気になるところですが。
時田 『FFIV』の物語から直結する内容で、どう展開されたら「おお!」と思うだろうか、と考えてつけました。直球、ド直球勝負のタイトルですね。
――ニンテンドーDS版をプレイしたあとは、こっちを遊んでくれよ、と。
時田 そうですね。まさに僕自身もその熱のまま、このタイトルの開発に入りましたから。もうちょっと期間を空けておけば、もっとゆっくり休めたと思うんですけれども(笑)。でも、ホントにアツい熱を維持したまま作っているので、僕自身もいま非常に楽しみながら制作しています。
テンポのよさと緊張感 |
――戦闘はアクティブタイムバトルに?
時田 アクティブタイムバトル(※1)のいいところは、非常にテンポのいいところ。そこがケータイにも非常にマッチしていると思うので、アクティブタイムバトルを採用しました。
※1:つねに時間が進む中で攻防をくり広げるバトルシステム。『FFIV』では、バトルスピードを数段階で設定することができた。 |
――久々に『IV』のゲームボーイアドバンス版を遊んだんですけれど、思っていた以上に戦闘をせかせかやらなくちゃいけなくて、意外とテンポが早いんですよね。
時田 そうですね。いまはわりとユーザーフレンドリーというか、バランスが緩めなゲームが多いですけれど、『IV』はバトルスピードを1個上げるだけで格段にテンポが変わるんですよね。それと同時にアクションに近いイメージがあったと思います。そういうテンポのよさと緊張感というのが、いまの時代も大事……、いまだからこそ大事なんじゃないかな。とくに携帯電話用のソフトで、テンポ感はあってもヌルいゲームだからおもしろくない、となってしまうのは嫌だな、と思いました。そのへんは原点に戻りつつ、大事にしていきたいですね。
――何か新要素というのはありますか?
時田 アクティブタイムバトルを活かしたうえで、いろんなキャラクターを使って戦う楽しみを与えるものがひとつ。あとはケータイならではの、遊ぶたびに状況が変わるようなシステムを考えています。シナリオや世界観にリンクするようなシステムですね。これ以上は続報で(笑)。
――なるほど。『FF』ファンですと音楽も気になるところだと思いますが、今回の音楽は新録だったりするのでしょうか?
時田 全曲というのはさすがに難しいんですけれども、『FFIV』は音楽の人気も高いので、従来あったものを携帯電話向けにアレンジしたものと、いくつか新しいものを入れる予定です。また『FFIV』では、音楽の使いどころを非常に工夫しているんです。ですから、今回も定番の曲の流しどころを工夫して、その世界に浸れるようにできれば、と思っています。
――キャラクターイラストの雰囲気にグッときたんですが、どなたが描かれたのですか?
時田 ニンテンドーDS版の『FFIV』で、デザインをしてもらったオグロアキラです。『半熟英雄』シリーズ以来、ずっといっしょに仕事をしているデザイナーです。イメージイラストは、天野(喜孝)さんに描いていただきました。天野さんは『FFIV』のキャラクターに、すごく感情移入してくださっていると感じます。とくにセオドアは、自分の描いたキャラクターに子供が生まれたということで、気合を入れて描かれているな、と絵を見て感じて、すごくうれしかったです。今後、また違う天野さんのイラストをお見せできると思いますよ。
――おお! 気になりますね。
時田 続編の制作って非常に難しいんです。僕たち作るほうもそうですし、ユーザーさんもそうなんでしょうけれど、「どうなっちゃうんだろう」ってワクワクさせて、ハラハラさせて、でも期待をいい意味で裏切れればいいなぁと思います。もちろん期待に応えるところもありますけれど。
――予想を裏切って、期待に応えてもらえれば、何も言うことはないです(笑)。ほかに本作の注目ポイントというのはありますか?
時田 今回の目玉として、ケータイだからこそ、あえて2Dのよさに戻ってみようか、と思いまして。そこで渋谷員子(※2)というドットの匠に、グラフィックをお願いしました。『FF』の新作で、久々に彼女が帰ってきます。”員子
is
Back!!”みたいな(笑)。
※2:『FF』シリーズの2頭身キャラクター(チビキャラ)のデザインを担当したデザイナー。『I』から『VI』までを担当。 |
――(笑)。久々ですよね。2Dの『FF』新作。
時田 3Dにすると、戦闘のときにキャラクターがみんな背中を向いてしまうので、感情移入しづらいと感じたんです。『FF』って自分たちのキャラクターの顔が見えて、やられそうになると、泣きそうな表情になることですごく気持ちが入ると思うんです。ですから、やはり横向きの、こう(手を腰のあたりにかまえて)やっているのが、『FF』のよさかなと。そこに立ち返ってみようと思いました。
――画面を見て懐かしさが込み上げました。『FFIV』のあたりから、2Dのキャラクターの演技がすごくよくなっていきましたよね。
時田 いま思うと、パターンはそんなにないんですけれどね。うつむいているのと、手を上げるのと、あとはプログラムでジャンプしたり、回転したり、その組み合わせだけなんですけれど。僕が『IV』でイベントを作ったときは、かなり細かくやりました。それは想像力のよさもあると思うんですよ。たとえば、うつむいているだけで悲しんでいるようにも見えるし、苦しんでいるようにも見えるし、うなずいているようにも見える。キャラクターの心情や演技というのを、プレイヤーの想像力に委ねている部分があると思うので、そこがいちばん大きいのかなと思います。
――そのへんが今回も。
時田 そうですね。演出的にはオリジナルと同じように、複数のポーズをいろんな感じかたをさせられるようにやっていこうかなと思っています。
――それでは、最後に読者の皆さんにひと言メッセージをお願いします。
時田 まずはニンテンドーDS版『FFIV』をプレイしていただいて。そのノリで、本作を楽しみにしていただければ、僕も休みを取らずがんばって仕事をする甲斐が出ます(笑)。ぜひ、お楽しみに!!
ファイナルファンタジーIV ジ・アフター 月の帰還 | |
発売日 |
iモード:2008年2月配信予定 |
価格 |
価格未定 |
テイスト/ジャンル |
冒険・ファンタジー/RPG |
対応機種 |
iモード:FOMA903iシリーズ以降 |
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