『戦場のヴァルキュリア』の魅力を開発陣が語る!
●『戦場のヴァルキュリア』開発陣のインタビューをお届け!!
セガがプレイステーション3で放つシミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』。同作は『サクラ大戦』シリーズを制作したチームによって手掛けられており、シミュレーションRPGの戦術と、アクションゲームの爽快感を体感できる、新たなシステムが搭載されているのだ。
本誌週刊ファミ通2007年9月14日号(2007年8月31日発売)にて、同作のプロデューサーである野中竜太郎氏と、チーフプロデューサーの西野陽氏にインタビューを敢行。その模様をファミ通.comで映像配信しているが、今回はさらにインタビューの全文を掲載するぞ。
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プロデューサー |
チーフプロデューサー |
ドリームキャスト版の『サクラ大戦』シリーズに携わる。プレイステーション2用アクションゲーム『kunoichi-忍-』では、プロデュースを担当した。 |
『サクラ大戦』シリーズのディレクションを担当。チーフプロデューサーとしては、ニンテンドーDSの『BLEACH DS』などの作品を手掛けているのだ。 |
――まずは、おふたりの簡単なプロフィールと、現在どのような立場で『戦場のヴァルキュリア』を制作されているのかについて教えてください。
西野 陽(以下、西野) いまはチーフプロデューサーという形で、現場を統括する立場です。現場でディレクターをやっていた時代は、『サクラ大戦』シリーズを、『2』、『3』、『4』と制作しました。とくに『3』あたりがもっとも色濃く携わっていたタイトルですね。最近は『BLEACH
DS』や『ドラえもん 緑の巨人伝』など、キャラクター系タイトルのチーフプロデューサーをやっています。もちろん『サクラ』シリーズもまだありますので、そちらのチーフプロデューサーも引き続きやっています。
野中竜太郎(以下、野中) 今回のプロジェクトでは、プロデューサーということで全体の統括というか、クリエイティブ面のチェックや制作面を担当しています。もうひとつは、それをどうやって皆さんのところにお届けしていくか、という部分のマネジメントを行っています。いままで関わったタイトルとしては、ドリームキャスト版の『サクラ大戦』シリーズ、『1』、『2』、『3』と『花組対戦コラムス2』ですね。最近ではプレイステーション2の『kunoichi-忍-』のプロデューサーをしています。
――おふたりとも、シミュレーションゲームもアクションゲームもやられているんですね。
野中 そうですね。
西野 いろんなジャンルをやっていますし、『サクラ3』のときは、今回と同様にコンビを組んでやっていました(笑)。
――『戦場のヴァルキュリア』の制作に至るまでのきっかけというのは?
野中 もともとは、現場のほとばしりというか(笑)、人間ドラマを描くタイトルをやりたいという思いが現場に強くありまして。その中で"戦争"というある種極限状態の場で描く人間ドラマはどうだろう、というものがアイデアとして最初からありました。そのときはハードも決まっていませんし、具体的にどういうゲーム内容なのかも決まっていなくて、とにかくドラマ性の強いタイトルを立ち上げようと。
西野 『サクラ大戦』などにも代表されますけれども、我々のチームにはドラマ性の強いゲームを追及していこうというテーマがあるんですね。今回のタイトルを制作するにあたり、これまでにないようなドラマチックなシーンというのは、どういう場所で生まれるのだろう、ということを模索していました。そのときに野中から「戦場ですよ!」と、「戦場がアツいですよ!」と言われまして(笑)。戦場というのは、ドラマがすごく生まれる場所ですよね。"いつ死ぬかわからない"という状況で生まれる友情や愛は非常に密度が高いものだと思います。それで戦争をテーマにしようということになりました。
――『戦場のヴァルキュリア』というタイトルの意味は?
野中 戦争の濃いドラマを表すための”戦場”という言葉と、ある種のファンタジー感を出すための"ヴァルキュリア"という言葉を使いました。リアルな第二次世界大戦ではなくて、ファンタジー要素のある架空の世界での物語であると、そのことをタイトルに込めているわけですね。
西野 謎の言葉ですよね。「”戦場”はわかるけど、”ヴァルキュリア”って何だ?」みたいな。
野中 ”ヴァルキュリア”が何を示しているのか、というところがポイントです。そのままの意味での”ヴァルキュリア”なのか? 世界の根幹に関わる何かが……。
西野 それはまぁ、いま語らないほうがいいんじゃないですか?(笑)
――もう少しでおもしろい話が聞けそうでしたが(笑)、では本作の世界設定は、どのような形に?
野中 基本的には1930年代〜1940年代のヨーロッパをベースにしています。ただ、ある種の中世的な雰囲気をうまく入れられればな、と考えていますね。ですから、実際の1940年代のヨーロッパとは違うものとなっています。今回の画面写真を見てもらうとわかるかと思うのですが、敵もちょっと中世的な雰囲気になっているんですよ。
西野 槍を持っていたりね。
野中 そう。1930年代当時としての火薬や歯車などのテクノロジーに加えて、中世のファンタジー的な要素を入れることで、おもしろい世界を作れたんじゃないかと思います。
西野 そういった意味では、ヨーロッパの片田舎というか、牧歌的な風景の中で起こっている戦争というものを描いていきたいと思っています。ガチガチの近代戦争というよりは、牧歌的な風景の中で起きる戦争の中にファンタジー要素を入れた、架空世界となっていますね。
野中 最初、『名作劇場』の中に戦車が出てきたらどうだろう、みたいなことを言っていましたよね。
西野 そうだね。羊といっしょに戦車が走っているっていう(笑)。そんな光景が実際にあったかもしれないですからね。そういうところを捉えて、”大きな戦争の中にある、等身大の人々”を描きたいな、という思いが世界設定のもとになっています。
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――本作は、映像が独創的ですよね。CANVASというオリジナルの描画システムを使われているということなんですけれども、これはどのようにして生まれたのでしょうか?
西野 我々の昔からの目標として、ドラマチックなゲームを作るということともうひとつ、2Dと3DCGの融合というものがあります。『サクラ大戦3』で”ネオCGムービー”(※2Dアニメと3DCGを融合させたムービー)というものをやっているのですが、それをさらに一歩進める形として手描き感というか、水彩画の絵がそのままCGとして動くようなものはできないだろうかと考えました。
野中 かなりまえから開発チームの中では、いろいろな映像表現を研究していまして、その成果のひとつが今回のCANVASになりますね。戦争というドラマとして深いものをやるにあたって、映像があまりなじめないようなものにすると、ドラマを観てもらうまえに世界に入り込めないだろうと思ったので、やわらかさとか、温かみだとか、人間のドラマの心にいちばん触れる部分を映像的にも表現したいな、と。そのひとつの形が、手描き水彩画ですね。
――これはプレイステーション3だからできるようになったものなのでしょうか?
西野 そうですね。プレイステーション3じゃないと難しいです。
野中 私も西野もプレイステーション2でソフトを担当していたんですけれども、やはりプレイステーション2のマシンパワーでは難しいですからね。
――実際に開発を進めていて、プレイステーション3というハードの感触はいかがですか?
西野 作れば作るほど、プレイステーション3というハードのすごさと、たいへんさがひしひしと伝わってきます。そういうところも含めてすごいマシンだな、と思います(笑)。
野中 僕らも初めて触るハードですし、プレイステーション2は"何をすればどうなるか"ということがある程度わかっているんですけれども、そういうわけではない手探りの状態なわけです。画面表現の手法自体も初めての挑戦ですし、マシンも初めて触るので、「こうするとこうなるのか!」みたいな新しい発見をしながら開発をしているような状態ですね。
――開発をしながら、発見の楽しみもあるわけですか。
西野 楽しい面もあり……(笑)。やらなきゃいけないことは、とてつもなく増えていますよね。その分いい表現ができるんですけれども、それにはそれだけの努力が必要、というところは間違いないです。
野中 CANVASも、頭の中では「こうすると、こうなるな」という見解があったんですけれども、実際にプレイステーション3で動かしたときに、想像よりも足りていない部分だったりとか、じつはちょっといじるだけで、すごく画面がよくなったりという部分が、やっていく中でわかっていったんです。そういう意味では、プレイステーション3でのゲーム作りというのも日々進化しているところですね。
――そうすると、今回紹介している画面も、発売までにまだ進化する可能性があると。
野中 そうですね。今回の画面も完成度としてはまだまだです。
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――つぎはシステムについて伺えればと思います。今回”BLiTZ”というシステムが搭載されていますが、これはどのようにして生まれたシステムなのでしょうか?
野中 もともと、ドラマを見せたいという思いがあったので、ドラマを見せやすいシミュレーション要素を入れたいなと考えていました。ただ、将棋的な遊びを作るだけだと、ドラマに参加して戦っている感覚が薄いんじゃないかと。そこで、たとえば戦場で一歩進んだときに物陰から敵が出てくる、曲がり角を曲がったら戦車が潜んでいた、というようなドキドキ感をプレイヤーに感じてもらえるように、アクション要素を加味したわけです。
――たしかに戦場の臨場感を感じられますよね。自分がいま操作しているキャラクターを「どうにかしてやらなきゃ!」みたいな気持ちにさせるというか。
西野 この作品は、いわゆる大きな部隊と大きな部隊が戦争でやり合うゲームではないです。大きな戦争の中にある、小さな部隊の物語。実際に戦場に小さい部隊で行くとすごく怖いと思うんですよ。一歩進むだけでもドキドキする。ですから、どうやって進んでいけば、この局面を乗り越えられるんだろう、ということをできるだけ体感してもらえるようなシステムにしようと考えました。単純にシミュレーション的に詰めていくわけでもなければ、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)のように腕に任せていくわけでもない。本当の戦場で腕に任せてひとりで走り抜けて、敵を全員倒すなんてことはできるわけがないですからね(笑)。そのふたつのいいところを合わせ技で使えるシステムはないのかな、と試行錯誤してできたシステムです。
野中 戦争をゲームの中で扱った場合に、歴史的な大局の話を描くという方法もあったと思うんです。でも、僕らがやりたかったのは、小さな戦場でもそこで戦っている人たちがいて、その人たちのドラマがあるんじゃないか、ということだったんですね。戦場で戦っているユニットひとりひとりに、家族がいたり、親友がいたり、愛する人がいたり、ということを描きたかった。これを表現するとなると、実際にその人を動かしてみる、戦場を歩いてみるという要素を、ゲームの中に入れるべきなんじゃないかと。そういう観点からできあがったシステムです。
――画面だけ見ていると、シミュレーションRPG寄りなのか、アクション寄りなのか、どちらなのかと思ってしまうのですが、どちら寄りなんでしょう?
西野 どちら寄りかと聞かれれば、シミュレーションRPGですね。
野中 やはり、シミュレーションRPGというのは、ドラマを描くにはいいゲームであるという部分もありますから。最終的にアクションを駆使して敵の弾を全部避けたほうが勝ち、となるとそれはそれでまた違うゲームになってしまうので(笑)。
西野 それだとスーパーヒーローがひとりいればいいだけのゲームになってしまいますからね。やっぱりさきほど野中が言ったとおり、ひとりの人間を描きたい、というところにおいてはシミュレーションRPGの形式というのは優れていると思うんですよ。1体1体、自分で動かすわけですから。「こいつはこうさせるべき」、「こいつは行かせたいけど、好きなキャラだからやめておこう」みたいな、ユニットに思いを込められるというところで、ベースはシミュレーションRPGにしました。ただ、のんべんだらりとやっていくと戦場の緊張感もないですから、アクション風味を加味して、より緊張感を高め、戦場感を高めているという形ですね。
野中 もちろん、道の真ん中に立っていたら撃たれたり、つぎの障害物に走って、滑り込んで隠れるといったアクション要素も若干あります。ただ、それができないとクリアーできないというゲームではないですし、戦術を練って仲間と連携することで、切り抜けられる局面は多数あります。仲間たちといっしょに戦い、命を預け合って進んでいることをゲームの中で表現できれば、と思いますね。
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――おふたりが『サクラ3』をやられているということで、”ARMSシステム”(行動値を使用して移動や攻撃といった行動を行うシステム)のような雰囲気になるのかな、と思っていたのですけれども、より自由度が高い感じですね。
西野 やはり、シミュレーションというよりも、自分が指揮官として”誰にどんな命令を出すか?”というところを考えてほしかったので。極端な話、ひとりのキャラクターに1回行動させて終わりじゃなくて、「お前がどんどん先に進んで偵察してこいや」ということもできますし、戦車を先行させてそのあとに歩兵をついて行かせるというようなこともできるんです。そういう意味では、自由度というか、部隊全体を動かして戦っていくというようなところをシステム的に追求していますね。
野中 ですから、プレイヤーによってプレイスタイルがけっこう変わってくると思います。多少犠牲が出てもガンガン進んでいく隊長もいれば、自分の部隊の仲間になった以上は、絶対に犠牲を出さないで進む、という隊長もいると思うんですよ。そこはプレイヤー次第だと思いますし、どういう進めかたをするのか、たとえば戦車を盾にして戦うという作戦を使う人もいるでしょうし、いろいろな遊びかたができるようなシステムになったかなと思っています。
西野 シミュレーションRPGというよりは、”ターン制でやるサードパーソンシューター(3人称視点のシューティングゲーム)”というイメージかなと(笑)。
野中 ターン制なので戦術を考えながら、でもアクション要素もありながら進む、というちょっと欲張りなシステムかなと思いますね(笑)。
――さきほど犠牲が出るというお話がありましたが、戦闘中に体力が0になったキャラクターというのは、そこで戦線を離脱してしまうんですか?
野中 ある程度の時間が経過してしまうと、いなくなってしまいます。ただ、制限時間が経過するまえに救護班をそのキャラクターのもとへと向かわせれば、大丈夫です。
――画面の雰囲気に似合わず、けっこうシビアなんですね(笑)。
西野 やはり、戦争の緊張感というのを演出するためには、そういった部分も必要かなと。
――最後に読者の皆さんにひと言ずつメッセージをお願いします。
野中 今回、『戦場のヴァルキュリア』という私たちが作ってきたゲームをお見せすることができて、たいへんうれしく思っています。いろいろな要素がつまった新しいゲームだと思いますが、中心にあるのは人間ドラマで、そこを見ていただければと思います。戦場でのアツい友情だとか、愛情だとかを楽しんでいただければ。よろしくお願いいたします。
西野 『戦場のヴァルキュリア』というタイトルは、いろいろな意味で皆さんに新しい世界をお見せすることができるタイトルだと思っています。画面の表現もそうですし、ゲームシステムもそうですし、くり広げられるドラマがまさに"戦場のドラマ"です。明日また友人に会えるかどうかもわからない、という世界で培われるアツい人間ドラマにご期待していただければと思います。
戦場のヴァルキュリア |
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発売日 |
2008年春発売予定 |
価格 |
価格未定 |
テイスト/ジャンル |
戦争・ドラマ/アクション・シミュレーション |
備考 |
プロデューサー:野中竜太郎、チーフプロデューサー:西野陽 |
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