携帯電話に欠かせない“電波”にまつわる話(1)
無線で通信する携帯電話やモバイルデータ通信を利用する上で、欠かすことができないのが“電波”である。携帯電話キャリアは国から電波利用の免許をもらって事業を展開している訳だが、今回からはこの“電波”について色々と触れてみたい。
日本において現在、携帯電話向けに割り当てられている電波は、800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHz帯と呼ばれる周波数帯のものだ。これに加えて、PHSに使われている1.9GHz帯と、モバイルWiMAXやXGPなどに使われている2.5GHz帯が、現在利用されている主なものといえるだろう。
それらの周波数帯が各社に割り当てられた経緯は、前回まで触れてきたキャリア各社の歴史が大きく影響している。まずはNTTドコモやKDDIが所有する800MHz帯だが、元々携帯電話の前身となる自動車電話が、この帯域を用いて開発されていたことから、携帯電話では広く利用されている帯域だ。日本では電電公社(後のNTT)がこの帯域を用いて世界初の自動車電話サービスを開始。その後同事業に参入したIDOやDDIセルラー、つまり現在のKDDIにも割り当てられている。
続いて割り当てられたのが1.5GHz帯で、これはソフトバンクモバイルの前身となるデジタルホングループ、KDDIに吸収されたツーカー各社、そしてNTTドコモなどに第2世代携帯電話向けとして割り当てられ、1994年から使用されていたもの。ただしこの帯域での第2世代携帯電話サービスは、2010年3月末のソフトバンクモバイルを最後に全て終了。それゆえ現在はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社に、LTEなどの新世代通信用として再分配がなされている。
次に割り当てられたのが、2GHz帯である。これは、現在主力の第3世代携帯電話向けとして割り当てられたもので、日本ではNTTドコモ、KDDI、J-フォン(現在はソフトバンクモバイル)が獲得、2001年から現在に至るまで利用されている。
そして2005年に、やはり第3世代携帯電話向けとして割り当てられたのが1.7GHz帯であり、これはNTTドコモ(東名阪のみ)と、その時携帯電話事業に参入したイー・モバイルに割り当てられている。当初ソフトバンクグループが獲得し、ボーダフォン日本事業買収のため後に返上した帯域も、再分配がなされ現在イー・モバイルに割り当てられている。
こうして見ると、帯域の違いはあれどキャリア各社が、周波数帯の割り当てを次々と増やしてきているのが分かる。最大手のNTTドコモでさえ、新しい周波数帯を次々と獲得している状況なのだ。その主な理由は、かつては携帯電話利用者の急激な増加、最近ではスマートフォンなどの利用によるデータ通信量の急増に対応しながらも、快適な通信を実現するため、より多くの容量確保が必要になっているからである。
そこでいま、新しい電波の割り当てとして注目されているのが、テレビの地上波デジタル放送への移行や、800MHz帯の整理・再編に伴い、新たに空きができる700/900MHzという帯域である。うち900MHz帯は2012年、700MHz帯は2015年から携帯電話向けに利用できるよう調整が進められており、新しい帯域の獲得を狙ってキャリア各社が火花を散らすと見られる。
では実際のところ、周波数やその帯域の幅が違ってくると、何が違ってくるのか? ということについては、次回説明しよう。

▲「ワイヤレスジャパン2011」における、総務省・田原康生氏の講演資料より。
地デジ移行や既存の周波数帯の整理で、
新たに700/900MHz帯が携帯電話に割り当てられる予定
2011年8月3日 13:25
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