プロフィール
佐野正弘

東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では携帯電話業界事情から、スマートフォン、モバイルマーケティング、若者のケータイ文化に至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著書にXperia入門ガイド(翔泳社)、SEO対策のウソ・ホント(毎日コミュニケーションズ)など。

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どう変わった? 携帯電話・スマートフォンの日本語入力(1)

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 携帯電話やスマートフォンで欠かせないコミュニケーションツールといえば、電話(音声通話)ともう1つ、“メール”が挙げられるだろう。そのメールを日常的に交わす上で、必要不可欠なのが“日本語入力”。中でも最も重要な要素が、携帯電話で日本語の“かな”を入力するための手段だ。

 

 モバイル機器による日本語入力は、古くはポケットベルの時代からなされている。当初は数字しか表示できなかったポケットベルだが、後に日本語表示が可能な機種が登場。電話機でダイヤルした数字の組み合わせで、カタカナやひらがなによる日本語の送信ができるようになった。

 

 ポケットベルで主流だったかな入力方式は、0?9のダイヤルキーに割り当てられた“あかさたなはまやらわ”の子音を最初に選んだ後、1?5のダイヤルキーに割り当てられた“あいうえお”の母音を選ぶというもの。通称“ベル打ち”などと呼ばれ、現在も“2タッチ入力”の名称で、多くの携帯電話やスマートフォンに採用されている。

 

 一方、携帯電話で最もスタンダードな日本語かなの入力方式として広まっているのが、0?9のダイヤルキーに割り当てられた子音を選んだ後、そのキーを1?5回連続で押すことで、あ→い→う→え→おの順に母音を切り替えて選ぶというものである。この入力方式は、携帯電話のマニュアルでは“かな入力”と記述されていることが多いが、ボタンの押す回数によって文字が切り替わることから、通称“トグル入力”などとも呼ばれている。

 

 2タッチ入力とトグル入力は、いずれも一長一短がある。2タッチ入力は、50音全てを2回キーを押すだけで入力できるが、子音と母音でキー配置が変わってしまうため操作に慣れが必要であり、またトグル入力では1回のキーで入力できる、母音が“あ”の文字であっても、2回キーを押さないと入力できないというのが弱点だ。

 

 一方トグル入力は、子音のキーを連打するだけで入力できるので、キー配置が分かりやすく覚えやすい一方、“お”を入力するのに5回キーを押す必要があるなど、キーを押す回数が多くなりがちという弱点がある。そのため、母音のトグル順を逆にたどることができる“逆トグルキー”が用意されるなど、キーを押す回数を少なくするための工夫も多くなされている。

 

 そしてスマートフォンの普及が本格化し、入力インターフェースがダイヤルキーからタッチパネルに変化すると共に、日本語かなの入力方法も大きく変化している。その最たる例が“フリック入力”だ。これは、2タッチ入力やトグル入力と同じように子音のキーを選んだ後、上下左右に指を払う(フリック)ことで、それぞれに割り当てられた母音を選ぶというものだ。

 

 フリック入力は、従来のダイヤルキーではできない操作を取り入れた、タッチパネルならではの入力方法といえ、ボタンを押す回数が1回で済むため、他の入力方式より素早く入力できるメリットがある。だが一方で、母音の割り当てを覚えていないと素早い入力ができないので、操作に慣れが必要なのが弱点といえる。ちなみにフリック入力のバリエーションとして、フリックの方向を上下左右ではなく扇型にするなど変化を持たせた、「ATOK for Android」(ジャストシステム)の“ジェスチャー入力”なども存在する。

 

 

▲スマートフォンのタッチパネルを活かした“フリック入力”

 

 この他にも、パソコンと同じQWERTYキーでかなを入力する方式なども存在するが、果たしてどの入力方式がよいのか? というと、実は明確な答えがない。特にスマートフォンではさまざまな入力方式の中から好みのものを選べることが多いので、自分に合ったものを用いるのが正しいといえるだろう。

 

 次回は、日本語入力する上でもう1つ重要な要素である“かな漢字変換”について触れてみたい。

2012年5月2日 15:48