酒缶さん
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【酒缶のゲーム通信】



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【鈴井匡伸氏】9.負けを認めざるを得ない

 今回のゲスト:鈴井匡伸氏 

インディーズゼロ代表取締役。制作に関わったタイトルは『千年家族』『しゃべる!DSお料理ナビ』『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』など多数。最新作はニンテンドー3DSの『タッチ!ダブルペンスポーツ』。


酒缶 鈴井さんはアクションゲームは苦手だったみたいですけど、アドベンチャーゲームはどうでした?

 

鈴井 ディスクシステムでは『水晶の龍』(※1)を最初に買ったんですけど、おかしいでしょ? 『ゼルダ』じゃなくて。

 

(※1) 『水晶の龍』 1986年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)がファミリーコンピュータディスクシステム向けに発売したアドベンチャーゲーム。

 

酒缶 いや、おかしくはないですけど。

 

鈴井 『ゼルダ』も『マリオ』も友達が買っているので、僕はこっちにしようと思ってお年玉を貯めて買ったのに、2日くらいでクリアしてしまって。ボンボンで描いていた佐藤さん(※2)が原画を描かれていたから……と、なんかまたキャラで買っているという(笑)。

 

(※2) ボンボンで描いていた佐藤さん ボンボンの正式名称は「コミックボンボン」。1981年に講談社が創刊した少年漫画誌。2007年に休刊。佐藤さんは漫画家でアニメーターの佐藤元氏のこと。さとうげんのホームページ http://riorio.chu.jp/

 

酒缶 決して、野球拳をやれる(※3)と思って買ったわけでは……。

 

(※3) 野球拳をやれる ファミリーコンピュータMagazineのウル技のコーナーには1つだけ絶対に実現できないウソ技が含まれていて、当時、『水晶の龍』のシンシアと野球拳ができるというウソ技が掲載された。

 

鈴井 それを知ったのはクリアした後ですね。シンシア、めちゃくちゃ可愛いじゃないですか。当時、RPGの女の子キャラにシンシアと名付けたくらいに可愛くて。

 

酒缶 『オホーツク』(※4)はどうでした?

 

(※4) 『オホーツク』 正式名称は『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』。1987年にアスキーがファミリーコンピュータ向けに発売したアドベンチャーゲーム。元は1984年にアスキーがパソコン向けに発売したゲームで、パソコン版は今でもプロジェクトエッグで購入可能。プロジェクトEGG http://www.amusement-center.com/project/egg/cgi/ecatalog-detail.cgi?contcode=7&product_id=277

 

鈴井 『オホーツク』は好きでした。このカセット、普通じゃないんですよ。サントラに付いていたアポロンのラベルが上に貼っていて、裏には当然、ファミ通さんのラベルを貼っていて、すごくレアな状態になってます。

 

 

酒缶 すごいけど、もったいない気もしますね。

 

鈴井 でも、こっちの方がいいんですよ。線が太いんで味が出るんですよね。火サスっぽい感じが好きでした。『ポートピア』(※5)は友達から借りたけど、全然わからなくて。『オホーツク』は親に黙ってこっそりテレビを付けて試験期間中に解いた思い出があります。中学時代は1日1時間しか遊べなかったんですが、なかなかその時間ではクリアできないので、夜中にこっそり降りてきて居間で接続して。

 

(※5) 『ポートピア』 正式名称は『ポートピア連続殺人事件』。1985年にエニックス(現スクウェア・エニックス)がファミリーコンピュータ向けに発売したアドベンチャーゲーム。

 

酒缶 どこに行かなくてはならない、というフラグ立てが難しかったですよね。

 

鈴井 BGMも最高でしたし、絵がきれいだった。やっぱり着やせしているとか、ちょっとエッチなネタとか入っているじゃないですか。2分間待っているとめぐみがバスタオルを取る(※6)んですよね。雑誌で見た時にやりましたもん。「これ、またウソだろ」と思いながらも。まぁ、このゲームを買ったのも、すごく読んでいたファミ通さんの方が関わっていたり、堀井雄二さんが作っていたとか、そういう理由なんですよね。

 

(※6) めぐみがバスタオルを取る 和琴温泉でバスタオル姿のめぐみに聞き込みをするときにあるコマンドを入力して2分放置していると、めぐみがバスタオルを取った姿を見せてくれる。

 

酒缶 『いたスト』(※7)が好きなのもその流れなんですか?

 

(※7) 『いたスト』 1991年にアスキーがファミリーコンピュータ向けに発売したボードゲーム。2作目以降はエニックス(現スクウェア・エニックス)から発売されている。いただきストリートとは? http://www.square-enix.co.jp/itastwii/games/

 

鈴井 そうです。買う理由というのはそういう繋がりなのかな?

 

酒缶 人に進める時にはこの人にはこれが、と客観的に分析するけど、自分が買う時にはミーハーですよね。

 

鈴井 恋愛みたいなもんですね。人には「勉強もできるし家柄もいいらしいよ」と進めるけど、自分が選ぶ時は全然関係なくて。ダメじゃん(笑)。ああ、自分がだんだんわかってきた。

 

 

酒缶 スーファミになると、サウンドノベル系のゲームで遊んでいたようですが?

 

鈴井 はい。すごく思い出深いのは、チュンソフトさんの『弟切草』(※8)と『かまいたち』(※9)

 

(※8) 『弟切草』 1992年にチュンソフトがスーパーファミコン向けに発売したサウンドノベル。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_og/

(※9) 『かまいたち』 正式名称は『かまいたちの夜』。1994年にチュンソフトがスーパーファミコン向けに発売したサウンドノベル。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ky/

 

酒缶 アドベンチャーが好きという流れですか?

 

鈴井 それもありますし、『弟切草』には度肝を抜かれました。ものすごく怖かったし、面白かった。最初の告知を雑誌で見た時は、本の挿絵みたいな感じで絵もほとんどなかったんですけど、修正されたものが雑誌に出ていて、それが恐くてね。

 

酒缶 アドベンチャーゲームって詰まるとコマンド総ざらいでやって、しかもクリアできないことがありますよね。

 

鈴井 それが問題点だったんですけど、サウンドノベルは解決しているんですよ。『かまいたち』に至っては、縦読み(※10)した時にびっくりしましたからね。「本当にこんなことをやってるんだ」って。「遊べる」というのは、買った100人のうちの20人しか解けないゲームではなく、なるべくならみんなが最後まで遊べるゲームだと思っています。

 

(※10) 縦読み チュンソフトのサウンドノベルは横書きの文章だが、ある部分のテキストを縦に読むと、メッセージが書かれているところがあった。

 

酒缶 リセットを押させるのはすごかったですよね。

 

鈴井 信じられなかったです。だから、本当にただただ感動しました。

 

酒缶 で、その一方で『タクティクスオウガ』(※11)も好きだったみたいですけど。

 

(※11) 『タクティクスオウガ』 1995年にクエストがスーパーファミコン向けに発売したシミュレーションRPG。当時の開発スタッフが集結して開発したリメイク作品が2010年にスクウェア・エニックスより発売されている。

バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_to/ 

『タクティクスオウガ 運命の輪』 http://www.square-enix.co.jp/tacticsogre/

 

鈴井 自分でドット絵を作ったりしましたけど、これはドット絵という意味でも、ホント、群を抜いてすごかったんです。ファルコムの絵に憧れていたんですけど、あのタイプのファンタジー系の世界観デザインの究極系が『タクティクスオウガ』でした。クォータービューの立体感がある中でモンスターとかキャラクターとか鎧や服の光沢感とか、アイコン一つにしても凝っていたじゃないですか。ゲームも面白かったし。ストーリーもここまでドラマをやっていいんだ、と感じたので、めちゃくちゃ遊びましたよ。シミュレーションは苦手だったんですけど、やれたんですよね。やる気になったというか。

 

酒缶 今まで出てきたゲームの話と比べて、『オウガ』はプロの視点で話されていますよね。

 

鈴井 そう。同業者目線もありますね。『弟切草』はまだ大学1年生くらいだったんですけど、『オウガ』はくやしいとかここまでやるんだとか、映画的でもあったので、言葉や演出、全部に対して完敗でした。負けを認めざるを得ないソフトです。

 

酒缶 で、『カードヒーロー』(※12)ですか。

 

(※12) 『カードヒーロー』 正式名称は『トレード&バトル カードヒーロー』。2000年に任天堂がゲームボーイ向けに発売したカードバトル。公式サイト http://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/ahhj/news/

 

鈴井 すごくやりましたね。玩具がゲームの中に入っているのが悔しかったです。パック買いできて、収集できてという「嬉しかった感覚」が入っているんですよ。玩具屋に買いに行って、集めて、友達と対戦するのが楽しくて、悔しかったんです。『カードヒーロー』という遊びも好きなんですけど、悔しかったのは買い物の部分なんです。

 

 

酒缶 もしもゲームが一つしかない世界だったらどんなゲームがいいですか?

 

鈴井 ゲームボーイの『テトリス』(※13)です。これは考えるまでもなく思い浮かびました。テレビゲームって、考える程度を落としてでも遊べるものだと思っているんですが、その究極系が『テトリス』だと思っています。多少考えるけど、落ちる速さに身を任せるあの原始的な楽しさも入っているし、ゲームが一つしかないとしたら『テトリス』かな。決して、『マリオ』じゃない。『マリオ』は複雑だもん。『スーパーマリオ』はもっと複雑だし。

 

(※13) 『テトリス』 1990年に任天堂がゲームボーイ向けに発売した落ちものパズルゲーム。元々はロシアで生まれたパソコン向けのゲーム。

 

酒缶 『テトリス』に対して何か思い出とかあるんですか?

 

鈴井 特別『テトリス』だけ心のエピソードがあるわけではないけど、いろんなゲームを研究して、ゲームの原点を最適化して持っているのが『テトリス』だというのが結論です。『有野の挑戦状』でも「トリオトス」というゲームを入れたんです。徹底して心から尊敬した上でオマージュしたんですよ。シンプルなんだけど、応用が効くように。『コラムス』(※14)と『テトリス』のよさを足そうとしたんですけど、やればやるほど神様にはかなわないと思ったのが『テトリス』でした。一応、ゲーム内のオマージュで雑誌の中ではチェコの数学者が考えたゲームということになってます。くだらないでしょ。こういうところまでちゃんと考えて載せているんです。

 

(※14) 『コラムス』 1990年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)がアーケード向けに発売した落ちものパズルゲーム。

 

酒缶 そういうところが面白いですよね。

 

鈴井 本当に誰も気付かないところにネタが入っています。番組のプロデューサーさんは「トリオトス」が好きで、発売当時は寝る前に毎日やってくださっていたようです。

 

次回の更新は、8月5日(金)の予定です。

2011年8月2日 12:13